よりポップに
Title:La Di Da Di
Musician:BATTLES
デビューアルバム「Mirrored」が大きな話題となり、一躍注目を集めたアメリカのエクスペリメンタルロック・バンドによる4年ぶり3枚目となる新作。デビュー時のメンバーのひとり、タイヨンダイ・ブラクストンが2ndアルバムリリース前に脱退。そんな彼は先日、ソロアルバムをリリースしましたが(こちらは残念ながら未聴ですが)、BATTLESも負けじと(?)久々となるニューアルバムをリリースしてきました。
BATTLESというとイメージ的にダイナミックで複雑なサウンドを奏でるバンド、というイメージがありました。1stアルバム「Mirrored」でそんなミュージシャンイメージを確立したのですが、タイヨンダイ脱退後の2ndアルバム「Gloss Drop」でも基本的にそのイメージは引き継いでいました。
今回、久々となった新作では「La Di Da Di」というタイトルからして、いままでの彼らのイメージとはちょっと異なる軽さを感じます。そして実際、今回のアルバムはいままでの彼らとはちょっと異なる、いい意味での軽い雰囲気を感じさせるアルバムでした。
例えば1曲目を飾る「The Yabba」からして比較的シンプルなサウンドにメロディアスなメロディーラインが特徴的な曲になっていますし、アルバムに先行して音源が公開された「FF Bada」にしてもダイナミックに音を埋める、というよりも比較的シンプルな音のアンサンブルを楽しむスタイル。「Dot Com」にしても比較的シンプルなエレクトロトラックとバンドサウンドでポップにまとめあげているナンバーになっていますし、事実上、最後の曲となる「Luu Le」についても、エレクトロサウンドに実験的要素が強い部分もありつつ、基本的には音の間を聴かせるような構成となっています。
もちろん「Summer Simmer」のようにリズムにダイナミックさを感じるナンバーやトライバルなドラムとノイジーなギターで埋め尽くされた「Tricentennial」のような曲もあります。また、比較的シンプルとはいえ、楽曲全体としては複雑な構成を持った曲も多く、BATTLESらしさはもちろん健在。そういう意味では以前からのファンの方もすんなり楽しむことが出来る作品だったと思います。
タイヨンダイ脱退後現在のメンバーとなり2作目となる本作。前作からちょっと間は空いてしまったものの、BATTLESとしての変わらない部分と新たな歩みを同時に感じるアルバムだったと思います。次回作はもうちょっと短いスパンで聴きたいな。相変わらず彼らの実力を実感できた傑作でした。
評価:★★★★★
BATTLES 過去の作品
MIRRORED
GLOSS DROP
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