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2015年11月29日 (日)

13年ぶりの新作

Title:CHABO
Musician:仲井戸麗市

ご存じRCサクセションのギタリストで、フォークデゥオ古井戸や麗蘭としての活動でも知られる仲井戸麗市のソロアルバム。フルアルバムとしては2002年の「TIME」より13年ぶりとなるアルバムで、個人的にも彼のライブは何度か見たことあるのですが、CD音源としてははじめて聴いてみたアルバムとなります。

イメージ的には正統派のブルースロックを演ってるのかな、という漠然としたイメージがあったのですが、聴いてみて驚いたのは、そのバリエーションの多さでした。例えば「灰とダイヤモンド」などはまさにそんなイメージ通りのブルースロックですし、DISC2に収録されている「ブルース2011」「セルフポートレート2015」は完全にルーツ志向のブルースを聴かせてくれています。

ただ一方で、冒頭を飾る「やせっぽちのブルース」はキャバレーロック風で、ブルースはブルースでも歌謡曲の「ブルース」風。それに続く「祝祭」はバルカン音楽風で、「QUESTION」はディスコ調。タイトル通り、歌詞もコミカルな「何かいい事ないかな?子猫ちゃん」はサーフロックで「ま、いずれにせよ」はラグタイム風と、実にバリエーション豊か。正直、ここまで様々なタイプの音楽に手を広げているミュージシャンとは知りませんでした。

また、楽曲の雰囲気としては忌野清志郎に通じるような部分もあり、そこはさすがRCサクセションの盟友同志、ということになるのでしょうか。もっとも、ブルースやサザンソウル、ニューオリンズの影響が強かったキヨシローに比べると、彼の音楽に関してはもっと日本風に泥臭さも感じます。特にメロディーラインに関しては歌謡曲風に感じる部分が多く、もともとはフォークの枠組みから出てきたミュージシャンということもあるのでしょうが、フォークソングからの影響も強く感じました。

しかしそんな彼の楽曲の中で圧倒的にカッコよかったのがそのバンドサウンド。エッジの効いたCHABOのロックンロールなギターや渋さのある彼のボーカルももちろんのこと、そんな彼を支えるバンド勢もバリエーションのある楽曲の中でしっかり主張してロックンロールなサウンドを聴かせてくれています。やはりこのCHABOのギターと、それを支えるバンドサウンドのロックンロールとしての文句なしのカッコよさが、このアルバムの最大の魅力のように感じました。

「老い」と呼びかけの「オイっ!」とかけた「オーイっ!」や、タイトル通りの「NOW I'm 64」など、アルバム発売当時64歳となっていた彼自身のことを綴った作品をはじめ、ユーモラスを感じる彼の歌詞も大きなインパクト。ただ彼のボーカルやギターを含めて、現役感バリバリ。正直、64歳という年齢を信じられない若々しさも感じられます。

彼のニックネームであるCHABOをそのままアルバムタイトルとしたところからも、彼のこのアルバムにかける意気込みを感じることが出来ますが、その意気込みそのままの勢いを感じることが出来る傑作でした。文句なしにロックのカッコよさを感じる傑作。「老い」をネタとしていますが、まだまだ彼が「老いる」日は遠い先になりそうです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

ROCK'N'ROLL PANDEMIC/THE PREDATORS

the pillowsの山中さわお、GLAYのJIRO、ELLEGARDENの高橋宏貴によるバンド。それぞれメインとなるバンドを持っているミュージシャンたちが、サイドプロジェクト的にはじめたバンドですが、なにげに長く活動が続き、これが5枚目となるアルバムとなります。ただ、楽曲的には良くも悪くもいつも通りのオルタナ系ギターロック。メインボーカルが山中さわおということでthe pillowsをもっと激しくした感じ、という印象なのですが、これならthe pillowsでも出来るじゃん、といった感想は変わらず。ポップでパンクなギターロックということで、楽しむことは出来る内容なのは間違いないのですが。

評価:★★★

THE PREDATORS 過去の作品
牙をみせろ
THIS WORLD
Monster in my head

カランコロンのレンタルベスト/東京カランコロン

Karankoron_best

東京カランコロンの初のベスト盤はレンタル限定でのリリース。彼らの代表曲が収録されているほか、新曲「シンクロする」が収録。さらにはライブ音源を収録しているほか、これが初のCD化となる「走れ、牧場を」の替え歌、「走れ、ナニワを」も収録されています。

ベスト盤に収録された曲に関してはいずれも楽しい楽曲ばかり。彼らの曲に「J-POPって素敵ね」という曲があるのですが、まさにポップの楽しさを伝えてくれるワクワクする曲ばかりでした。ライブ音源に関しても、そのワクワク感がそのまま伝わってくるような曲ばかり。彼らのライブはまだ一度も足を運んだことないのですが、一度ライブを見てみたいと感じるような楽しそうなライブの雰囲気が伝わってきます。

レンタルベストながらもなかなか豪華な内容で、すべてのアイテムを持っているファンにとっても楽しめそうな内容。気軽に楽しめるアルバムなだけに、入門盤としてもピッタリです。

評価:★★★★★

東京カランコロン 過去の作品
We are 東京カランコロン
5人のエンターテイナー
UTUTU

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