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2015年9月

2015年9月30日 (水)

金曜日発売ながらも

今週のシングルチャート

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今週1位はSEKAI NO OWARIのニューシングル「SOS」が獲得しました。

映画「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド」主題歌。英語詞でアコースティックなサウンドの美しいメロディーラインのポップス。初動売上5万7千枚は前作「ANTI-HERO」の初動7万7千枚(2位)よりダウン。ただし今回のシングル、発売日が金曜日で集計期間が水曜発売の前作よりも2日間短くなっています。今週の他のシングルももちろん水曜日発売。それにも関わらず1位獲得というのには、彼らの強さを感じます。

なお、1位獲得は昨年1月にリリースした「スノーマジックファンタジー」以来4作ぶり2作目となっています。

続く2位初登場は韓国の男性アイドルグループGOT7「LAUGH LAUGH LAUGH」。火曜日のデイリーでは1位を獲得するなど好スタートを記録しましたが、結果としてはセカオワに抜かれて、自身最高位タイの2位に終わりました。複数人のコーラスによる爽やかなR&B風ポップはEXILE風?初動売上3万5千枚は前作「LOVE TRAIN」の3万6千枚(4位)から微減。

3位初登場はタッキー&翼「山手線内回り~愛の迷路~」。山手線の駅を曲の中に歌いこんだ歌謡曲色の強いナンバー。山手線みたいなスタートもゴールもない環状線じゃあ、「迷路」にならないんじゃない?と思うんですが・・・(いや、山手線は正式には品川-田端で環状線じゃない、という鉄ちゃん的なネタは置いといて)。初動売上2万2千枚は前作「抱夏-ダキナツ-」の2万9千枚(4位)からダウン。

続いて4位以下の初登場です。まず4位にはアニメのキャラソン。凸レーション with 城ヶ崎美嘉/CANDY ISLAND with 輿水幸子「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 2nd Season 02(私色ギフト/Heart Voice)」がランクイン。アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」エンディング・テーマ。本作はアニソン色やアイドル色も比較的薄めの、素直なポップソング。初動売上は1万3千枚で、同シリーズでは前作のCINDERELLA PROJECT「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 2nd Season 01 Shine!!」の3万2千枚(4位)からは大幅ダウン。凸レーション名義では前作「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 05 LET’S GO HAPPY!!」の1万8千枚(5位)からダウン。

5位初登場は第13回全日本国民的美少女コンテストファイナリストで結成されたアイドルグループX21「YOU-kIのパレード」。初動売上1万2千枚は前作「Xギフト」の7千枚(21位)からアップし、昨年6月にリリースした「恋する夏!」以来3作ぶり2作目のベスト10ヒットで、5位は自己最高位となりました。

6位にはLittle Glee Monster「好きだ。」がランクイン。女性6人組のボーカルグループなのですが、ボーカルコンテストなどで優勝した経験のある女性を集めており、アイドルグループではなくボーカルユニットという位置づけのようです。確かに歌は格段に上手いと思うのですが、いまひとつ1人1人の個性が薄く、似たような歌わされ方をしているのが気になります。TBSテレビ系ドラマ「表参道高校合唱部!」主題歌。初動売上9千枚は前作「人生は一度きり」(14位)から横バイなのですが、初のベスト10ヒットとなりました。

7位はPASSPO☆の妹分の女性アイドルグループpalet「All for One」が初登場。初動売上8千枚は前作「Time to Change」の1万9千枚(6位)より大幅ダウン。

8位にはヴィジュアル系バンドFEST VAINQUEUR「GLORIA~栄光のキズナ~」が入ってきました。思いっきり90年代J-POPの色合いが強い、ポップス色の強いナンバー。初動売上8千枚は前作「ペルソナ傷女」の5千枚(17位)よりアップ。これが初のベスト10ヒットだそうです。

初登場最後は9位にエレファントカシマシ「愛すべき今日」。なんと、彼らのベスト10ヒットは、彼らがブレイクした1997年の「今宵の月のように」以来18年ぶり(!)2作目となります。ただし、初動売上は6千枚で、前作「Destiny」の8千枚(13位)よりダウン。楽曲は最初、端整な歌い方でポップな内容にいつものエレカシとは違う雰囲気を感じますが、サビになると宮本の力強いボーカルがちゃんと展開されるナンバー。ただ全体的にはポップ色は強い雰囲気となっています。

今週は対象週がシルバーウィークだった影響か、低水準のチャートとなりました。そんな中で返り咲きも1枚。10位にSKE48「前のめり」が先週の15位からランクアップし、ベスト10に返り咲いています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2015年9月29日 (火)

大人になったTHE LIBERTINES

Title:Anthems For Doomed Youth(邦題 リバティーンズ再臨)
Musician:THE LIBERTINES

THE LIBERTINESが待望のニューアルバムをリリース!ここ数年、断続的にTHE LIBERTINESとしてのライブ活動などを行っていた中、昨年12月にニューアルバムのリリースを発表。それから9ヶ月以上の期間を経て、実に11年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

THE LIBERTINESは、おそらくご存じの方も多いと思いますが、2000年前半のガレージロックリバイバルの中に出てきたイギリスのバンド。2004年にリリースされた2ndアルバム「The Libertines(邦題 リバティーンズ革命)」は本国イギリスのアルバムチャート1位を獲得したほか、各種メディアでも絶賛、大きな話題となりました。

ただ、彼らが有名になったのはもちろん楽曲自体の内容にもあるのですが、スキャンダラスなトラブルネタでも大きな話題となりました。というのも中心メンバーでボーカルのピート・ドハーティが重度のドラッグ中毒に陥り、数多くのトラブルを引き起こしたことでよく話題にのぼりました。同じく中心メンバーのギタリスト、カール・バラーとの仲についてもよく取り上げられました。

バンドはそんなピートのドラック中毒の影響でわずか2枚のアルバムをリリースしたのみで解散となったのですが、解散後しばらくした後にピートとカールの交流も再開し、再活動。さらにはついにニューアルバムのリリースとなりました。

さて、そんな彼らのニューアルバム。もし、解散後に彼らのことスキャンダルネタで知り、今回はじめてアルバムを聴く、という方がいたらその内容に驚くかもしれません。スキャンダラスなネタとは裏腹に、楽曲自体は時としてメランコリックさも感じるメロディアスなメロディーラインを主軸としたギターロック。破天荒なピートのスキャンダラスネタからはちょっと想像がつかないような、繊細さも感じる美メロを聴かせてくれています。

この繊細なメロディーラインという路線自体に以前の彼らの楽曲にも共通しており、以前からのファンにとってはもちろん違和感はないかもしれません。ただ、2ndまでの彼らと比べると、楽曲自体がよりまとまり安定感も出て、良くも悪くも大人になった、という印象を受けました。

というのも、以前の彼らの作品は、確かにメロディアスなメロディーを聴かせる一方で、ガレージロックらしいラフだけど力強いバンドサウンドも同時に鳴っており、荒々しさも同時に感じさせる内容になっていました。

今回のアルバムに関してもボーカルに関しては以前の作品と同じく、ちょっとヨレヨレな部分も感じます。楽曲的にも「Barbarians」のようにガレージ色の強いバンドサウンドになっている曲も確かにありました。

ただ全体的にはポップなメロディーが主体の内容。ロック色に関しては薄めで、曲に関しても良くも悪くも落ち着いてしまった感もあります。アコギやピアノ、ストリングスなどを入れたような作品も少なくありませんでした。

落ち着いた楽曲の中には、もちろん名曲も少なくありません。例えばタイトル曲でもある「Anthem For Doomed Youth」はノスタルジックな雰囲気も感じる切ないメロディーラインが心に残りますし、ピアノのアレンジが美しい「You're My Waterloo」も、まさしく美メロと言えるメロディーラインが胸をうちます。

そんな訳で、全体的にはメロディーメイカーとしての才がより前面に出た、大人になったTHE LIBERTINESといった感じの新作。以前の彼らを求める人にとっては若干物足りなさも感じてしまう反面、これはこれで新たな一歩なのかなぁ、なんてことも思ったりして。いいアルバムだとは思うのですが、THE LIBERTINESの待望の新作として、評価は難しい部分も感じました。そういう意味では、次回作で新生THE LIBERTINESの真価が問われるといった感じでしょうか。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

CLARK/CLARK

WARP所属のエレクトロミュージシャンの新作。やはりセルフタイトルということで自信作なのか、メタリックな雰囲気の強く、スペーシーで壮大さを感じる楽曲は、いままで聴いた彼の作品の中でもっともインパクトがあったかも。基本、リズミカルでポピュラリティーもある内容なので、テクノ好きには幅広く受け入れられそうな作品。いい意味で聴きやすく、最後までダレることなく楽しめた作品でした。

評価:★★★★★

CLARK 過去の作品
Totems Flare
Iradelphic

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2015年9月28日 (月)

90年代後半に話題となったバンド

Title:GREATEST HITS
Musician:yes,mama ok?

