« マディが今のミュージシャンとコラボ? | トップページ | 歌を聴かせる »

2015年11月21日 (土)

ハナレグミの人柄の良さが反映(?)

Title:What are you looking for
Musician:ハナレグミ

ハナレグミといえば、様々なミュージシャンとのコラボやトリビュートアルバム、カバーアルバムへの参加でよくその名前を見かけます。それだけ彼自身、顔が広いミュージシャン、ということなのでしょうか。そんな彼の、オリジナルアルバムとしては久々、4年ぶりとなるニューアルバムには数多くのゲストが参加しています。作曲という面でもかつての盟友、レキシこと池田貴史にキセルの辻村豪文、元キリンジの堀込泰行にYO-KING、作曲では大宮エリーが参加しているほか、ちょっと意外なところではRADWIMPSの野田洋次郎が作詞作曲で1曲、楽曲提供しています。

ただ非常におもしろいのはそんな様々なミュージシャンが楽曲を提供しているにも関わらず、アルバム全体は非常に統一感のある内容になっています。それはやはり基本的には作詞はハナレグミこと永積崇が手掛けているということ。さらには彼の脱力感がありつつも同時に包容力もある独特のボーカルが、アルバム全体に統一感を与えているのでしょう。

そんな中でもちょっと異質さを感じたのは、野田洋次郎作詞作曲の「おあいこ」。かなり熱量の強いラブソングで、楽曲的にはいかにもRADWIMPSらしい感じ。ただアレンジはピアノで静かなアレンジであって、さらにハナレグミのボーカルによってなんとかアルバムの中ではおさまっています。とはいえ、どちらかというとラブソングにしてもどこか肩の力が抜けたようなハナレグミの曲の中ではちょっと異質な感じ。ひょっとしたらアルバムの中で、この異質感をひとつのインパクトとして狙ったのでしょうか?

というのも今回のアルバム、この「おあいこ」とは対照的な、全体的にはかなりアットホームな雰囲気ののんびりした空気で統一されていたからです。アレンジはアコギをベースとしたアコースティックテイストのシンプルな内容。「フリーダムライダー」みたいにホーンセッションを取り入れて明るくまとめあげたアレンジもあるのですが、そんな曲を含めて、基本的にはシンプルなアレンジにまとめています。いままでのアルバムは比較的バラエティー富んだ作風が多かったのですが、今回は比較的シンプルなポップで統一されている印象がありました。

歌詞についてもアットホームで暖かみを感じさせる内容。歌詞のイメージとしてはありのままをそのまま受け入れるという、彼のボーカルの雰囲気にもピッタリあっている包容力を感じさせる歌詞が特徴的でした。アルバム的には、冒頭「Overnight trip to Chiang Mai」なんてインストの曲からスタートし、「旅に出れば」なんてナンバーがあったり、最後は「逃避行」で締めくくられるあたり、「旅」という印象も強く感じさせるのですが、楽曲自体はむしろ「自分の半径5mの世界」とすら感じられるほど、アットホームな雰囲気を強く感じる内容になっていました。

ちょっと残念なのは、いままでのハナレグミの魅力のひとつだった、ユーモアな言葉遣いでコミカルな楽曲があまりなかった点でしょうか。ただそんな中でユーモラスを感じられたのが「いいぜ」。女の子の生態をユーモアをまじえて、ちょっとエロティシズムに描いているのがユニークな楽曲に仕上がっていました。

そんな訳で、アルバム全体としてはほっこりとした気分で楽しく聴ける傑作アルバムだったと思います。なによりもハナレグミらしい暖かさのつまったアルバムのように感じました。聴いていて、とても暖かい気分になれる1枚です。

評価:★★★★★

ハナレグミ 過去の作品
あいのわ
オアシス
だれそかれそ
どこまでいくの実況録音145分(ハナレグミ,So many tears)

|

« マディが今のミュージシャンとコラボ? | トップページ | 歌を聴かせる »

アルバムレビュー(洋楽)2015年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ハナレグミの人柄の良さが反映(?):

« マディが今のミュージシャンとコラボ? | トップページ | 歌を聴かせる »