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2015年12月26日 (土)

ベスト盤+裏ベスト+ライブ盤

今回は、山崎まさよし関連の作品を一挙3作品紹介です。

Title:ROSE PERIOD ~the BEST 2005-2015~
Musician:山崎まさよし

まずはベスト盤。2005年にリリースしたベスト盤「BLUE PERIOD」以降の発売された全シングルを収録したアルバムです。

で、これと対になるのがこのアルバム。

Title:UNDER THE ROSE ~B-sides & Rarities 2005-2015~
Musician:山崎まさよし

こちらは同時期のシングルのカップリングや、アルバム未収録の音源をあつめた「裏ベスト」です。まあ、この手の組み合わせで2枚同時リリースというのは比較的よくある話なのですが、今回のこの2作品、どちらがよかったか、といわれれば、一般的に耳馴染みやすい「ベスト盤」より、「裏ベスト」の方がよかった、というのがちょっと珍しい話。

いや、ベスト盤のシングル曲集ももちろんよかったんですよ。アコースティックベースで優しい雰囲気の楽曲がいかにも山崎まさよしって感じで。ただ、この一般的にイメージしやすい山崎まさよしらしさというのをシングルではいかにも追及しており、それが物足りなさにつながっていました。

まあ、はっきりいってしまえば全体的に勢い不足。残念ながらここ最近、一時期に比べると人気が下火になってしまいましたが、その理由が痛いほどわかってしまうようなベスト盤。特に象徴的だったのが最後に彼の代表曲「One more time, One more chance」が収録されているあたり。この手の、本来ベスト盤の対象ではないような代表曲がわざわざ収録されるのって、この曲を超える代表曲が生まれていない、という証拠なんだよなぁ。

ただ、じゃあ山崎まさよし自体が衰えてしまったか、といわれると、そうではない、とはっきり感じられるのが裏ベスト。実にバラエティー豊かな作風が、山崎まさよしというミュージシャンの懐の深さを感じます。

ガレージ風の「幸せのBefore&After」のようなロック色の強い作品があるかと思いきや、NHKの子供向け番組のために書き下ろした「おなかとせなかがぺっタンゴ」のような、子供向けの歌詞ながらも哀愁たっぷりのタンゴ調にまとめあげてきたり、大竹しのぶとのデゥオ「黄昏のビギン」のような、古き良き歌謡曲調のナンバーもあったりと、山崎まさよしの様々な顔が見えて、まったくあきません。

この2枚を比較すると、ここ最近、山崎まさよしがいまひとつ大ヒットをリリースしていないのは、山崎まさよし自体がネタ切れを起こしているわけではなく、「山崎まさよし」というイメージに固執しすぎて、彼の実力をうまくシングル曲に引っ張り出してこれないことが大きな要因のように感じました。次のベストはまた10年後でしょうか。その頃には、また再び、山崎まさよしの大ヒット曲がリリースされることを期待したいのですが。

評価:
ROSE PERIOD ★★★★
UNDER THE ROSE ★★★★★

Title:FM802 LIVE CLASSICS
Musician:山崎まさよし

こちらは大阪のFM局、FM802に残るライブ音源をまとめたライブ盤。これが貴重なライブ音源を多く収録しており、非常に聴きごたえのある内容になっていました。

基本的にはアコースティックギター1本でのステージ。アコギ1本でしっかりと聴かせるステージングもまた、彼の実力を感じさせ、耳を惹かれる大きな要因となっています。ただ、そんな作品以上に貴重なのが数多くのミュージシャンとのコラボ。「GONE AT LAST」ではちょっと意外にも感じられる谷村有美とのデゥオを聴かせてくれたり、よく比較対象となる斉藤和義と「つぐない」をカバーしていたり、さらには忌野清志郎と「トランジスタ・ラジオ」をデゥオで聴かせてくれたりと、ここでしか聴けない貴重なデゥオが非常にうれしい内容になっています。

また、これらの曲も単に有名どころの名前を並べたというだけではなく、どれも魅力的なデゥオに仕上がっています。特に斉藤和義とのデゥオは、色っぽさを感じるカバーになっており、男2人ながらこんな色っぽい曲になるんだ・・・と実力派ボーカリスト2人のデゥオに感心してしまいました。

そんな訳で、レア物という音源に惹かれるもよし、その内容自体に惹かれるもよし、要チェックのライブ盤。こちらも山崎まさよしの実力がしっかりとパッケージされている1枚です。

評価:★★★★★

山崎まさよし 過去の作品
COVER ALL-YO!
COVER ALL-HO!

IN MY HOUSE
HOBO'S MUSIC
Concert at SUNTORY HALL
The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[STANDARDS]
The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[SOLO ACOUSTICS]

FLOWERS
HARVEST ~LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾 2014~

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アルバムレビュー(邦楽)2015年」カテゴリの記事

コメント

ゆういちさま、はじめまして。
地味な(笑)ベスト盤を取り上げて頂き、感謝・感謝です。また、このミュージシャンをきちんと聴かれた上での的確なコメントが、とても嬉しかったです。
山崎ファンになって17年。
ブレイクの頃は見えなかったこの人の筋金入りの「ふつう」さは、この業界で「売れ」続けるにはいささか不利かとも思われます。
でも、この人の真骨頂は、生きてきた「ふつう」の時間が、作品として結晶した時、非常に普遍的な世界観を持ち、一つ一つがかけがえのないものになる、ということのような気がします。
正直、私は、この人の歌を「初聴き」でよいと思ったことは殆どなく(鈍感なだけ?)、後になってしみじみとその「すごさ」がわかる(ファンの贔屓目?)ということが多いようです。
「ふりかえれば名曲」の多い、時代はずれな男の歌をこれからも追い続けたいファンにとって、「取り上げて」下さっただけでも嬉しくて思わず乱入してしまい、失礼しました。
どうも有難うございました。

投稿: ずん | 2016年1月 4日 (月) 06時42分

>ずんさん
はじめまして。書き込みありがとうございます!確かに彼は「普通」のことを「普通」に歌っていて、それが大きな魅力ですね。ちょっとここ最近、売上の面では勢いがないのですが、まだまだこれからも期待できるミュージシャンだと思います。これからも末永く応援できるミュージシャンですよね!

投稿: ゆういち | 2016年1月19日 (火) 23時27分

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