金剛地武志というタレントをご存じですか?73分けの髪形にメガネという、典型的なサラリーマンという風貌が忘れられないようなインパクトを持ったタレントさんで、かつては「クイズヘキサゴン」の準レギュラーとして出演していたこともあったほか、数多くのドラマにも出演していたので、おそらくご存じの方も多いかと思います。

そんな彼が、本業がミュージシャンである、ということをご存じの方は少ないのはないでしょうか。yes,mama ok?というバンドで90年代後半に活躍していました。「知る人ぞ知る」・・・と言いたいところなのですが、確かに一般的な知名度は高くはありませんでしたが、その音楽性の高さから音楽ファンの間では当時、話題となったバンドでした。

そんな彼らが結成20周年を記念してリリースされたのが、初のベスト盤となる本作。人気のインディーバンド、スカートの澤部渡選曲により、バンドのリーダーである金剛地武志前面監修によるベスト盤となっています。

リアルタイムで話題になっていたことを知っていたのですが、実は彼らの音源をちゃんと聴くのは今回がはじめて。ただ一度だけ彼らのライブを見たことがあり、その時にとてもいいバンドだなぁ、と感じたことを覚えています。

楽曲は、「遅れてきた渋谷系」という言い方をよくされていた彼らなだけに渋谷系っぽいキュートなギタポがメイン。例えば「Kiss Kiss Bang Bang」などはまさに典型的な渋谷系、といったイメージがあります。

ただ彼らの音楽がとてもおもしろいのは渋谷系っぽいギタポサウンドをベースに、それを歪めてきている点でした。「Farewell Gritty Pudding」のように、軽快なギタポ路線かと思いきや、途中にノイジーにゆがんだギターサウンドを入れてきたり、「Q&A call 65000」などは男性ボーカルパートがちょっとガレージ風だったり。

他にも「heart break kitchen」はアイドルポップ風だったり、「最高のblues」のようにロック色が強かったり。正統派な渋谷系か、と思いつつ聴いていると、その路線から微妙に離れた楽曲が飛び出してくるのがとてもユニーク。爽快なポップ路線かと思いきや、その中に微妙な「毒」の要素が入ってくるのが、彼らの大きな魅力に感じました。

確かに一方では、サビに忘れられないようなインパクトのあるフレーズがある、とか、そういうヒットに即つながるような部分はあまりない、という点が話題になりつつ大ブレイクできなかった大きな要素なんだろうなぁ、なんて思いつつ、ただ全体的には非常に魅力的なバンドだった、ということがよくわかるベスト盤でした。

バンドとしては解散していないみたいだし、20周年を機に、久々のライブもやったみたいだし、これを機に、本格的に再始動、ということにはならないのかなぁ。「遅れてきた渋谷系」と称される楽曲も、今となっては一回りしてむしろ新しさすら感じる人も少なくなさそうだし。どうでしょうか?

評価:★★★★★

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2015年9月27日 (日)

35年目の傑作

Title:BLOOD MOON
Musician:佐野元春&THE COYOTE BAND

今年デビューから35年目を迎えた佐野元春。前々作「COYOTE」以来、深沼元昭や高桑圭ら若手ミュージシャン(といっても十分すぎるほど「ベテラン」の域に入るミュージシャンだと思うのですが・・・)が参加しているTHE COYOTE BANDを率いてのアルバムをリリースしてきましたが、本作はそのTHE COYOTE BANDと制作した3枚目のオリジナルアルバムとなります。

この若手起用という佐野元春の方針はものの見事にアルバムの内容に反映されており、前々作「COYOTE」、前作「ZOOEY」にも共通するのですが、とにかく音に若々しさを感じられることが大きな特徴。デビューから35年という大ベテランにも関わらず、ベテランらしからぬ若々しい勢いと迫力を音から感じることが出来ます。

例えば「いつかの君」はノイジーで分厚いギターサウンドが、今時のギターロックバンドらしい音を奏でていますし、「空港待合室」のロックンロールナンバーも勢いを感じることが出来ます。アルバム冒頭を飾る「境界線」のようにいかにも佐野元春らしいナンバーを挟みつつも、アルバム全体の音には、今時の空気を感じることが出来ます。

他にも「バイ・ザ・シー」のようにAOR的要素を入れたナンバーや「私の太陽」のようなジャズ的な要素を入れたナンバーなど、様々な音楽性を加えつつ、ただアルバム全体としては、間違いなく佐野元春のアルバム以外ありえない、という世界はちゃんと作り上げているのはさすが。佐野元春の世界をTHE COYOTE BANDにより今の時代にアップデートさせているアルバムと言えるでしょう。

佐野元春らしいといえば力強くメッセージ性、社会性の強い歌詞はもちろん本作も健在。前作同様、前向きなメッセージを発している作品が多い中、タイトルの段階から目を惹いたのが「キャビアとキャピタリズム」

「マヌケな世間を欺け
弱ったやつらにつけこめ
ルールの隙間を突いてけ
裏技を使って売りぬけ
そうさ、世間なんてそんなもん
それが市場原理主義
でも誰がマトモに聞くもんか
結局誰かの都合のせいさ」

(「キャビアとキャピタリズム」より 作詞 Moto'Lion'Sano)

と強烈かつストレートに市場原理主義を否定しています。彼らしい強烈なメッセージを込めた曲になっていました。

前作「ZOOEY」はリアルタイムで聴いた彼のアルバムの中では一番の出来かも?と思ったのですが、本作はそれに負けずと劣らない傑作に仕上がっていました。デビューから35年を経た今にこれだけの作品を作り上げられるというのが驚き。佐野元春というミュージシャンのすごさをあらためて感じた傑作でした。

評価:★★★★★

佐野元春 過去の作品
ベリー・ベスト・オブ・佐野元春 ソウルボーイへの伝言
月と専制君主
ZOOEY


ほかに聴いたアルバム

androp/androp

セルフタイトルとなったロックバンドandropの新作。ドラマ主題歌やCMタイアップ曲など、活動は至って順調そのもの。その影響か今回の新作はポップステイストが強い作風に。「Answer」のようなへヴィーなアレンジや「Alternative Summer」のようなファンキーなロックチューンなどありつつも、サビ先のいかにもJ-POPな「Dreamer」や、前向き応援歌な歌詞がこちらもいかにも売れ線狙いの「Yeah! Yeah! Yeah!」など、ちょっとベタさが目立っちゃった作品も少なくありません。悪いアルバムではないけども、ちょっと「売り」に走った部分が目立ってしまったアルバムでした。

評価:★★★★

androp 過去の作品
door
relight
one and zero
period

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2015年9月26日 (土)

二宮友和脱退前ラストアルバム

Title:ボトムオブザワールド
Musician:eastern youth

メンバーのひとり、二宮友和が今年の6月をもって脱退を発表。その二宮在籍時のラストアルバムとなってしまった16枚目となるオリジナルアルバム。デビューから20年以上が経つベテラングループで、二宮友和はそんな中でも長く活動を続けてきただけに、ここに来ての脱退劇は正直驚いてしまいました。

そんな現メンバーでのラストとなってしまったアルバムなのですが・・・これがこのメンバーでの最後、という意気込みからでしょうか、ここ近年のeastern youthの中で文句なしに一番の出来に仕上がっていました。正直、ここ最近のeastern youthの作品は、確かに彼ららしいエモコアのサウンドがカッコいい一方で、似たようなタイプの曲が多く、ちょっとマンネリ気味に感じていました。

今回のアルバムに関しても、そんな今の彼らの方向性に大きな違いはありません。基本的に分厚く、ズシリと思いバンドサウンドに、意外とメロディアスなメロディーライン。ここ最近のeastern youthの作品から大きな違いはありません。

確かにそういう意味では今回のアルバムも「マンネリ」と言えるかもしれません。ただ、聴いていて「マンネリ」なんて表現を忘れさせるほど、今回のアルバムには強い力を感じさせました。例えば「街の底」の感情があふれ出しそうな吉野寿のトークスタイルのボーカルから、サビへのシャウトへと展開される流れにはゾクゾクとさせられますし、「イッテコイ カエッテコイ」のエッジの効いたギターサウンドの中で、街の底辺で暮らす人たちが前向きに生きていこうとする歌には、この上ない力強さを感じます。

さらに今回のアルバムは「直に掴み取れ」でゲスとコーラスに元NUMBER GIRL、現ZAZEN BOYSの向井秀徳とbloodthirsty butchersの射守矢雄らがゲストボーカルで参加。ロックシーンでともに戦いゆく盟友といの共演には胸が熱くなるものがあります。

歌詞も基本的には「ボトムオブザワールド」というアルバムタイトル通り、世の中でなかなかむくわれないような、街の中で底辺近くで過ごす人たちが、それでも前向きに生きていこうという力強さを感じる歌詞が魅力的。「ナニクソ節」のようにタイトルそのままの曲なんかもあったりするのですが、基本的にはメッセージはわかりやすく、ストレートに耳に入ってきます。いい意味での聴きやすさがある歌詞が魅力的でした。

今回のアルバムを最後に脱退した二宮は、「eastern youthでできることは全てやりきった」とコメントしているようですが、今回のアルバムは、そんなコメントが出てくるのも納得の、まさにeastern youthとしてやり切ったようにすら感じられる傑作でした。おそらく、今のメンバーで今のスタイルならば、これ以上の傑作は生みだされないのでは?と思えるほどの内容。ただ、eastern youthというバンドはこれからも続いていきます。それだけに次の一歩がどう出てくるのか・・・これからの活動にも注目です。

評価:★★★★★

eastern youth 過去の作品
地球の裏から風が吹く
1996-2001
2001-2006

歩幅と太陽
心ノ底ニ灯火トモセ
叙景ゼロ番地


ほかに聴いたアルバム

DUGOUT ACCIDENT/UNISON SQUARE GARDEN

「リニアブルーを聴きながら」のヒットで一躍ブレイクした彼ら。本作はデビュー10周年を記念してリリースした企画盤。ただ、ブレイク直後によくリリースされるような「ベスト盤」ではなく、未発表曲やアルバム未収録曲のみを集め、シングルの表題曲は一切入れないというアルバム。「シングル抜きでも十分戦える」という彼らの強い意志を感じます。

