« 90年代J-POPからの影響を感じる壺をついたサウンド | トップページ | 13年ぶりの新作 »

2015年11月28日 (土)

古き良きロックを今にアップデート

Title:Dodge and Burn
Musician:The Dead Weather

ご存じ元ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイト率いるロックバンドによる3枚目のオリジナルアルバム。前作「SEA OF COWARDS」リリース後、しばらく活動がなかったのですが、2013年に久々となるシングル曲2曲をレコードにてリリースし活動を再開。5年ぶりとなるニューアルバムが本作です。

ただ、久々となるニューアルバムですが、基本的なスタンスは以前と全く変わりありません。「レッド・ツェッペリンみたいな」という形容詞で語られることが多い彼らですが、まさに70年代あたりのハードロックの影響をダイレクトに受けたようなヘビーなギターリフを中心に構成された「古き良きハードロック」というスタイルは本作も健在。それは冒頭を飾る「I Feel Love(Every Million Miles)」の、ハードなギターリフとボーカルアリソン・モシャートのハイトーンボイスという組み合わせからも顕著でした。

一方で、「古き良き音楽」をそのままコピーしてくる訳ではなく、今の音もきちんと入れつつ、2010年代にアップデートしている、という点も以前と同様。例えば「Three Dollar Hat」では軽くエレクトロサウンドを入れていますし、「Mile Markers」ではラップも入れてきたり。アルバム全編で鳴り響いているギターのサウンドにしても、激しいノイズ音は70年代のハードロックとはまた異なります。

またジャック・ホワイトは基本的にドラムスに専念。へヴィーなドラムスでバンドサウンドを下支えしており、なおかつメロディーメイカーとしてもバンドを支えています。「Buzzkill(er)」のように哀愁を漂わせたり、「Be Still」のようにメロを聴かせたり、ハードなバンドサウンドを聴かせつつ、メロディーラインにもしっかりとしたインパクトを持たせているのも特徴的。その結果、アルバム全体としては実は「ポップ」で聴きやすい内容になっていました。

最後はストリングスとピアノを取り入れた壮大なスケール感を覚える「Impossible Winner」で締めくくるという構成も見事。いままでの彼らのアルバムと同じく、なによりもロックのダイナミックさを楽しめるアルバムになっていました。久々ながらも待ったかいのある納得の傑作です。

評価:★★★★★

THE DEAD WEATHER 過去の作品
HOREHOUND
SEA OF COWARDS

|

« 90年代J-POPからの影響を感じる壺をついたサウンド | トップページ | 13年ぶりの新作 »

アルバムレビュー(洋楽)2015年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 古き良きロックを今にアップデート:

« 90年代J-POPからの影響を感じる壺をついたサウンド | トップページ | 13年ぶりの新作 »