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2015年10月

2015年10月31日 (土)

ワイワイで行こう!

Title:ボンツビワイワイ
Musician:ウルフルズ

2014年に活動を再開し、久々となるニューアルバムをリリースしたウルフルズ。その後もコンスタントに活動を続けており、前作からわずか1年4ヶ月というインターバルでニューアルバムがリリースされました。その名も「ボンツビワイワイ」。うん、まずはタイトルが彼ららしくて良い(笑)。言うまでもなくロックのスタンダードナンバー「BORN TO BE WILD」のパロディー。クスっと笑ってしまうような、力の抜けた感じのタイトルにウルフルズらしさを感じます。

「BORN TO BE WILD」の邦題「ワイルドで行こう!」ならぬ「ワイワイで行こう!」な本作は、パーティーチューンをテーマとしたアルバムだそうです。確かにそのコンセプトの通り、アップテンポなナンバーが多かった今回のアルバム。タイトルチューンの「ボンツビワイワイ」はその通りの軽快なロックンロールナンバーに仕上がっていましたし、続くタイトルからしてユニークな「ロッキン50肩ブギウギックリ腰」もファンキーなディスコナンバーに仕上がっていました。

ただ、アルバム全体としては今回のアルバム、パーティーチューンという側面よりも強いテーマ性を感じたのがルーツ志向という側面。もともと、ウルフルズはソウルやファンクなどの影響の強いバンドでしたが、ルーツ志向を前面に出しているというよりは、そこをユーモアな歌詞やJ-POPテイストの強いメロディーでデコレートして、万人に親しみやすい曲を作り上げている、というイメージがありました。

今回のアルバムに関しては、例えば力強いブルージーなギターを聴かせるギターブルースナンバー「チークタイム」や、ブギウギ風のピアノが軽快な「テクテク」、最後を締めくくるのも、タイトル通りの軽快なスウィングナンバー「ウルフルシャッフル」とルーツ志向を強く感じるナンバーが続いています。

もっとも、この手のソウル、ファンク、ブルースからの強い影響はウルフルズのデビュー当初からのこと。全体的にはウルフルズらしい作品が並んでおり、彼らのスタンスが大きく変わったという訳ではありません。

むしろ今回の作品、ルーツ志向という点が強く出たのは、パーティーチューンというその方向性によることもさることながら、いつも以上にバンドの肩の力が抜けている作品になっているという理由が大きいのではないでしょうか。その結果、本来の彼らの「嗜好性」がより強く出た作品になっている、というのが今回のアルバムがルーツ志向であった大きな理由のように感じました。

そういう意味では本作、ウルフルズとしての本質が出た作品なのかもしれません。また今回のアルバム、全10曲わずか35分というダウンロード時代に逆行するかのような短さも良い感じ。ウルフルズの魅力が存分に楽しめる、そして聴きながらみんなで「ワイワイ」できる、楽しい1枚でした。

評価:★★★★★

ウルフルズ 過去の作品
KEEP ON,MOVING ON
ONE MIND
赤盤だぜ!


ほかに聴いたアルバム

Talky Organs/People In The Box

派手な傑作はないものの、毎作、はずれのない「傑作」をリリースし続けるPeople In The Box。約1年ぶりの新作は7曲入りのミニアルバム。ピアノやストリングス、アコースティックギターなどを用いた美しいサウンドにポップなメロディーラインが目立つ中に、所々にゆがんだサウンドが混入されるスタイルが実にユニーク。パッと聴いた感じだとポップなアルバムと感じるのですが、聴けば聴いた回数だけ、聴いた印象が変わるような、相変わらず独特のユニークさを持った傑作でした。

評価:★★★★★

People In The Box 過去の作品
Ghost Apple
Family Record
Citizen Soul
Ave Materia
Weather Report

Welcome to Jupiter/矢野顕子

矢野顕子の新作は、オフボーカルにした矢野顕子のピアノにビートメイカーによるトラックのみによってリミックスされたアルバム。曰く「オトナテクノ」アルバムだそうです。そんな作り方のアルバムだからでしょうか、今回の作品、どうもトラックとボーカルがいまひとつチグハグだったような・・・。サウンドも全体的にチープな雰囲気のトラックが多く、それがまたおもしろさになっている曲もあったのですが、そのサウンドもいまひとつ彼女の声に合っていなかったような・・・。tofubeatsなど新進気鋭のトラックメイカーが参加しているのはおもしろくもあったのですが、いまひとつ矢野顕子との間にチグハグさを感じてしまったアルバムでした。

評価:★★★★

矢野顕子 過去の作品
akiko
音楽堂
荒野の呼び声-東京録音-
Get Together~LIVE IN TOKYO~(矢野顕子×上原ひろみ)
矢野顕子、忌野清志郎を歌う
飛ばしていくよ
JAPANESE GIRL - Piano Solo Live 2008 -
さとがえるコンサート(矢野顕子+ TIN PAN)

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2015年10月30日 (金)

へヴィーメタルにこだわらず

Title:XXX-THE ULTIMATE WORST-
Musician:聖飢魔II

1980年代から90年代にかけて活躍し、1989年にはメタル系バンドとしてはじめての紅白歌合戦出場を果たしたへヴィーメタルバンド、聖飢魔II。既に解散から15年以上の月日が経過していますが、その後もたびたび再結成し、ライブを実施していますし、特にボーカルのデーモン小暮は現在もタレントとして活躍。好角家しても知られ、リアルタイムで聖飢魔IIとしての活動を知らない人でもおそらくこのバンドのことを名前くらいは聞いたことある、という方も多いのではないでしょうか。

今年は地球デビュー30周年ということで期間限定で再結成。ライブも行ったりしたそうですが、その機にリリースされたのが本作。彼らの活動を網羅したオールタイムベスト。3枚組全50曲にも及ぶフルボリュームの内容で、彼らの活動をあらためて知ることが出来るベスト盤(悪魔である彼らに言わせるとワースト盤)になっています。

このサイトを見てくださっていればわかると思うのですが、私自身、へヴィーメタルはほとんど聴きません。正直、技巧を重視したり様式美を求めたりするへヴィメタは個人的にあまり良いとは思えず、積極的に聴くことはありません。ただ、彼らについてはリアルタイムに聴いていた懐かしさもあり今回、フルボリュームとなるベスト盤を聴いてみました。

ただ、改めて彼らの代表曲を聴いて感じるのは、へヴィーメタルバンドとしてのイメージから大きくはずれて、彼らの音楽は良い意味でポップで聴きやすいという点でした。例えば彼らの代表曲のひとつである「蝋人形の館」は歌詞こそ「悪魔」という彼らのコンセプトにピッタリの不気味な内容ではあるのですが、メロディーラインは非常にポップでインパクト十分。だからこそ、へヴィーメタルをお茶の間レベルに浸透させることが出来たのでしょう。

また今回のアルバムで彼らの特徴として強く感じたのは、へヴィーメタルにとらわれない音楽性の幅広さ。へヴィーメタルな曲はもちろん、もっとハードロック寄りの曲も多く、「ANGEL SMILE」などはしんみり聴かせるともすればAOR風のナンバーですし、「WINNER!」は仰々しいスペーシーなサウンドは、もろ産業ロック。「PANDEMIC CARRIERS」のギターサウンドにはむしろオルタナ寄りのにおいも感じますし、「BABIES IN THEIR DREAMS」では歌謡曲の雰囲気も感じます。

そんな中で一番驚いたのが「20世紀狂詩曲」。ラップが入った完全なミクスチャーロック。これ、1999年の作品なのですが、RAGE AGAINST THE MACHINEやKORNなどが日本でも人気を集め、ちょうどDragon Ashがブレイクした年。このタイプのラップメタルが日本でも聴かれるようになった中での楽曲なのですが、彼らのようなその時期には既にベテランバンドの域に達していたバンドが、その当時の先端の音楽を積極的に取り入れたというのは驚きであり、かつ彼らの音楽に対する柔軟な姿勢を感じることが出来ます。

正直言って、彼らの音楽は決して「非常に目新しい」訳ではありません。上に書いた「20世紀狂詩曲」にしても1999年の段階でメジャーになったジャンルの音楽。そういった意味では決して時代の先端を行く斬新なバンドでもありませんし、ほかにはない個性を持った音楽を奏でる、というタイプのバンドでもありません。

ただ、へヴィーメタルというジャンルを主軸に、柔軟に様々な音楽性を取り込み、かつリスナー層を限定しないポピュラリティーあふれる曲に仕上げてくる、という点では実に包容力があり、かつ魅力的なバンドに感じます。「悪魔」というコンセプトを終始一貫して楽曲はもちろん、彼らの活動スタイルに取り込んだ方針もまた、彼らの活動のエンタテイメント性を高める大きな要素となっています。

ともすれば様式美に終始し、「わかる人だけわかればよい」というマニア向けにこだわりがちなへヴィーメタルというジャンルの中で、彼らのようなスタンスは異質でもあるのですが、だからこそ逆に私のようにへヴィーメタルを聴かない層でも楽しめたのだと思います。

DISC2に収録されている産業ロック路線など、今聴くと少々時代を感じてしまう曲もあるものの、へヴィーメタル好きではなくても楽しめる「ポップス」の要素の強いベスト盤でした。リアルタイムで彼らを知らなくとも、これを機に是非。広い層が楽しめる楽曲が並んでいます。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

ETERNAL ADOLESCENCE/SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER

長い名前が印象的なこのバンドは、日暮愛葉により1992年に結成され、1996年にトラットリアからデビューしたギターロックバンド。2002年に活動を休止したものの、昨年再結成。新メンバーには元NUMBER GIRLの中尾憲太郎も参加し、話題を呼びました。

本作はそんな彼女たちの、14年ぶりとなるニューアルバム。久々となるニューアルバムなのですが、基本的には14年前とほとんど変わっていません。ガレージっぽい荒々しいギターサウンドにパンキッシュなバンドサウンド。比較的シンプルでスカスカなサウンドに、日暮愛葉のボーカルゆえに意外とポップに感じるメロディーライン。良くも悪くも昔から変わらないスタイルを感じるアルバムでした。

今度もコンスタントに活動を続けていくのでしょうか?昔、結構好きなバンドだっただけに、次の新作にも期待したいところなのですが。

評価:★★★★

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2015年10月29日 (木)

ロック系がズラリ

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

先週はシングルチャートで珍しくロックミュージシャンの曲が並びましたが、今週は(シングルチャートほど珍しくはありませんが)ロックミュージシャンのアルバムが並びました。

まずは3位にザ・クロマニヨンズ「JUNGLE9」がランクイン。タイトル通り、9枚目のオリジナルアルバム。昨年はベスト盤にカップリング曲集もリリースされ、ブルーハーツもTHE HIGH-LOWSもオリジナルアルバム8枚で解散していたためにその動向が気になったのですが、無事、9枚目のオリジナルアルバムがリリースされました。初動売上1万6千枚は前作「GUMBO INFERNO」(4位)から横バイ。3位は2008年リリースの「FIRE AGE」と並んで自己最高位タイ。

4位にはパンクロックバンドキュウソネコカミ「人生はまだまだ続く」が入ってきました。初のベスト10ヒットとなった前作「ハッピーポンコツランド」に続くベスト10入りで、4位は自己最高位。初動売上1万4千枚は、その前作の初動9千枚(7位)から大幅アップしています。

5位には元ミッシェル・ガン・エレファントのチバユウスケ、クハラカズユキが在籍するロックバンドThe Birthday「BLOOD AND LOVE CIRCUS」が初登場。昨年はベスト盤をリリースし、その活動にひとつの区切りをつけましたが、本作はベスト盤リリース後、初となるオリジナルアルバムで新たな一歩といった感じでしょうか。初動1万1千枚は、そのベスト盤「GOLD TRASH」の9千枚(5位)からはアップ。ただオリジナルアルバムとしての前作「COME TOGETHER」の1万4千枚(7位)からはダウンしています。

そして9位には名古屋で結成された5人組ロックバンドcoldrain「VENA」が入ってきています。彼らも前作「The Revelation」に続く2作目のベスト10ヒット。初動売上8千枚はその前作の初動9千枚(7位)から若干ダウンしています。

そんなわけで、ベテラン勢と若手が交互にランクインしているチャート。アイドル勢の手前、少々目立たない感のある近頃のロック勢ですが、アルバムチャートで見ると、なにげに元気にがんばっているな、という感じがします。

そんなロック勢と並んで目立ったのがアニメ系。まずはゲーム「アイドルマスター」に出てくるキャラクターのアルバム「MASTER ARTIST3」から第10弾、高槻やよい「THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 3 10 高槻やよい」が6位、第9弾、三浦あずさ「THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 3 11 三浦あずさ」が8位にそれぞれランクイン。初動売上はどちらも1万枚。前回は第7弾から第9弾までリリースされており、如月千早「THE IDOLM@STER MASTER ARTIST3 07 如月千早」が1万5千枚(4位)、萩原雪歩「THE IDOLM@STER MASTER ARTIST3 09 萩原雪歩」が1万4千枚(5位)、双海真美「THE IDOLM@STER MASTER ARTIST3 08 双海真美」が1万3千枚(7位)でしたので、いずれからもダウンしています。

さらに7位には人気女性声優新田恵海のデビューアルバム「EMUSIC」がランクイン。μ'sにも声優として参加しているそうですが、自分の名義での作品ではシングルアルバム通じて初となるベスト10ヒット。初動売上は1万枚。

そんなロック系とアニメ系が目立ったチャートですが、一番目立ったのはやはり1位だったかも。というわけで、ようやく1位の紹介。今週、1位を獲得したのはのニューアルバム「Japonism」。約1年ぶりのニューアルバムで、初動売上は82万枚。前作「THE DIGITALIAN」の66万枚(1位)からアップ。

初登場はもう1枚。2位に「Splatoon ORIGINAL SOUNDTRACK -Splatune-」がランクイン。Wii U 用ゲームソフト「スプラトゥーン」のサントラ盤だそうです。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2015年10月28日 (水)

いまどきのチャート

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

アイドルにアニソン、K-POPにヴィジュアル系。今週のシングルチャートはいかにも今時のジャンルがちりばめられたチャートになっています。

まず1位はジャニーズ系。Hey!Say!JUMP「キミアトラクション」が獲得。トランスアレンジのダンスチューンはいかにもアイドルソングで良くも悪くも軽薄といった印象を受けます。初動売上20万3千枚は前作「Chau#」の14万6千枚(1位)よりアップ。

