The xxメンバーのソロデビュー作
Title:In Colour
Musician:Jamie xx
2009年にリリースした「xx」、2012年にリリースした「Coexist」、いずれも高い評価を集め注目の的となったイギリスのロックバンドThe xx。そのメンバーでもありプロデューサーとしても活躍しているジェイミー・スミス。彼はJamie xxの名前でDJやリミキサーとしても活躍しているのですが、その彼の初となるソロアルバムがJamie xx名義でリリースされました。
楽曲はタイプとして説明するならばエレクトロダンスポップといった感じになるのでしょうか。音数が少なく、比較的シンプルなリズムトラックが続くサウンドは、やはりThe xxと共通するものを感じます。
ただ、作風としてはアブストラクト的な色合いが濃く、ポップなメロディーラインが表に出ていたThe xxと比べると大きな違いを感じます。特にこの傾向は序盤に顕著で、不気味なサウンドが響く1曲目の「Gosh」や、無機質なサウンドが目立つ「Sleep Sound」など、The xxの路線とは大きな違いを感じます。
基本的に、この「音の間の空間」を聴かせるようなシンプルなサウンドはアルバム全体を通じてひとつの主軸となっているのですが、一方ではポップなメロディーラインもしっかりと流れており、アルバム全体としてはむしろ「ポップ」という印象を受けます。特に印象的だったのが「Loud Places」。女性ボーカルを起用したポップでメロディアスなナンバー。途中に入るトライバルなリズムも印象的ながら、最後はピアノで終わるという、美しい雰囲気のナンバーでした。
またユニークなのが、そんなシンプルなエレクトロサウンドの中に様々な要素を取り入れていること。今回のアルバムで目立つのが「I Know There's Gonna Be(Good Times)」。アトランタ出身のラッパーYoung Thugとジャマイカ出身のPopcaanが参加しているこの曲はレゲエの要素も取り入れたナンバーに。他にも「Obvs」ではスティールパンのような音色を取り入れて爽やかなラテン風に仕上げてくるなど、ユニークな試みも目立ちました。
The xxと近い方向性を感じつつ、The xxとは異なるタイプの曲を聴かせてくれるという意味では理想的なソロアルバム。また、聴きやすいポップなアルバムにまとめつつ、Jamie xxとしての個性をしっかりと発揮して彼なりの実験的な試みも感じられる傑作になっていました。The xxが好きなら間違いなく要チェック。そうでなくても要注目の1枚です。
評価:★★★★★
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