実際楽曲は、シングル曲ではなくてもインパクトが十分あるような、彼ららしいキュートなポップス中心。彼らもここ最近ブレイクしたバンドと同じく、どうも悪い意味でJ-POPらしいルーツレスな部分を感じてしまうのですが、その一方でこれだけキャッチーでキュートなメロが書ければ、ルーツレスなんて関係ない、とも思ってしまいます。今回の企画盤を聴くと、確かにメロディーだけで勝負できそうな、彼らの実力を感じることが出来ました。

評価:★★★★

UNISON SQUARE GARDEN 過去の作品
CIDER ROAD
Catcher In The Sky

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2015年9月25日 (金)

紅白のパフォーマンスも話題

Title:NO MUSIC NO WEAPON
Musician:ゴールデンボンバー

昨年末まで3年連続紅白歌合戦で毎年そのユニークなパフォーマンスが話題となるゴールデンボンバー。なぜか演歌歌手のように3年連続「女々しくて」を歌った結果、「なぜ出演できるかわからない出演者」みたいに語られてしまったこともあるのですが、ただ、本作に収録している「101回目の呪い」は週間チャート1位、「ローラの傷だらけ」は2位を獲得。また、本作も週間チャート1位を獲得しており、間違いなく今の音楽シーンの中に、紅白に出場する権利のあるだけの人気を獲得しているバンドです。

ご存じの通り、バンド形態でありながらも楽器を演奏しない「エアバンド」の彼ら。それだけにパフォーマンスが大きな話題なのですが一方、楽曲自体については平平凡凡なヴィジュアル系っぽいJ-POP。「欲望の歌」のようなメタルからの影響を受けた曲や「Please!x3」のようなハードロック調の曲を入れつつも、基本的にはビートロックといわれるような聴きやすいロックサウンドに、メロディーはベタな歌謡曲風。正直言ってしまって、傑出した特徴ある楽曲ではなく、むしろ平凡。楽曲のバリエーションもさほど多くなく、いままで何作か彼らのアルバムを聴いたことあるのですが、期待したほどの出来ではありませんでした。

しかし、今回のアルバムに関してはさすが今もっとも売れているバンドの一組でだけあって楽曲に勢いを感じました。言うまでもありませんが、西城秀樹のヒット曲「傷だらけのローラ」をもじった「ローラの傷だらけ」にしても、おそらくかつての大ヒットドラマ「101回目のプロポーズ」をもじった「101回目の呪い」にしても、2ドラっぽさを彷彿させるタイトルの「死 ん だ 妻 に 似 て い る」にしてもこの曲名だけでインパクト十分です。

正直これらの曲、楽曲だけではさほどユーモラスはありません。「ローラの傷だから」はちょっと笑えましたが・・・。楽曲もベタな歌謡ロック。ただ、いかにもなタイトルといい、このベタな歌謡曲風という方向性、ひょっとしたら鬼龍院翔はわざと狙っているのではないか?とも思ってしまいました。ただ、そんな楽曲の数々ですが、やはり最も脂がのっている状態なのでしょう、ベタだの平凡だの感じる部分はあるものの、間違いなく耳に残るフレーズがインパクト十分な曲ばかりでした。

個人的にはもうちょっと笑えるようなユニークな曲が多いとおもしろいのに、とも思うのですが、そこらへんはパフォーマンスで、ということなのかもしれません。そういう意味でも彼ら、アルバムで楽曲だけ聴いてとやかく言うような「バンド」ではないのかも・・・。ただ、このアルバムを聴く限り、非常に勢いのある状態なのは間違いありません。今年の紅白、「女々しくて」以外の曲でも十分、視聴者の心を捉えられると思うんですけどね。

評価:★★★★

ゴールデンボンバー 過去の作品
ゴールデン・アワー~下半期ベスト2010~
ゴールデン・アルバム

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2015年9月24日 (木)

アニメ系が2位3位

今週のアルバムチャート

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今週のアルバムチャートでまず目立ったのは、アニメ関係の仕事の多いミュージシャンが2位3位に並んだことでした。

まず2位初登場。梶浦由記プロデュースの女性3人組ボーカルグループKalafina「far on the water」がランクイン。こちらは必ずしもアニソンに留まらないものの、主にアニメがらみの曲がメインのグループ。初動売上2万4千枚は直近にリリースされた2枚同時リリースのベスト盤「THE BEST "Blue"」「THE BEST "Red"」の初動2万6千枚(3位)、2万5千枚(4位)からはダウンしているものの、オリジナルアルバムとしては前作の「Consolation」の1万9千枚(3位)からアップしています。

3位には人気声優宮野真守のニューアルバム「FRONTIER」がランクイン。ベスト3ヒットはシングルでは過去に記録しているものの、アルバムでは初となります。ただし、初動売上1万7千枚は前作「PASSAGE」(6位)から横バイとなっています。

さて、1位に戻ります。今週1位はavex初の男女混合ダンスユニットが獲得しています。

AAA「AAA 10th ANNIVERSARY BEST」。3枚組となるアルバムなのですが、うち2枚がベスト盤、残り1枚がオリジナルアルバムという内容。浮動層と固定ファン層の両方ともを狙ったような戦略ですが、このベスト、オリジナルが同時収録というのは最近では比較的よくありがちなパターン。初動売上8万5千枚はオリジナルアルバムとしての前作「GOLD SYMPHONY」の5万9千枚(1位)よりアップ。またベスト盤としての前作「#AAABEST」の6万6千枚(1位)よりもアップしていますので、戦略的にはおおむね成功といった感じでしょうか。

続いて4位以下の初登場盤です。5位にはThe Birthday「GOLD TRASH」がランクイン。The Birthdayはご存じTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのチバユウスケとクハラカズユキらにより2006年に結成されたロックバンド。2011年には元MY LITTLE LOVERのフジイケンジも加入して話題となりました。本作はそんな彼らの初となるベストアルバム。初動売上9千枚は直近のオリジナルアルバム「COME TOGETHER」の1万4千枚(7位)からダウン。残念ながらあまり固定ファン層以外を取り込めていない結果となりました。

6位初登場はKeith Richards「Crosseyed Heart」がランクイン。ご存じローリング・ストーンズのギタリストによるソロアルバム。ソロとしては1992年の「Main Offender」以来23年ぶりとなります。初動売上8千枚は、その23年前の作品「Main Offender」の1万5千枚(18位)からダウン。ただ、23年前とのCD市場の違いを考えると、大健闘な結果かも。

7位には清木場俊介「FACT」が入ってきました。元EXILEのメンバーで現在はシンガーソングライターとして活躍している彼のソロ9作目。初動売上7千枚は前作「MY SOUNDS」の8千枚(10位)よりダウン。

8位にはNothing's Carved In Stone「MAZE」が初登場でこの位置。ELLEGARDENの生形真一やストレイテナーなどでも活躍している日向秀和などによるロックバンド。アルバムではこれが2枚目となるベスト10ヒットで8位はアルバムでは自己最高位。ただ初動売上7千枚は前作「Strangers In Heaven」の8千枚(10位)から若干のダウン。

初登場最後は9位ランクイン、韓流の男性アイドルグループ防弾少年団のミニアルバム「花様年華 pt.1」。初動売上7千枚。前作「DARK & WILD」が最高位78位なので大幅にアップしています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2015年9月23日 (水)

ブームに陰り?

今週のシングルチャート

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今週のヒットチャートでちょっと気になったのが5位に初登場してきたコトリwithステッチバード「宇宙ダンス!」。ご存じテレビ東京系アニメ「妖怪ウォッチ」エンディングテーマ。ちなみにコトリはいままでも「妖怪ウォッチ」がらみの曲を担当してきたDream5のリーダー、重本ことりのことらしいです。

ちょっと気になるのは初動売上が1万3千枚にとどまり、「妖怪ウォッチ」のエンディングテーマとしては前作のDream5「ようかい体操第二」の3万2千枚(4位)から大きくダウンしている点。オープニングテーマのキング・クリームソーダ「人生ドラマチック」も19位初動4千枚にとどまっています。グループからのソロシングルという売上的には不利な側面もあるとはいえ、本来、グループのファンよりも「妖怪ウォッチ」が好きな子供たち向けがメインの商品のはず。こういう報道もあったりして、不明な要素も強いのですが、ブームとしてはいままでほどの勢いはなくなってきた感もあります。

さて、1位に戻ります。今週1位を獲得したのはEXILEの弟分の男性ユニットでした。

GENERATIONS from EXILE TRIBE「ALL FOR YOU」が今週1位を獲得。映画「ガールズ・ステップ」主題歌。初動売上15万3千枚は前作「Hard Knock Days」の7万1千枚(2位)から大幅アップし、初の1位獲得となりました。楽曲的にはR&B風というよりはむしろアイドル歌謡曲テイストの強いナンバー。売上的にはハイタッチ会などの施策が功を奏した形のようで、アイドルテイストをより強める方針のようです。

2位初登場はでんぱ組.inc「あした地球がこなごなになっても」。2位は自己最高位ながらも初動売上4万5千枚は前作「おつかれサマー!」の5万3千枚(3位)よりダウン。楽曲的にはスタンダードなアイドルポップですが、作詞とジャケットを浅尾いにおが担当していることでも話題に。でも、いかにもサブカル狙いって感じで(苦笑)。

3位には韓流の4人組バンドFTISLAND「PUPPY」が入ってきました。初動売上3万9千枚は前作「To The Light」の2万1千枚(8位)からアップ。ギターサウンドも入りつつもアイドルテイストの強いポップスで、4種同時購入の特典などの施策が売上増の要因のひとつのようですが、こういうアイドルテイストが強い作品の方がファン受けもいいんでしょうか。

