20年目にして初のベスト盤
Title:尽未来際
Musician:BRAHMAN
今年結成20周年を迎えるロックバンドBRAHMAN。今年7月には彼らを取り上げたドキュメンタリー映画が公開されましたが、それに続き、彼ら初となるベスト盤がリリースされました。2枚組全41曲というボリュームで、BRAHMANというバンドの活動を網羅的に知ることが出来る作品となっています。
BRAHMANの音楽といえばまず言われるのがハードコアと民族音楽の融合。確かにこのベスト盤を聴いても、例えば「TONGFARR」のトライバルなリズムや「THE SAME」のケルティックなギターなど、そんな表題通りの民族音楽からの影響も少なくありません。ただ、じゃあ民族音楽的な要素がバリバリ前面に出ているか、と言われると微妙。むしろこの「民族音楽からの影響」という部分は隠し味のように感じます。
むしろベスト盤を聴いて感じたのは楽曲的には意外とシンプルということ。ガツンと来るハードなバンドサウンドと、意外とメロディアスで憂いを帯びたメロディーラインが魅力的。このハードなバンドサウンドと憂いを帯びたメロディーという組み合わせで言えば、例えばeastern youthやブッチャーズのようなエモコア勢に通じる部分も感じます。ただ一方で、「Z」のようなパンキッシュな作品もあったりして、イメージ的にはエモコア勢とパンクロック勢の中間を行くような感じでしょうか。比較的ファン層の年齢は高めというイメージもあるエモコア勢と、年齢層が低いというイメージがあるパンクロック勢。その両者を惹きつける要素を持っているように感じました。だからこそ、彼らが高い人気を誇るのでしょう。
今回のベスト盤、2枚組なのですが、1枚目が「THE EARLY 10 YEARS」、2枚目が「THE LAST 10 YEARS」とタイトルが付けられており、その名の通り、前半10年と後半10年でわけられています。これが興味深いことに、前半10年と後半10年の音楽的な差は明確。もちろん、基本的な路線に大きな違いはありません。ただ、1枚目に比べて2枚目に収録されている曲は明らかにポップスという方向性が強くなっていました。
また2枚目の曲に至ってはハードコアというよりもギターロックとカテゴライズされそうな曲も多く、例えば「鼎の間」などはポップなメロディーラインを含め、ハードコア色はさほど強くありません。さらにほとんどが英語詞だった1枚目と比べて、日本語詞の割合が増えてきているのも特徴体でした。
もっとも、最近の曲に関してセルアウトした、という印象は受けません。むしろ最近の作品に関しては肩の力が抜けて、無駄な気負いみたいな部分がなくなった、という印象すら受けます。それはポップになった、といってもコアな部分に関してはデビュー当初からほとんど変化はないからでしょう。
そんな訳で、20年の彼らの活動を網羅的に知ることでBRAHMANの魅力が一層強く感じることが出来るベスト盤でした。上にも書いた通り、肩の力が抜けて、さらなる成長を感じさせるここ最近の彼ら。それだけにこのベスト盤以降の活躍も非常に楽しみです。
評価:★★★★★
BRAHMAN 過去の作品
ANTINOMY
ETERNAL RECURRENCE~永劫回帰~
超克
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