デビュー作は話題になりましたが・・・。
Title:Danger In The Club
Musician:Palma Violets
「ラフ・トレードのジェフ・トラヴィスが1曲だけを聴いて即契約をした」「イギリスBBCの『Sound of 2013』にノミネート」。これは2013年にリリースされたデビューアルバム「180」がリリースされた時の彼らの謳い文句です。「180」でデビューしたころは日本でも、同時期にデビューしたThe Strypesと並んで大きな評判となり、「Rockin'On」誌などではかなり大きく取り上げられました。
それからわずか2年。Palma Violetsのニューアルバムがリリースされたのですが、正直言って驚くほど話題になっていません。今回、彼らの新作をみかけてはじめて「ああ、そういえばそんなバンドがいたなぁ」と私自身思い出したくらい。本国でもアルバムチャート最高位25位と振るわなかったようですので、残念ながら「終わったバンド」的なイメージがあるのでしょう。The Strypesが2枚目のアルバムも話題となったのとは対照的。もっともThe Strypesも2枚目は本国で最高位17位とさほど結果を残せなかったようですが・・・。
ただアルバムの内容は決して悪くありません。基本的には1枚目とその方向性はほとんど変わっていません。なよなよっとしたガレージロック風のバンドサウンドに耳なじみやすいポップなメロディーライン。前作でひとつのキーとなっていたエレピの音色はあまり聴こえないものの、ピアノやストリングスの音を取り入れており、シンプルなバンドサウンドを基軸にしつつも、バンドにこだわらない方向性も感じます。
「Girl,You Couldn't Do Much Better On The Beach」「Secrets Of America」のような、ある意味「らしい」パンキッシュな曲もありつつ、アコースティックな「The Jacket Song」、モータウンビートを取り入れて軽快な「Gout! Gang! Go!」、ドリーミーなサウンドが印象的な「No Money Honey」などバリエーションも豊富。前作と大きな変化はないものの、楽曲のバリエーションは増えていた印象を受けました。
前作は難しいこと抜きに楽しいロックのアルバムでしたが、本作もその印象は同様。メロディーラインは心地よく耳に残りますし、難しいこと抜きに楽しめる1枚だったと思います。「180」が話題になったので聴いてみたけど本作はスルー、というのはちょっともったいなく感じます。
ただ、一方では確かに2作目があまり評判にならなかった理由もわかるような・・・。決定的なのがPalma Violetsならではの「何か」が欠けていたところでしょう。ガレージなサウンドにポップなメロディーというのが彼らの特徴ですが、ただ、この手のバンドは正直珍しくありません。例えば先日、久々のニューアルバムをリリースしたTHE LIBERTINESもこのタイプのバンドでしょう。そんな数多くのバンドがひしめく中、Palma Violetsではいけない何かは、さほど多くないようにも感じてしまいました。
そうはいっても、このまま埋もれさせるには惜しいバンドであることも事実。「180」を聴いた方には、是非彼らのことを思い出して、このアルバムもチェックしてみてください。「180」が気に入った方なら、おそらく気に入るかと思います。
評価:★★★★
Palma Violets 過去の作品
180
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2015年」カテゴリの記事
- 話題の女性3人組(2016.04.30)
- 中毒性の強いチープなサウンド(2016.04.26)
- また新たな変化(2015.12.27)
- これぞArcaサウンド(2015.12.25)
- メロディーラインがより前面に(2015.12.19)
コメント