また新たな変化
Title:A HEAD FULL OF DREAMS
Musician:COLDPLAY
前作「Ghost Stories」は、前宣伝もあまりなく、突然リリースされた感のあったCOLDPLAY。その前作からわずか1年7ヶ月、今回も比較的、前宣伝の期間は短く、COLDPLAYの新作がリリースされました。ここらへん、宣伝期間が短くてもリリースできるのは、それでも大ヒットが期待できる彼らならではでしょう。ただ残念ながら本作は、Adeleの新作に遮られ、アメリカ、イギリスでのチャート1位獲得はなりませんでしたが・・・。
COLDPLAYといえば、スタジアムバンドとなった彼ららしいスケール感の大きな作風が特徴的でしたが、前作「Ghoset Stories」では一転、シンプルなインディーポップバンドのような作風に変わっていました。そして続く本作。今回の作品はさらに一転、エレクトロサウンドを取り入れた爽やかな作風を前面に押し出しつつ、あくまでもポップさを主軸とした作品に仕上げてきました。
そんな作風が特に反映されたのが序盤。いきなり1曲目に配置されたタイトルチューン「A HEAD FULL OF DREAMS」は爽やかなエレクトロダンスチューンになっていますし、「BIRDS」も同じくアップテンポなエレクトロビートが特徴的なナンバーに仕上がっています。
また今回の作品は豪華なゲストも話題を呼んでおり、切ないメロが特徴的の「HYMN FOR THE WEEKEND」は、どこかこの女性コーラス、聴き覚えがあるな・・・と思いきや、なんとBeyonceがゲストで参加。さらに本編の最後を締めくくる、ゴスペルライクなコーラスを入れてこのアルバム一番のスケール感を誇る「UP&UP」では、同じくギターにどこか聞覚えが・・・と思えば、なんとノエル・ギャラガーがゲストで参加。どちらも正直、ちょっと意外性も感じるゲストでした。
アップテンポなナンバーがメインだった前半と比べて、後半は比較的、ミディアムチューンの聴かせるナンバーが多く収録されています。「FUN」や「AMAZING DAY」など、美しいメロディーラインを前に押し出して、しっかりと「歌」を聴かせるCOLDPLAYらしいナンバーになっていました。
ただ今回も、ラストの「UP&UP」をのぞき、以前のアルバムのようなスケール感はなく、一方で、メロに関してはさすがの安定感はあり、「良質なポップアルバム」といった感じになっていたのは前作と似たような路線を感じます。
それだけに全体的にはこじんまりとしてしまった印象。スタジアムバンドらしい圧巻のスケール感もなく、メロディーだけで売りに出来る「美メロ」といった感じでもなく、悪いアルバムではないけどもちょっと物足りなさを感じてしまいました。
そういう意味では楽曲の方向性こそ異なるものの、前作と似たような作風になってしまったアルバム。彼らもアルバム毎に変わっていく、ということもあるのでしょうが、ちょっと保守的な変わり方じゃないかなぁ、とも感じてしまいました。「良質なポップスアルバム」であることは間違いないと思うんですけどね。惜しい1枚でした。
評価:★★★★
COLDPLAY過去の作品
Viva La Vida or Death And All His Friends(美しき生命)
Prospekt's March
LeftRightLeftRightLeft
MYLO XYLOTO
Ghost Stories
ほかに聴いたアルバム
Storytone/Neil Young
Neil Youngの新作は2枚組のアルバム。うちDISC1は、「Solo」と名付けられ、ピアノやアコギなどの1人だけのシンプルな演奏で聴かせ、DISC2では同じ曲をバンド編成やオーケストラ編成で聴かせる内容。基本的にどちらもシンプルなアレンジの曲が多く、なによりも「歌」を聴かせることに主軸を置いた内容に。同じ曲でDISC1と2を聴きくらべるのも楽しいのですが、なによりも「歌」自体を楽しむアルバムでした。
評価:★★★★
Niel Young 過去の作品
Fork In The Road
Psychedelic Pill(Neil Young&Crazy Horse)
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