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2015年9月29日 (火)

大人になったTHE LIBERTINES

Title:Anthems For Doomed Youth(邦題 リバティーンズ再臨)
Musician:THE LIBERTINES

THE LIBERTINESが待望のニューアルバムをリリース!ここ数年、断続的にTHE LIBERTINESとしてのライブ活動などを行っていた中、昨年12月にニューアルバムのリリースを発表。それから9ヶ月以上の期間を経て、実に11年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

THE LIBERTINESは、おそらくご存じの方も多いと思いますが、2000年前半のガレージロックリバイバルの中に出てきたイギリスのバンド。2004年にリリースされた2ndアルバム「The Libertines(邦題 リバティーンズ革命)」は本国イギリスのアルバムチャート1位を獲得したほか、各種メディアでも絶賛、大きな話題となりました。

ただ、彼らが有名になったのはもちろん楽曲自体の内容にもあるのですが、スキャンダラスなトラブルネタでも大きな話題となりました。というのも中心メンバーでボーカルのピート・ドハーティが重度のドラッグ中毒に陥り、数多くのトラブルを引き起こしたことでよく話題にのぼりました。同じく中心メンバーのギタリスト、カール・バラーとの仲についてもよく取り上げられました。

バンドはそんなピートのドラック中毒の影響でわずか2枚のアルバムをリリースしたのみで解散となったのですが、解散後しばらくした後にピートとカールの交流も再開し、再活動。さらにはついにニューアルバムのリリースとなりました。

さて、そんな彼らのニューアルバム。もし、解散後に彼らのことスキャンダルネタで知り、今回はじめてアルバムを聴く、という方がいたらその内容に驚くかもしれません。スキャンダラスなネタとは裏腹に、楽曲自体は時としてメランコリックさも感じるメロディアスなメロディーラインを主軸としたギターロック。破天荒なピートのスキャンダラスネタからはちょっと想像がつかないような、繊細さも感じる美メロを聴かせてくれています。

この繊細なメロディーラインという路線自体に以前の彼らの楽曲にも共通しており、以前からのファンにとってはもちろん違和感はないかもしれません。ただ、2ndまでの彼らと比べると、楽曲自体がよりまとまり安定感も出て、良くも悪くも大人になった、という印象を受けました。

というのも、以前の彼らの作品は、確かにメロディアスなメロディーを聴かせる一方で、ガレージロックらしいラフだけど力強いバンドサウンドも同時に鳴っており、荒々しさも同時に感じさせる内容になっていました。

今回のアルバムに関してもボーカルに関しては以前の作品と同じく、ちょっとヨレヨレな部分も感じます。楽曲的にも「Barbarians」のようにガレージ色の強いバンドサウンドになっている曲も確かにありました。

ただ全体的にはポップなメロディーが主体の内容。ロック色に関しては薄めで、曲に関しても良くも悪くも落ち着いてしまった感もあります。アコギやピアノ、ストリングスなどを入れたような作品も少なくありませんでした。

落ち着いた楽曲の中には、もちろん名曲も少なくありません。例えばタイトル曲でもある「Anthem For Doomed Youth」はノスタルジックな雰囲気も感じる切ないメロディーラインが心に残りますし、ピアノのアレンジが美しい「You're My Waterloo」も、まさしく美メロと言えるメロディーラインが胸をうちます。

そんな訳で、全体的にはメロディーメイカーとしての才がより前面に出た、大人になったTHE LIBERTINESといった感じの新作。以前の彼らを求める人にとっては若干物足りなさも感じてしまう反面、これはこれで新たな一歩なのかなぁ、なんてことも思ったりして。いいアルバムだとは思うのですが、THE LIBERTINESの待望の新作として、評価は難しい部分も感じました。そういう意味では、次回作で新生THE LIBERTINESの真価が問われるといった感じでしょうか。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

CLARK/CLARK

WARP所属のエレクトロミュージシャンの新作。やはりセルフタイトルということで自信作なのか、メタリックな雰囲気の強く、スペーシーで壮大さを感じる楽曲は、いままで聴いた彼の作品の中でもっともインパクトがあったかも。基本、リズミカルでポピュラリティーもある内容なので、テクノ好きには幅広く受け入れられそうな作品。いい意味で聴きやすく、最後までダレることなく楽しめた作品でした。

評価:★★★★★

CLARK 過去の作品
Totems Flare
Iradelphic

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