2位は韓流。男性アイドルグループ2PM「HIGHER」。K-POPらしい今風のエレクトロR&Bチューン。初動売上13万3千枚は前作「Guilty Love」の9万8千枚(1位)より大幅アップ。販売形態が4種から8種に大幅増となったのも大きな要因の模様。

そして3位は女性アイドルグループ。私立恵比寿中学「スーパーヒーロー」。スケール感あるけど平凡な前向き応援歌J-POP。前作「夏だぜジョニー」に続き、正統派路線が続きます。初動6万9千枚は前作の5万4千枚(2位)よりアップ。

女性アイドルグループは今週もう1組。4位にお掃除をコンセプトとしたアイドルグループCLEAR'S「答えしか知らないツライ」がランクイン。前作に引き続き、スカパンク風のナンバー。初動2万2千枚は前作「ヨゴしたくないcry」(3位)から横バイ。

アニソンはまずおなじみゲーム「アイドルマスター SideM」によるキャラソンが2曲。5位S.E.M 「THE IDOLM@STER SideM ST@RTING LINE -06 S.E.M(∞ Possibilities)」、7位W 「THE IDOLM@STER SideM ST@RTING LINE -05 W(VICTORY BELIEVER)」がそれぞれランクイン。どちらもトランスアレンジで前者がロック風、後者がアイドルポップ風。どちらもこれといった特徴もなく、やっつけ感を感じます。初動売上はそれぞれ1万3千枚と1万2千枚。「アイドルマスター SideM」関連としては、同じシリーズの第3弾Beit 「THE IDOLM@STER SideM ST@RTING LINE -03 Beit(スマイル・エンゲージ)」が初動1万7千枚(8位)、第4弾High×Joker 「THE IDOLM@STER SideM ST@RTING LINE -04 High×Joker(HIGH JUMP NO LIMIT)」が初動1万9千枚(6位)と、どちらからもダウンしています。

さらに6位には人気女性声優三森すずこ「Light for Knight」。アニメ「ランス・アンド・マスクス」オープニング・テーマ。マイナーコードでアップテンポという水樹奈々タイプの典型的なアニソン。ベスト10入りは前々作「ユニバーページ」以来2作ぶり3作目。初動売上1万3千枚は前作「せいいっぱい、つたえたい!」の1万1千枚(11位)より若干のアップ。

今週、唯一のロック勢9位SPYAIR「アイム・ア・ビリーバー」もアニソン。アニメ「ハイキュー!! セカンドシーズン」オープニング・テーマ。良くも悪くも90年代J-POPの王道を行くようなビートロック。初動売上1万1千枚は前作「ファイアスターター」の8千枚(18位)よりアップ。ベスト10入りは昨年4月リリース「イマジネーション」以来3作ぶり4枚目。

初登場最後はヴィジュアル系。10位にBugLug「幸運の女神は去りゆけど笑え」がランクイン。楽曲は、90年代から変わらないポップ色の強いタイプの典型的なヴィジュアル系ポップスロック。初動売上1万1千枚は前作「JUGEMU」の1万3千枚(4位)からダウン。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2015年10月27日 (火)

CKBらしいジャケとタイトル

Title:もうすっかりあれなんだよね
Musician:クレイジーケンバンド

デビュー以来、ほぼ毎年コンスタントにアルバムリリースを続けるクレイジーケンバンド。今年もお待たせしました。待望のニューアルバムです。今回のアルバムはタイトルといいジャケットといい、クレイジーケンバンドらしさがあふれています。ちょっと脱力感ある日本語のタイトルはいかにもといった感じですし、ジャケ写も懐かしさあふれるカクカクのフォルムが印象的な昭和のにおいただようクルマ。クルマといえばクレイジーケンバンドの象徴的なアイテムですが、今回のアルバムの中にも「間違いだらけのクルマ選び」「レース!レース!レース!」なんていう、クルマを彷彿させるタイトルの曲も並んでいます。

クレイジーケンバンドのアルバムといえば、正直言って最近数作、出来としては下降線だったように思います。「新作をリリースすれば最高傑作」と言われてきた彼らでしたが、個人的にはその頂点は2009年の「ガール!ガール!ガール!」。その後のアルバムも決して悪い出来ではなく十分「傑作」の範疇でしたが、前の作品の出来は超えられず。正直前作「Spark Plug」は私が聴いた彼らの作品の中では、一番の「凡作」だったように思います。

しかし、今回のアルバムに関しては完全に盛り返してきました!今回のアルバムでまず感じたのはポップで聴きやすい内容だったということ。もともと彼らの楽曲はしゃれたシティポップなので「垢ぬけた」という表現は適切ではないのですが、今回のアルバムに関しては癖が抜けた聴きやすいポップチューンになっていました。

例えば「カフェレーサー」などアップテンポなメロディーはインパクト十分。サビからスタートする点も含め、ヒットチャートで勝負できそうなポップソング。もちろん、クレイジーケンバンドらしいメロウなサウンドはちゃんと健在です。

さらにインパクトある名曲という点では心に残ったのは映画「天才バカヴォン」の主題歌でもある「パパの子守唄」。タイトル通り、バカボンのパパについての歌であり、いわばアニソンになるのですが、しんみり聴かせるメロディーも印象的ながらも心に響くのが歌詞。

「パパはパパはわかっているのだ
バカをバカにする奴はバカだと
100点だけが100点じゃないのだ
ほらね流れ星見つけた
これでいいのだ」

(「パパの子守唄」より 作詞 横山剣)

なんていうサビはバカボンのパパのイメージを踏襲しながらも心に響く名フレーズ。うーん、さすがです。

そのほかのナンバーについても決して目新しさはありません。ファンキーなギターが心地よい「開拓者」や、レゲエ風の「6789」、ちょっとジャジーに着かえる「MONEY HONEY」に最後はギターインスト「GTR」で締めくくり。クレイジーケンバンドらしい楽曲が並び、きちんとリスナーの要求に応えた、壺をついた作品が並んでいます。

最高傑作とは言えないものの、少なくともここ数作の中では間違いなくダントツの出来の傑作。ここ数年の作品も決して駄作だったわけじゃないのでこういう言い方は語弊があるかもしれませんが、クレイジーケンバンド、復活という印象を受けた作品でした。まだまだ彼らの勢いは続きそうです。

評価:★★★★★

クレイジーケンバンド 過去の作品
ZERO
ガール!ガール!ガール!
CRAZY KEN BAND BEST 鶴
CRAZY KEN BAND BEST 亀

MINT CONDITION
Single Collection/P-VINE YEARS
ITALIAN GARDEN
FLYING SAUCER
フリー・ソウル・クレイジー・ケン・バンド
Spark Plug

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2015年10月26日 (月)

メジャーデビュー5年目のベスト盤

Title:高橋優 BEST 2009-2015 『笑う約束』
Musician:高橋優

今年、メジャーデビュー5年目を迎える男性シンガーソングライターによる初のベストアルバム。全シングル曲はもちろん、インディーズ時代の曲も含めて、彼自ら選曲した2枚組全30曲の代表曲が収録されています。

彼の楽曲は、基本的にはギター片手に力強いポップソングを歌いあげるタイプ。方向的に近いのは斉藤和義あたりでしょうか?ただ、斉藤和義に感じられるような音楽面でのルーツ・オリエンテッドな部分はあまり見られず、音楽的には比較的シンプルなJ-POP。むしろ彼の売りは1にも2にも歌詞のように思います。

彼の歌詞の特徴としては、現実を描写しながらも、ありのままの自分の受け入れて前に進んでいこうというスタンス。例えばこのベスト盤に収録されている曲としては、「同じ空の下」

「選ばれたわけじゃない 才能があるって保証もない
ただ僕は僕らしく生きていたいだけさ」

(「同じ空の下」より 作詞 高橋優)

といった歌詞や、ベスト盤の最後を飾る「おかえり」

「おかえり おかえり ここが君の帰る居場所
おかえり おかえり 今日はどんなことがあったの?

話したくないならそれでもいい
どんな君のことも見守ってる ただ見守ってる」

(「おかえり」より 作詞 高橋優)

といった歌詞が彼の歌詞の大きな特徴のように感じます。

そんな方向性をベースにしつつ、もうひとつ、彼の歌詞を聴いていて気がつくのは、今の風俗をあらわすようなキーワードをよく歌詞に取り入れてくるという点でしょう。端的なのが「BE RIGHT」で、「PM2.5」「ニコ生」なんて単語も飛び出してきますし、「今を駆け抜けて」でも「Shiftキー押したままdeleteキー」なんていうパソコン用語をそのままつかっています。

このあまりにもオンタイムな単語を使うという方法、楽曲にリアリティーを与えるという意味では有効である一方、ちょっと時間が経過すると何のことを歌っているのかよくわからない、というリスクもあります。例えば上にも書いた「PM2.5」なんて単語、そろそろ何のことか忘れかけている人もいますよね?

個人的にはポピュラーミュージックは時代の寄り添ってなんぼという部分が大きいと思っているだけに、彼のような時代に寄り添う単語を曲の中に入れるという手法は大いにありだと思っています。ただ彼の場合、ちょっとその取り込み方が露骨すぎるというか、「こんな流行の単語つかって、おもしろいでしょ、俺」みたいな強い自己主張を感じてしまいます。

実は、ここらへんの自己主張の強さはこのベスト盤を聴いていて一番気になった部分でした。いままでのアルバムでも感じていたのですが、とにかく彼の楽曲は「押し」一辺倒。彼の場合、ただでさえそのしゃがれたあくの強いボーカルが耳をつくのですが、楽曲自体が「押し」ばかりになってしまうと、聴いていて疲れてしまいます。

オリジナルアルバムの単位なら、この「押し」もさほど気になりませんでした。ただ、さすがに2枚組30枚というボリュームですと、いくらベストとはいえ、最後は飽きが来てしまいました。

今回のベスト盤、タイトルは「笑う約束」ですし、彼の代表曲でこのベスト盤でも1曲目を飾る「福笑い」では

「きっとこの世界の共通言語は 英語じゃなくて笑顔だと思う」
(「福笑い」より 作詞 高橋優)

なんていうキラーフレーズを生み出してたしており、彼の目指すべき方向として「笑い」というものが重要であることを感じさせます。ただ残念ながら彼の楽曲は、「笑い」の要素が感じられません。彼の楽曲が「押し」一辺倒ではなく、「笑い」の要素や、そのユーモア路線を起因とした「引き」の要素が加われば、さらなる名盤が生み出されるのではないでしょうか。正直、今の状況では「音楽の幅」という面でも物足りなさを感じてしまいました。

個人的に彼のような歌詞をメインとするシンガーは日本には残念ながら少ないだけにがんばってほしいところなのですが・・・ベスト盤リリース後の彼の動向に注目したいところです。

評価:★★★★

高橋優 過去の作品
リアルタイム・シンガーソングライター
この声
僕らの平成ロックンロール(2)
BREAK MY SILENCE
今、そこにある明滅と群生

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2015年10月25日 (日)

DR.DREの集大成

Title:COMPTON
Musician:DR.DRE

かつては伝説のラップグループN.W.Aのメンバーとしても活躍。ソロとしても1999年にリリースしたアルバム「2001」が名盤の誉れ高い、アメリカを代表するラッパーの一人、DR.DRE。2000年代に入って以降はプロデューサーとしての活動が先行し、最近ではラッパーとしての活動よりも、かのエミネムのプロデューサー、という説明の方がピンと来るかもしれません。

そんな彼の、名盤「2001」以来16年ぶりとなるニューアルバム。もともと「2001」リリース後、「Detox」というアルバムを制作していることをアナウンスし続けてきましたが、結局、この「Detox」というアルバムはキャンセル。結果リリースされた待ちに待ったニューアルバムは彼が以前所属していたN.W.A.の伝記映画「Straight Outta Compton」のサントラ、という位置づけでもあるそうです。

今回のアルバムでもうひとつ話題となったのは、本作がDR.DRE名義でリリースされる最後のアルバムになる、とアナウンスされたこと。まあ、もちろん今後も、彼自身は音楽活動をやっていくでしょうし、その過程で「DR.DRE」とは別名義でのアルバムもリリースされるものとは思うのですが、ひとまずは彼自身の音楽活動の一区切りとなる、という意味では久々のアルバムリリースという意味も含めて注目度の高い作品であることは間違いないかと思います。

そんな彼自身の音楽活動の区切りとなるアルバムであり、彼自身、これがひとつの集大成ということを意識したのでしょうか、アルバム自体は非常に王道といった感じで、目新しさ、新鮮味といった部分はほとんど感じません。ただし、楽曲自体はDR.DREらしいというか、比較的シンプルなトラックの中、力強いラップを中心とした構成はインパクトも十分。目新しさはない、とはいってもアルバムとしては十分リスナーの耳を惹きつけられる魅力を備えた内容になっていました。

参加メンバーもおなじみエミネムはもちろん、N.W.A.の盟友ICE CUBEやSNOOP DOGGといったベテラン勢から、最近話題のKENDRICK LAMARやANDERSON.PAAKといった若手勢も参加。DR.DREとしてのラストアルバムにふさわしく、彼に関連するラッパーが全員集合したようなラインナップ。こちらも「集大成」にふさわしい内容になっています。

内容的には物珍しさもなく、傑作の誉れ高い前作「2001」に比べると物足りなさを感じてしまう部分もあるかもしれません。ただ、これはこれで十分DR.DREとしての実力を感じられ、最後までダレルことなく楽しめることが出来る傑作だったと思います。これでDR.DREとしての活動は終わりということになるのでしょうが、これからも是非、何らかの形で作品を世にリリースしてくれることを期待して。あっさり「これで最後」なんてことを忘れて、まだDR.DREとして新作をリリースしてきたりして(笑)。

評価:★★★★★

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2015年10月24日 (土)

ネタにされた20名

Title:20名
Musician:グループ魂

グループ魂の新作はコンセプトアルバム。ただ、そのコンセプトが非常に彼ららしいテーマとなっています。そのテーマは、タイトルがそのものすばりなのですが、全曲、タイトルが人名というもの。グループ魂のアルバムでは毎度おなじみ「港カヲル」からはじまり、「津川雅彦」「彦摩呂」「楳図かずお」「遠藤ミチロウ」のような有名人から、「江戸家ばけ猫」「中村屋華左右衛門」のような架空の人物、さらには「ラーメン二郎」という、それ、人名じゃないやん、という人(?)まで並んでいます。

