DR.DREの集大成
Title:COMPTON
Musician:DR.DRE
かつては伝説のラップグループN.W.Aのメンバーとしても活躍。ソロとしても1999年にリリースしたアルバム「2001」が名盤の誉れ高い、アメリカを代表するラッパーの一人、DR.DRE。2000年代に入って以降はプロデューサーとしての活動が先行し、最近ではラッパーとしての活動よりも、かのエミネムのプロデューサー、という説明の方がピンと来るかもしれません。
そんな彼の、名盤「2001」以来16年ぶりとなるニューアルバム。もともと「2001」リリース後、「Detox」というアルバムを制作していることをアナウンスし続けてきましたが、結局、この「Detox」というアルバムはキャンセル。結果リリースされた待ちに待ったニューアルバムは彼が以前所属していたN.W.A.の伝記映画「Straight Outta Compton」のサントラ、という位置づけでもあるそうです。
今回のアルバムでもうひとつ話題となったのは、本作がDR.DRE名義でリリースされる最後のアルバムになる、とアナウンスされたこと。まあ、もちろん今後も、彼自身は音楽活動をやっていくでしょうし、その過程で「DR.DRE」とは別名義でのアルバムもリリースされるものとは思うのですが、ひとまずは彼自身の音楽活動の一区切りとなる、という意味では久々のアルバムリリースという意味も含めて注目度の高い作品であることは間違いないかと思います。
そんな彼自身の音楽活動の区切りとなるアルバムであり、彼自身、これがひとつの集大成ということを意識したのでしょうか、アルバム自体は非常に王道といった感じで、目新しさ、新鮮味といった部分はほとんど感じません。ただし、楽曲自体はDR.DREらしいというか、比較的シンプルなトラックの中、力強いラップを中心とした構成はインパクトも十分。目新しさはない、とはいってもアルバムとしては十分リスナーの耳を惹きつけられる魅力を備えた内容になっていました。
参加メンバーもおなじみエミネムはもちろん、N.W.A.の盟友ICE CUBEやSNOOP DOGGといったベテラン勢から、最近話題のKENDRICK LAMARやANDERSON.PAAKといった若手勢も参加。DR.DREとしてのラストアルバムにふさわしく、彼に関連するラッパーが全員集合したようなラインナップ。こちらも「集大成」にふさわしい内容になっています。
内容的には物珍しさもなく、傑作の誉れ高い前作「2001」に比べると物足りなさを感じてしまう部分もあるかもしれません。ただ、これはこれで十分DR.DREとしての実力を感じられ、最後までダレルことなく楽しめることが出来る傑作だったと思います。これでDR.DREとしての活動は終わりということになるのでしょうが、これからも是非、何らかの形で作品を世にリリースしてくれることを期待して。あっさり「これで最後」なんてことを忘れて、まだDR.DREとして新作をリリースしてきたりして(笑)。
評価:★★★★★
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