ベタとカッコよさの両立
Title:ラヴァーマン
Musician:ORIGINAL LOVE
ORIGINAL LOVEのニューアルバムは、まずジャケット写真に「おおっ!」と思ってしまいます。バイクにまたがるORIGINAL LOVE田島貴男は美女(予想)と二人乗り。さらに背景には東京の夜景と、そしてスカイツリー・・・うーん、冷静に考えるとベタベタ(笑)。でも、田島貴男がORIGINAL LOVEとして演じるとカッコよく決まっています。この「カッコいい」という部分と「ベタ」という部分が絶妙にバランスしているジャケット写真。そしてこの「ベタ」と「カッコよさ」の絶妙なバランスが本作の大きな特徴になっているようにも感じました。
まず本作は、非常にポップな作品が多く並んでいました。特に前半、「ラヴァーマン」「ビッグサンキュー」とポップな色合いの濃い作品が続きます。さらにそれに続くはアイドルグループNegiccoに提供した「サンシャイン日本海」のセルフカバー。歌詞も含めてアイドルポップテイストも強い作風で、そういう意味では「ベタ」ともいえるポップ路線の曲が並んでいます。
ただ「ベタ」といってももちろん平凡なJ-POPではありません。絶妙にソウルやジャズの要素を取り込んだポップとして仕上げており、非常に「カッコいい」曲に仕上げています。わかりやすいポップソングという「ベタ」さと、ソウルやジャズの要素を取り込んだサウンドに絶品のメロディーセンスという「カッコよさ」を見事両立させているように感じました。
中盤以降も、エレクトロのアレンジが軽快な「クレイジアバウチュ」にミュージカル的な楽しさを感じるアレンジがほどこされた「99粒の涙」、さらにストリングスを入れて爽快に仕上げた「希望のバネ」など、いい意味で聴きやすくインパクトのある、ポップテイストの強い曲が並んでいます。最後のボーナストラック田島貴男ソロ名義の「ウイスキーが、お好きでしょ」は若干蛇足気味かな、という感じはしないのではないのですが。
そんな訳で、いままでのORIGINAL LOVEの作品の中でも、特にポップテイストが強く、良い意味で聴きやすいアルバムだったと思います。そして同時に、彼の魅力もきちんと伝わってくるカッコいいアルバムでした。相変わらず安定感あるよなぁ。さすがです。
評価:★★★★★
ORIGINAL LOVE 過去の作品
白熱
エレクトリックセクシー
ほかに聴いたアルバム
LIFE PROBE/LAMP IN TERREN
これがメジャー2作目となるスリーピースロックバンド。それなりにインパクトのあるメロディーラインも、現実をシニカルに描いた歌詞も悪くはないのですが、ちょっとファンタジックな雰囲気のある歌詞とメロはまるっきりBUMP OF CHICKENだし、歌詞の方向性はちょっとSyrup16gだし、正直言って、LAMP IN TERRENのみの個性というのが薄いように感じます。良くも悪くも典型的な「ロケノン系」。もうひとつ壁を乗り越えてほしいところですが・・・。
評価:★★★
LAMP IN TERREN 過去の作品
silver lining
OLest/Charisma.com
女性2人組HIP HOPユニットの、これがメジャーデビュー作となるミニアルバム。OLの本音をストレートに描いた歌詞が毒をもちつつかなり強烈。トラックもエレクトロサウンドがポップで聴きやすい内容。基本的には前作「DIStopping」のスタイルそのままなのですが、毒の要素は増したようにも思えます。わずか8曲入りなのがちょっと残念。現役のOLという彼女たちらしい強烈な歌詞を男社会の現在にまだまだ聴かせてほしいところ。
評価:★★★★
Charisma.com 過去の作品
DIStopping
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