複雑な構成ながらもポップな内容
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Musician:MEW
デンマークのロックバンドMEWの約5年8ヶ月ぶりとなるニューアルバム。2003年にリリースされた「Frengers」は世界的にも大きな話題となり、日本でも評判となりました。残念ながらその後、大メジャーのソニーとの契約が切れ、ベルギーのインディーレーベルからのリリースとなったようですが、日本ではしっかり国内盤もリリースされるなど、一時期ほどではないものの、一定の人気を確保しているようです。
MEWの魅力といえば、ドリーミーなサウンドとポップなメロディーライン。特に高いポピュラリティーがあるのも関わらず、変拍子や複雑なサウンド構成を持つ楽曲が彼らの最大の特徴となっています。
今回のアルバムもそんな彼らの魅力は健在。例えば1曲目の「Satellites」では幻想的なギターのアルペジオとファルセットボイスでドリーミーに入ったかと思えば、途中からダイナミックなバンドサウンドで一気にスケール感あるサウンドへ。最後はシンセのサウンドも加わり、壮大なスケールを感じるエンディングになっています。
序盤、トライバルなサウンドで静かにスタートする「Clinging To A Bad Dream」も非常にユニーク。変拍子なサウンドで複雑なリズムを聴かせてくれるものの、メロディーラインは至ってポップ。楽曲の雰囲気はその後も二転三転してゆき、最後はドリーミーなサウンドで締めくくられます。
10分にも及ぶ長尺の「Rows」も今作のハイライトのひとつでしょう。静かにはじまり荘厳さも感じるスタートからドリーミーなサウンドで楽曲はゆっくりと進んでいきます。後半はサウンドも厚みをまし、サイケな雰囲気が魅力的。こちらも彼ららしい複雑な構成でありながら、全般的にはポップな雰囲気を保っています。
そんな感じで久々の新作ながらもMEWらしさはしっかりとつまったアルバムになっていたと思います。ただ、幻想的なサウンドとキュートなメロが心地よかった前作に比べると、メロのキュートさはちょっと弱まってしまったような感じもします。サウンドにしても狙ったのかもしれませんが、若干チープな雰囲気のサウンドプロデュースにちょっと違和感も。また、全体的に複雑な構成ながらもサウンド面もメロディー面も、これといったインパクトにちょっと薄かったかも。
MEWの魅力はしっかり感じられるものの、残念ながら前作ほどははまれませんでした。とはいえ、魅力的なバンドであることは間違いありません。一時期に比べて少々話題性は低くなってしまったのですが、「Frengers」は聴いたけどその後は・・・という方も、要チェックの1枚です。
評価:★★★★
MEW 過去の作品
No more stories Are told today I'm sorry They washed away No more stories The world is grey I'm tire
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