爽やかシティポップ
Title:Almost A Rainbow
Musician:アナログフィッシュ
前作「最近のぼくら」までは「社会派三部作」としてメッセージ性の高い作品をリリースしてきたアナログフィッシュ。その前作からわずか11ヵ月、早くも新作がリリースされました。
その社会派な作品から一転、今回の作品はメッセージ性という部分は後退。歌詞においてはラブソングがメイン。
「Tululu 目と目が合った Boys&Girls
Tululu 抑えきれない Boys&Girls
Tululu 恋に墜ちてく Boys&Girls
Tululu 手と手を繋ぐ Boys&Girls」
(「Baby Soda Pop」より 作詞 佐々木健太郎)
なんて歌う「Boby Soda Pop」からはじまり、
「君は君らしく生まれた
僕に愛されるために」
(「Walls」より 作詞 下岡晃)
「きみをあいすしかない
それができそうにない」
(「こうずはわからない」より 作詞 下岡晃)
などといった歌詞が展開されていきます。そんな彼らの描く風景は、どこか現在の都会の街角を切り取ったよう。彼らの歌詞の世界観は、まさに「シティポップ」という言葉がマッチするものになっていました。
その「シティポップ」としての要素は今回、メロディーやサウンドからも強く感じられます。前述の「Body Soda Pop」などは山下達郎を彷彿とさせるような爽やかなポップチューンに仕上がっていましたし、「Will」は序盤の入りはどこかスピッツっぽく、サビは山下達郎を彷彿させる、ちょっと一癖あるポップチューンに仕上がっています。
さらに後半に行くにつれて、ポップ路線が続くのですが、なによりもバラエティー富んだサウンドが冴えまくっていました。基本的にシンプルなサウンドにドラムスのリズムを強調した今風のサウンドなのですが、強烈にひねくれたリズムとピアノのからみがユニークな「Walls」や、サイケデリックなギターノイズを聴かせる「Hate You」などなど、ノイジーなギターを入れつつ、必要最小限の音のみから構成されるサウンドに、シンプルさも感じる楽曲が特徴的。ここらへんのサウンドのバランス感覚も、実に絶妙なものを感じます。
アナログフィッシュはアルバムによってその出来にバラつきがあったのですが、前作「最近のぼくら」は傑作で、続く本作も文句なしの傑作アルバムに仕上がっていました。なにげにデビューから10年以上が経過している中堅バンドなのですが、前作と本作を聴く限り、今が一番脂にのっているのでは?と思わせるような出来。爽やかなポップソングもさることながら、それを構成するサウンドの使い方の妙に、彼らの実力を感じさせます。デビューから11年が経過した今現在にも関わらず、これからが楽しみと思わせるアルバムでした。
評価:★★★★★
アナログフィッシュ 過去の作品
荒野/On the Wild Side
NEWCLEAR
最近のぼくら
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