続いて4位以下の初登場です。4位にはavexの男女混成ダンスグループAAA「愛してるのに、愛せない」がランクイン。かなりベタな歌謡曲調のミディアムチューン。初動売上2万8千枚は前作「LOVER」の4万2千枚(4位)から大幅ダウン。これは同時に本作収録のベスト+オリジナルアルバム「AAA 10th ANNIVERSARY BEST」がリリースされた影響でしょう。

6位初登場となるのがCrystal Kay feat.安室奈美恵「REVOLUTION」。タイトル通り、安室奈美恵とのコラボによって登場したEDMチューンで、正直、安室奈美恵の色合いが濃い印象も。初動売上1万3千枚は前作「君がいたから」の2千枚(27位)から大幅アップ。ベスト10入りは2005年にCrystal Kay×CHEMISTRY名義でリリースされた「Two of Us」以来10年ぶり、13作ぶりの返り咲きとなります。前作も日テレ系ドラマ「ワイルド・ヒーローズ」主題歌となり久々のベスト30ヒットとなったようですが、この復活劇は所属事務所がLDHに移籍した影響が大きい模様。うーん、EXILEの事務所かぁ・・・と思ってしまうのですが、Crystal Kayは実力あるボーカリストなだけに、復活劇は素直にうれしいところ。ただ、これでまた売れなくなると一気に放り出されそうな感も・・・。

ベスト10初登場最後は8位の女性アイドルグループLa PomPon「謎」。日テレ系アニメ「名探偵コナン」オープニングテーマ。コナンタイアップと言えばすぐおわかりと思うのですが、このグループ、ご存じビーイング系。この曲も同じくビーイング系の小松未歩が同じくコナンのオープニングテーマとして1997年にヒットさせた曲のカバー。初動売上9千枚で前作「HOT GIRLS」の2千枚(56位)から大幅アップで初のベスト10入り。明らかにタイアップ効果が大きかった模様。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2015年9月22日 (火)

日本の夏といえば・・・

Title:BEST of TUBEst~All Time Best~
Musician:TUBE

今年デビュー30周年を迎えるTUBE。そんな彼らのオールタイムベストがリリースされました。いままで「TUBEst」というタイトルで3枚のベスト盤をリリースしてきた彼らですが、本作はそれらのベスト盤をまとめたアルバムでタイトル通り、まさに「BEST of BEST」となっています。

内容は4枚組にもなるフルボリューム。4枚のCDがそれぞれ「T」「U」「B」「E」とわかれており、それぞれ「Tropical 」、「Unique」、「Ballad」、「Exciting」というテーマで選曲されています。まあ、若干むりやりわかれたような感もあるのですが、基本的には「Tropical」は夏をテーマにした爽やかなポップス、「Unique」はラテン風な曲を中心に、「Ballad」はその名の通りバラードナンバーが、「Exciting」はアップテンポな曲で「Tropical」「Unique」に収録できなかったような曲が収録されているイメージでした。

すべて聴くと全50曲、3時間40分以上にも及ぶボリュームなのですが、あらためてTUBEの代表曲を聴くと感じるのは、彼らは良くも悪くも典型的なJ-POPバンドだ、ということでした。良くも悪くも万人受けしそうなメロディーラインにインパクトあるサビを中心とした構成。ハードロック色を加えつつも、基本的にルーツレスなポップスロック、良く言えばわかりやすい、悪く言えば無難な歌詞。

彼らってご存じの通り、いわゆる「ビーイング系」なのですが、昔、ビーイング系がブームになったころは、似たりよったりのバンドが次々と出てくる中、B'zとTUBEだけはビーイングといえども他とは違う、という印象を持っていたのですが、いまから聴くと、うん、彼らも良くも悪くもビーイング系らしい要素は持っているね、ということを思ってしまいます。

そこらへんがマイナス方向に出たのがバラードナンバー。ベタっとした似たようなタイプのバラードナンバーばかりが並ぶDISC3ははっきりいってしまえばつまらなかったです(苦笑)。

とはいえ、主にDISC1に収録されていた、いかにもTUBEらしいサマーポップの数々は十分聴いていて惹きつけられるものがあり、そこはさすがだなぁ、と思いました。特に「湘南My Love」から「Only You 君と夏の日を」までの楽曲は、彼らが最も売れていた頃の曲で、個人的な思い出補正もあるかもしれませんが、やはり勢いがあり、これらの曲があれだけ売れていたのも十分納得できる楽曲ばかりだったと思います。

また、この4枚のCDのうち、最も良かったと思うのがDISC2。特に「あー夏休み」「さよならイエスタデイ」あたりのラテンを取り入れた曲に関しては、もちろん何度も聴いたことある有名曲ばかりなのですが、あらためて聴いてみると思っていた以上に「名曲」だ、ということに気が付かされました。もともとボーカル前田の声も、春畑のギターも、「サマーソング=爽やか」からかけ離れるような暑苦しい部分があったのですが、それだけに逆にラテン調の曲にはピッタリとマッチ。TUBEの曲がもともと持っていた「歌謡曲」的な部分もプラスに作用して、実に魅力的な曲に仕上がっている・・・ということにいまさらながら気が付きました。

そんな訳で、良い部分も悪い部分もTUBEというバンドを知るには最適なベスト盤。とはいえ、4枚組というのはさすがにボリュームが大きかったなぁ。はじめての1枚としては抵抗感があるかもしれませんが・・・ヒット曲の連続なので、特に私くらいのアラフォー世代にとっては懐かしさを感じつつ、さらっと聴けてしまうかも。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

NIAGARA MOON -40th Anniversary Edition-/大滝詠一

1975年にリリースされた大瀧詠一ソロ2作目の40周年記念盤。今回はじめて本作は聴いたのですが、大真面目なポップアルバムというよりも、ブラックミュージックを主軸に仲間同士が気軽に楽しんで作った感じがするアルバム。特にDisc2に収録されているライブ音源には、そんな楽しさが強調されているように感じます。今回のDisc1は大滝詠一本人の手による未発表リミックス音源を当初の構想にあった曲順で収録したものだとか。ただAmazonのレビューを見る限り、オリジナル音源にはかなわないという評価がほとんどのよう。一度オリジナル音源の方も聴いてみなくては・・・。

評価:★★★★★

大滝詠一 過去の作品
EACH TIME 30th Anniversary Edition
Best Always

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2015年9月21日 (月)

ユーモアあふれる歌詞が魅力

Title:私を鬼ヶ島に連れてって
Musician:水曜日のカンパネラ

Oni_kanpane

遅ればせながら聴いてみました。最近話題のJ-POP/HIP HOPユニット水曜日のカンパネラ。今回取り上げる「私を鬼ヶ島に連れてって」はタワレコとヴィレッジ・ヴァンガード限定でリリースされたミニアルバム。正直、いかにも「いまどきのユニット」らしい雰囲気も感じて、ちょっと敬遠していた部分もあったのですが・・・。

それでようやく聴いてみた本作ですが、まずはめちゃくちゃ笑えました(笑)。歴史上の人物や物語上の人物をテーマとして、シュールに描く世界観はとにかくユニーク。

「新茶摘まないつまらないやつに用は無い
かけた茶碗を3回まわして踊るトゥナイ」

(「千利休」より 作詞 ケンモチヒデフミ)

なんて歌詞がエレクトロダンスチューンにのせて繰り広げられる「千利休」なんて、レキシが聴いたら、この手があったか、と悔しがるだろうなぁ(笑)、なんて思ったり。一番笑ったのは主人公をニートに見立てて、誰もが知ってる有名な昔話をシュールに描いた「桃太郎」

「団子をもらって命を投げ出す物好きなんていない
ペットと一緒に鬼退治とか絶対正気じゃない
犬とサルは仲たがい キジは戦力外
何でもするから鬼が島だけは勘弁してください」

(「桃太郎」より 作詞 ケンモチヒデフミ)

なんて歌詞には笑わせてもらいました。

ただ、そんなコミカルな歌詞ばかりがまず耳に行くのですが、その歌詞を支えるメロディーやトラックがなにげに歌詞に負けず劣らずとても惹かれるものがあることが、このユニットの大きな魅力に感じます。

このコミカルでシュールな歌詞の世界に反して、そこに流れるトラックは実にメロディアス。ピアノの音色を効果的に用いて、美しい音の世界が繰り広げられています。メロディー自体もなにげにメロウでインパクトもあります。それが一番ユニークで効果的だったのが「ドラキュラ」「ちーすうたろか」という歌詞を、歌詞の内容に全く反するようなメロウなメロディーラインにのせて歌い上げており、このアンバランスさがユーモアになっていました。

また、このトラックも、比較的音数を絞りタイトに仕上げているのが特徴的。シンプルだからこそトラックが歌詞を邪魔していないという部分もあるのでしょうし、また、上に書いた「ドラキュラ」もそうなのですが、トラックへの歌詞の載せ方も非常に上手く感じるもがあります。インディーズだけに若干、音がチープに感じてしまう部分もあるのですが、アルバム全体としてはさほど気になりませんでした。

聴いていて大いに笑えて楽しめた傑作でした。「HIP HOPユニット」みたいに語られる部分も多いのですが、ラップをつかっている、というだけで基本的にメロディアスだし、さほどHIP HOP色は強くありません。そういう意味ではHIP HOPが苦手という方も含めてお勧めしたいアルバム。いままでミニアルバムのみのリリースが続いているみたいですが、次はフルアルバムを聴きたいなぁ。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

