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2015年10月 9日 (金)

ユーモラスな歌詞の世界

Title:BEST3
Musician:TOMOVSKY

大木知之のソロユニット、TOMOVSKYの、タイトル通り3作目となるベスト盤。アラフォー世代以上の方なら、ひょっとしたら80年代のバンドブームの頃に一時期人気を博したカステラというバンドを覚えている方もいらっしゃるかもしれません。大木知之はそのカステラのボーカリストとしてデビューしたミュージシャン。ソロデビュー後はTOMOVSKYと名乗り、なにげに根強い人気を誇っています。

彼の楽曲の特徴は、基本的にはギターロックを主軸としつつも様々な音を取り込みポップにまとめた、いかにも宅録といった感じのサウンドと、そしてなにより大きな魅力なのは、世の中を斜めにみながら、非常にユニークだけども聴いていて「はっ」と気が付かされるような「人生訓」のような歌詞。ここで「人生訓」といってしまうと非常に堅苦しく聞こえるのですが、実際は非常にユーモラスな内容に仕上げており、歌われる内容にも説教くささはなし。聴いていてとても楽しいポップスに仕上がっています。

本作に収録されているのは、2007年にリリースされたベスト盤「BEST2」以降にリリースされた2007年の「大航海」から、現時点では最新アルバム「終わらない映画」までに収録されているアルバム。彼の作品はアルバム毎にテーマがあって、そのコンセプトに沿った歌詞の楽曲が収録されています。そのため、そんなアルバムの中からセレクトしたベストなだけに、アルバム全体としては少々バラバラという印象をまずは受けるかもしれません。

また正直言ってしまって、ここ最近のTOMOVSKYは残念ながら決して勢いがある、といった感じはありません。彼のオリジナルアルバムは一通り聴いているのですが、「大航海」から「終わらない映画」までのアルバムについても決して傑作揃い、といった感じではありません。(ただ最新アルバム「終わらない映画」は傑作でしたが)

そんなマイナス要素がありつつも、さすがはベスト盤だけあって、聴いてクスッとしつつも、聴いた後は妙に心に残るような歌詞の名曲が並んでいます。今回はさらに全曲新録!そういう意味でも、いままでのアルバムを全部聴いているファンにもうれしい内容になっています。

今回のベスト盤に収録されている中で特にユーモラスな歌詞が印象に残るには、例えば「我に返るスキマを埋めろ」。一言で言えば、周りに惑わされることなく自分の決めた道を進め、ということなのですが、それをこの曲タイトルのように表現してきているのがなかなかユニークな視点。また「無計画という名の壮大な計画」もタイトルからしてユニーク。一応、航海になぞらえているのですが、実は人生そのものを例えているのではないか、と聴いていて気が付きました。確かに人生というのは、最終的に計画を立てきれないよな・・・

それだけに、彼の書いたこの歌詞はユニークながらインパクト満点。

「心配するな
オレも不安だ」

(「無計画という名の壮大な計画」より 作詞 大木知之)

そうだよな、人生で先の事を心配していても、みんな同じように不安なんだよな、と逆に「安心」させられます。

そんなユーモラスながらもどこか「はっ」と気が付かされるような歌詞が並ぶベスト盤。TOMOVSKYの入門盤としては最適な内容。これを機に、是非とも彼の独特の世界観に触れてみてください。お勧めです。

評価:★★★★★

TOMOVSKY 過去の作品
幻想
秒針
いい星じゃんか!
終わらない映画


ほかに聴いたアルバム

Bittersweet/土岐麻子

土岐麻子のニューアルバムは「都会で暮らす不惑の女性のサウンドトラック ~女は愛に忙しい~」をテーマに掲げ、愛に、仕事に、家庭に、夢に、日々忙しく生きるリアルな女の日常を紡いだビターでスウィートな全12曲公式サイトより)だそうです。そんな訳で、等身大の女性を描いた本作は、いい意味で肩の力の抜けた等身大の彼女が描かれています。そのため、基本的に楽曲は「いつもの彼女」。ジャズ、ラウンジ、渋谷系、ポップスなどの要素をほどよく取り込んだ大人のポップス。良くも悪くも土岐麻子らしいアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

土岐麻子 過去のアルバム
TALKIN'
Summerin'
TOUCH
VOICE~WORKS BEST~
乱反射ガール
BEST! 2004-2011
CASSETTEFUL DAYS~Japanese Pops Covers~
HEARTBREAKIN'
STANDARDS in a sentimental mood ~土岐麻子ジャズを歌う~

SONGS-40th Anniversary Ultimate Edition-/シュガー・ベイブ

1973年から76年にかけてわずか3年という活動期間であったにも関わらず、その中心メンバーに山下達郎や大貫妙子が在籍しており、他のメンバーそれぞれもソロで活動していったことから、いまや伝説のグループとなったシュガー・ベイブ。彼らが残した唯一のアルバムがこの「SONGS」で、当時は決して「大ヒット」とまではいかなかったようですが、その後、徐々に評判となり、いまや日本ロック史に残る名盤の一つとして必ず取り上げられる作品となっています。

本作はそのリリース40周年を記念してリリースされたリマスター盤。さらに本作ではリマスター作のほかに2015 Remixとして、近い将来のハイレゾ化を前提としてマスター盤を作り直すという意図があったそうで、確かに聴いていて音がよりクリアに、今風の仕上がりとなっているように感じました。また、ボーナストラックとしてライブ音源も収録。こちらは音的にはちょっと悪いものの、オリジナルと比べてバンド色の増した内容になっており、当時の臨場感も伝わってくる内容になっていました。

そんな訳で、以前の音源を持っていても、再度要チェックな40周年記念盤。もしこのアルバムを聴いたことない方がいらっしゃったら、これを機に是非ともチェックしておきたい、日本ロックの名盤です。

評価:★★★★★

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