ジャケ写含め地味な印象ですが
Title:B'lieve I'm Goin Down…
Musician:Kurt Vile
もともとはThe War On Drugsのギタリストとして活躍していたKurt Vileの6枚目となるソロアルバム。ピッチフォークで高評価だったので気になって今回聴いてみました。正直言うとまずはリゾネーター・ギターをかかえた長髪の男、というジャケット写真がなんともいえず地味な印象(^^;;一昔前のブルースロックを奏でるミュージシャン、という印象も受けます。
楽曲自体もまずは地味、という印象が先に立ちます。まず1曲目「Pretty Pimpin」はアコースティックなブルースロック。哀愁奏でるメロが耳を惹きますが、派手さはありません。続く「I'm An Outlaw」もリズムマシーンを入れているあたりはちょっと今風なのですが、カントリーギターで哀愁たっぷり聴かせるナンバーは、こちらもインパクトという面では薄さを感じます。
ただ、そんな地味な印象のある作品なのですが、そんな中でもしっかりと聴かせてくれる味わい深いメロディーラインが実に魅力的な内容に仕上がっていました。まず「That's Life,Tho(Almost Hate To Say)」。美しく鳴り響くギターのアルペジオに淡々としたシンプルなメロディーながらもしんみり胸をうつメロデイーが魅力的。「Kidding Around」もアコギのアルペジオを美しき聴かせつつ、郷愁感あふれるメロディーが心に残る作品でした。
そんなシンプルでフォーキーなサウンドを奏でつつ、その合間に、サイケなサウンドが紛れ込んでいるサウンドが実にユニークなことにも気が付かされます。例えば「Wheelhouse」は本編はフォーキーな作風ながらもアウトロではミニマルテイストのギターインストになっていて、軽いトリップ感がありますし、「Life Like This」もピアノの音色に軽く重なるノイジーなギターにサイケな隠し味を感じます。最後を飾る「Nicotine Blues」も基本的にはアコースティックなカントリーナンバーなのですが、そこに歪んだギターノイズが加わり、一癖ある作風に仕上がっています。
アルバム全体としてはアコースティックでフォーキーな色合いが濃く、ジャケット写真の雰囲気にもマッチした、良くも悪くも「地味」な作風に仕上がっていたと思います。ただ、聴き進めていくと、そんな単純な作品ではないと気が付いてくるのが中盤あたりから。最後まで聴いた時は、その独特の作風に知らず知らずのうちに魅了されるアルバムになっていました。なにげに癖になりそうな傑作です。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
BLACC HOLLYWOOD/WIZ KHALIFA
ビルボードチャートで初の1位を記録した、アメリカのラッパー、WIZ KHALIFAの新作。以前聴いたオリジナルアルバム「Rolling Papers」はちょっとベタにポップな作風で、いまひとつだったのですが、今回は前半、ダークな作風のHIP HOPにまずは惹きつけられます。一方後半はポップな作風になったのですが、それでも全体的にはへヴィネスとポップスさがそれなりに良いバランスが取れていたような印象になっていました。
評価:★★★★
Wiz Khalifa 過去の作品
Taylor Allderdice
Rolling Papers
28 Grams
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