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2015年11月30日 (月)

20年目にして新たな挑戦も

Title:FOLLOW ME UP
Musician:坂本真綾

今年、音楽活動20周年を迎える人気女性声優坂本真綾。女性声優が今のように「アイドル的」に音楽活動をする以前から積極的に、それも良質なポップソングを歌ってきたということで声優人気の枠組みを超えて人気を確保してきた彼女ですが、今年はそんな彼女の音楽活動20周年を記念して、様々な企画が行われています。以前紹介したトリビュートアルバムもその一環なのですが、約2年半ぶりとなるニューアルバムも、そんなデビュー20周年を記念されてリリースされた1枚です。

ここ最近の彼女は、デビュー以来のパートナーだった菅野よう子の手を離れ、様々なミュージシャンとのコラボを実施。その上で再び菅野よう子の曲を歌ったり、また、前作「シンガーソングライター」では彼女自身が全曲の作詞作曲を行うなど、意欲作を発表。デビュー20年を経てなお、新たな挑戦を感じる活動を続けています。

今回のアルバムの特徴は、実に様々なミュージシャンたちが参加しているという点。おなじみ菅野よう子も1曲参加しているほか、鈴木祥子や北川勝利といった最近ではおなじみの作家陣に、the band apartやandropの内澤崇仁、さらに大貫妙子に、先日の攻殻機動隊のサントラ盤でも共演したcorneliusも参加しています。

さてそんな今回のアルバムは全体的には爽やかなシティポップ路線を感じる方向性。これは、ここ最近の彼女の作風に共通しているのですが、本作に関してもその音楽性のベクトルが続いている、といった感じがします。

アコースティックな作風の曲も多く、「SAVED.」「かすかなメロディ」「アイリス」など、シンプルでアコースティックテイストのサウンドが、彼女のクリアなボーカルにピッタリとマッチしており、清涼感あふれる世界を作り出しています。

全体的にはパッと聴いた感じ、地味な雰囲気すら感じる曲が多いのですが、そんな中でもこのアルバムのハイライトはcornelius作曲の「東京寒い」から、菅野よう子提供の「アルコ」、スウェーデンのDJ、Rasmus Faberによる「幸せについて私が知っている5つの方法」に大貫妙子作詞作曲による「はじまりの海」への流れじゃないでしょうか。

特にcorneliusに関しては、攻殻機動隊のサントラ盤でも感じたのですが、なにげに坂本真綾との相性が抜群。corneliusのシンプルながらも透明感のあるサウンドと、坂本真綾のボーカルという、それぞれ個性的なパーツが上手くピッタリ組み合わさっています。

さらに大貫妙子も今回初参戦ながらも、彼女の書く、シンプルなシティポップに坂本真綾のクリアに聴かせるボーカルが見事にマッチ。以前、大貫妙子が参加していたシュガーベイブの「DOWN TOWN」を彼女はカバーしたことがあるのですが(こちらは山下達郎作詞作曲)、今の彼女が目指している方向性というのは、この路線なのでしょうか。

逆にちょっと残念だったのはthe band apartやandropといったバンド勢。下手な気負いがあったのでしょうか?ダイナミックでインパクトを狙った楽曲を書いているのですが、逆にベタなアニソン風になってしまって、このアルバムの中ではちょっと浮いてしまったかも。

様々なミュージシャンが参加したため、アルバム全体にちょっとバラバラな部分もなきにしもあらずなのですが、坂本真綾のボーカルがアルバムにひとつの統一感を持たせていますし、爽やかでアコースティックなシティポップテイストというのがきちんとひとつの軸となっていたように感じます。これからにつながりそうなミュージシャンとの出会いもありましたし、これからの活動にさらなる可能性を感じるアルバムだったと思います。デビュー20年を経て、いまなお新たな挑戦を続けようとする彼女。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

坂本真綾 過去の作品
かぜよみ
everywhere
You can't catch me
Driving in the silence
シングルクレクション+ ミツバチ
シンガーソングライター


ほかに聴いたアルバム

GOSPE☆RATS ~ぺラッII~/ゴスペラッツ

ラッツ&スターとゴスペラーズからの選抜メンバーによるコラボグループ、ゴスペラッツ。2006年に結成され、アルバム1枚をリリースした後、活動休止していたのですが、なんとこのたび再結成。なんと9年ぶりとなるアルバムがリリースされました。

ただ、久々のアルバムながらも既発表曲も多いし、ラッツ&スターの曲からのカバーも前作と同様。ポップで明るい作風はとても楽しさも感じられるのですが、全体的にはちょっとやっつけ感も否めなかった印象が。それなりに楽しめたアルバムなのですが、久々のアルバムとしては物足りなさも残る作品でした。

評価:★★★★

Santa Fe/Czecho No Republic

メジャー3作目となる新譜。軽快なシンセポップ路線で、ファンタジックな楽曲もあり、祝祭色あり楽しい雰囲気のアルバム。前作同様、サウンド面でちょっと軽すぎると感じる部分もあり、それがプラス要素にもマイナス要素にもなっている感じが。聴いていて文句なく楽しめる作品なのですが、もうちょっとひっかかりも欲しいような印象も。

評価:★★★★

Czecho No Republic 過去の作品
MANTLE

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