細美武士の新バンド
Title:A Mirage In The Sun
Musician:MONOEYES
ELLEGARDEN、the HIATUSで活動していた細美武士がスタートさせた新バンド。メンバーとして同じくthe HIATUSのメンバーでもある一瀬正和や、ART-SCHOOLとしても活動している戸高賢史が参加しているほか、一番驚いたのはアメリカのロックバンドALLiSTERのメンバーでもあり、WEEZERのリバース・クオモとスコット&リバースというユニットを組んだことでも話題となったスコット・マーフィーが参加しています。
the HIATUSも元ミッシェルのウエノコウジや元東京事変の伊澤一葉がメンバーに加わっておりスーパーバンド的な要素が強かったのですが、今回のMONOEYESに関しても、既に他のバンドで実績のあるメンバーが集まった「スーパーバンド」になっています。それだけに、スタート時点から大きな話題となっています。
そんな期待の新バンドなのですが、率直に言ってしまってthe HIATUSをやめて(一時休止?)させてわざわざスタートさせたバンドがこれ?と思ってしまいました。いや、決してバンドとしてもアルバムとしても悪いわけではありません。ただ正直なところthe HIATUSとの大きな違いがさほど感じられません。いや、熱心なファンだったら全然違う、と思うのかもしれませんし、細かい部分では様々な違いもあるでしょう。ただ、パッと聴いた印象としてはthe HIATUSとさほど大きな違いを感じませんでした。
the HIATUSも直近作「Keeper Of The Flame」ではエレクトロサウンドを取り入れてバンド色が薄めになっていました。それに対して本作では、「Cold Reaction」ではガツンとしたギターサウンドからスタートし、へヴィーなバンドサウンドを聴かせる作品からスタート。そういう意味ではバンド路線に回帰した、と言えるのかもしれません。ただ全体としてはパンキッシュなオルタナ系ギターロックがメインで、the HIATUSでも出来るよなぁ・・・とも思ってしまいます。
個人的にはスコット・マーフィーが参加したことにより、もっとキュートなパワーポップ路線が強調されることを期待もしたのですが、その方向性で目立ったのは「Do I Have To Bleed Again」くらい。英語詞の曲が多く、洋楽テイストが強まるかと思いきや、どこか邦楽的な泥臭さも目立ち、垢抜けきれない部分も感じました。まあ、この「垢抜けなさ」もひとつの魅力ではあると思うのですが。
またちょっと残念だったのはバンド路線に回帰した結果、the HIATUSに比べて細美武士の書くメロディーラインの良さがちょっと後ろに下がっちゃったかな、という点。「My Instant Song」や「グラニート」など、インパクトあるメロディーは確実に書いてきているのですが、全体的にはバンドサウンドが主軸として構成された内容になっており、メロディーの良さがあまり表に出てこない内容になっていました。
ELLEGARDENはインディーデビューからthe HIATUSまで約7年。the HIATUSはわずか6年。どちらのバンドもまだ解散した訳ではありませんが、細美武士の移り気の早さにはちょっと気になります。それも大きくスタイルを変えたわけではなく、結局、似たタイプの曲を演っている訳で・・・。MONOEYESは・・・何年続くのかなぁ・・・。
評価:★★★★
ほかに聴いたアルバム
失神/女王蜂
復帰後初となるアルバム「奇麗」に収録されていた「売春」を「売旬」と名前を変え、さらにゲストシンガーとして篠崎愛とドレスコーズの志磨遼平を迎え再録音。さらに新曲3曲を加えたミニアルバムです。
前作から間もないということもあり、全体の印象としては前作から大きく変わらず。ただ、「売旬」に関してはもともと男女の掛け合いだったのがゲストボーカルが入りユニークに。特に篠崎愛のバージョンは、意外と彼女、大人っぽいセクシーなボーカルで歌も上手いんですね、「怪しげ」という意味では薄れたのかもしれませんが、「セクシーさ」という意味では原曲を上回る作品となっていました。
評価:★★★★
CUTE/TOWA TEI
細野晴臣、NOKKO、UAなど、またも豪華なゲストが参加したTOWA TEIの新作。音数を絞ったシンプルでタイトなトラックに、テンポのよいリズム、爽やかでポップなメロディーラインと相変わらず高クオリティーのエレクトロポップが展開。目新しさという部分では薄さを感じますが、卒なく安心して聴ける安定感ある内容になっていました。
評価:★★★★
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