もともとグループ魂といえば「竹内力」やら「中村梅雀」やら、ある人物を取り上げて、その人の特徴をネタとしてユーモアたっぷりに歌い上げている楽曲が多くありました。そのため、今回のアルバムは基本的にその延長のようなもの・・・なのですが、もちろん、楽曲はそんなタイプの曲ばかりではありません。タイトルを人名で統一させてはいましたが、内容はいつも通りのグループ魂のアルバム。むしろ内容は、グループ魂としてひねりもなく、「王道」を行くような構成になっていました。

全20トラック中、冒頭の港カオルこと皆川猿時の小ネタを含んでコントは5本。割合的には音楽の方が多いのですが、コントは1本あたりの時間が長いため、アルバムを通じて聴くと、音楽の割合が多いものの、コントに比べて圧倒的・・・という感じはしません。むしろ音楽とコントの割合はほどよいバランスだったのではないでしょうか。

そのコントも「中村屋華左右衛門」は毎度おなじみ大江戸コール&レスポンスシリーズの新作というおなじみのネタ。「向井徳次郎」に至っては、タイトル通り、元NUMBER GIRL、現ZAZEN BOYSの向井秀徳が参加。2002年にリリースされた彼らのメジャーデビューアルバム「Run魂Run」に収録されているコント「あの歌の故郷を訪ねて」の続編的なネタとなっているなど、おなじみのネタで構成されています。

音楽の方についても基本的には王道のパンクロック路線がメイン。これもいままでのグループ魂の路線と同様。本人も出演している「さかなクン」のようにマイケル・ジャクソン風のファンクナンバーもありますが、こちらはオリジナルとしては前作となる「1!2!3!4!」の「職務質問」と(ネタ的には別ですが)音楽的には同じ方向性です。

ネタ的にはもちろんコンセプト通り、実在の人物の特徴をネタとしていじくった曲が多いのですが、こちらも手を変え品を変え。「津川雅彦」や「でんでん」などはまさにその人の特徴をネタとして扱っていますが、「毒蝮三太夫」はむしろ忌野清志郎のパロディー風ですし、「彦摩呂」は彼の有名な試食の際のコメントをネタとして扱っているだけの曲。「アニマル浜口」も彼の口癖、「気合いだ」とただただ連呼する曲と、人名ネタを様々な切り口でユーモラスに曲に織り込んでおり、結果としてバラエティー豊富な内容に仕上げています。

全体的にネタ的にはいままでの彼らのアルバムの中で一番笑えた前作「1!2!3!4!」の方が上だったかもしれません。ただし、本作も良い意味で安心して楽しめるグループ魂らしいアルバムに仕上がっていました。ネタ的にはお約束ですが、それがまた新たな笑いにつながっていた、そんなアルバムだったと思います。

評価:★★★★★

グループ魂 過去の作品
ぱつんぱつん
1!2!3!4!
実録!グループ魂全国ツアー「客vs俺!どっちがスケベか競争して来たど!15番勝負」
グループ魂のGOLDEN BETTER~ベスト盤じゃないです、そんないいもんじゃないです、でも、ぜんぶ録り直しましたがいかがですか?~

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2015年10月23日 (金)

美しいボーカルとサウンドに魅了

Title:My Love Is Cool
Musician:Wolf Alice

北ロンドン出身の4人組バンドのデビュー作。「BBC sound of 2015」に選出されて話題となったほか、今年のサマソニにも出演。日本でも徐々に話題となっているようです。狼とアリスと相反する名前を連ねたネーミングもインパクトあるのですが、女性ボーカルによるオルタナ系ギターロックバンドという点も個人的には興味を持ち、アルバムを聴いてみました。

楽曲は、女性ボーカルEllie Rowsellの澄んだ歌声を生かしつつ、メロディーラインは少々ベタさすら感じるポピュラリティーの高いもの。基本的にはオルタナ系のギターロック路線なのですが、所々に入るギターのホワイトノイズからはシューゲイザー系の強い影響を感じます。はい、一言で言ってしまえば、個人的に思いっきり壺です(笑)。完全にはまってしまいました。

もともとはこの紅一点のボーカルEllie RowsellとギターのJoel Ameyのアコースティックデゥオからスタートしたとか。1曲目「Turn To Dust」からして、アコギのアルペジオを入れつつ、Ellie Rowsellの美しいファルセットボイスを聴かせる、美しも幻想的なナンバーで、その歌声や音色にしんみり。いきなりはまってしまいました。

その後、もっとも耳についたのは、シューゲイザー直系のドリーミーなホワイトノイズで美しく彩られた楽曲の数々。「Your Loves Where」なども典型的なドリームポップに仕上がっていますが、特に印象の残ったのは後半。「Swallowtail」は前半、アコギ1本で美しく聴かせつつ、途中からノイジーなギターが入り、最後はホワイトノイズで埋め尽くす展開にはゾクゾクとさせられましたし、「Fluffy」などもノイジーなギターサウンドが全面的に展開。80年代的なにおいを感じる点も、シューゲイザー好きにはピッタリはまりそう。

ただ、そのような楽曲をメインとしながらも、アルバム全体として音楽的なバリエーションは豊富。例えば「Silk」はダークで、ちょっとゴシック色も感じられるポップになっていますし、「Giant Peach」はハードロック風なギターリフでスタートしつつ、ボーカルが入ると80年代パンクの様相の強い曲になっています。「Soapy Water」も、シンセのメロにEllie Rowsellのウィスパー気味の歌声を重ねることにより、幻想的なポップに仕上げていました。

メロディーラインもまた大きな魅力。上にも書いた通り、わかりやすくインパクトあるポップなメロディーになっているだけに、良く言えばだれにでも耳なじみやすいメロ。悪く言えば少々ベタさも感じるメロデイーになっているのですが、それをノイジーで幻想的にコーティングしたサウンドにうまく溶け込ませることにより、ベタさを必要以上に目立たせず、耳なじみやすい心地よいメロディーに仕上げています。

また「ベタさ」という観点で言えば、楽曲のあちことで感じられる「80年代的」な要素もまた、耳なじみやすさの大きな理由のように思います。「Fluffy」「Giant Peach」の紹介でも80年代的と書いたのですが、楽曲によってはどこか懐かしさを感じる部分もありました。ただこれも、一歩間違えれば「ベタ」「古臭い」と捉えられる恐れのある展開を、ドリーミーなサウンドとポップなメロで包むことにより、耳なじみやすさだけが残る結果になっているように感じました。

個人的に壺にはまったということもありますが、間違いなく、今年のベスト盤候補の傑作!いや、サマソニでのステージ、見たかったなぁ、といまさらながら感じてしまいます。アルバムの最初から最後まで実に心地よく夢見心地で楽しめた作品。要チェックの新人バンドです。

評価:★★★★★

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2015年10月22日 (木)

有終の美(?)

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は最初で最後のアルバムが1位獲得です。

今週1位は、AKB48からの派生ユニット、フレンチ・キス「French Kiss」が獲得。11月のさいたまスーパーアリーナ公演を最後に解散が決まっており、これが最初で最後のアルバムとなるそうです。初動売上は2万3千枚。直近のシングル「思い出せない花」の3万7千枚(2位)よりダウンしており、1位獲得は有終の美とはいえ、売上的には微妙な結果となっています。

2位初登場は韓流の女性アイドルグループAOAの日本デビューアルバム「Ace of Angels」。初動売上は2万1千枚。こちらも直近のシングル「胸キュン」の2万4千枚(6位)からダウン。まあもっともアイドルのアルバムはこんなもんでしょうが・・・。

3位には今井美樹「Premium Ivory -The Best Songs Of All Time-」がワンランクダウンでベスト3をキープ。なにげに根強い人気を見せ、ロングヒットの兆しがあります。

続いて4位以下の初登場盤です。4位初登場はZHIEND「ECHO」。アニメ「Charlotte」の中に登場する「イギリスのポストロックバンド」という設定の劇中バンドだそうです。ちらっと試聴してみたいのですが、楽曲は80年代のシューゲイザー。ただメロディーにどうあがなっても隠し切れない歌謡曲っぽさがあって、どう聴いても日本人の曲です。また、どう考えても「ポストロック」とはちょっと違う感じが・・・。

6位初登場は「クロノ・トリガー&クロノ・クロス アレンジアルバム/ハルカナルトキノカナタへ」。ゲーム音楽を中心に活動しているミュージシャン光田康典を記念し、音楽的な評価も高い「クロノ・トリガー」と「クロノ・クロス」の曲を光田康典自ら新録アレンジで収録したアルバム。「クロノ・クロス」はやったことないのですが、「クロノ・トリガー」の曲とか、確かに名曲ですよね。

7位には男性2人組ユニットC&K「CK MUSIC」がランクイン。シングルアルバム通じての初のベスト10ヒット。初動売上8千枚は前作「CK AND MORE…」の7千枚(16位)より微増。

最後9位にはインストジャムロックバンドSPECIAL OTHERS「WINDOW」が入ってきました。インストの、それもジャムロックという決して「売れる」タイプではない音楽でコンスタントにベスト10入りしてくるその人気の高さには驚かされます。初動売上は6千枚。直近作はSPECIAL OTHERS ACOUSTIC名義の「LIGHT」で、こちらの初動売上7千枚(6位)からは若干のダウン。また、SPECIAL OTHERS名義での前作「Have a Nice Day」の初動1万枚(8位)よりはダウンしています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2015年10月21日 (水)

珍しくロックバンドが多い

今週のシングルチャート

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最近はアイドルとアニメのキャラソンで埋め尽くされているシングルチャートですが、今週は珍しく、ロックバンドの曲が目立つチャートとなりました。

まずは3位にMAN WITH A MISSION「Raise your flag」。ご存じ「顔は狼、身体は人間」という設定のメロコア系バンド。TBSテレビ系アニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」オープニング・テーマ。王道的なメロコア路線の曲ですが、サビのインパクトがいまひとつ薄いような・・・。初動売上3万6千枚は前作「Seven Deadly Sins」の4万枚(2位)からダウン。

5位初登場はゲスの極み乙女。「オトナチック」。ちょっとファンキーながらもどこか温度の低いアレンジと妙に耳に残るメロが彼ららしいナンバー。初動売上1万4千枚は前作「ロマンスがありあまる」(9位)から横バイ。話題性の高いバンドの割には、売上面では頭打ち感が。

さらに7位にはKEYTALK「スターリングスター」がランクイン。フジテレビ系アニメ「ドラゴンボール超」エンディング・テーマ。ポップ色が強くリズミカルなJ-POP色の強いナンバー。初動売上8千枚は前作桜花爛漫」の7千枚(23位)から微増。ベスト10入りは昨年3月の「パラレル」(10位)以来4作ぶり。ただどちらかというと低水準なチャートに助けられた感じがあります。

そんな訳でロックバンドが目立った今週のチャート。ただ3曲中2曲がアニメタイアップというのが、今の時代らしい感じがするのですが・・・。

とはいえ上位はやはりアイドル勢。まず1位はKis-My-Ft2「AAO」。軽快なダンスポップで、作詞作曲はナオト・インティライミ。日テレ系ドラマ「青春探偵ハルヤ」主題歌。初動売上18万1千枚は前作「Kiss魂」の35万6千枚(1位)より大幅減。CDの販売形態が5種から3種に減った影響もあるのですが、それにしても減りすぎでは・・・。

2位はE-girlsとしても活動しているEXILEの事務所に所属している女性アイドルグループHappiness「Holiday」。ラップベースのヤンキー風ポップはいかにもEXILEの妹分といった感じ。初動売上5万枚は前作「Seek A Light」の2万6千枚から大幅アップし、Happinessとしては初のベスト3入り。

他には今週、SKE48「前のめり」が先週の28位から10位にランクアップし、ベスト10に返り咲いています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、また例のごとくアニメのキャラソンが。4位初登場はTriad Primus/アナスタシア 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 2nd Season 05(Trancing Pulse/Nebula Sky)」。アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」挿入歌。初動売上は2万4千枚。同じ「アイドルマスター シンデレラガールズ」関連では先週ランクインしたLOVE LAIKA with Rosenburg Engel/*(Asterisk) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 2nd Season 04(この空の下/OωOver!! -Heart Beat Version-)」の1万3千枚(7位)よりアップ。

初登場最後は人気女性声優4人組ユニットスフィア「DREAMS,Count down!」が8位にランクイン。適当にラップも入った、いかにも今時なダンス風ポップ。初動売上8千枚は前作「vivid brilliant door!」の7千枚(16位)から微増。ベスト10入りは前々作「情熱CONTINUE」(9位)以来。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2015年10月20日 (火)

20年目にして初のベスト盤

Title:尽未来際
Musician:BRAHMAN

今年結成20周年を迎えるロックバンドBRAHMAN。今年7月には彼らを取り上げたドキュメンタリー映画が公開されましたが、それに続き、彼ら初となるベスト盤がリリースされました。2枚組全41曲というボリュームで、BRAHMANというバンドの活動を網羅的に知ることが出来る作品となっています。

BRAHMANの音楽といえばまず言われるのがハードコアと民族音楽の融合。確かにこのベスト盤を聴いても、例えば「TONGFARR」のトライバルなリズムや「THE SAME」のケルティックなギターなど、そんな表題通りの民族音楽からの影響も少なくありません。ただ、じゃあ民族音楽的な要素がバリバリ前面に出ているか、と言われると微妙。むしろこの「民族音楽からの影響」という部分は隠し味のように感じます。

むしろベスト盤を聴いて感じたのは楽曲的には意外とシンプルということ。ガツンと来るハードなバンドサウンドと、意外とメロディアスで憂いを帯びたメロディーラインが魅力的。このハードなバンドサウンドと憂いを帯びたメロディーという組み合わせで言えば、例えばeastern youthやブッチャーズのようなエモコア勢に通じる部分も感じます。ただ一方で、「Z」のようなパンキッシュな作品もあったりして、イメージ的にはエモコア勢とパンクロック勢の中間を行くような感じでしょうか。比較的ファン層の年齢は高めというイメージもあるエモコア勢と、年齢層が低いというイメージがあるパンクロック勢。その両者を惹きつける要素を持っているように感じました。だからこそ、彼らが高い人気を誇るのでしょう。

今回のベスト盤、2枚組なのですが、1枚目が「THE EARLY 10 YEARS」、2枚目が「THE LAST 10 YEARS」とタイトルが付けられており、その名の通り、前半10年と後半10年でわけられています。これが興味深いことに、前半10年と後半10年の音楽的な差は明確。もちろん、基本的な路線に大きな違いはありません。ただ、1枚目に比べて2枚目に収録されている曲は明らかにポップスという方向性が強くなっていました。