懐かしい月は新しい月~Coupling&Remix works~/サカナクション

2枚組からなるサカナクションの今回の作品は、シングルのカップリング曲や未発表曲を収録した「月の波形 ~Coupling & Unreleased works~」と様々なミュージシャンたちによるリミックス作を収録した「月の変容 ~Remix works~」かなる2枚組。もともとエレクトロアレンジを中心に意欲的な作品を多く生み出してきた彼らでしたが、こちらの作品ではより実験性の強い作品が並んでいます。特にカップリング曲集では、ポップで幅広い層にアピールできるようなシングル曲とは違う彼らの姿を聴くことが出来ます。それだけにファン向けの要素が強く、また、アルバムとしての統一性も薄め。最初の1枚としてはちょっとお勧めがたい作品ですが、逆に何枚かサカナクションの作品を聴いた後はチェックしておきたい作品です。

評価:★★★★

サカナクション 過去の作品
シンシロ
kikUUiki
DocumentaLy
sakanaction

F/KEMURI

2012年に活動を再開したスカパンクバンドの、早くも活動再開後3枚目となるアルバム。一度解散したバンドが復活した後、これだけ精力的に活動を続けるというのは珍しいと思うのですが、それだけ勢いが戻ってきている、ということなのでしょう。本作もKEMURIらしいメロディアスなスカパンクの曲が並んでいます。良くも悪くも彼ららしい王道路線。ただ、以前よりもちょっとハードなロック寄りになった印象が。まだまだこの勢いは続きそうです。

評価:★★★★★

KEMURI 過去の作品
ALIVE Live Tracks from The Last Tour "our PMA 1995-2007"
RAMPANT
SKA BRAVO

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2015年9月20日 (日)

日本を代表する作詞家へのトリビュート

Title:松本隆 作詞活動四十五周年トリビュート 「風街であひませう」

伝説のロックバンドはっぴいえんどのメンバーであり、解散後は、作詞家として活動し、数多くのヒット曲を量産した、間違いなく日本歌謡史における代表的な作詞家のひとり、松本隆。「木綿のハンカチーフ」やら「ルビーの指環」やら「SWEET MEMORIES」やら手掛けた作品で誰もが知っているような曲の数は、両手でもとても足りません。

今回のアルバムはそんな彼の作詞活動45周年を記念して、彼が作詞を手掛けた曲を様々なミュージシャンがカバーしたトリビュートアルバム。45周年ということは起点は1970年ということで、はっぴいえんどのデビューから45年ということでもあります。

そんなトリビュートアルバムにはスピッツの草野マサムネが、自ら楽曲を提供した「水中メガネ」をセルフカバーしたり、YUKIが斉藤由貴(ユキつながり・・・)の「卒業」を歌ったり、まさクラムボンがアニメ「マクロスF」の挿入歌「星間飛行」を歌ったりと様々。さらには元andymoriの小山田壮平が小山田壮平&イエロートレイン名義で松田聖子の「SWEET MEMORIES」をカバーしていたりしています。

そんなトリビュートアルバムの方は、実力あるミュージシャンたちが並んでいるだけあって、基本的には良カバーが並んでいます。草野マサムネの「水中メガネ」はやはり本人作曲の作品だけあって、きちんと草野マサムネの作品になってしまっていますし、薬師丸ひろ子の「探偵物語」をカバーした中納良恵も、なにげにこのボーカルもボーカルで曲にマッチしていましたし、アコースティックカバーの「SWEET MEMORIES」も、予想外に小山田壮平の声色にもマッチしていました。

あまり原曲のイメージを大きく変えるようなカバーもなく、良く言えば期待通りで安心して聴ける、悪くいえば「無難」という印象も受けたカバーでした。ただ、個人的に強く印象に残ったのは、このカバーアルバムの方ではなくむしろ生産限定盤の方に収録されていた「ポエトリーリーディングアルバム」の方。こちらは宮崎あおいやら山田孝之やらといった俳優勢が松本隆の歌詞を朗読したアルバム。かなり豪華な俳優勢が並んでいる作品なだけに最初は「参加メンバーの名前で売ろうとした宣伝目的のアルバムでは?」なんていぶかしがったりもしたのですが、実際に聴いてみるとむしろこちらの方があるべきトリビュートアルバムなのでは?とすら思ってしまいました。

実際、参加している俳優勢が松本隆の歌詞をゆっくりと丁寧に読んでいくアルバムだからこそ、松本隆の歌詞の魅力がよりはっきりとわかる内容になっていました。このポエトリーリーディングを聴いてあらためて感じた松本隆の魅力、それは歌詞が非常に純朴なこと。恋愛経験が多いような主人公が登場していても、松本隆の描く恋愛の世界にはどこか純朴さが感じられます。また、彼の描く歌詞は決して具体的、説明的描写が少ないにも関わらず、聴いていて頭の中に歌の中の風景が一気に広がるような、そんな絶妙な風景描写を歌詞から感じられます。そんな松本隆の世界の魅力が、ポエトリーリーディングではよりはっきりと伝わってきたように感じました。

このポエトリーリーディングが生産限定というのはちょっと残念。個人的にはむしろこちらがメインでもいいのでは?とすら思ってしまいました。最後に松本隆本人がはっぴいえんどの名曲「風をあつめて」を朗読して終わり、という構成も素晴らしいものを感じましたし・・・。このポエトリーリーディングアルバムだけでも後日、別途販売されないかなぁ。

そんな訳で、今からでも可能なら「完全生産限定盤」を是非。もちろん、ミュージシャンによるカバーも聴いて損のない良カバー揃いだとは思うのですが・・・。

評価:★★★★★

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2015年9月19日 (土)

33年ぶりのニューアルバム

Title:First Ya Gotta Shake The Gate
Musician:FUNKADELIC

Pファンクの総帥、ジョージ・クリントンが、Parliamentと並行して1960年代に結成したPファンクの主要プロジェクト、FUNKADELIC。そのニューアルバムがリリースされた、ということで大きな話題となりました。なぜならFUNKADELICとしてのオリジナルアルバムは1981年の「Electric Spanking Of War Babies」以来。なんと33年ぶりとなるニューアルバムとなりました。

そんな話題のニューアルバム、なのですが、正直言うと最初は聴くのをちょっと躊躇してしまいました。というのもこのアルバム、全3枚組、約3時間半という長さの超大作。熱心なファンでもないと、これだけの長さを聴き切るには相当の体力を必要とします。それだけに最初は正直、これだけのボリュームのアルバムを聴くのは辛いんじゃないかなぁ、と思いながら聴き始めました。

ところがこれが聴き始めるとすっかりはまってしまい、一気に3時間半、聴き切ってしまいました。これだけのアルバムをダレずに聴くことが出来た理由、その最大なものは、アルバム全体を貫くグルーヴ感でした。例えばアルバムの冒頭を飾る「Baby Like Fonkin' It Up」。ミディアムテンポながらファンキーなリズムが最初から最後まで続きます。9分にも及ぶ大作ながらも、そのリズム感に身体をあずけていると9分の時間も全く長く感じません。むしろその後もずっと聴き続けていたい中毒性があります。

そんな中毒性の高いリズムを楽しめる曲がアルバムの中に数多くあります。Disc1では他にも「In Da Kar」もワウワウサウンドの中毒性の高いリズムが9分近く続きますし、Disc2では「Roller Rink」も11分に及ぶナンバーながらもミニマルテイストのリズムが心地よいグルーヴ感を作り出しています。そんな、「このまま終わらないでくれ!」と思ってしまうようなリズムを延々と楽しめるようなナンバーが数多く収録されています。

そしてもう1点、3時間半というフルボリュームでも飽きなかった大きな理由、それは本作の中で実にバラエティー豊かな音楽性が楽しめた点でしょう。FUNKADELICは言わずと知れたPファンクのバンド、ということになるのでしょう。ただ一方でこのアルバム、ファンクだけではなくソウルやジャズ、HIP HOP、さらにはロックなどといった様々な要素がアルバムの中で楽しめます。

例えばDisc1の「Creases」はHIP HOP、Disc2の「Dirty Queen」は完全にハードコアなロックチューンですし、Disc3の「Talking To The Wall」は今時のネオソウルに影響を受けているような楽曲になっています。他にも哀愁たっぷりのムード歌謡曲風の「As In」だったり、他にもエレクトロトラックが入っているナンバーがあったり、昔ながらのソウル、ファンクの要素を引き継ぎつつも、一方ではきちんと今時の音にアップデートしているという、幅広い音楽性を感じさせてくれるアルバムでした。

そんな作品だっただけに、本当に3時間半という時間があっという間、むしろまだまだ続いてほしい!とすら感じる傑作に仕上がっていました。ジョージ・クリントンは御年74歳なのですが、全くその年齢を感じさせない、勢いすら感じるアルバム。33年というスパンも全く感じさせません。中毒性の強いリズムにすっかりはまってしまった傑作でした。

評価:★★★★★

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2015年9月18日 (金)

戦後70年目の今年に

Title:平和元年
Musician:元ちとせ

終戦から70年となる今年、良くも悪くも「平和」が話題となることが多くなりました。安倍首相のいわゆる「安倍談話」もそうですし、なんといっても今、大きなニュースとなっている安保法案によっても、あらためて日本における平和主義の今後を考える機会が増えたのではないでしょうか。

そんな中、興味深いカバーアルバムがリリースされました。「ワダツミの木」のヒットでおなじみの、奄美民謡にルーツを持つシンガー、元ちとせが、平和への想いをのせたカバーアルバムをリリースしました。反戦歌を中心に、戦争と平和をテーマとして選曲された12曲。また2005年にTBS系ニュース番組「筑紫哲也のNEWS23」で、広島原爆ドームの前で歌い、毎年夏、配信限定でリリースを行っている、坂本龍一プロデュースによる「死んだ女の子」も収録されています。

