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2015年11月22日 (日)

歌を聴かせる

Title:SONGS
Musician:踊ってばかりの国

サイケな作風と、それに反して歌謡曲調にすら感じられるポップなメロデイーラインが特徴的な4人組ロックバンド、踊ってばかりの国。フルアルバムとしては約1年2ヶ月ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

フルアルバムとしては前作となるセルフタイトルの「踊ってばかりの国」は非常に社会的な歌詞が特徴的でした。反原発の「セシウムブルース」や反風営法の「踊ってはいけない国」、さらに「東京」でも強烈な反体制のメッセージを出していました。

一方、今回のアルバムでは社会派な歌詞はほとんどありません。あえて言えば「唄の命」で歌われる「いまだ止まぬ鉄の雨」といったような歌詞くらいでしょうか? 全体的にはとてもやさしい雰囲気の歌詞が多かった印象を受けました。「僕が太陽さ 君たちの太陽さ」と歌う「太陽」といい、「俺はIt's OK」と歌う「OK」といい、どこか包容力のあるやさしさを歌詞から感じます。

サウンド的にもやさしい雰囲気を感じられます。ちょっとハワイアンなテイストの「君を思う」や前述の「太陽」も、爽やかな雰囲気のフォーキーなサウンドが特徴的。もっとも、このサウンドに関してはいままで彼らの曲に特徴的だった「浮遊感」というキーワードは今回のアルバムでもマッチしています。「口づけをかわそう」「時を越えて」など、浮遊感あるサイケフォークを今回のアルバムでもきちんと聴かせてくれています。

また「OK」ではへヴィーなギターを入れたブルースロックを聴かせてくれたり、ラストを飾る「ほんとごめんね」ではバリバリのギターノイズのサイケロックを聴かせたりと、フォーキーなサウンドとはある意味対照的なノイジーなバンドサウンドも大きなインパクトになっていました。基本的にフォークやロック、レゲエなどの様々な音楽的要素を入れてきているのもいつもの彼ららしい、といった感じでしょう。

また、メロディーラインもしっかりインパクトのあるメロディアスなものを聴かせてくれる、というのもいつも通りの彼らの特徴。特にそんな「踊ってばかりの国」らしさを一番感じたのは、このアルバムでもひとつの核になっている「Hero」。10分にも及ぶ長い曲なのですが、フォーキーでメロディアスなメロディーラインをきちんと聴かせつつ、サイケなサウンドも楽しませてくれる曲で、10分、まったくダレることなく聴かせてくれる、彼らの実力を感じさせてくれるナンバーです。

要するに、アルバム全体として踊ってばかりの国らしさをきちんと出すことが出来たアルバムだったと思います。特に「SONGS」というタイトル通り、シンプルに「歌」を楽しむことが出来たアルバムだったと思います。主張の強さ、という意味では前作「踊ってばかりの国」のインパクトが強かったのですが、これはこれで魅力的な傑作でした。

評価:★★★★★

踊ってばかりの国 過去の作品
グッバイ、ガールフレンド
世界が見たい
SEBULBA
FLOWER
踊ってばかりの国
サイケデリアレディ

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