その歌声が魅力的
Title:3 STEPS&MORE~THE SELECTION OF SOLO ORIGINAL&COLLABORATION~
Musician:佐藤竹善
SING LIKE TALKINGのボーカリストとしても活躍しているシンガーによるオールタイムベスト。いままで3枚のソロアルバムをリリースしていますが、Disc1ではそこから選りすぐった14曲に新曲1曲を加えて、Disc2では様々なミュージシャンとのコラボ作を収録しています。
佐藤竹善の魅力といえばそれは1にも2にもその透き通った歌声でしょう。もちろんその歌声を生かすだけの十分な歌唱力も持っていますが、やはり生まれ持ったその「声」という魅力が大きいように感じます。特に魅力的なのが、聴けばすぐ佐藤竹善の歌声とわかる個性を持っていながらも、どんな曲の中にも溶け込み、また、誰とデゥオしても相手のボーカルを殺すことのないという特徴を持っている点でしょう。「個性」と「無個性」という相反する2つの要素を兼ね備えているという稀有なボーカリスト。だからこそ、多くのミュージシャンとコラボを行っているのでしょう。
さて、まずDisc1。彼のソロ作ですが、一言で言えば、「大人のAOR」。ただ、ちょっと悪く言ってしまうとSING LIKE TALKINGの楽曲と大きな違いはありません。彼のハイトーンボイスを生かしながら、ソウル風の要素を入れたさわやかなシティポップという路線。ソロなんだからもうちょっと違うタイプの曲を、とも思わないこともないのですが・・・。
ただ、それでも楽曲は非常に魅力的。彼の歌声が最大限に生かされています。また「ECHOES(for every mother's son)」や「Hey!!」みたいなトライバルな要素が入っていたりするのもユニーク。ちょっと気にかかるのが本作、基本的に発表順に並んでいるのですが、後半より前半の方が断然インパクトがあったという点。もっとも一方で、新曲の「CRY(For Africa)」はタイトル通りアフリカ風のパーカッションがインパクトになっており、耳を惹く名曲になっていただけに、彼の才能に衰えはないことを感じさせてくれましたが。
Disc2のコラボに関しても、基本的にはAOR路線がメイン。ただそんな中でもSOFFetとのコラボ作「GOOD MORNIN' GOOD ROLLIN'」ではラップとコラボしておたり、パーカッショニストはたけやま裕とのコラボ「桜」ではジャジーな曲を聴かせてくれたり、ソロ作とは異なるタイプの曲もチラホラ。また、このコラボの中で一番魅力的だったのが小田和正とのデゥオ、PLUS ONE。デゥオとしては声質が似ているので、デゥオとしての魅力を発揮しきれない部分はあるものの、小田和正とのコラボによる楽曲はさすがの名曲。このコラボに収録されている2曲のみのユニットだったのですが、アルバムもリリースしてほしいなぁ・・・復活、してくれないかな?
今回のアルバムでちょっと残念だったのはオールタイムベストにも関わらず、彼のライフワークであるカバー曲が収録されていなかった点。カバーはカバーでのベストがリリースされていたりするのですが、オールタイムベストというならば、カバー曲も収録してほしかったなぁ。その点はちょっと残念でした。あと、コラボに塩谷哲とのユニットSALT&SUGARの曲がなかったのも、ちょっと片手落ちのような・・・。
そんな感じで、いろいろと思う部分はあるのですが、基本的には非常に魅力的なベスト盤だったのは間違いありません。佐藤竹善の魅力をあらためて強く感じたベスト盤でした。
評価:★★★★★
佐藤竹善 過去の作品
ウタジカラ~CORNER STONE 4~
静夜~オムニバス・ラブソングス~
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