そんなテーマ性の強い本作。平和を祈る反戦歌、というイメージからは、最初は非常にプロパガンダ色の強い作風を想像しました。それこそ、声高に反戦を叫ぶそうな、そんな楽曲が並んでいることを最初は予想していました。が、実際に聴いていると結果はむしろ逆。確かに「戦争は知らない」や、前述の「死んだ女の子」など、非常にストレートに響いてくるようないかにもな反戦歌もあるのですが、アルバム全体としては、戦争反対を声高に叫ぶような、そんな内容とは異なる内容となっていました。

それこそ「スラバヤ通りの妹へ」「美しき五月のパリ」などといった曲は、知らない人がいきなり聴いてもパッと反戦歌とは思い浮かばないような内容。歌詞としては日常生活や恋愛を歌う中で、戦争の影を感じさせるようなものが多かったように思います。

ただ、声高に戦争反対を叫ぶよりも、日常を描いた中に戦争の影を忍ばせるような楽曲の方が、むしろ戦争について深く考えるように思います。ともすれば、いかにもなプロパガンダ的な曲では、戦争反対という点においては異論がなくても、聴いていてどうしても身構えてしまう可能性があります。ただ、日常や恋愛を歌ったような曲を歌えば、誰もが自然に楽曲を受け入れるのではないでしょうか。

その中で「あれっ?」と思うフレーズにひっかかりを覚えて、曲の意味をよくよく考えたり、その曲の背景を調べることにより戦争というものを深く考えていくようになる・・・今回の彼女のアルバムは、そんな「あれっ?」からはじまり、戦争や平和というものを深く考えるきっかけとなるような曲が多くカバーされていたように思います。

カバーの出来としては彼女のこぶしの効いたボーカルがそれなりに生かされつつ、力強いカバーになっていたと思います。ただその反面、どの曲に関しても似たような歌い方をしてしまっている部分があり、良くも悪くも歌い方のテクニックでこなしているように感じる部分も少なくありませんでした。そういう意味ではカバーアルバムとしてはもろ手をあげて絶賛、というほどの出来ではなかったように思います。

とはいえ、戦後70年という今年、このようなアルバムをリリースするのはとても意義深く、こういうカバーアルバムをリリースした彼女のスタンスは非常に素晴らしいことに感じました。そういう意味で、純粋にカバーアルバムとしては4つ。このカバーアルバムの意義にプラス1ということで。

評価:★★★★★

元ちとせ 過去の作品
カッシーニ

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2015年9月17日 (木)

ライブ盤がまさかの1位2位

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週はなんとライブアルバムが1、2フィニッシュとなりました。

今週の1位2位はゆずのライブ盤が獲得。1位は「二人参客 2015.8.15~緑の日~」、2位は「二人参客 2015.8.16~黄色の日~」となりました。タイトル通り、8月15日、16日に行われた横浜スタジアムでのライブの模様をおさめたライブ盤。一般的にオリジナルアルバムに比べて売上が落ちるライブ盤での1位2位獲得はさすが。ライブ盤での1位2位独占は1993年にリリースされた尾崎豊のライブアルバム「約束の日 Vol.1」「Vol.2」以来22年4ヶ月ぶりの記録となったそうです。⇒参考サイト

なお、初動売上は「緑の日が3万枚、「黄色の日」が2万9千枚。こちらはさすがにオリジナルアルバムとしての前作「新世界」の11万3千枚より大きくダウンしてしまっています。

それに続き3位初登場は韓流の男性アイドルグループ超新星「7IRO」。タイトル通り7枚目のアルバムとなります。初動売上2万6千枚はオリジナルとしては前作の「SIX」の初動4万5千枚(2位)から大幅減。ただし直近のベスト盤「5 Years Best -BEAT-」の1万枚(8位)、「5 Years Best -BALLAD-」の9千枚(9位)(2枚同時リリース)からはアップしています。

続いて4位以下の初登場ですが、まず4位に女性アイドルグループアイドリング!!!「SINGLE COLLECTIONグ!!!」がランクインしています。今年10月の活動休止を発表している彼女たちにとってラストとなるアルバム。タイトル通り、いままでのシングルをすべて収録したベスト盤的な内容となっています。初動売上1万5千枚は前作「ロデオマシーン」の1万8千枚(5位)からダウン。最後のアルバムとしてはちょっと微妙な初動売上となっています。

7位初登場はSawanoHiroyuki[nZk]「o1」。数多くのアニメ作品の音楽を担当しているほか、映画やドラマの舞台でも音楽提供で活躍しているミュージシャン澤野弘之によるボーカルプロジェクト。SawanoHiroyuki[nZk]名義のオリジナルアルバムとしてはこれがはじめての作品。初動売上1万1千枚。直近作は澤野弘之名義の「澤野弘之 BEST OF VOCAL WORKS[nZk]」で、こちらの初動1万1千枚(6位)から横バイ。なお、澤野弘之名義でも「emU」というアルバムを同時にリリースしていますが、こちらは残念ながらベスト10入りはしなかった模様。

8位にはパスピエ「娑婆ラバ」がランクインです。最近話題の5人組ロックバンド。本人たちはほとんど顔出しはせず、テクノポップを主体としたポップながらも幅広い音楽性が話題となっています。オリジナルアルバムはこれが3作目でシングルアルバム通じて初となるベスト10ヒット。ただし、初動売上1万枚は前作「幕の内ISM」の1万2千枚(12位)からはダウンしています。

続く9位はウルフルズ「ボンツビワイワイ」が初登場。昨年の活動再開以来2作目となるオリジナルアルバム。今回はパーティーソングをテーマとしているそうです。初動売上7千枚は前作「ONE MIND」の1万4千枚(8位)より大きくダウンしてしまいました。

最後10位にはアメリカのスラッシュメタルバンドSlayer「Repentless」がランクイン。今年のメタル系のロックフェス、LOUD PARKへのヘッドライナーとしての来日が決定している彼ら。海外の主要国での発売日にあわせて金曜日のリリースとなっています。初動売上は6千枚で前作の「World Painted Blood(邦題 血塗ラレタ世界)」(20位)から横バイ。金曜日リリースという不利な状況の中では大健闘といった感じでしょうか。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2015年9月16日 (水)

5位まで男性アイドル勢がズラリ

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週は男性アイドルグループ勢が上位にズラリと並びました。

そんな中、1位を獲得したのはSMAP「Otherside」。ロックテイストの強い作品だと思ったら、作曲はMIYAVIが手掛けているそうです。初動売上15万枚は前作「華麗なる逆襲」の16万枚(1位)から若干のダウン。

そのSMAPに続く2位初登場は超特急feat.マーティー・フリードマン「Beautiful Chaser」。スターダストプロモーション所属の男性アイドルグループが、元メガデスのギタリストで最近はすっかりJ-POPを語りたがる外人さんになったマーティー・フリードマンをフューチャーした作品。フジテレビ系ドラマ「探偵の探偵」主題歌。マーティー・フリードマンが参加しているだけに、ちょっとベタとも思えるハードロックなギターサウンドが入ったロック色強いナンバー。初動売上4万8千枚は前作「スターダスト LOVE TRAIN」の2万4千枚(5位)から大幅増で、2位は自己最高位となります。

そして3位4位は韓流アイドルグループ。U-KISS「Stay Gold」VIXX「Can't Say」が並んでランクインです。

U-KISSはいかにもアイドルソングらしいさわやかなエレクトロポップナンバー。初動売上4万4千枚は前作「Sweetie」の3万2千枚(2位)よりアップ。VIXXも似たタイプの爽やかなポップチューン。初動売上3万枚で、こちらも前作「Error」の1万9千枚(6位)よりアップしています。

さらに5位には先週1位の嵐「愛を叫べ」が4ランクダウンでこの位置にランクインしており、これで5位まですべて男性アイドルグループがズラリと並んだ結果となっています。

そんな男性アイドル勢に続いて6位ランクインは女性シンガー西野カナ「トリセツ」がランクイン。さだまさしの「関白宣言」の女版のような曲。少々露骨な結婚式の余興狙いな感じもしますが。映画「ヒロイン失格」主題歌。初動売上2万5千枚は前作「もしも運命の人がいるのなら」の1万9千枚(11位)よりアップで、2作ぶりのベスト10ヒット。

7位にはEXILE ATSUSHI+AI「Be Brave」がランクイン。ミュージシャン名通り、EXILEのATSUSHIと女性シンガーAIのコラボ。PVではAIが妊婦姿を披露しており話題となっています。 21世紀最低の視聴率が悪い言いで話題となったフジテレビ系ドラマ「HEAT」主題歌。初動売上は2万5千枚。EXILE ATSUSHIとしての前作「桜の季節」の1万7千枚(3位)からはアップ。AIとしても前作「VOICE」の6千枚(13位)よりアップして、2010年の「FAKE」以来、6作ぶりとなるベスト10ヒット。ドラマは散々な結果でしたが、シングルのタイアップ効果はそこそこ発揮された模様。

8位は今週唯一の女性アイドルグループ、福岡のローカルアイドルLinQ「LinQuest~やがて伝説へ…」。前山田健一プロデュースなのですが、それらしい仰々しいナンバー。初動売上1万5千枚は前作「ハレハレ☆パレード」の2万8千枚(8位)から大幅減。

9位には女性4人組バンドSCANDAL「Sisters」が入ってきました。前作はロック色が強かったのですが、本作はポップ色強く、良くも悪くもJ-POPらしいナンバー。初動売上1万4千枚は前作「Stamp!」の2万枚(5位)からダウン。

そして最後10位にはヴィジュアル系ロックバンドDOG inTheパラレルワールドオーケストラ「メテオライト」がランクイン。カラフルでポップス色の強いバンドですが、今回も軽快なポップチューンとなっています。初動売上1万3千枚は前作「TOKYOエレクトリックパレード」の1万5千枚(8位)から若干の減少。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2015年9月15日 (火)