また2枚目の曲に至ってはハードコアというよりもギターロックとカテゴライズされそうな曲も多く、例えば「鼎の間」などはポップなメロディーラインを含め、ハードコア色はさほど強くありません。さらにほとんどが英語詞だった1枚目と比べて、日本語詞の割合が増えてきているのも特徴体でした。

もっとも、最近の曲に関してセルアウトした、という印象は受けません。むしろ最近の作品に関しては肩の力が抜けて、無駄な気負いみたいな部分がなくなった、という印象すら受けます。それはポップになった、といってもコアな部分に関してはデビュー当初からほとんど変化はないからでしょう。

そんな訳で、20年の彼らの活動を網羅的に知ることでBRAHMANの魅力が一層強く感じることが出来るベスト盤でした。上にも書いた通り、肩の力が抜けて、さらなる成長を感じさせるここ最近の彼ら。それだけにこのベスト盤以降の活躍も非常に楽しみです。

評価:★★★★★

BRAHMAN 過去の作品
ANTINOMY
ETERNAL RECURRENCE~永劫回帰~
超克

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2015年10月19日 (月)

The xxメンバーのソロデビュー作

Title:In Colour
Musician:Jamie xx

2009年にリリースした「xx」、2012年にリリースした「Coexist」、いずれも高い評価を集め注目の的となったイギリスのロックバンドThe xx。そのメンバーでもありプロデューサーとしても活躍しているジェイミー・スミス。彼はJamie xxの名前でDJやリミキサーとしても活躍しているのですが、その彼の初となるソロアルバムがJamie xx名義でリリースされました。

楽曲はタイプとして説明するならばエレクトロダンスポップといった感じになるのでしょうか。音数が少なく、比較的シンプルなリズムトラックが続くサウンドは、やはりThe xxと共通するものを感じます。

ただ、作風としてはアブストラクト的な色合いが濃く、ポップなメロディーラインが表に出ていたThe xxと比べると大きな違いを感じます。特にこの傾向は序盤に顕著で、不気味なサウンドが響く1曲目の「Gosh」や、無機質なサウンドが目立つ「Sleep Sound」など、The xxの路線とは大きな違いを感じます。

基本的に、この「音の間の空間」を聴かせるようなシンプルなサウンドはアルバム全体を通じてひとつの主軸となっているのですが、一方ではポップなメロディーラインもしっかりと流れており、アルバム全体としてはむしろ「ポップ」という印象を受けます。特に印象的だったのが「Loud Places」。女性ボーカルを起用したポップでメロディアスなナンバー。途中に入るトライバルなリズムも印象的ながら、最後はピアノで終わるという、美しい雰囲気のナンバーでした。

またユニークなのが、そんなシンプルなエレクトロサウンドの中に様々な要素を取り入れていること。今回のアルバムで目立つのが「I Know There's Gonna Be(Good Times)」。アトランタ出身のラッパーYoung Thugとジャマイカ出身のPopcaanが参加しているこの曲はレゲエの要素も取り入れたナンバーに。他にも「Obvs」ではスティールパンのような音色を取り入れて爽やかなラテン風に仕上げてくるなど、ユニークな試みも目立ちました。

The xxと近い方向性を感じつつ、The xxとは異なるタイプの曲を聴かせてくれるという意味では理想的なソロアルバム。また、聴きやすいポップなアルバムにまとめつつ、Jamie xxとしての個性をしっかりと発揮して彼なりの実験的な試みも感じられる傑作になっていました。The xxが好きなら間違いなく要チェック。そうでなくても要注目の1枚です。

評価:★★★★★

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2015年10月18日 (日)

その歌声が魅力的

Title:3 STEPS&MORE~THE SELECTION OF SOLO ORIGINAL&COLLABORATION~
Musician:佐藤竹善

SING LIKE TALKINGのボーカリストとしても活躍しているシンガーによるオールタイムベスト。いままで3枚のソロアルバムをリリースしていますが、Disc1ではそこから選りすぐった14曲に新曲1曲を加えて、Disc2では様々なミュージシャンとのコラボ作を収録しています。

佐藤竹善の魅力といえばそれは1にも2にもその透き通った歌声でしょう。もちろんその歌声を生かすだけの十分な歌唱力も持っていますが、やはり生まれ持ったその「声」という魅力が大きいように感じます。特に魅力的なのが、聴けばすぐ佐藤竹善の歌声とわかる個性を持っていながらも、どんな曲の中にも溶け込み、また、誰とデゥオしても相手のボーカルを殺すことのないという特徴を持っている点でしょう。「個性」と「無個性」という相反する2つの要素を兼ね備えているという稀有なボーカリスト。だからこそ、多くのミュージシャンとコラボを行っているのでしょう。

さて、まずDisc1。彼のソロ作ですが、一言で言えば、「大人のAOR」。ただ、ちょっと悪く言ってしまうとSING LIKE TALKINGの楽曲と大きな違いはありません。彼のハイトーンボイスを生かしながら、ソウル風の要素を入れたさわやかなシティポップという路線。ソロなんだからもうちょっと違うタイプの曲を、とも思わないこともないのですが・・・。

ただ、それでも楽曲は非常に魅力的。彼の歌声が最大限に生かされています。また「ECHOES(for every mother's son)」「Hey!!」みたいなトライバルな要素が入っていたりするのもユニーク。ちょっと気にかかるのが本作、基本的に発表順に並んでいるのですが、後半より前半の方が断然インパクトがあったという点。もっとも一方で、新曲の「CRY(For Africa)」はタイトル通りアフリカ風のパーカッションがインパクトになっており、耳を惹く名曲になっていただけに、彼の才能に衰えはないことを感じさせてくれましたが。

Disc2のコラボに関しても、基本的にはAOR路線がメイン。ただそんな中でもSOFFetとのコラボ作「GOOD MORNIN' GOOD ROLLIN'」ではラップとコラボしておたり、パーカッショニストはたけやま裕とのコラボ「桜」ではジャジーな曲を聴かせてくれたり、ソロ作とは異なるタイプの曲もチラホラ。また、このコラボの中で一番魅力的だったのが小田和正とのデゥオ、PLUS ONE。デゥオとしては声質が似ているので、デゥオとしての魅力を発揮しきれない部分はあるものの、小田和正とのコラボによる楽曲はさすがの名曲。このコラボに収録されている2曲のみのユニットだったのですが、アルバムもリリースしてほしいなぁ・・・復活、してくれないかな?

今回のアルバムでちょっと残念だったのはオールタイムベストにも関わらず、彼のライフワークであるカバー曲が収録されていなかった点。カバーはカバーでのベストがリリースされていたりするのですが、オールタイムベストというならば、カバー曲も収録してほしかったなぁ。その点はちょっと残念でした。あと、コラボに塩谷哲とのユニットSALT&SUGARの曲がなかったのも、ちょっと片手落ちのような・・・。

そんな感じで、いろいろと思う部分はあるのですが、基本的には非常に魅力的なベスト盤だったのは間違いありません。佐藤竹善の魅力をあらためて強く感じたベスト盤でした。

評価:★★★★★

佐藤竹善 過去の作品
ウタジカラ~CORNER STONE 4~
静夜~オムニバス・ラブソングス~

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2015年10月17日 (土)

デビュー作は話題になりましたが・・・。

Title:Danger In The Club
Musician:Palma Violets

「ラフ・トレードのジェフ・トラヴィスが1曲だけを聴いて即契約をした」「イギリスBBCの『Sound of 2013』にノミネート」。これは2013年にリリースされたデビューアルバム「180」がリリースされた時の彼らの謳い文句です。「180」でデビューしたころは日本でも、同時期にデビューしたThe Strypesと並んで大きな評判となり、「Rockin'On」誌などではかなり大きく取り上げられました。

それからわずか2年。Palma Violetsのニューアルバムがリリースされたのですが、正直言って驚くほど話題になっていません。今回、彼らの新作をみかけてはじめて「ああ、そういえばそんなバンドがいたなぁ」と私自身思い出したくらい。本国でもアルバムチャート最高位25位と振るわなかったようですので、残念ながら「終わったバンド」的なイメージがあるのでしょう。The Strypesが2枚目のアルバムも話題となったのとは対照的。もっともThe Strypesも2枚目は本国で最高位17位とさほど結果を残せなかったようですが・・・。

ただアルバムの内容は決して悪くありません。基本的には1枚目とその方向性はほとんど変わっていません。なよなよっとしたガレージロック風のバンドサウンドに耳なじみやすいポップなメロディーライン。前作でひとつのキーとなっていたエレピの音色はあまり聴こえないものの、ピアノやストリングスの音を取り入れており、シンプルなバンドサウンドを基軸にしつつも、バンドにこだわらない方向性も感じます。

「Girl,You Couldn't Do Much Better On The Beach」「Secrets Of America」のような、ある意味「らしい」パンキッシュな曲もありつつ、アコースティックな「The Jacket Song」、モータウンビートを取り入れて軽快な「Gout! Gang! Go!」、ドリーミーなサウンドが印象的な「No Money Honey」などバリエーションも豊富。前作と大きな変化はないものの、楽曲のバリエーションは増えていた印象を受けました。

前作は難しいこと抜きに楽しいロックのアルバムでしたが、本作もその印象は同様。メロディーラインは心地よく耳に残りますし、難しいこと抜きに楽しめる1枚だったと思います。「180」が話題になったので聴いてみたけど本作はスルー、というのはちょっともったいなく感じます。

ただ、一方では確かに2作目があまり評判にならなかった理由もわかるような・・・。決定的なのがPalma Violetsならではの「何か」が欠けていたところでしょう。ガレージなサウンドにポップなメロディーというのが彼らの特徴ですが、ただ、この手のバンドは正直珍しくありません。例えば先日、久々のニューアルバムをリリースしたTHE LIBERTINESもこのタイプのバンドでしょう。そんな数多くのバンドがひしめく中、Palma Violetsではいけない何かは、さほど多くないようにも感じてしまいました。

そうはいっても、このまま埋もれさせるには惜しいバンドであることも事実。「180」を聴いた方には、是非彼らのことを思い出して、このアルバムもチェックしてみてください。「180」が気に入った方なら、おそらく気に入るかと思います。

評価:★★★★

Palma Violets 過去の作品
180

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2015年10月16日 (金)

79歳にして現役感バリバリ

Title:Born To Play Guitar
Musician:Buddy Guy

今年5月、衝撃的な(ただしある程度は予想していた)ニュースがブルースファンの間をかけめぐりました。B.B.キング逝去。享年89歳。ブルース界のレジェンドと呼ばれるような大物が、また一人、この世を去りました。そんな中、おそらく彼は、「レジェンド」と呼ばれるブルース界最後の大物になってしまったように思います。Buddy Guy。御年79歳となる彼ですが、驚くべきことにいまだにアルバムをコンスタントにリリースし続けています。本作も、前作「Rhythm&Blues」からわずか2年ぶりとなる新作。80歳間近になっても衰えることの知らない精力的な活動には驚かされます。

また、単純に形だけアルバムをリリースしているわけではなく、いまだに年齢を感じさせない力強いギター、そして歌声を聴かせてくれています。タイトルチューンでもある1曲目「Born To Play Guitar」を聴けばそのことは明白でしょう。彼のボーカルとギターだけで構成されたこの曲では、ギターの音もその歌声も張りがあり現役感バリバリ。79歳という年齢を一切感じさせません。

他にも例えば「Turn Me Wild」の力強い分厚いギターサウンドとシャウト気味のボーカルには若さすら感じますし「Thick Like Mississippi Mud」でも激しいギターサウンドを聴かせてくれます。

そんな中、印象的だったのが終盤の「Flesh&Bone」。冒頭に書いたB.B.キングへの追悼として急きょアルバムに加えられた作品。Van Morrisonをゲストとして迎えているのですが、Buddyの哀愁感たっぷりのギターにVan Morrisonの味わい深いボーカルが加わり、ストレートに胸がうたれる曲になっています。

さらにその後に続く「Come Back Muddy」も、タイトル通り、ブルース界の巨匠、マディ・ウォーターズに捧げられた曲。率直に「戻ってきておくれ」と歌う歌詞も印象的。国内盤のボーナストラックには「Trouble No More」が続いているのですが、こちらもマディのカバー。歌い方などそのまんまマディで、彼に対する率直なリスペクトを感じさせます。

そんな感じで、79歳にして現役感あふれる精力的な活動に驚嘆しつつ、きちんと聴かせる、胸をうつナンバーもあった今回のアルバム。楽曲は全体的に「王道」といった感じの曲が多く、良くも悪くもストレートなシカゴブルース、Buddy Guyらしさにあふれたアルバムだったと思います。

ただそれだけに目新しさは皆無ですし、また楽曲としても全体的に大味な感じが目立ちました。例えば「Whisky,Beer&Wine」などはへヴィーなギターサウンドを聴かせてくれるのですが、ハードロック風なサウンドはかなり平坦に聴こえ、大味。正直、あまり面白味を感じませんでした。

基本的には前作「Rhythem&Blues」に続くようなスタイルでの作品。良くも悪くも求められるようなBuddy像を演じているようにも感じた作品。これはこれで楽しめる作品ですし、やはり最後に残ったブルース界のレジェンドが精力的に作品を生み出してくれるのはうれしいのですが・・・一方ではちょっと物足りなさも感じた作品でした。

評価:★★★★

Buddy Guy 過去の作品
LIVING PROOF
Live at Legends
RHYTHM&BLUES

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2015年10月15日 (木)

話題のボカロP発シンガーが1位

今週のアルバムチャート

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今週は話題のシンガーソングライターが1位獲得。

今週の1位は米津玄師「Bremen」が獲得。もともとVOCALOIDを用いた楽曲をニコニコ動画にアップし人気を博していた彼。その後、本名で自らボーカルを取り、シンガーソングライターとして活動を開始。その3作目となるアルバムで見事1位を獲得しました。初動売上は5万枚。前作「YANKEE」の初動売上3万枚(2位)から大幅にアップしています。

2位初登場は女性シンガー今井美樹「Premium Ivory -The Best Songs Of All Time-」。歌手活動30周年を迎える彼女の、タイトル通りのオールタイムベスト。ただ25周年の5年前にも同じようなオールタイムベストをリリースしたばかりなのですが・・・。初動売上は2万1千枚。直近のオリジナルアルバム「Colour」の7千枚(9位)から大幅アップ。また、5年前にリリースしたベスト盤「Miki's Affections アンソロジー 1986-2011」の1万枚(14位)よりも大幅アップ。なにげにここに来て、人気上昇傾向なのでしょうか?

