1位に返り咲き
Title:Keep The Village Alive
Musician:Stereophonics
日本では「そこそこ」の人気にとどまっているものの、本国イギリスでは国民的人気を誇るロックバンド、Stereophonics。2ndアルバム「Performance and Cocktails」から6thアルバム「Pull the Pin」までアルバムチャート連続1位記録を続けました。7thアルバム「Keep Calm and Carry On」はチャート11位と不調だったようですが(ただ、アルバムの内容としては傑作でしたが)、前作でもある「Graffiti on the Train」は最高位3位と盛り返し、そして本作「Keep the Village Alive」は3作ぶりとなるチャート1位に返り咲いています。
そんなStereophonicsの魅力は、悪い意味ではなく、ベタなわかりやすさだよな、という印象を受けます。例えば「I Wanna Get Lost With You」とか「Sunny」とか哀愁あふれるメロディーラインは、日本人の琴線にも触れそうですが、いかにもイギリスのロックといった感じの湿気が高いメロディーライン。こういうタイプの曲って、日本で言うところの「歌謡曲」のイギリス版と位置づけられそう?
また、ロックという観点から見ても分厚いギターサウンドに軽快なリズムとポップなメロディーが心地よい「C'est La Vie」からはじまり、「White Lies」はスタジアムバンドの彼ららしいスケール感あるミディアムテンポなナンバー。さらにガレージ風なギターサウンドが軽快な「Sing Little Sister」とバラエティー富みながらも、「いかにも」な感じのギターロックチューンが続きます。前作「Graffiti On The Train」の感想では「ロックを聴いたなぁ、と感じさせる作品」と書いたのですが、今回のアルバムもそんな満足感を覚える楽曲が多く含まれています。
ただ今回のアルバムで特徴的だったのは中盤以降、例えば「Song For The Summer」や「Into The World」など、アコースティックギターやピアノ、あるいはストリングスを積極的に取り入れた、アコースティックテイストに憂いを帯びたメロディーラインを聴かせるようなナンバーが目立っていたように思います。もちろん、上に書いた通り、ロックバンドとして、そのバンドサウンドを聴かせる曲をきちんと収録しつつ、彼らの魅力はそれだけではない、ということをより強調した作品だったように感じました。
まあ、確かにこれらの曲に関しては決して目新しいといった感じではありませんし、メロディーラインにしても一度聴いたら思わず口ずさむほどのインパクトがある、といった感じでもありません。だから、残念ながら日本ではメディアでもあまり大きく取り上げられないのかもしれません・・・。
ただ、ロックリスナー、特にイギリスのロックが好きな方なら文句なく楽しめる作品。これは「良くも悪くも」になってしまうのですが、安心して聴ける1枚だと思います。逆にだからこそイギリスでは高い人気を誇っているんでしょうね。今後もこの人気は続きそうです。
評価:★★★★
STEREOPHONICS 過去の作品
Decade In The Sun-Best Of Stereophonics
KEEP CALM AND CARRY ON
Graffiti On The Train
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