バンドとソロと

紹介がちょっと遅くなりましたが、今日取り上げるのは曽我部恵一関連の2枚の作品です。

Title:Sunny
Musician:サニーデイ・サービス

まず1枚目はサニーデイ・サービスの新作。2010年にリリースされた復活第1弾アルバム「本日は晴天なり」以来4年半ぶりとなるニューアルバム。活動再開後は、正直目立った活動も少な目で、悪く言えば再結成バンドにありがちな、活動してるんだかしてないんだかわからない中途半端な、良く言えばマイペースな活動を続けてきました。ただ、今年に入り、フジロックやエゾロックに出演。さらに11月からは再結成後初となるツアーも決定しているそうで、とりあえずは本格的に活動を再開したようです。

そしてもう1枚は、こちらもサニーデイ以上にマイペースな曽我部恵一の新作。

Title:My Friend Keiichi
Musician:曽我部恵一

こちらは彼の弾き語りにより、わずか一晩で作り上げたというアコースティックなアルバムになっています。

曽我部恵一の出身母体であるバンドのアルバムとソロのアルバム。バンドとソロという違いはあるのですが、かなり似た雰囲気の作風に感じました。特に今回のサニーデイのアルバムはアコースティックなテイストの曲が多く、フォーキーな印象が。一方、曽我部ソロも同じくアコギ1本での演奏。そういう意味でも非常に似た作風に感じます。

歌詞も「素朴な日常風景を描いた歌詞」という意味で似たような路線に感じます。サニーデイでは「おせんべい」で好きな人との日常風景を描いていますし、歌詞の中でおいしそうな食べ物が並ぶ「星のレストラン」も日常的(ただ、同時にどこか幻想的な雰囲気も感じるのですが)な光景を描いています。

曽我部ソロにしても「海までの道をきみと歩いてる」はこちらも好きな人との日常風景を描いていて、似たような路線を感じてしまいます。ソロとバンドで歌詞にも共通項を感じてしまいます。

ただ一方で曽我部ソロの方は今回、「幻想的」というのもひとつのキーワードになっています。特に歌詞においては「蜘蛛の糸」は蜘蛛の視点から描かれた歌詞というのが印象的。「椿」なども歌詞で幻想的な色彩を描いています。もっともこれらの曲にしても「蜘蛛の糸」では東京にはじめて出てきた若者の姿を重ねることが出来るなど、あくまでも日常に立脚しています。

また一方でサニーデイの方にも「エアバルーン」のようなVelvet Undergroundばりのバリバリのノイジーなギターサウンドを聴かせてくれる曲もありますし、他にもギターロック路線の曲もチラホラ。もっともアルバム全体としてはやはりアコースティックという印象は否めないのですが。

正直、このソロとバンドの方向性が似ているというのが非常に気になってしまいます。だったらソロかバンドかどちらかやる必要性はないのでは?別にソロとバンドで方向性を変えなければいけない、という決まりはないのですが、ソロとバンドが同じ方向性というのはちょっとおもしろみは欠ける感じはします。

そして非常に気になったのがどちらの作品もどこか内向きだなぁ、という点でした。もともと曽我部ソロ作は個人的な内容の歌が多く、サニーデイに関しても前作「本日は晴天なり」は内向きさを感じる作品だったのですが、残念ながらその傾向は本作も続いてしまいました。

楽曲自体の出来は悪くないどころか、どちらの作品も曽我部恵一のメロディーメイカーとしての実力が良く出ている曲ばかりだったと思います。それだけに、この内向きの傾向はかなり気になってしまいました。どちらも悪いアルバムではないのですが・・・いい意味でもっとリスナー層を広げるような努力もしてほしいような気もしてしまいます・・・。

評価:
どちらも ★★★★

サニーディ・サービス 過去の作品
本日は晴天なり
サニーディ・サービス BEST 1995-2000

曽我部恵一 過去の作品
キラキラ!(曽我部恵一BAND)
ハピネス!(曽我部恵一BAND)
ソカバンのみんなのロック!(曽我部恵一BAND)
Sings
けいちゃん
LIVE LOVE
トーキョー・コーリング(曽我部恵一BAND)
曽我部恵一 BEST 2001-2013


ほかに聴いたアルバム

≒/BLUE ENCOUNT

メジャーデビュー作となる本作が、オリコン初登場10位を記録し、一躍ブレイクした4人組ロックバンド。今回、そのヒットもきっかけにはじめて聴いてみました。で、聴いた感想としては、いかにも今時のバンドといった印象。楽曲は一応「メロコア」というようにジャンル分けされるのでしょうか。ただ、メロディーラインはベタなJ-POP。悪い意味でのルーツレスな感じで、薄っぺらさも感じてしまいます。最近、こういうタイプのバンドが増えているような・・・。

評価:★★★

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2015年9月14日 (月)

しばしの別れ?

Title:Bye Bye Hello
Musician:the telephones

今年11月の本人主催のイベントライブを最後に活動休止が決まっているthe telephones。活動休止発表後の今年3月には、自身初となるベスト盤をリリースしましたが、活動休止前最後となるオリジナルアルバムもリリースされました。

the telephonesといえば、終始ごきげんなディスコチューンにボーカル石毛輝のハイトーンボイスが大きな特徴なバンド。今回のアルバムももちろん、そのご機嫌なハイトーンボイスにダンサナブルな楽曲が最初から最後までつまった内容になっているところは、活動休止前最後のアルバムといえども変わりはありませんでした。

ただ今回のアルバム、前半に関してはギターロックの色合いが強い曲が並んでいました。例えば「Something Good」もシンセを使ったダンスチューンでありながらもギターサウンドが前面に出ている構成になっていますし、「Thank You DISCO!!!」などもタイトル通りのディスコチューンなのですが、シンセサウンド以上にバンドとしてのサウンドが目立つアレンジとなっていました。

これは勝手な憶測なのですが、活動休止前最後のアルバムということでthe telephonesはあくまでもロックバンドだぞ、ということを主張してきたようにも感じました。もちろんいままでの作品でもバンド色の強い曲はありましたが、今回のアルバムでは特にバンドサウンドに耳がいったように思います。

ただ、アルバム全体の出来としては悪くはないけど・・・というレベルにとどまったように思います。特に後半はシンセを使ったダンスナンバーが増えるのですが、彼ららしい爽快なナンバーではあるものの、目新しさはありませんでした。また、ある程度the telephonesとしてやれることはいままでの活動でやり切った、という部分もあるのかもしれません。

しかしそんな中印象的だったのがラストナンバー「Evergeen」。彼らにしては珍しい日本語詞のナンバーで、楽曲もダンスチューンではなく、ポップなメロで歌い上げるナンバー。

「いつまでも色褪せないような
そんな歌を願うよ
エヴァーグリーン」

(「Evergreen」より 作詞 Akira Ishige)

と、最後らしいメッセージを歌う彼ら。ダンスチューンではなく、日本語でしっかりとファンに対して最後のメッセージを届けようという姿勢を感じさせます。

また、イベントライブを最後に活動休止となる彼らですが、この活動休止前最後のアルバムが「Bye Bye Hello」と、最後と同時に次のはじまりも感じさせるようなタイトルだったり、前述のラストナンバー「Evergreen」の中にも

「いつだって僕ら
輝きは消えることない
ちょっとだけ眠い
終わりなき旅を行こう」

(「Evergreen」より 作詞 Akira Ishige)

と、あくまでも一時的な活動休止であることを示唆するような歌詞があったりと、「解散」という形を取らなかったことを含めて、いつかの活動再開を想定されるような部分が随所に感じられます。そういう意味では意外と近い将来、またthe telephonesの活動を楽しむことが出来るかも。とりあえずはしばしのお別れということで。

評価:★★★★

the telephones 過去の作品
DANCE FLOOR MONSTER
A.B.C.D.e.p.
Oh My Telephones!!! e.p.

We Love Telephones!!!
100% DISCO HITS! SUMMER PACK
Rock Kingdom
D.E.N.W.A.e.p.
Laugh,Cry,Sing...And Dance!!!
SUPER HIGH TENSION!!!
BEST HIT the telephones

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2015年9月13日 (日)

新たな試みも

Title:EYES WIDE,TONGUE TIED
Musician:The Fratellis

イギリスのロックバンド、The Fratellisの4枚目となるアルバム。2007年にリリースされたデビューアルバム「Costello Music」が大ヒットを記録。特にこのアルバムに収録され、シングルとしてもリリースされた「Flathead」はiPodのCMソングにも起用されて、日本でも大きな話題となりました。

その後2009年にはその活動を休止したものの、2013年には見事復活。3枚目となるアルバム「We Need Medicine」はデビューアルバムを彷彿させるような軽快なロックンロールのアルバムに仕上がっていました。

それに続く4枚目のアルバムとなった本作はデビューアルバム「Costello Music」のプロデュースを手掛けたトニー・ホッファーを再びプロデューサーとして迎えた作品。前作は原点回帰的な印象が強かった作品だったのですが、本作もそれに続いてデビューアルバムっぽい色合いが濃い作品なのか・・・と期待して聴いてみました。

しかし、全体的には決してデビューアルバムのように軽快で踊れるようなロックンロールナンバー、といった感じではありません。むしろカントリー風の「Desperate Guy」やジャズのサウンドを取り込みムーディーに聴かせる「Moonshine」など、様々なタイプの作風への挑戦も感じられます。

そういう意味ではデビューアルバム「Costello Music」に続き、バラエティー豊かな作風に挑戦した2ndアルバム「Here We Stand」と立ち位置が似ているアルバムと言えるかもしれません。しかし一方では様々な作風に挑戦した結果、統一感がなくなり彼らの良さが消えてしまっていた「Here We Stand」と比べると、今回のアルバムは必要以上に音楽性がバラバラになることなく、ポップなメロディーラインにきちんとThe Fratellisらしさを感じられたアルバムになっていました。