3位にはニコニコ動画の「歌ってみた」コーナーで人気の「歌い手」、luzの2ndアルバム「Labyrinth」がランクイン。2作目にして初のベスト3ヒット。初動売上1万枚は前作「tWoluz」の9千枚から微増。

続いて4位以下の初登場です。4位にはシンガーソングライターハジ→のベストアルバム「ハジベスト。」がランクイン。インディー時代にベスト盤をリリースしていますが、メジャーになってからは初となるベスト盤です。4位は自己最高位。初動売上8千枚は直近のオリジナルアルバム「超ハジバム2。」の4千枚(16位)よりアップ。また、インディーズ時代にリリースしたベストアルバム「めっちゃ☆ハジバム。+1」の3千枚(15位)よりもアップしています。

5位には人気女性声優楠田亜衣奈のデビューミニアルバム「First Sweet Wave」がランクイン。初動売上は8千枚。シングルチャートではおなじみのアニメキャラによるアイドルプロジェクト「ラブライブ!」に声優として参加し、人気を集めたようです。

6位初登場はROTTENGRAFFTY「Life Is Beautiful」。今年、デビュー15年目を迎える中堅のロックバンド。ここに来て人気が上昇。シングルアルバム通じて初となるベスト10ヒットとなりました。初動売上8千枚。前作「Walk」の7千枚(21位)から若干のアップ。

8位には韓国の男性アイドルリュ・シウォン「AGAIN」がランクイン。初動売上6千枚は前作「Season」の8千枚(20位)よりダウン。2010年の「麗~ULALA~」以来3作ぶりのベスト10ヒットとなりました。

最後に今週はベスト10圏外からのランクアップにより、初のベスト10入りを果たしたアルバムがあります。それが9位初登場Avicii「STORIES」。スウェーデン出身のミュージシャンで、EDMの代表的なミュージシャンとして日本でも人気上昇中の彼。先週は、売上9千枚で11位に初登場してきました。今週は売上枚数を6千枚に落としたものの、売上水準の低い週だったこともあり、2ランクアップでベスト10入り。前作は最高位が13位(その週の売上は5千枚)だったので、それを大きく上回り、自身初のベスト10ヒットとなりました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2015年10月14日 (水)

アイドル勢が席巻

今週のシングルチャート

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いつものことですが、今週もまたアイドル勢がチャートを席巻する結果となっています。

まず1位は大阪を中心に活動するAKB48の姉妹グループ、NMB48「Must be now」が獲得。ロッキンエレクトロなナンバーなのですが、EDM方面に振り切っておらず、基本、アイドルポップ路線にとどまっているあたりが良くも悪くもAKBグループっぽい感じ。初動30万7千枚は前作「ドリアン少年」の37万1千枚(1位)から大幅ダウン。

女性アイドルグループ勢は他にサンミュージック所属の女性アイドルグループさんみゅ~「トゲトゲ」が5位、アイドルカレッジ「ビーマイ☆ゾンビ」が6位にランクイン。さんみゅ~はこれが2枚目のベスト10入り。初動売上1万6千枚は前作9千枚(9位)よりアップ。アイドルカレッジはアイドルとしてのレッスンの過程を公開して、応援してもらおうというコンセプトのユニットだそうで、これが初のベスト10入り。初動売上1万3千枚は前作「#常夏女子希望!!!」の1万2千枚(11位)から微増。どちらも流行っているからエレクトロサウンドを取り入れました的アイドルポップ。

続く2位初登場は男性アイドルグループCROSS GENE「Love & Peace」。一応K-POPにカテゴライズされているグループですが、メンバーは日本人、韓国人、中国人という組み合わせのアイドルグループ。楽曲は爽やかなアイドルポップでJ-POP色が強い感じ。曲は好みではないですが、(前作でも書いたのですが)日中韓であえて組ませるという方向性には好感が持てます。初動8万6千枚は前作「Future」の1万4千枚(5位)から大幅アップ。

男性アイドルグループはもう1組。10位にX4「Killing Me」がランクイン。初動1万1千枚。これがデビューシングルとなる男性4人組グループ。関西発のグループなのですが、ただルックスも楽曲も完全にK-POPといった感じで、なんだかなぁ・・・。

続く3位はアニメのキャラソン。アニメキャラによるアイドルプロジェクト「ラブライブ!サンシャイン!!」のユニット、Aqoursのデビューシングル「君のこころは輝いてるかい?」。初動売上4万8千枚。しぶとく生き続けている粗製乱造前向き応援歌J-POP。

キャラソンは今週もアイドルマスター関係がランクイン。アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」挿入歌、LOVE LAIKA with Rosenburg Engel/*(Asterisk) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 2nd Season 04(この空の下/OωOver!! -Heart Beat Version-)」が7位初登場。初動1万3千枚。なお、同シリーズの前作*(Asterisk) with なつなな(安部菜々&木村夏樹),木村夏樹「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 2nd Season 03」の1万5千枚(12位)よりダウンしています。

そんなアイドル勢の中で孤軍奮闘しているのがまず4位初登場DOBERMAN INFINITY「JUMP AROUND ∞」。EXILEの事務所に所属しているHIP HOPグループ。多分にアイドル的要素も強いグループで、ポップ色も強いですが、HIP HOPのマナーに従ってはいる感じ。初動売上3万3千枚は前作「SAY YEAH!!」の3万6千枚(3位)からダウン。

さらに8位にはTUBE「TONIGHT」がランクイン。今年は春夏秋冬とシングルをリリースするらしく、その第3弾シングル。アコースティックなミディアムチューン。初動1万3千枚は前作「SUMMER TIME」の1万9千枚(5位)からダウンしています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に。

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2015年10月13日 (火)

変わらない彼女

Title:MUSIC
Musician:加藤いづみ

アラフォー世代にとってはちょっと懐かしい名前のシンガーのニューアルバムを聴きました。加藤いづみ。1993年にリリースされたシングル「好きになって、よかった」がドラマ「悪魔のKISS」の挿入歌に起用され、ヒットチャート的には最高位22位に終わったのですが、20万枚近く売り上げスマッシュヒットを記録。お,そらうアラフォー世代の方なら、彼女の名前は知らなくてもこの曲はどこかで聴いたことある・・・という方も多いでしょう。またその直後にリリースしたアルバム「Sweet Love Songs」はオリコン10位を記録しています。

90年代に一部でブームとなったガールポップの代表的なミュージシャンの一人である彼女。当時高校生だった私は一時期はまって聴いていた時期もあり、その後もアルバムがリリースするたびにちょくちょく聴いていたりしたのですが、今回のアルバムはなんと前作から7年ぶりとなるオリジナルアルバム。「好きになって、よかった」をはじめ彼女の代表曲を数多く手がけた、彼女の音楽的パートナーとも言える高橋研が本作でもプロデューサーを担当。数多くの楽曲も提供しています。

そんな久々となったニューアルバムですが、聴いてみて衝撃的だったのは私が高校時代の曲から全く変わっていない、ということでした。

そもそもメロディーラインからして全く変わっていません。アコースティックベースのメロディーラインに切なさと暖かさを同時に感じるような、一言で言えば「胸キュン」なメロディーライン。ただ、衝撃的だったのはそんなメロディーライン以上に変わらない彼女の歌声。もともとクリアボイスのかわいらしい歌声をしていた彼女。失礼ながら御年47歳という彼女ですが、その歌声に全く衰えがありません。1曲目を飾る「毎日がEXAMINATION」など、非常にキュートなポップスに仕上がっており、「アイドル」と言われても遜色ない内容かも(笑)。

ただ、「変わらない」というのはミュージシャンにとって必ずしもポジティブな評価とは言えません。特に楽曲自体が変わらないというのはともすれば「マンネリ」に捉えられがち。実際に目新しさという意味ではこのアルバム、新鮮味はなかったかもしれません。

しかし一方で楽曲からはある種の瑞々しさを感じられます。それはこの曲に収録されている曲がエバーグリーンな美メロの楽曲が多いからではないでしょうか。例えば「休息」という曲は、ピアノのみのバラードナンバーなのですが、切ないメロディーが涙腺に触れますし、本人作曲の「銀天街」もアコギのアレンジとノスタルジックあふれる歌詞、そしてシンプルなメロディーが胸をうちます。どの曲も基本的にシンプルなメロディーラインなだけに、「変わらない」楽曲にも関わらずマンネリさを感じさせないのでしょう。

はじめて彼女の曲を聴いてから20年以上の月日がたっているのですが、いい意味での変わらなさに懐かしさとうれしさを感じたアルバムでした。もちろん、ノスタルジックな気持ち抜きに良質なポップスのアルバムとして傑作だったと思います。久しぶりに聴いてみるアラフォー世代ももちろん、若い世代にも要チェックな1枚です。

評価:★★★★★

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2015年10月12日 (月)

14年ぶりのカバーアルバム

Title:UNTED COVER 2
Musician:井上陽水

井上陽水が2001年にリリースした「UNITED COVER」。昭和歌謡曲を数多くカバーしたこのアルバムは、当時80万枚というヒットを記録し大きな話題となりました。それから14年。本作は、その「UNITED COVER」に続くカバーアルバム第2弾となります。今回も昭和歌謡曲を中心に数多くのカバーに挑戦。さらに新曲としてNHK「ブラタモリ」のテーマ曲「女神」「瞬き」を収録しているほか、宇多田ヒカルへのトリビュートアルバムにも収録していた「SAKURAドロップス」、さらには彼の代表曲ともいえる「氷の世界」のセルフカバーも収録されています。

井上陽水といえば、独特なねちっとした中性的なボーカルをすぐ思い浮かべるかと思います。彼のボーカルはかなり特徴的。そんな彼が行うカバーは、楽曲がすすむにつれて独特のボーカルにより彼の「色」にどんどんと塗り固められて行ってしまうような、そんな印象を受けます。もう、この声で歌われれば、どんな曲でも井上陽水の曲になってしまうよね!そんな有無をいわさず井上陽水色に染め上げてしまう、そんなカバーでした。

また今回のカバーアルバムでもうひとつ大きな特徴だったのがサルサバンド、オルケスタ・デ・ラ・ルスが13曲中6曲も参加していること。その結果、アルバム全体としてラテンアレンジの曲が多い構成となっています。マンボ風なThe Beatlesの「I WILL」やラテン調の「氷の世界」などなかなかユニーク。若干違和感のある組み合わせもないことはないのですが、彼のボーカルとラテンサウンドの勢いで乗り切っていました。

もちろん彼の独特の「声」だけではなくボーカリストとしての力量もしっかり発揮されていました。特に絶妙だと思ったのがユーミンの「リフレインが叫んでる」のカバー。メロディーとしては少々感情過多気味のメロディーラインながらも、原曲はあっさりとしたユーミンのボーカルがあるため嫌味は感じません。一方、井上陽水のボーカルは感情たっぷり。とはいえこのカバーでは力を抜いたカバーになっていて、感情過多にならず、かといって彼のねっちりとしたボーカルもしっかり聴かせる、絶妙なバランス感の上に成り立たせていました。ここらへんにボーカリストとしての力量を感じました。

一方で聴き終わった後に一番印象に残ったのは、宇多田ヒカルの「SAKURAドロップス」のカバー。ラテンアレンジとなったカバーで、正直、原曲のイメージからかなり異なります。もともと宇多田ヒカルトリビュートに収録されていたので、今回はじめて聴いた曲ではありません。ただ、原曲からは予想だにしない方向性のカバーは良くも悪くもインパクト満点。今回のアルバムでも一番印象に残ったカバーでした。

そんな訳で、井上陽水しかできない、どこから切り取っても井上陽水らしいカバーアルバムでした。それだけにある程度「予想通り」という部分もあったのですが、それでも十分魅力的なカバーアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

井上陽水 過去の作品
氷の世界-40th Anniversary Special Edition

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2015年10月11日 (日)

日本ポップスの歴史を知る

ちょっと気になるディスクガイドが発売されたので聴いてみました。「昭和歌謡ポップスアルバムガイド1959-1979」。音楽評論家の馬飼野元宏氏が監修したディスクガイドなのですが、これがおもしろいのがタイトル通り、1959年から79年にかけての昭和歌謡曲のアルバムのディスクガイド、という点。ちなみに1959年から79年という西暦で書かれると微妙にわかりにくいのですが、年号に直すと昭和34年から54年。昭和歌謡曲が全盛期だった時期のアルバムを集めています。

本書がなによりユニークなのは、歌謡曲のアルバムを集めたというところでしょう。歌謡曲というと通常はシングル勝負。アルバムはシングルの寄せ集めに、何曲かシングルからはずれたような曲をつけた、いわば「おまけ」のようなイメージがあります。その傾向は今も続いており、例えばあれだけシングルチャートを賑わせているアイドル勢は、アルバムではあまり見かけることがありません。

そんな歌謡曲の脇役というアルバムにあえて焦点をあてた本作。ただ、コラムの中では歌謡曲におけるアルバムの位置づけについて、時代毎に説明がされており、歌謡曲の中でもアルバムの果たした役割を知ることが出来ます。

このディスクガイドを読み、アルバムという媒体が歌謡曲で果たした役割、それはシングルでは表現できない歌手の「本音」の部分を詰め込んだ作品、ではないでしょうか。特に顕著なのがグループサウンズ勢のミュージシャンで、シングルではベタベタな歌謡曲路線を歌いつつ、アルバムでは洋楽路線となっていたりするようです。

もっとも歌謡曲はシングルが中心として廻っているだけに、アルバムのディスクガイドだけ眺めていても、どうしても全体像は見えにくい部分があり、それはコラムで補っているものの、「歌謡曲入門」的に読むと、物足りなさを感じる部分もあるかも。とはいってもアルバムという観点から歌謡曲を眺めるというユニークな試みで、ある意味歌謡曲のアナザーサイドを興味深く知ることが出来ました。昭和歌謡曲に興味があれば必読の1冊でしょう。

で、同じく馬飼野元宏氏監修の元、発売された音楽のガイド本をもう1冊、読んでみました。

「日本のフォーク完全読本」。歌謡曲と同時並行的に日本のポップスシーンを形作ってきたフォークミュージックを網羅的に取り上げた本。代表的なミュージシャン毎に簡単な紹介とアルバムの紹介を行った構成となっています。

こちらも基本的にアルバムを中心とした構成。歌謡曲ほどではないもののフォークミュージックもやはりシングルでのヒット曲も「歴史」を語る重要な要素。それだけにアルバムだけを羅列した内容だと「完全読本」というとちょっと物足りなさも感じてしまいました。

