90年代後半に話題となったバンド
Title:GREATEST HITS
Musician:yes,mama ok?
金剛地武志というタレントをご存じですか?73分けの髪形にメガネという、典型的なサラリーマンという風貌が忘れられないようなインパクトを持ったタレントさんで、かつては「クイズヘキサゴン」の準レギュラーとして出演していたこともあったほか、数多くのドラマにも出演していたので、おそらくご存じの方も多いかと思います。
そんな彼が、本業がミュージシャンである、ということをご存じの方は少ないのはないでしょうか。yes,mama ok?というバンドで90年代後半に活躍していました。「知る人ぞ知る」・・・と言いたいところなのですが、確かに一般的な知名度は高くはありませんでしたが、その音楽性の高さから音楽ファンの間では当時、話題となったバンドでした。
そんな彼らが結成20周年を記念してリリースされたのが、初のベスト盤となる本作。人気のインディーバンド、スカートの澤部渡選曲により、バンドのリーダーである金剛地武志前面監修によるベスト盤となっています。
リアルタイムで話題になっていたことを知っていたのですが、実は彼らの音源をちゃんと聴くのは今回がはじめて。ただ一度だけ彼らのライブを見たことがあり、その時にとてもいいバンドだなぁ、と感じたことを覚えています。
楽曲は、「遅れてきた渋谷系」という言い方をよくされていた彼らなだけに渋谷系っぽいキュートなギタポがメイン。例えば「Kiss Kiss Bang Bang」などはまさに典型的な渋谷系、といったイメージがあります。
ただ彼らの音楽がとてもおもしろいのは渋谷系っぽいギタポサウンドをベースに、それを歪めてきている点でした。「Farewell Gritty Pudding」のように、軽快なギタポ路線かと思いきや、途中にノイジーにゆがんだギターサウンドを入れてきたり、「Q&A call 65000」などは男性ボーカルパートがちょっとガレージ風だったり。
他にも「heart break kitchen」はアイドルポップ風だったり、「最高のblues」のようにロック色が強かったり。正統派な渋谷系か、と思いつつ聴いていると、その路線から微妙に離れた楽曲が飛び出してくるのがとてもユニーク。爽快なポップ路線かと思いきや、その中に微妙な「毒」の要素が入ってくるのが、彼らの大きな魅力に感じました。
確かに一方では、サビに忘れられないようなインパクトのあるフレーズがある、とか、そういうヒットに即つながるような部分はあまりない、という点が話題になりつつ大ブレイクできなかった大きな要素なんだろうなぁ、なんて思いつつ、ただ全体的には非常に魅力的なバンドだった、ということがよくわかるベスト盤でした。
バンドとしては解散していないみたいだし、20周年を機に、久々のライブもやったみたいだし、これを機に、本格的に再始動、ということにはならないのかなぁ。「遅れてきた渋谷系」と称される楽曲も、今となっては一回りしてむしろ新しさすら感じる人も少なくなさそうだし。どうでしょうか?
評価:★★★★★
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