これぞArcaサウンド
Title:Mutant
Musician:Arca
若干25歳、ベネズエラ出身の新進気鋭のトラックメイカーArca。BjorkやKanye Westへの作品の参加が大きな話題となり一躍注目を集めた彼。昨年リリースしたアルバム「Xen」も大きな話題となりました。さらにその後、今年に入り、フリーダウンロードでアルバム「Sheep」もリリースしたばかりの彼ですが、早くもニューアルバムがリリースされました。
今回のアルバムも、60分程度の長さながらも、全20曲入りという構成。タイトルチューンである「Mutant」こそ7分を超える大作なのですが、基本的には2~4分程度。ポップソングの長さの曲が並んでいます。
作品の方向性的には前作「Xen」から大きな違いはありません。「Alive」では細かいビートでせき立てられるようなメタリックなサウンドが展開し、続く「Mutant」もメタリックな破壊音が繰り広げられつつ、後半はスケール感あるサウンド構成に。どこか幻想的な雰囲気を感じられるもの特徴的です。
また、そんな「実験的」ともいえそうな作風の中、基本的にはあくまでもポピュラーミュージックという方向性を強く感じるのも特徴的。「Vanity」や後半の「Front Load」など、楽曲の中ではっきりと哀愁たっぷりのメロディーラインを聴かせてくるような曲もあったり、どの曲も、メタリックなノイズの向こうに、メロディーがしっかり流れており、ちゃんとポピュラーミュージックとして機能しているのが大きなインパクトとなっていました。
アルバムがスタートした時点で、「あ、これぞArcaのサウンドだ!」とはっきりわかるサウンドを展開しているのも大きな特徴。このArcaとしての方向性は、前作「Xen」以上にはっきりしたように感じます。まさに彼しかつくりえないArcaワールドを作り上げた新作になっていました。
そんな訳で、またArcaとしての実力を感じることができた作品なのですが・・・・・・正直言うと、全20曲、最後の方はちょっとダレてきました。もちろん最後の最後までArcaの個性がさく裂した曲が並んでいます。ただ、全体的に強烈なメタリックのノイズがグイグイ耳の中に押し入ってくるサウンドで、最後の方はちょっと疲れてしまいました。
はっきりいって、10曲までだったら今年の最高傑作レベルだったと思います。15曲目くらいだったら十分傑作だったと思います。最後の方の曲が悪かった、ということではないのですが、もうちょっと曲を絞ってほしかったかも、とも思ってしまいました。なんかとても惜しいなぁ・・・と感じてしまう新作でした。
評価:★★★★
Arca 過去の作品
Xen
Sheep(Hood By Air FW15)
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