デイヴ・フリッドマン不在の中
Title:The Light In You
Musician:Mercury Rev
前作「Snowflake Midnight」と、その姉妹盤としてネットでのフリーダウンロードでのリリースとなった「Strange Attractor」から約7年。久々となるMercury Revのニューアルバムがリリースされました。今回、残念だったのはサウンドの面でのブレーンとも言うべきデイヴ・フリッドマンが本作に参加していない点。他のメンバーであるジョナサン・ドナヒューとグラスホッパーの2人だけでつくられたそうで、その結果が気になりました。
そんなことが気にかかったアルバムではあったのですが、アルバムは序盤から彼らの持ち味であるドリーミーなサウンドが全開していきます。冒頭を飾る「The Queens of Swans」ではアコースティックなサウンドで静かに入ったかと思えば、途中からストリングスやバンドサウンドが入る分厚いサウンドになり、ドリーミーに盛り上がっていき、続く「Amelie」もオーケストレーションのダイナミックな構成がドリーミーで魅力的な作品に仕上がっています。
そんなドリーミーなサウンドの中、ちゃんとインパクトを持って主張しているメロディーラインもまた魅力的。「Coming up for Air」はかわいらしさを感じるキュートなメロディーが耳を惹きますし、「Are You Ready?」はホワイトノイズを奏でるギターが印象的なバンドサウンドを前に押し出したサイケな作風でありつつ、メロディーラインもそれにまけないインパクトあるものに仕上げています。
ドリーミーでポップな楽曲が全編に繰り広げられる本作。ラストを締めくくるのが「Rainy Day Record」というホーンセッションも入ったポップでにぎやかな曲でライブでも盛り上がりそう、というのがまた楽しいところ。久々の新作でデイヴ・フリードマン不在という条件の中、ファンにとってはまずまず満足できる出来だったのではないでしょうか。
ただ彼らの作品の中で手放しで傑作と言えるかといわれるとちょっと躊躇するところ。ドリーミーな作風にするのにストリングスに頼りすぎな感じがして、作風として独特な構成、おもしろみみたいなものはちょっと薄いようにも感じました。期待通りではあるけれどもプラスアルファがない、意外性がないように感じられました。
アルバムとしては決して悪くはなく、それなりに楽しめた作品ではあるとは思うのですが・・・次回作はさらなる傑作を期待したいところ。もっと短いスパンで聴ければいいのですが。
評価:★★★★
Mercury Rev 過去の作品
The Essential Of Marcury Rev
Snowflake Midnight
Strange Attractor
ほかに聴いたアルバム
Strut/Lenny Kravitz
これが10枚目となるレニー・クラビッツの新作。冒頭を飾る「Sex」はじめファンキーなロックンロールナンバーはやはりカッコよく耳を惹きます。良くも悪くもレニー・クラビッツ節が全開しているアルバム。前作でも感じたのですが、リスナーの壺をついたサウンドには器用さも感じられました。
評価:★★★★
Lenny Kravitz 過去の作品
Black and White America
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