79歳にして現役感バリバリ
Title:Born To Play Guitar
Musician:Buddy Guy
今年5月、衝撃的な(ただしある程度は予想していた)ニュースがブルースファンの間をかけめぐりました。B.B.キング逝去。享年89歳。ブルース界のレジェンドと呼ばれるような大物が、また一人、この世を去りました。そんな中、おそらく彼は、「レジェンド」と呼ばれるブルース界最後の大物になってしまったように思います。Buddy Guy。御年79歳となる彼ですが、驚くべきことにいまだにアルバムをコンスタントにリリースし続けています。本作も、前作「Rhythm&Blues」からわずか2年ぶりとなる新作。80歳間近になっても衰えることの知らない精力的な活動には驚かされます。
また、単純に形だけアルバムをリリースしているわけではなく、いまだに年齢を感じさせない力強いギター、そして歌声を聴かせてくれています。タイトルチューンでもある1曲目「Born To Play Guitar」を聴けばそのことは明白でしょう。彼のボーカルとギターだけで構成されたこの曲では、ギターの音もその歌声も張りがあり現役感バリバリ。79歳という年齢を一切感じさせません。
他にも例えば「Turn Me Wild」の力強い分厚いギターサウンドとシャウト気味のボーカルには若さすら感じますし「Thick Like Mississippi Mud」でも激しいギターサウンドを聴かせてくれます。
そんな中、印象的だったのが終盤の「Flesh&Bone」。冒頭に書いたB.B.キングへの追悼として急きょアルバムに加えられた作品。Van Morrisonをゲストとして迎えているのですが、Buddyの哀愁感たっぷりのギターにVan Morrisonの味わい深いボーカルが加わり、ストレートに胸がうたれる曲になっています。
さらにその後に続く「Come Back Muddy」も、タイトル通り、ブルース界の巨匠、マディ・ウォーターズに捧げられた曲。率直に「戻ってきておくれ」と歌う歌詞も印象的。国内盤のボーナストラックには「Trouble No More」が続いているのですが、こちらもマディのカバー。歌い方などそのまんまマディで、彼に対する率直なリスペクトを感じさせます。
そんな感じで、79歳にして現役感あふれる精力的な活動に驚嘆しつつ、きちんと聴かせる、胸をうつナンバーもあった今回のアルバム。楽曲は全体的に「王道」といった感じの曲が多く、良くも悪くもストレートなシカゴブルース、Buddy Guyらしさにあふれたアルバムだったと思います。
ただそれだけに目新しさは皆無ですし、また楽曲としても全体的に大味な感じが目立ちました。例えば「Whisky,Beer&Wine」などはへヴィーなギターサウンドを聴かせてくれるのですが、ハードロック風なサウンドはかなり平坦に聴こえ、大味。正直、あまり面白味を感じませんでした。
基本的には前作「Rhythem&Blues」に続くようなスタイルでの作品。良くも悪くも求められるようなBuddy像を演じているようにも感じた作品。これはこれで楽しめる作品ですし、やはり最後に残ったブルース界のレジェンドが精力的に作品を生み出してくれるのはうれしいのですが・・・一方ではちょっと物足りなさも感じた作品でした。
評価:★★★★
Buddy Guy 過去の作品
LIVING PROOF
Live at Legends
RHYTHM&BLUES
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2015年」カテゴリの記事
- 話題の女性3人組(2016.04.30)
- 中毒性の強いチープなサウンド(2016.04.26)
- また新たな変化(2015.12.27)
- これぞArcaサウンド(2015.12.25)
- メロディーラインがより前面に(2015.12.19)
コメント