とはいえ、比較的若い世代の評論家が書いているようなので、フォークソングに必要以上の思い入れがなく、それだけに逆に客観的に描かれているように感じました。特に今回の本書を読んで、フォークというと社会派な主張が多いというイメージがあったのですが、社会派なフォークは全体のうち一部。むしろ個人的なテーマを歌にした曲がメインであったことが書かれています。

また、必要以上の思い入れがないことが理由なのでしょうか、60年代70年代のフォークソングのみならず、その後フォークソングに影響を受けたフォーク歌謡や、さらには平成に入ってからのネオフォークと呼ばれるゆずやらコブクロまで取り上げています。そういう意味では「フォーク」をキーワードに幅広いミュージシャンが取り上げられており、その点では「完全読本」という名前も伊達ではない印象も受けました。

そういう意味では日本のフォークを概観するのは最適なガイドブックにも感じます。物足りなさを感じる部分もありつつも、数々の魅力的なミュージシャンの紹介に、フォークの名盤を聴きたくなってくる1冊でした。

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2015年10月10日 (土)

反原発のフェスにて

Title:NO NUKES 2012
Musician:Yellow Magic Orchestra

現在、坂本龍一が中咽頭癌により休養中となっているYellow Magic Orchestra。その彼らのライブアルバムがリリースとなりました。本作は、タイトル通り2012年に幕張メッセで脱原発テーマに開催された「NO NUKES 2012」の音源を収録したものとなっています。

ここ最近、坂本龍一というと政治的な発言が目立ちます。反原発運動にしても数多くの発言を行ってきました。今回のアルバムも「NO NUKES」というタイトルは単純にライブイベントの名前だから、ということも言えるかもしれません。ただ、ジャケット写真に福島第一原発の写真を使ってきていることからも、反原発というメッセージを感じることが出来ます。

ただ、そんなタイトルとジャケット写真に反して、インスト曲ばかりなので当たり前といえば当たり前なのですがアルバムの内容自体からはメッセージ性はさほど強くありません。当日のライブレポートによると、当日は「NO NUKES,MORE TREES」と書かれた旗を教授が振ったそうですが、もちろんライブアルバムからはそんなことはわかりませんし、ライブの最後に、教授が「NO NUKES」とつぶやいて終わったそうですが、そちらの模様も収録されていません。

今回のライブ盤でおそらく唯一、メッセージ性を感じられるのは1曲目がクラフトワークの「Radioactivity」のカバー。もともとから暗い雰囲気の曲なのですが、今回のライブ盤の演奏ではさらに不気味さが増しています。それはちょうど福島第一原発の事故と重ね合わせているよう。この1曲から、YMOの強いメッセージ性を感じることが出来ます。

ただ、そこから続くのは「Firecracker」という明るくポップス性の高いナンバー。その後も「中国女」「東風」などおなじみのナンバーが続き、最後は「Rydeen」という下手なひねりなしに王道のナンバーが続いています。「NO NUKES 2012」という多くのミュージシャンが参加したイベントだったから、ということもあるのでしょうが、反原発というメッセージ性以上に、初心者も純粋にライブで楽しめることが出来るような選曲になっていました。

演奏はおなじみギターで小山田圭吾に高田漣、さらにanonymassの権藤知彦が加わった体制。エレクトロサウンドに加えて生音の割合も多く、バンド色が強く感じます。特に「Thousand Knives」ではギターのアグレッシブな演奏も聴くことが出来ます。ただ基本的にはベテランのバンドらしい安定した演奏。良くも悪くも安心して聴いていられるステージだったと思います。

そんな訳で、既に3年前の演奏になってしまいましたが、今のYMOの位置づけを確かめられるライブ音源。ライブ音源であり、演奏も良くも悪くもベテランらしい内容なだけに初心者の最初の1枚としては微妙な感じですが、ファンなら間違いなくチェックしておきたい内容。「NO NUKES」というイベントはいまでも続けて実施していますし、はやく教授には元気になってもらって、また「NO NUKES」のステージでの演奏を聴きたいです!

評価:★★★★

Yellow Magic Orchestra 過去の作品
LONDONYMO-YELLOW MAGIC ORCHESTRA LIVE IN LONDON 15/6 08-
GIJONYMO-YELLOW MAGIC ORCHESTRA LIVE IN GIJON 19/6 08-

YMO


ほかに聴いたアルバム

其れは、繙かれた『結晶』の断片。或いは赫奕たる日輪の残照。/te'

毎回、インパクトの強い長いアルバムタイトルと曲名をつけるポストロックバンドte'のニューアルバム。今回のアルバムは、比較的ポップで軽い雰囲気のサウンドが印象的。最後の「私は舞う枯葉。風任せな躍動を自律と『錯誤』する縹渺たる虚体。」みたいに彼ららしいダイナミックな演奏を聴かせてくれる曲もあるのですが、良く言えばポップで聴きやすい、悪くいえばちょっとパンチ不足が気になる、そんなアルバムでした。

評価:★★★★

te' 過去の作品
まして、心と五感が一致するなら全て最上の「音楽」に変ずる。
敢えて、理解を望み縺れ尽く音声や文字の枠外での『約束』を。
ゆえに、密度の幻想は綻び、蹌踉めく世界は明日を『忘却』す。

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2015年10月 9日 (金)

ユーモラスな歌詞の世界

Title:BEST3
Musician:TOMOVSKY

大木知之のソロユニット、TOMOVSKYの、タイトル通り3作目となるベスト盤。アラフォー世代以上の方なら、ひょっとしたら80年代のバンドブームの頃に一時期人気を博したカステラというバンドを覚えている方もいらっしゃるかもしれません。大木知之はそのカステラのボーカリストとしてデビューしたミュージシャン。ソロデビュー後はTOMOVSKYと名乗り、なにげに根強い人気を誇っています。

彼の楽曲の特徴は、基本的にはギターロックを主軸としつつも様々な音を取り込みポップにまとめた、いかにも宅録といった感じのサウンドと、そしてなにより大きな魅力なのは、世の中を斜めにみながら、非常にユニークだけども聴いていて「はっ」と気が付かされるような「人生訓」のような歌詞。ここで「人生訓」といってしまうと非常に堅苦しく聞こえるのですが、実際は非常にユーモラスな内容に仕上げており、歌われる内容にも説教くささはなし。聴いていてとても楽しいポップスに仕上がっています。

本作に収録されているのは、2007年にリリースされたベスト盤「BEST2」以降にリリースされた2007年の「大航海」から、現時点では最新アルバム「終わらない映画」までに収録されているアルバム。彼の作品はアルバム毎にテーマがあって、そのコンセプトに沿った歌詞の楽曲が収録されています。そのため、そんなアルバムの中からセレクトしたベストなだけに、アルバム全体としては少々バラバラという印象をまずは受けるかもしれません。

また正直言ってしまって、ここ最近のTOMOVSKYは残念ながら決して勢いがある、といった感じはありません。彼のオリジナルアルバムは一通り聴いているのですが、「大航海」から「終わらない映画」までのアルバムについても決して傑作揃い、といった感じではありません。(ただ最新アルバム「終わらない映画」は傑作でしたが)

そんなマイナス要素がありつつも、さすがはベスト盤だけあって、聴いてクスッとしつつも、聴いた後は妙に心に残るような歌詞の名曲が並んでいます。今回はさらに全曲新録!そういう意味でも、いままでのアルバムを全部聴いているファンにもうれしい内容になっています。

今回のベスト盤に収録されている中で特にユーモラスな歌詞が印象に残るには、例えば「我に返るスキマを埋めろ」。一言で言えば、周りに惑わされることなく自分の決めた道を進め、ということなのですが、それをこの曲タイトルのように表現してきているのがなかなかユニークな視点。また「無計画という名の壮大な計画」もタイトルからしてユニーク。一応、航海になぞらえているのですが、実は人生そのものを例えているのではないか、と聴いていて気が付きました。確かに人生というのは、最終的に計画を立てきれないよな・・・

それだけに、彼の書いたこの歌詞はユニークながらインパクト満点。

「心配するな
オレも不安だ」

(「無計画という名の壮大な計画」より 作詞 大木知之)

そうだよな、人生で先の事を心配していても、みんな同じように不安なんだよな、と逆に「安心」させられます。

そんなユーモラスながらもどこか「はっ」と気が付かされるような歌詞が並ぶベスト盤。TOMOVSKYの入門盤としては最適な内容。これを機に、是非とも彼の独特の世界観に触れてみてください。お勧めです。

評価:★★★★★

TOMOVSKY 過去の作品
幻想
秒針
いい星じゃんか!
終わらない映画


ほかに聴いたアルバム

Bittersweet/土岐麻子

土岐麻子のニューアルバムは「都会で暮らす不惑の女性のサウンドトラック ~女は愛に忙しい~」をテーマに掲げ、愛に、仕事に、家庭に、夢に、日々忙しく生きるリアルな女の日常を紡いだビターでスウィートな全12曲公式サイトより)だそうです。そんな訳で、等身大の女性を描いた本作は、いい意味で肩の力の抜けた等身大の彼女が描かれています。そのため、基本的に楽曲は「いつもの彼女」。ジャズ、ラウンジ、渋谷系、ポップスなどの要素をほどよく取り込んだ大人のポップス。良くも悪くも土岐麻子らしいアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

土岐麻子 過去のアルバム
TALKIN'
Summerin'
TOUCH
VOICE~WORKS BEST~
乱反射ガール
BEST! 2004-2011
CASSETTEFUL DAYS~Japanese Pops Covers~
HEARTBREAKIN'
STANDARDS in a sentimental mood ~土岐麻子ジャズを歌う~

SONGS-40th Anniversary Ultimate Edition-/シュガー・ベイブ

1973年から76年にかけてわずか3年という活動期間であったにも関わらず、その中心メンバーに山下達郎や大貫妙子が在籍しており、他のメンバーそれぞれもソロで活動していったことから、いまや伝説のグループとなったシュガー・ベイブ。彼らが残した唯一のアルバムがこの「SONGS」で、当時は決して「大ヒット」とまではいかなかったようですが、その後、徐々に評判となり、いまや日本ロック史に残る名盤の一つとして必ず取り上げられる作品となっています。

本作はそのリリース40周年を記念してリリースされたリマスター盤。さらに本作ではリマスター作のほかに2015 Remixとして、近い将来のハイレゾ化を前提としてマスター盤を作り直すという意図があったそうで、確かに聴いていて音がよりクリアに、今風の仕上がりとなっているように感じました。また、ボーナストラックとしてライブ音源も収録。こちらは音的にはちょっと悪いものの、オリジナルと比べてバンド色の増した内容になっており、当時の臨場感も伝わってくる内容になっていました。

そんな訳で、以前の音源を持っていても、再度要チェックな40周年記念盤。もしこのアルバムを聴いたことない方がいらっしゃったら、これを機に是非ともチェックしておきたい、日本ロックの名盤です。

評価:★★★★★

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2015年10月 8日 (木)

ベスト3は男性グループ

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

シングルチャートでも男性アイドル勢が目立った今週のチャート。アルバムでも上位3組はいずれも男性グループが占めました。

まず1位は韓流の男性4人組バンドCNBLUE「colors」が獲得。1位獲得は日本でのメジャーデビュー作「CODE NAME BLUE」以来2作目。ただし、初動売上3万枚は、前作「WAVE」の3万4千枚(3位)よりダウンしています。

2位にはロックバンドFear,and Loathing in Las Vegas「Feeling of Unity」がランクイン。アルバムのベスト10入りはミニアルバムを含め4作目ですが、2位は自己最高位かつ初となるベスト3ヒットとなりました。ただし、初動売上2万1千枚は前作「PHASE2」(4位)から横バイ。

そして3位にはONE OK ROCK「35xxxv Deluxe Edition」が先週と同じ順位をキープ。売上枚数も1万8千枚から2万枚にアップ。根強い人気を感じます。

続いて4位以下の初登場です。4位5位は声優系シンガーが並んでランクイン。4位に人気女性声優坂本真綾「FOLLOW ME UP」が、5位には人気男性声優谷山紀章率いるユニットGRANRODEO「DECADE OF GR」がそれぞれランクインです。

声優という枠組みを超えてシンガーとして評価が高い坂本真綾は、今年、活動20周年を迎えての新作。おなじみ菅野よう子や鈴木祥子という作家陣に加えて、コーネリアスやthe band apartも楽曲提供を行っています。初動売上1万5千枚は前作「シンガーソングライター」の1万8千枚(6位)からダウン。

一方GRANRODEOは活動10周年を記念してのベスト盤。ベスト盤としてはたった2年前に「GRANRODEO GREATEST HITS~GIFT REGISTRY~」をリリースしたばかり。初動売上1万4千枚は前ベスト盤の1万3千枚(9位)から微増。ただし、直近のオリジナルアルバム「カルマとラビリンス」の2万1千枚(2位)からは大幅にダウンしており、浮動層確保には至っていません。

6位には名古屋を拠点に活動するスターダストプロモーション系のアイドルグループチームしゃちほこ「いいじゃないか」がランクイン。初動売上1万3千枚は前作「ひまつぶし」の1万9千枚(3位)からダウン。

最後7位にはM.S.S.Project「M.S.S.Party」がランクイン。人気動画サイトニコニコ動画で活動するゲーム実況、音楽制作ユニットだそうです。前々作「M.S.S.Phantom」以来2枚目となるベスト10ヒット。初動売上1万3千枚は、前作「M.S.S.PiruPiruTUNE」の6千枚(15位)から大幅アップしています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2015年10月 7日 (水)

今週は男性アイドルが目立つ

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週もトップを飾るのはジャニーズ系。A.B.C-Z「Moonlight walker」が1位を獲得。これまでアルバムリリースやDVDでの「シングル」リリースはあったものの、CDでのリリースはこれがはじめてとなります。初動売上は8万枚。ちなみに直近のアルバム「A.B.Sea Market」は初動4万7千枚(1位)でこれよりはアップ。ただ、ジャニーズ系のシングルとしてはちょっと寂しい結果とは思いますが・・・。

この1位A.B.C.-Zを筆頭に、今週は男性アイドル勢が目立つチャートとなりました。2位氷川きよし「愛しのテキーロ」も、売り方も売れ方も完全にアイドルですよね。ラテン風の2ドラ主題歌系のベタなムード歌謡曲。初動売上4万9千枚は前作「さすらい慕情」の2万8千枚(8位)より大幅アップ。ただし、前々作「ちょいときまぐれ渡り鳥」の5万3千枚よりはダウンしています。

