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2015年9月 5日 (土)

前作とは対となる作風

Title:わたくしの二十世紀
Musician:PIZZICATO ONE

ご存じ小西康陽がPIZZICATO FIVEを解散させて約10年後に立ち上げたソロプロジェクトPIZZICATO ONE。2011年に傑作アルバムをリリースした後、約4年を経て、ようやくニューアルバムがリリースされました。

4年というインターバルを経てリリースされた新作なのですが、基本的には前作「11のとても悲しい歌」と対になるようなアルバムになっていました。前作は海外からゲストボーカルを招いて洋楽をカバーするアルバムになっていましたが、本作は、ピチカート・ファイヴをはじめとして彼の作品をセルフカバーした内容。また、ゲストボーカルも西寺郷太や甲田益也子、さらに小泉今日子などといった国内のミュージシャンを招いています。

一方では前作との共通項も多く、まず基本的にシンプルでかつアコースティックなアレンジがほどこされているということ。ジャズやソウルテイストのアレンジが多いという点も前作と似たような雰囲気になっています。もちろんシンプルといっても小西康陽のアレンジによるだけに凝ったアレンジの作品が多いのですが、あくまでも歌をメインとして構成された楽曲で、サウンドは歌に彩りを添える役割に徹しているように感じました。

また共通項としては、前作はタイトルにそのものズバリ「悲しい歌」と明示されていたのですが、本作も楽曲からどこか「悲しさ」が伝わってくる歌詞が多いように感じました。例えばそのものズバリ「私が死んでも」がイントロを挟んでの事実上の1曲目に飛び込んで来たり、

「もしもゆうべ観た夢が
本当になるのなら
ぼくはたぶんもうすぐ
死ぬのかもね」

(「ゴンドラの歌」より 作詞 小西康陽)

なんていう歌詞がいきなりのっけから飛び込んでくる「ゴンドラの歌」もムッシュかまやすの朴訥とした語りにのせて耳に入ってきます。

前作ではそんな「悲しい歌」がポップなメロディーラインに乗ることにより、ピチカート・ファイヴと同様の非日常感が大きな魅力でした。一方本作では、ピチカート・ファイヴの曲では野宮真貴の明るいボーカルとキュートなアレンジにデコレートされ「非日常感」を演出していた楽曲から、そのデコレートを取り去ることにより、楽曲にピチカート・ファイヴの曲では直接には感じられなかった一種のリアリティーを意識させられる曲になっていたように感じます。そういう意味では似たようなタイプのアレンジだったのですが、聴いた後の余韻としては、前作とは全く異なる余韻の残りました。

そんな訳で、パッと聴いた感じだと前作と似たような作風ながらも、前作とはまた異なる小西康陽の魅力を感じることが出来た傑作でした。また本作も、長く愛聴できそうです。でも、次の作品はもうちょっと早く・・・といってもまたマイペースな活動が続くんだろうなぁ。

評価:★★★★★

PIZZICATO ONE 過去の作品
11のとても悲しい歌


ほかに聴いたアルバム

HEN 愛 LET'S GO! 2~ウルトラ怪獣総進撃~/POLYSICS

前作に引き続き、POLYSICSハヤシが好きなものについて思う存分歌った「偏愛」シリーズ。本作の偏愛の対象はウルトラマンに出てくる怪獣たち。円谷プロ全面協力のもとに、怪獣の鳴き声や足音なども曲の中に使われています。

全体的にいつも通り、というかいつも以上にパンキッシュな内容。ウルトラ怪獣への愛情が滔々と語られています。おそらく、ウルトラ怪獣が好きな方ならかなり楽しめる内容・・・だと思うのですが、私みたいに全く思い入れがない人にとっては、ちょっと「うるさい」という印象すら抱いてしまう内容かも(苦笑)。まあ、ハヤシのウルトラ怪獣への愛情は、十分伝わってくるような内容でしたが。

評価:★★★

POLYSICS 過去の作品
We ate the machine
We ate the show!!
Absolute POLYSICS
BESTOISU!!!
eee-P!!!
Oh!No!It's Heavy Polysick!!!
15th P
Weeeeeeeeee!!!
MEGA OVER DRIVE
ACTION!!!
HEN 愛 LET'S GO!

Tint/大貫妙子&小松亮太

大貫妙子と、日本を代表するバンドネオン奏者、小松亮太のコラボアルバム。基本的には、女性シンガーとタンゴのミュージシャンのコラボ・・・と聞いてイメージされるような作風。バンドネオンだけでなく、ピアノやストリングスを効果的に用いた優雅な演奏を哀愁たっぷりに聴かせてくれます。良くも悪くも期待どおりといったアルバム。

評価:★★★★

大貫妙子 過去の作品
UTAU(大貫妙子&坂本龍一)
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