ネタにされた20名
Title:20名
Musician:グループ魂
グループ魂の新作はコンセプトアルバム。ただ、そのコンセプトが非常に彼ららしいテーマとなっています。そのテーマは、タイトルがそのものすばりなのですが、全曲、タイトルが人名というもの。グループ魂のアルバムでは毎度おなじみ「港カヲル」からはじまり、「津川雅彦」「彦摩呂」「楳図かずお」「遠藤ミチロウ」のような有名人から、「江戸家ばけ猫」「中村屋華左右衛門」のような架空の人物、さらには「ラーメン二郎」という、それ、人名じゃないやん、という人(?)まで並んでいます。
もともとグループ魂といえば「竹内力」やら「中村梅雀」やら、ある人物を取り上げて、その人の特徴をネタとしてユーモアたっぷりに歌い上げている楽曲が多くありました。そのため、今回のアルバムは基本的にその延長のようなもの・・・なのですが、もちろん、楽曲はそんなタイプの曲ばかりではありません。タイトルを人名で統一させてはいましたが、内容はいつも通りのグループ魂のアルバム。むしろ内容は、グループ魂としてひねりもなく、「王道」を行くような構成になっていました。
全20トラック中、冒頭の港カオルこと皆川猿時の小ネタを含んでコントは5本。割合的には音楽の方が多いのですが、コントは1本あたりの時間が長いため、アルバムを通じて聴くと、音楽の割合が多いものの、コントに比べて圧倒的・・・という感じはしません。むしろ音楽とコントの割合はほどよいバランスだったのではないでしょうか。
そのコントも「中村屋華左右衛門」は毎度おなじみ大江戸コール&レスポンスシリーズの新作というおなじみのネタ。「向井徳次郎」に至っては、タイトル通り、元NUMBER GIRL、現ZAZEN BOYSの向井秀徳が参加。2002年にリリースされた彼らのメジャーデビューアルバム「Run魂Run」に収録されているコント「あの歌の故郷を訪ねて」の続編的なネタとなっているなど、おなじみのネタで構成されています。
音楽の方についても基本的には王道のパンクロック路線がメイン。これもいままでのグループ魂の路線と同様。本人も出演している「さかなクン」のようにマイケル・ジャクソン風のファンクナンバーもありますが、こちらはオリジナルとしては前作となる「1!2!3!4!」の「職務質問」と(ネタ的には別ですが)音楽的には同じ方向性です。
ネタ的にはもちろんコンセプト通り、実在の人物の特徴をネタとしていじくった曲が多いのですが、こちらも手を変え品を変え。「津川雅彦」や「でんでん」などはまさにその人の特徴をネタとして扱っていますが、「毒蝮三太夫」はむしろ忌野清志郎のパロディー風ですし、「彦摩呂」は彼の有名な試食の際のコメントをネタとして扱っているだけの曲。「アニマル浜口」も彼の口癖、「気合いだ」とただただ連呼する曲と、人名ネタを様々な切り口でユーモラスに曲に織り込んでおり、結果としてバラエティー豊富な内容に仕上げています。
全体的にネタ的にはいままでの彼らのアルバムの中で一番笑えた前作「1!2!3!4!」の方が上だったかもしれません。ただし、本作も良い意味で安心して楽しめるグループ魂らしいアルバムに仕上がっていました。ネタ的にはお約束ですが、それがまた新たな笑いにつながっていた、そんなアルバムだったと思います。
評価:★★★★★
グループ魂 過去の作品
ぱつんぱつん
1!2!3!4!
実録!グループ魂全国ツアー「客vs俺!どっちがスケベか競争して来たど!15番勝負」
グループ魂のGOLDEN BETTER~ベスト盤じゃないです、そんないいもんじゃないです、でも、ぜんぶ録り直しましたがいかがですか?~
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