男性アイドル系としては他に韓流男性アイドルユニットSUPER JUNIOR-D&E「Let's Get It On」が6位、スターダストプロモーション所属の男性アイドルグループPrizmaX「Lonely summer days」が7位にそれぞれランクインしています。

SUPER JUNIOR-D&Eは韓流のアイドルグループSUPER JUNIORのメンバー2人よるユニット。初動売上2万9千枚は前作「SKELETON」の3万6千枚(4位)よりダウン。PrizmaXは2作ぶり2枚目となるベスト10ヒット。初動売上2万5千枚は前作「OUR ZONE」の1万3千枚(14位)よりアップ。

一方、上位にはアニメのキャラソンも目立ちました。3位に春日未来(山崎はるか),最上静香(田所あずさ),伊吹翼(Machico) 「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER DREAMERS 01 Dreaming!」、5位に一十木音也(寺島拓篤),聖川真斗(鈴村健一),四ノ宮那月(谷山紀章),一ノ瀬トキヤ(宮野真守),神宮寺レン(諏訪部順一),来栖翔(下野紘),愛島セシル(鳥海浩輔) 「うたの☆プリンスさまっ♪Shining All Star CD2(天空のミラクルスター)」がそれぞれランクインです。

3位はGREE用ゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ!」登場人物によるキャラソン。90年代王道J-POPのようなアイドルソング。初動売上4万7千枚。意外なことに「アイドルマスター ミリオンライブ!」でのシングル曲は2013年の765 MILLIONSTARS「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER PERFORMANCE 01 「Thank You!」」以来。こちらの初動2万7千枚(5位)よりアップ。一方5位はPSP用ゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪」登場キャラによるキャラソン。歌もアレンジもやっつけ感が強くて、よっぽど熱心なファンじゃないと聴いていて辛そうなのですが・・・。初動売上3万6千枚は同名義の前作「うたの☆プリンスさまっ♪Shining All Star CD(RAINBOW☆DREAM)」の3万5千枚(5位)から微増。

そんな男性アイドル勢&キャラソンの間を縫うように女性アイドル勢も。4位にEXILEの事務所に所属している女性アイドルグループによる混合グループE-girls「Dance Dance Dance」、8位に男装による女性アイドルグループ風男塾「もしも これが恋なら」がそれぞれランクイン。風男塾はファン層的には男性アイドルグループに近いのかもしれませんが。

E-girlsは今風のR&B系ダンスチューン。タイトなダンスチューンは素直にカッコよさを感じますが、ちょっとアレンジ過剰な感じも。初動売上4万6千枚は「Anniversary!!」の4万2千枚(3位)より微増。風男塾は初動売上2万3千枚で前作「瞬間到来フューチャー」の1万8千枚(7位)よりアップ。

初登場はあと2枚。といっても今週はベスト10、すべて初登場だったのですが・・・。9位初登場はサカナクション「新宝島」。映画「バクマン。」主題歌。PVがいきなりドリフの大爆笑だったのにはビックリしたのですが(笑)、楽曲は彼ららしいエレクトロテイストでダンサナブルなポップチューン。初動売上1万8千枚は前作「さよならはエモーション」の2万枚(4位)からダウン。

最後10位初登場は女性シンガーLiSA「Empty MERMAiD」。いままでアニソン関連を中心に歌ってきた彼女ですが、今回はノンタイアップ。「ROCKIN'ON JAPAN」なんかにも登場していて、なるほど、そういう方向で売っていきたいのね、と思うようなロックナンバー。前々作「シルシ」以来、2作ぶりのベスト10ヒット。ただし、初動売上は1万8千枚で前作「Rally Go Round」の2万2千枚(12位)よりダウン。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2015年10月 6日 (火)

B級歌謡曲の魅力

以前、「ディスコ歌謡夜の番外地」と名付けた、ディスコ歌謡をテーマにB級歌謡曲を集めたオムニバスアルバムを紹介しました。今回は、そのシリーズに続く2枚のオムニバス盤です。

さらに今回は同じシリーズとして、ソロシンガーの単独盤をCD化してリリースされました。

Title:夜の番外地 ディスコ歌謡 キラキラ★ダンシング クイーン

この「ディスコ歌謡」という企画でユニークなところは、サウンド的にはディスコサウンドを取り入れて、英語詞なども入れて表面的には「洋楽的」なものを取り繕いながらも、メロディーラインはベタな歌謡曲というアンバランスさ。この洋楽的でありながら洋楽ではなく、歌謡曲として亜流さの漂う曲調が、実にB級的で、それが一般受けはしないのかもしれませんが、強烈な魅力となっています。

本作でその傾向が最も顕著だったのが神楽坂かおるの「ディスコ芸者」。タイトルからして想像つきそうなのですが、サウンド的には完全にディスコなのですが、こぶしを利かせたボーカルは完全に演歌。このアンバランスさが実にユニークです。

またB級感漂うといえばエロティシズムを押し出したセクシーなディスコソングもまた耳を惹きます。このコンピで言えばアップルズ「ひげのおまわりさん」なんかがそうでしょうか?セクシーさを感じるボーカルが耳を惹くこの曲を1曲目に配するあたり、心憎いところ。「愛の誘惑 LOVE TO LOVE YOU BABY」などもセクシーさ全開の18禁なエロ歌謡ですし、あらんどろんの「ウィ!シャバダバ」は、ある年代以上の男性ならおそらく一度は聴いたことあるはず・・・そう、男子中学生が親の目を盗んでなんとか見ようとした深夜番組「11PM」の主題歌です。

B級感を漂わせるもうひとつの軸となっているのがコミカルなノヴェルティーソング。笑福亭鶴光の「鶴光の新説SOS」なんかがその枠組みでしょう。あと、ウーパールーパー&チェイン「ウーパー・ダンシング」もその枠組みかな?1985年に大ブームとなったウーパールーパーをテーマとしたダンスチューン。このブームのきっかけとなった日清やきそば「UFO」のCMソングだったそうで、私もどこかで聴いたことある記憶がありました。

そんなB級感あふれる楽曲が並んでおり、最後まで飽きさせないコンピレーション。B級B級といってもメロディーラインには十分すぎるほどのインパクトもあり、ポップソングとしては実は高機能な作品なのかも?B級歌謡曲好きでなくてもはまってしまいそうです。

評価:★★★★

Title:夜の番外地 ディスコ歌謡 ライク・ア・ヴァージン

こちらも冒頭から、ご存じマドンナの名曲のカバー、吹田明日香の「ライク・ア・ヴァージン」からスタート。ウィスパー風のボーカルが妙なエロさを持つナンバーで、マドンナとは違った魅力を感じさせ、どこかB級感も漂いカバーになっています。

ただ・・・正直言ってしまうと、こちらのコンピに関してはあまり楽しめなかったです。その大きな理由が典型的な80年代のアイドルポップが並んでいたから。特に特徴のないボーカルと平坦なメロディーライン。もっと時代が下れば「一回りして面白い」的な印象も受けるのかもしれませんが、基本的にはいまのJ-POPのルーツ的な楽曲なので、昔の曲によくありがちな「逆に新鮮」というイメージも受けませんでした。

そのアイドルポップも、基本的には80年代のアイドルソングの王道路線といった感じで特に面白味もありません。悪い意味でのB級がB級であるゆえんの、平凡さを感じてしまいます。ROSE MAX JR.の「GETTAWAY」みたいなファンキーでカッコイイインストナンバーなんかもあったりしたのですが・・・。正直言って、ちょっといまひとつな選曲に感じました。

評価:★★★

で、もう1枚はソロの単独盤。

Title:ギブ・イット・トゥ・ミー
Musician:トミー

トミーと名乗るこのミュージシャンは、もともとはフラワー・キッスというB級アイドルグループの一員、栄ひとみの別名だそうです。グループ脱退後、トミー・ザ・ビッチと名乗り、シングル「ギブ・イット・トゥ・ミー」でデビュー。本作は、そんな彼女が79年にリリースした唯一のアルバムだとか。ちなみに彼女は栄ひとみ名義で日活ロマンポルノにも主演していたそうです。

これもまさにB級歌謡曲!という1枚。おそらく作品的には邦楽だけど洋楽と勘違いさせる戦略なのでしょう。ジャケットもいかにも洋楽チックですし、作詞作曲陣にも外国人風の名前が並んでいます。ただ実態は、主に作詞を手掛けているALAN ROTHCHILDこそ、ロックバンドSHOGUNのメンバーとしても活躍した在日アメリカ人のケーシー・ランキンですが、主に作曲編曲をつとめるKEN DANIELは佐藤健という、おもいっきり日本人ですし、「CALLING U.S.A.」で作曲を手掛けるDANNY LONGはのちにビーイング系の総帥、長門大幸だったりします。

それだけに彼女の楽曲は、ディスコチューンで歌詞も英語と洋楽風を装いながらも、メロディーラインはおもいっきり歌謡曲風。英語詞ながらも発音は完全にジャパニーズ・イングリッシュ。楽曲的にも英語詞の曲よりも日本語詞だった「抱いて、火をつけて」の方がセクシーさも感じて魅力的じゃないの?とチグハグ。洋楽狙いだけど日本人だって完全にばれてましたよね、当時から。いや、このチグハグさがまたB級テイストあふれる感じでユニークだったりするんですが。

こちらもB級歌謡曲ならではの癖がありますし、正直万人に勧められるような傑作、といった感じではないのですが、妙なインパクトがあって、はまりだすと妙にはまってしまう独特の魅力がありました。上の2つのオムニバスを聴いたら、次は是非、この作品も。

評価:★★★★

夜の番外地 ディスコ歌謡シリーズ 過去の作品
抱いて、火をつけて
卑弥呼

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2015年10月 5日 (月)

細美武士の新バンド

Title:A Mirage In The Sun
Musician:MONOEYES

ELLEGARDEN、the HIATUSで活動していた細美武士がスタートさせた新バンド。メンバーとして同じくthe HIATUSのメンバーでもある一瀬正和や、ART-SCHOOLとしても活動している戸高賢史が参加しているほか、一番驚いたのはアメリカのロックバンドALLiSTERのメンバーでもあり、WEEZERのリバース・クオモとスコット&リバースというユニットを組んだことでも話題となったスコット・マーフィーが参加しています。

the HIATUSも元ミッシェルのウエノコウジや元東京事変の伊澤一葉がメンバーに加わっておりスーパーバンド的な要素が強かったのですが、今回のMONOEYESに関しても、既に他のバンドで実績のあるメンバーが集まった「スーパーバンド」になっています。それだけに、スタート時点から大きな話題となっています。

そんな期待の新バンドなのですが、率直に言ってしまってthe HIATUSをやめて(一時休止?)させてわざわざスタートさせたバンドがこれ?と思ってしまいました。いや、決してバンドとしてもアルバムとしても悪いわけではありません。ただ正直なところthe HIATUSとの大きな違いがさほど感じられません。いや、熱心なファンだったら全然違う、と思うのかもしれませんし、細かい部分では様々な違いもあるでしょう。ただ、パッと聴いた印象としてはthe HIATUSとさほど大きな違いを感じませんでした。

the HIATUSも直近作「Keeper Of The Flame」ではエレクトロサウンドを取り入れてバンド色が薄めになっていました。それに対して本作では、「Cold Reaction」ではガツンとしたギターサウンドからスタートし、へヴィーなバンドサウンドを聴かせる作品からスタート。そういう意味ではバンド路線に回帰した、と言えるのかもしれません。ただ全体としてはパンキッシュなオルタナ系ギターロックがメインで、the HIATUSでも出来るよなぁ・・・とも思ってしまいます。

個人的にはスコット・マーフィーが参加したことにより、もっとキュートなパワーポップ路線が強調されることを期待もしたのですが、その方向性で目立ったのは「Do I Have To Bleed Again」くらい。英語詞の曲が多く、洋楽テイストが強まるかと思いきや、どこか邦楽的な泥臭さも目立ち、垢抜けきれない部分も感じました。まあ、この「垢抜けなさ」もひとつの魅力ではあると思うのですが。

またちょっと残念だったのはバンド路線に回帰した結果、the HIATUSに比べて細美武士の書くメロディーラインの良さがちょっと後ろに下がっちゃったかな、という点。「My Instant Song」「グラニート」など、インパクトあるメロディーは確実に書いてきているのですが、全体的にはバンドサウンドが主軸として構成された内容になっており、メロディーの良さがあまり表に出てこない内容になっていました。

ELLEGARDENはインディーデビューからthe HIATUSまで約7年。the HIATUSはわずか6年。どちらのバンドもまだ解散した訳ではありませんが、細美武士の移り気の早さにはちょっと気になります。それも大きくスタイルを変えたわけではなく、結局、似たタイプの曲を演っている訳で・・・。MONOEYESは・・・何年続くのかなぁ・・・。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

失神/女王蜂

復帰後初となるアルバム「奇麗」に収録されていた「売春」を「売旬」と名前を変え、さらにゲストシンガーとして篠崎愛とドレスコーズの志磨遼平を迎え再録音。さらに新曲3曲を加えたミニアルバムです。

前作から間もないということもあり、全体の印象としては前作から大きく変わらず。ただ、「売旬」に関してはもともと男女の掛け合いだったのがゲストボーカルが入りユニークに。特に篠崎愛のバージョンは、意外と彼女、大人っぽいセクシーなボーカルで歌も上手いんですね、「怪しげ」という意味では薄れたのかもしれませんが、「セクシーさ」という意味では原曲を上回る作品となっていました。

評価:★★★★

女王蜂 過去の作品
孔雀
蛇姫様
奇麗

CUTE/TOWA TEI

細野晴臣、NOKKO、UAなど、またも豪華なゲストが参加したTOWA TEIの新作。音数を絞ったシンプルでタイトなトラックに、テンポのよいリズム、爽やかでポップなメロディーラインと相変わらず高クオリティーのエレクトロポップが展開。目新しさという部分では薄さを感じますが、卒なく安心して聴ける安定感ある内容になっていました。

評価:★★★★

TOWA TEI 過去の作品
BIG FUN
MACH2012
LUCKY

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2015年10月 4日 (日)

よりポップに

Title:La Di Da Di
Musician:BATTLES

デビューアルバム「Mirrored」が大きな話題となり、一躍注目を集めたアメリカのエクスペリメンタルロック・バンドによる4年ぶり3枚目となる新作。デビュー時のメンバーのひとり、タイヨンダイ・ブラクストンが2ndアルバムリリース前に脱退。そんな彼は先日、ソロアルバムをリリースしましたが(こちらは残念ながら未聴ですが)、BATTLESも負けじと(?)久々となるニューアルバムをリリースしてきました。

