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2015年11月 8日 (日)

アラフォー世代になじみの深いアレンジャー

Title:LIFE IS A SONG

80年代から数多くのヒット曲のアレンジを手掛けてきたアレンジャー清水信之。そのアレンジャー歴35周年を記念したアルバムがリリースされました。彼がアレンジを手掛けた楽曲を2枚組全39曲を収録した作品。さらに最後には新曲「終わらない歌」を収録。清水信之with Best Friends名義のこの曲は、作詞秋元康、作曲大江千里、さらにボーカルには彼がかつてアレンジを手掛けた岡村孝子、谷村有美、渡辺美里などなど豪華なメンバーがズラリと参加しています。

今回、このオムニバスアルバムを聴いたのはやはり清水信之というアレンジャーに個人的に思い入れがあったから。私にとって清水信之といえばなんといっても渡辺美里の楽曲のアレンジを数多く手がけたアレンジャー。今回のアルバムでも「恋したっていいじゃない」が収録されていますが、他にもアルバム曲が中心になるのですが、数多くの楽曲のアレンジを手掛けています。

他にも、このアルバムにも収録されている大江千里や岡村靖幸、谷村有美や平松愛理など、90年代のエピックソニー、ソニーレコード系のミュージシャンのアレンジを数多く手掛けている彼。個人的にこのあたりのミュージシャンは高校生や大学生の頃よく聴いたミュージシャンたちであり、そういう意味でも個人的に最も馴染みのあるアレンジャーの一人だったりします。

ただ、昔、渡辺美里をよく聴いていた頃の清水信之のアレンジのイメージというと無味無臭。まあ特に小室哲哉によるこってりとしたインパクト満点の曲との比較になってしまっていたということもあるのですが、良くも悪くもあまり独特の「色」がないアレンジをするな、という印象を、漠然としてですが抱いていました。

もっとも、この強い色を持たないアレンジをするからこそ、今回のアルバムに収録された曲を見てもわかる通り、幅広いタイプの曲のアレンジを手掛けることが出来たのではないでしょうか。今回のアルバムでも、シンガーソングライターから岡村ちゃんのようなファンク系、ゴスペラーズのようなアカペラシンガーにさらに「たこやきなんぼマンボ」のような「おかあさんといっしょ」の楽曲まで手掛けています。また、比較的アイドルの曲のアレンジを多く手掛けているのですが、アレンジよりまずは歌手の歌自体が重要となってくるアイドルソングもまた、彼のアレンジとの相性が良かったのではないでしょうか。

とはいうものの、このアルバムで彼のアレンジの曲を並べて聴くと、やはり彼のアレンジの特徴が良く見えてきます。その特徴は、大江千里の「REAL」や中山美穂の「色・ホワイトブレンド」あたりに顕著なのですが、軽い質感のシンセのメロを比較的前に押し出したようなアレンジ。もちろん、このタイプの曲ばかりではないものの、シンセを積極的に取り入れたアレンジの曲は数多く見受けられました。

その傾向は最近の楽曲までも強い特徴として持っており、例えば比較的最近手掛けた、AKB48渡辺麻友のソロ作「麻友のために」などもまさにその傾向が顕著に出たアレンジとなっています。

そんなアレンジャー清水信之の楽曲を網羅的に楽しめるアルバム。前述の通り、基本的にいろいろなタイプの曲を手掛ける彼だけに、清水信之の癖が前面に出ていることはなく、どちらかというと80年代から最近のポップソングまで、ヒット曲集的に楽しめるオムニバスアルバムにもなっていました。

その中でちょっと気になったのが、前述のここ最近の曲まで、90年代風のアレンジが普通に通用してしまっている点。もちろん、清水信之のアレンジにそれだけの普遍性がある、とポジティブに評価することもできるのですが、一方で、90年代J-POPが20年以上を経過しても、それほど進化していない、というネガティブにも評価できてしまうんですよね。確かに、いまだに90年代風のJ-POPが普通のヒットしていたりするからなぁ・・・。彼の仕事を通じて、そんな現在のシーンに対する問題点まで感じてしまったオムニバスアルバムでした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

娑婆ラバ/パスピエ

前作「幕の内ISM」ではよりポップ路線に走ったパスピエですが、本作はさらにポップ路線に。もともと、ハイトーンボイスのボーカルはアイドルっぽい雰囲気を出していましたが、本作ではあまり良くない意味で「アイドル歌謡曲」的な雰囲気が強くなってしまっている感が。今時のJ-POP風のアレンジ過剰気味な方向性も気にかかります。悪い意味で今時のバンドだよなぁ、といった印象を受ける作品でした。

評価:★★★

パスピエ 過去の作品
ONOMIMONO
演出家出演
幕の内ISM

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