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2015年10月 2日 (金)

地獄の次は天国

Title:Ride into HEAVEN
Musician:MO'SOME TONEBENDER

前作「Rise from HELL」からわずか4ヶ月というスパンでリリースされた8曲入りのミニアルバム。タイトルからもわかるように前作とは対となる作品。前作から2部構成になっており、「地獄盤」と称された前作に対して、本作は通称「天国盤」と呼ばれているそうです。

その前作「地獄盤」ではへヴィーなガレージロックがメインの作品となっていました。ただそんな中、ラストを飾る「イミテイションシティ」はエレクトロサウンドのナンバーとなっており、そのため次回作である本作では、当然エレクトロサウンド主体のアルバムになる、と予想していました。

実際、今回のアルバムは1曲目「long long long」からシンセの音でスペーシーなサウンドになっていましたし、続く「nuts」もバンドサウンドが主導になりつつも、トランシーなリズムが入ってくるなど、予想通り、エレクトロテイストの強いナンバーになっていました。

またメロディーラインも、「天国盤」という通称の通り、明るい曲調のものが多く、へヴィーな作風だった前作とは対照的。これに関しても当初の予想通りといった印象でした。

ただ一方で思っていたより違っていたのは、意外とバンドサウンドを前面に押し出しており、ロック色が強かったという点でした。ファンキーなベースラインの「sparkle music」や、パンキッシュなバンドサウンドが前面に出た「SPACE KABUKICHO BUDDHA」。さらに「hit parade」などは完全にオルタナ系のギターロック路線でした。個人的には、本作はエレクトロサウンドが全面的に前に押し出したような作品を予想していただけに、思った以上にバンドサウンドがメインとなっている構成はちょっと意外にも感じました。

とはいえアルバムの内容としてはシンセを使ったエレクトロテイストの強い、明るいポップス風のナンバーという点で共通しており、「地獄盤」とは異なる方向性で統一感もありました。今回、2枚のアルバムにわけた、ということはそれだけモーサム自身の音楽的な興味が多岐にわたっている、ということなのでしょう。もし「天国盤」と「地獄盤」をむりやり1枚のアルバムにしたら、おそらく統一性がなくバラバラな印象を受けたと思います。また、別々のアルバムにすることにより、「地獄盤」の時にも感じたのですが、「地獄盤」で演ったガレージロックに浮気することなく、エレクトロ方面でやりたいことを迷うことなく出来たのではないでしょうか。

さらに今回のアルバムでまた耳を惹いたのがユーモラスさもある歌詞。「SPACE KABUKICHO BUDDHA」ではSF作品風な歌詞で現代社会を皮肉っていますし、「NAKAYOSHI 11」はモーサム版「そして誰もいなくなった」といった感じなのがユニーク(ちょっと怖い歌詞でもありますが)。この歌詞のおもしろさという点でも、歌詞のベクトルこそ異なれど、「地獄盤」に共通するものがありました。

前作「地獄盤」はガレージロックでモーサムの本領発揮といった感じでしたが、今回のアルバムはエレクトロサウンドでモーサムの音楽性の幅広さを感じつつ、一方ではバンドサウンドがしっかりと主軸となっており、モーサムのコアの部分がどこにあるのか、ということもあらためて実感できる作品になっていました。なによりもこの2枚で、モーサムがやりたいことを目いっぱい演った、という印象を受けました。それだけに、このアルバムの次は彼らがどのような方向に進むのか・・・それもまた、楽しみです。

評価:★★★★★

MO'SOME TONEBENDER 過去の作品
C.O.W.
SING!
youth
STRUGGLE

BEST OF WORST
Strange Utopia Crazy Kitchen
Baseball Bat Tenderness
Rise from HELL


ほかに聴いたアルバム

Behind The Tokyo/ストレイテナー

2枚組となるライブ盤。4月に行われた豊洲PITでのステージからセレクトした音源だそうですが、ベスト盤的なセレクトとなっており、オールタイムベストとしても楽しめる内容になっています。MCはなく、客席からの歓声もあまり拾っておらず、ライブアルバム的な臨場感はちょっと薄めなのですが、その分、ベスト盤的に楽しめる内容になっています。

そんな彼らの楽曲をあらためて聴くと、やはりカッコいいな、と思ってしまいます。ハードで分厚い音のバンドサウンドと意外とポップなメロディーライン。洋楽テイストの強い英語詞のナンバーの方がよりカッコよく感じる反面、インパクトの強いメロディーラインが印象に残るのは意外と日本語詞のナンバーだったりして。ストレイテナーの魅力をあらためて実感できたライブ盤でした。

評価:★★★★★

ストレイテナー過去の作品
Immortal
Nexus
CREATURES
STOUT
STRAIGHTENER
21st CENTURY ROCK BAND
Resplendent
Behind The Scene

アカリタイトル2/LITTLE

KICK THE CAN CREWのMC、LITTLEによるソロアルバム。以前からJ-POPテイストの強いポップな作風が持ち味の彼でしたが、本作もポップテイストの強い作品に。歴史ネタの「Bad Boy 武士」やBEASTIE BOYSの替え歌でラーメンについて歌った「Check It 拉麺」など、聴いているだけで楽しくなってくるような曲も多い内容になっています。HIP HOPとしての目新しさはありませんが、むしろHIP HOP好きよりもJ-POPリスナーに楽しめそうなアルバムになっていました。

評価:★★★★

LITTLE 過去の作品
“Yes”rhyme-dentity
アカリタイトル

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