BATTLESというとイメージ的にダイナミックで複雑なサウンドを奏でるバンド、というイメージがありました。1stアルバム「Mirrored」でそんなミュージシャンイメージを確立したのですが、タイヨンダイ脱退後の2ndアルバム「Gloss Drop」でも基本的にそのイメージは引き継いでいました。

今回、久々となった新作では「La Di Da Di」というタイトルからして、いままでの彼らのイメージとはちょっと異なる軽さを感じます。そして実際、今回のアルバムはいままでの彼らとはちょっと異なる、いい意味での軽い雰囲気を感じさせるアルバムでした。

例えば1曲目を飾る「The Yabba」からして比較的シンプルなサウンドにメロディアスなメロディーラインが特徴的な曲になっていますし、アルバムに先行して音源が公開された「FF Bada」にしてもダイナミックに音を埋める、というよりも比較的シンプルな音のアンサンブルを楽しむスタイル。「Dot Com」にしても比較的シンプルなエレクトロトラックとバンドサウンドでポップにまとめあげているナンバーになっていますし、事実上、最後の曲となる「Luu Le」についても、エレクトロサウンドに実験的要素が強い部分もありつつ、基本的には音の間を聴かせるような構成となっています。

もちろん「Summer Simmer」のようにリズムにダイナミックさを感じるナンバーやトライバルなドラムとノイジーなギターで埋め尽くされた「Tricentennial」のような曲もあります。また、比較的シンプルとはいえ、楽曲全体としては複雑な構成を持った曲も多く、BATTLESらしさはもちろん健在。そういう意味では以前からのファンの方もすんなり楽しむことが出来る作品だったと思います。

タイヨンダイ脱退後現在のメンバーとなり2作目となる本作。前作からちょっと間は空いてしまったものの、BATTLESとしての変わらない部分と新たな歩みを同時に感じるアルバムだったと思います。次回作はもうちょっと短いスパンで聴きたいな。相変わらず彼らの実力を実感できた傑作でした。

評価:★★★★★

BATTLES 過去の作品
MIRRORED
GLOSS DROP

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2015年10月 3日 (土)

偉大なるセシル三部作

Title:セシルの季節 La saison de Cecile 1995-1999
Musician:小島麻由美

今年がデビュー20周年となる女性シンガーソングライター、小島麻由美。デビュー当初から独特な個性を持つレトロなポップソングが大きな注目を集め、高い評価を得ました。特にデビュー作の3作「セシルのブルース」「二十歳の恋」「さよならセシル」は「セシル三部作」と呼ばれて、今なお名盤として高い評価を誇っています。

彼女の音楽は、昭和歌謡風、レトロポップなどと称されていますが、具体的にはジャズの前身であるラグタイムや、ジンタと呼ばれる戦前の音楽隊、あるいは歌謡シャンソンなどの雰囲気を強く感じます。この彼女の方向性は、セシル三部作でほぼ確立。その後ももちろん数多くの傑作を生み出している彼女ですが、基本的にはその後の作品は、セシル三部作の延長、あるいは再解釈といった感じとなっています。

今回紹介するのは、そのセシル三部作がリマスタリングされて再リリースされたボックス盤。そこにデモ音源やインスト版、未発表曲などもボーナストラックとして収録。さらに当時未発表に終わった、幻の4thアルバム「愛のミラージュ」を4枚目のCDに収録されています。

今回、このボックス盤であらためてセシル三部作を聴くと、この3枚のアルバムで小島麻由美が様々な方向性を模索していたということをあらためて強く感じます。デビューアルバム「セシルのブルース」はある意味、無邪気さも感じる軽快なポップがメイン。歌詞も軽くどこかコミカル。よくよく聴くと、エロチックな内容じゃないか?と思うような歌詞も、サラッとポップに歌いあげているのがおもしろさを感じます。

それが「二十歳の恋」になると一転ダークな方向性になるのがおもしろい感じ。メロディーも悲しげなものが多く、「セシルのブルース」とは明らかに別の方向を模索しているように感じます。さらに「さよならセシル」になると、その2つの作品の融合的な作風に。ただこの3枚目、スキャットやインストの曲も多く、名盤には間違いないものの、前2枚のアルバムにくらべるとその位置づけに苦しんでいるようにも感じました。

その流れからすると、続くアルバム「愛のミラージュ」が幻に終わったというのも納得がいきます。実際、この曲に収録されている曲の中には、シングルとして発表済で聴いたことある曲も多く、それらも間違いなく「名曲」であるのですが、アルバムとして通して聴くと、正直セシル三部作にくらべるとちょっとアルバムとしてのインパクトは薄いかな、と感じてしまいます。実際、セシル三部作を発表した後、音楽活動はほとんど音沙汰がなくなってしまい、当時は「引退か?」とまでさわがれていたのですが、いまさらながら「さよならセシル」からその次のアルバム「MY NAME IS BLUE」までに3年以上の月日を要した理由がよくわかるような気がします。

今回のボックス盤ではそんなセシル三部作の素晴らしさをあらためて感じることが出来たのに加えて、非常に良かったのがボーナストラックに収録されているインスト版。いずれも原曲からボーカルを抜いただけの曲なのですが、これだけでしっかりひとつの曲として成り立っている点に驚かされました。いずれもインストとしての演奏だけで十分惹きつけられるだけのメロディーが奏でられていたり、迫力があったり。楽曲の完成度の高さを再認識させられました。

そんなわけで彼女のデビュー以来の3作の素晴らしさにあらためて感激したボックス盤。3枚とも持っている方ももちろん要チェックな作品。「愛のミラージュ」以上にインスト版は聴く価値ありの名曲でした。

評価:★★★★★

小島麻由美 過去の作品
a musical biography KOJIMA MAYUMI 2001-2007
ブルーロンド
渚にて
路上
With Boom Pam

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2015年10月 2日 (金)

地獄の次は天国

Title:Ride into HEAVEN
Musician:MO'SOME TONEBENDER

前作「Rise from HELL」からわずか4ヶ月というスパンでリリースされた8曲入りのミニアルバム。タイトルからもわかるように前作とは対となる作品。前作から2部構成になっており、「地獄盤」と称された前作に対して、本作は通称「天国盤」と呼ばれているそうです。

その前作「地獄盤」ではへヴィーなガレージロックがメインの作品となっていました。ただそんな中、ラストを飾る「イミテイションシティ」はエレクトロサウンドのナンバーとなっており、そのため次回作である本作では、当然エレクトロサウンド主体のアルバムになる、と予想していました。

実際、今回のアルバムは1曲目「long long long」からシンセの音でスペーシーなサウンドになっていましたし、続く「nuts」もバンドサウンドが主導になりつつも、トランシーなリズムが入ってくるなど、予想通り、エレクトロテイストの強いナンバーになっていました。

またメロディーラインも、「天国盤」という通称の通り、明るい曲調のものが多く、へヴィーな作風だった前作とは対照的。これに関しても当初の予想通りといった印象でした。

ただ一方で思っていたより違っていたのは、意外とバンドサウンドを前面に押し出しており、ロック色が強かったという点でした。ファンキーなベースラインの「sparkle music」や、パンキッシュなバンドサウンドが前面に出た「SPACE KABUKICHO BUDDHA」。さらに「hit parade」などは完全にオルタナ系のギターロック路線でした。個人的には、本作はエレクトロサウンドが全面的に前に押し出したような作品を予想していただけに、思った以上にバンドサウンドがメインとなっている構成はちょっと意外にも感じました。

とはいえアルバムの内容としてはシンセを使ったエレクトロテイストの強い、明るいポップス風のナンバーという点で共通しており、「地獄盤」とは異なる方向性で統一感もありました。今回、2枚のアルバムにわけた、ということはそれだけモーサム自身の音楽的な興味が多岐にわたっている、ということなのでしょう。もし「天国盤」と「地獄盤」をむりやり1枚のアルバムにしたら、おそらく統一性がなくバラバラな印象を受けたと思います。また、別々のアルバムにすることにより、「地獄盤」の時にも感じたのですが、「地獄盤」で演ったガレージロックに浮気することなく、エレクトロ方面でやりたいことを迷うことなく出来たのではないでしょうか。

さらに今回のアルバムでまた耳を惹いたのがユーモラスさもある歌詞。「SPACE KABUKICHO BUDDHA」ではSF作品風な歌詞で現代社会を皮肉っていますし、「NAKAYOSHI 11」はモーサム版「そして誰もいなくなった」といった感じなのがユニーク(ちょっと怖い歌詞でもありますが)。この歌詞のおもしろさという点でも、歌詞のベクトルこそ異なれど、「地獄盤」に共通するものがありました。

前作「地獄盤」はガレージロックでモーサムの本領発揮といった感じでしたが、今回のアルバムはエレクトロサウンドでモーサムの音楽性の幅広さを感じつつ、一方ではバンドサウンドがしっかりと主軸となっており、モーサムのコアの部分がどこにあるのか、ということもあらためて実感できる作品になっていました。なによりもこの2枚で、モーサムがやりたいことを目いっぱい演った、という印象を受けました。それだけに、このアルバムの次は彼らがどのような方向に進むのか・・・それもまた、楽しみです。

評価:★★★★★

MO'SOME TONEBENDER 過去の作品
C.O.W.
SING!
youth
STRUGGLE

BEST OF WORST
Strange Utopia Crazy Kitchen
Baseball Bat Tenderness
Rise from HELL


ほかに聴いたアルバム

Behind The Tokyo/ストレイテナー

2枚組となるライブ盤。4月に行われた豊洲PITでのステージからセレクトした音源だそうですが、ベスト盤的なセレクトとなっており、オールタイムベストとしても楽しめる内容になっています。MCはなく、客席からの歓声もあまり拾っておらず、ライブアルバム的な臨場感はちょっと薄めなのですが、その分、ベスト盤的に楽しめる内容になっています。

そんな彼らの楽曲をあらためて聴くと、やはりカッコいいな、と思ってしまいます。ハードで分厚い音のバンドサウンドと意外とポップなメロディーライン。洋楽テイストの強い英語詞のナンバーの方がよりカッコよく感じる反面、インパクトの強いメロディーラインが印象に残るのは意外と日本語詞のナンバーだったりして。ストレイテナーの魅力をあらためて実感できたライブ盤でした。

評価:★★★★★

ストレイテナー過去の作品
Immortal
Nexus
CREATURES
STOUT
STRAIGHTENER
21st CENTURY ROCK BAND
Resplendent
Behind The Scene

アカリタイトル2/LITTLE

KICK THE CAN CREWのMC、LITTLEによるソロアルバム。以前からJ-POPテイストの強いポップな作風が持ち味の彼でしたが、本作もポップテイストの強い作品に。歴史ネタの「Bad Boy 武士」やBEASTIE BOYSの替え歌でラーメンについて歌った「Check It 拉麺」など、聴いているだけで楽しくなってくるような曲も多い内容になっています。HIP HOPとしての目新しさはありませんが、むしろHIP HOP好きよりもJ-POPリスナーに楽しめそうなアルバムになっていました。

評価:★★★★

LITTLE 過去の作品
“Yes”rhyme-dentity
アカリタイトル

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2015年10月 1日 (木)

洋楽が「3作」

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週のアルバムチャートでは、初登場の中、洋楽勢が目立ちました。

まず6位にアメリカのロックバンド、MAROON5「Singles」がランクイン。こちらはタイトルからもわかる通り、彼ら初となるオールタイムベスト。初動売上1万枚は直近のオリジナルアルバム「V」の1万9千枚(4位)からダウン。ただこのアルバム、昨今の洋楽の全世界リリースにあわせて金曜日の発売となっているため、集計日数は2日間少なくなっています。

さらに10位にはイギリスのロックバンド、NEW ORDER「Music Complete」が入ってきました。シルバーウィークが対象週となった影響で、異常に低水準となった今週。10位にギリギリ入った本作は初動売上4千枚という少なさだったのですが、見事ベスト10入りを果たしています。

で、今週の洋楽は以上・・・と言いたいところなのですが、実はもう1枚、「洋楽扱い」のアルバムが。それが3位に初登場したONE OK ROCK「35xxxv Deluxe Edition」。こちら、ONE OK ROCKの北米デビュー作。今年2月にリリースした「35xxxv」をすべて英語詞として取り直した作品。輸入盤オンリーでのリリースなのですが、見事ベスト3ヒットとなりました。初動売上は1万8千枚。さすがに「35xxxv」オリジナル作の初動16万4千枚(1位)からは大きくダウンしているものの、それでもベスト3入りには高い人気を感じさせます。

さて、1位に戻ります。

今週1位を獲得したのはEXILE TAKAHIRO「the VISIONALUX」。ミュージシャン名通り、EXILEのメンバー、TAKAHIROによる初となるソロアルバム。初動売上は3万8千枚。EXILEからのソロアルバムとしては、EXILE ATSUSHIのソロ単独でのデビュー作「Music」が初動17万3千枚(2位)、MAKIDAIがDJ MAKIDAI名義でリリースした「DJ MAKIDAI from EXILE Treasure MIX」が初動2万1千枚、脱退した清木場俊介のソロデビュー作「清木場俊介」が4万3千枚(5位)となっており、ソロデビュー作の初動売上としてはそこそこといった感じでしょうか。

2位には先週1位を獲得したAAA「AAA 10th ANNIVERSARY BEST」がワンランクダウンでこの位置になっています。

続いて4位以下の初登場ですが、4位にEvery Little Thing「Tabitabi + Every Best Single 2 ~MORE COMPLETE~」がランクイン。こちら、彼女たちのニューアルバム「Tabitabi」に、5枚組のコンプリートベスト、さらには2枚のDVDがついてくるという、とんでもないボリュームのバージョン。もちろん、DVDなしのバージョンや、オリジナルアルバム「Tabitabi」のみでのリリースもあります。初動売上1万4千枚はオリジナルアルバムとしての前作「FUN-FARE」の9千枚(7位)よりアップ。ただしベスト盤としての前作「Every Best Singles ~COMPLETE~」の8万1千枚(4位)からは大きくダウンしています。

初登場最後9位には、もともとはニコニコ動画への投稿で人気を博し、その後「名探偵コナン」のオープニング曲も話題となった女性シンガーVALSHEのベスト盤「DISPLAY -Now & Best-」がランクインです。初動売上5千枚は直近のミニアルバム「ジツロク・クモノイト」の3千枚(26位)からアップ。昨年2月にリリースしたオリジナルアルバム「V.D.」以来2作目のベスト10ヒットとなりました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に。

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