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2015年10月31日 (土)

ワイワイで行こう!

Title:ボンツビワイワイ
Musician:ウルフルズ

2014年に活動を再開し、久々となるニューアルバムをリリースしたウルフルズ。その後もコンスタントに活動を続けており、前作からわずか1年4ヶ月というインターバルでニューアルバムがリリースされました。その名も「ボンツビワイワイ」。うん、まずはタイトルが彼ららしくて良い(笑)。言うまでもなくロックのスタンダードナンバー「BORN TO BE WILD」のパロディー。クスっと笑ってしまうような、力の抜けた感じのタイトルにウルフルズらしさを感じます。

「BORN TO BE WILD」の邦題「ワイルドで行こう!」ならぬ「ワイワイで行こう!」な本作は、パーティーチューンをテーマとしたアルバムだそうです。確かにそのコンセプトの通り、アップテンポなナンバーが多かった今回のアルバム。タイトルチューンの「ボンツビワイワイ」はその通りの軽快なロックンロールナンバーに仕上がっていましたし、続くタイトルからしてユニークな「ロッキン50肩ブギウギックリ腰」もファンキーなディスコナンバーに仕上がっていました。

ただ、アルバム全体としては今回のアルバム、パーティーチューンという側面よりも強いテーマ性を感じたのがルーツ志向という側面。もともと、ウルフルズはソウルやファンクなどの影響の強いバンドでしたが、ルーツ志向を前面に出しているというよりは、そこをユーモアな歌詞やJ-POPテイストの強いメロディーでデコレートして、万人に親しみやすい曲を作り上げている、というイメージがありました。

今回のアルバムに関しては、例えば力強いブルージーなギターを聴かせるギターブルースナンバー「チークタイム」や、ブギウギ風のピアノが軽快な「テクテク」、最後を締めくくるのも、タイトル通りの軽快なスウィングナンバー「ウルフルシャッフル」とルーツ志向を強く感じるナンバーが続いています。

もっとも、この手のソウル、ファンク、ブルースからの強い影響はウルフルズのデビュー当初からのこと。全体的にはウルフルズらしい作品が並んでおり、彼らのスタンスが大きく変わったという訳ではありません。

むしろ今回の作品、ルーツ志向という点が強く出たのは、パーティーチューンというその方向性によることもさることながら、いつも以上にバンドの肩の力が抜けている作品になっているという理由が大きいのではないでしょうか。その結果、本来の彼らの「嗜好性」がより強く出た作品になっている、というのが今回のアルバムがルーツ志向であった大きな理由のように感じました。

そういう意味では本作、ウルフルズとしての本質が出た作品なのかもしれません。また今回のアルバム、全10曲わずか35分というダウンロード時代に逆行するかのような短さも良い感じ。ウルフルズの魅力が存分に楽しめる、そして聴きながらみんなで「ワイワイ」できる、楽しい1枚でした。

評価:★★★★★

ウルフルズ 過去の作品
KEEP ON,MOVING ON
ONE MIND
赤盤だぜ!


ほかに聴いたアルバム

Talky Organs/People In The Box

派手な傑作はないものの、毎作、はずれのない「傑作」をリリースし続けるPeople In The Box。約1年ぶりの新作は7曲入りのミニアルバム。ピアノやストリングス、アコースティックギターなどを用いた美しいサウンドにポップなメロディーラインが目立つ中に、所々にゆがんだサウンドが混入されるスタイルが実にユニーク。パッと聴いた感じだとポップなアルバムと感じるのですが、聴けば聴いた回数だけ、聴いた印象が変わるような、相変わらず独特のユニークさを持った傑作でした。

評価:★★★★★

People In The Box 過去の作品
Ghost Apple
Family Record
Citizen Soul
Ave Materia
Weather Report

Welcome to Jupiter/矢野顕子

矢野顕子の新作は、オフボーカルにした矢野顕子のピアノにビートメイカーによるトラックのみによってリミックスされたアルバム。曰く「オトナテクノ」アルバムだそうです。そんな作り方のアルバムだからでしょうか、今回の作品、どうもトラックとボーカルがいまひとつチグハグだったような・・・。サウンドも全体的にチープな雰囲気のトラックが多く、それがまたおもしろさになっている曲もあったのですが、そのサウンドもいまひとつ彼女の声に合っていなかったような・・・。tofubeatsなど新進気鋭のトラックメイカーが参加しているのはおもしろくもあったのですが、いまひとつ矢野顕子との間にチグハグさを感じてしまったアルバムでした。

評価:★★★★

矢野顕子 過去の作品
akiko
音楽堂
荒野の呼び声-東京録音-
Get Together~LIVE IN TOKYO~(矢野顕子×上原ひろみ)
矢野顕子、忌野清志郎を歌う
飛ばしていくよ
JAPANESE GIRL - Piano Solo Live 2008 -
さとがえるコンサート(矢野顕子+ TIN PAN)

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