特によりガレージロック色が強まった「Baby Don't You Lie To Me!」やノイジーなギターロックに陽気なメロディーが重なる「Too Much Wine」などはキュートでポップなメロディーのインパクトも十分。聴いていてワクワク楽しくなってくるロックンロールでポップな、これぞThe Fratellisといった感じの楽曲に仕上がっていました。

そういう意味では音楽性を広げようとした結果、彼ららしさを見失ってしまった「Here We Stand」に対して、本作では同じく音楽性を広げつつも、彼ららしさをきちんと発揮することが出来た傑作と言えるでしょう。2ndアルバムで出来なかったことが見事本作では成功したのは、プロデューサートニー・ホッファーの力量によるところも大きいのでしょうか?今度の彼らの可能性を感じさせるアルバムでした。

ただひとつ残念なのは本編が11曲40分強の内容ながらも、国内盤だとボーナストラックが10曲40分弱もの長さがついてくるんだよなぁ。正直、完全に蛇足。軽快でポップな作風だからこそ、40分程度の長さがちょうど良いと思うんだけども、なんでこう「ボリュームがあればあるほどいい」という単純な発想になってしまうんだろうか(苦笑)。アコースティックアレンジの曲が収録されたボーナストラックは悪くはないのですが、必聴というほどの出来といった感じではなく、熱心なファンの方なら・・・といった程度。無理に容量いっぱいにつめこむ必要はないんだけどなぁ。

評価:★★★★★

The Fratellis 過去の作品
Here We Stand
We Need Medicine

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2015年9月12日 (土)

AFXとして10年ぶり

Title:orphaned deejay selek 2006-2008
Musician:AFX

昨年、いきなりニューアルバム「Syro」をリリース。それがイギリスのアルバムチャートでは8位、アメリカビルボードチャートでは11位、そしてなんと日本のオリコンチャートでも8位を記録するなど、すっかり「人気ミュージシャン」となってしまったAphex Twin。彼の音楽の「わかりやすさ」からするとこの結果は、かなり驚くべき結果なのですが、別にこの結果に気を良くした訳ではないとは思うのですが、今年に入ってさらに1枚EPをリリース。さらにはなんとAFX名義として10年ぶりとなるニューアルバムをリリースしてきました。

タイトルを直訳すると「孤児のDJによる選曲」。タイトルに2006年~2008年と入っていますが、実際にその時期に作成されたものかは不明だそうです。ただ彼は、2005年までAFX名義として「Analoard」シリーズをリリースしていましたので、タイトルを率直に受け取れば、その直後に制作されていままで取っておいたもの、ということになるのでしょうか。

そんな新作を聴いて感じたのは比較的素直なテクノというイメージ。特に「serge fenix Rendered 2」「dmx acid test」の冒頭2曲はわかりやすいミニマルテイストのリズミカルなサウンドでメロディーラインもしっかりしておりAphex Twinの音に聴きなれていないよな方でも楽しめそう。フロアでも踊れそうなテクノチューンに仕上がっています。

一方で中盤以降は「bonus EMT beats」では複雑なリズムパターンに魅了されたり、「midi pipe1c sds3time cube/klonedrm」では、クラリネットのような音とドラムのリズムパターンがどこかユーモラスだったり、最後を締めくくる「r8m neotek beat」もシンプルながらもタイトなリズムがインパクトがあったりと聴かせどころもたくさん。全8曲わずか27分程度の内容ながらも、AFXの魅力をきちんと聴かせてくれました。

全体的には正直、目新しさという部分は薄いように感じます。ただ一方でわかりやすいサウンドは例えば「Syro」でAphex Twinというミュージシャンを知った方にとっては次の1枚としては最適な作品。またそれなりにAphex Twin好きの壺にはまるようなサウンドも展開されたりするのでファンから初心者まで幅広いリスナー層が楽しめそう。わかりやすいメロディーラインは、リチャード・D・ジェームスってメロディーセンスがあるんじゃん、とあらためて感じたり。ファンとしては立て続けに新譜がリリースされてやはりうれしくなる傑作でした。

評価:★★★★★

Aphex Twin 過去の作品
Syro
Computer Controlled Acoustic Instruments pt2 EP

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2015年9月11日 (金)

「音頭」と一言で言うけれど

Title:ヤバ歌謡3 NONSTOP DJ MIX –音頭編-
Musician:DJフクタケ

B級歌謡曲をレアグルーヴに見立てて、クラブミュージック感覚で選曲。DJミックスとして「ヤバ歌謡」シリーズをリリースしているDJフクタケ。今年2月には「TVテーマ編」として、テレビアニメやドラマなどで使用された曲をセレクトしたアルバムをリリースしたばかりですが、それからわずか5ヶ月。早くも新しいミックス盤をリリースしてきました。今回のテーマは「音頭」。夏祭りのシーズンにピッタリの(といってもこれを紹介している今は、既に夏祭りのシーズンは終わってしまったのですが・・・)数多くの「音頭」が次々と展開していきます。

いままでも「こんな曲があったんだ」と感心するようなセレクトばかりだったのですが、今回のアルバムに関しては特に「よくこんな曲、知っていたなぁ」と感心するような曲ばかり。DJフクタケのその知識量には感服してしまいます。それと同時に、いかに日本に多くの「音頭」がリリースされてきたのか驚かされます。

猫も杓子も音頭がリリースされるのは、良く言ってしまえばそれだけ音頭のリズムが日本人の魂に響いてくるものがあるのでしょう。ただもっとも本音としては、音頭のようなダンスナンバーは一度大ブレイクすると国民的なヒットになりやすい、という点も大きいのでしょう。最近はあまり聴かなくなりましたが、子供の頃、夏に街中を歩くと、いたるところで夏祭りの会場から「ドラえもん音頭」や「アラレちゃん音頭」が流れてきたものです。

今回のセレクトの中には、「こんなテーマまで音頭にしてしまうのか?」という珍曲も多く、「ゴジラ音頭」(ゴジラの鳴き声入り!)なんて曲や、「リカちゃん音頭」なんて曲も。この「リカちゃん音頭」に至っては

「からあげ かきあげ あぶらあげ
てをあげ あしあげ さつまあげ
ちょっとたべたい つまみたい」

(「リカちゃん音頭」より 作詞 伊藤アキラ)

なんて歌詞はどう考えてもリカちゃんのイメージと一致しているとは考えにくく、キャラクターイメージを重視するようになっている昨今の風潮だとおそらくリリースできないだろうなぁ、という珍曲。珍曲といえば、ビートルズの名曲の珍カバーとして有名な「イエロー・サブマリン音頭」も収録されています。

一方では「これ、音頭じゃないだろ!」といった曲もあったりするのがおもしろいところ。例えばつくば万博のテーマ曲のB面「HOSHIMARU音頭」はタイトルは音頭ですが、曲調は完全なテクノポップですし、「ミッチー音頭」は音頭とは名ばかりのソウルフルなロックンロールチューンでメチャクチャカッコいい!ちなみに、青山ミチが歌うオリジナルに続いて、遠藤賢司がカバーした「エンケンのミッチー音頭」が収録されており、こちらはよりゴリゴリのロックチューンなのですが、こちらもまたとてもカッコいいカバーに仕上がっています。

カッコいいといえば、この「ミッチー音頭」を最初にはじまるロック系の音頭のメドレーがめちゃくちゃカッコいい!FLOWER TRAVELLIN' BANDの「SATORI PART 2」も良いのですが、その前後に挟まっているモップスの「なむまいだあ~河内音頭より~」「御意見無用」がハードロックのサウンドと、音頭のグルーヴ感を見事融合させており、見事、日本人のみが作りうるような日本のロックを完成させています。ソウルフラワーユニオンあたりが好きなら気に入りそうな名曲です。

もちろん一方では音頭らしい音頭も収録されており、様々な観点から音頭の魅力をしっかりと楽しめるセレクトだったと思います。今回のアルバムもディープなB級歌謡曲の中に、「日本全国酒飲み音頭」のようなおそらく多くの方が聴いたことあるヒット曲もまじっており、歌謡曲の魅力を存分に楽しめる作品となっています。今回もおもいっきりはまりました!次回作も期待。次は「CM編」とか?

評価:★★★★★

DJフクタケ 過去の作品
ヤバ歌謡 SUPER NONSTOP MIX~MIXED BY DJフクタケ
ヤバ歌謡2 NONSTOP DJ MIX -TVテーマ編- Mixed by DJフクタケ

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2015年9月10日 (木)

ちょっと意外な1位獲得

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートで1位を獲得したのはちょっと意外なバンドでした。

1位を獲得したは和楽器バンド「八奏絵巻」。ボカロ曲などを和楽器の演奏でカバーした前作「ボカロ三昧」で話題となったグループ。初動売上3万6千枚はその前作の初動1万5千枚から大幅にアップし、見事メジャーデビュー2作目にして1位獲得となりました。和楽器をつかった演奏ということで「和楽器とロックの融合」みたいな評価がされているみたいですが、正直前作を聴く限り、バンドの楽器を和楽器に置き換えただけ、という印象で、日本の文化を取り込んだというよりも、「外国人から見た日本風」なスタイルになってしまっている印象もあります。それなので、「これぞ日本のバンド」みたいな見方にはかなり懐疑的な印象も受けているのですが。

2位初登場はHi-STANDARDのメンバーとしても活動しているパンクミュージシャンKen Yokoyamaのニューアルバム「Sentimental Trash」がランクインです。2位は自己最高位。初動売上2万1千枚も、前作「Best Wishes」の1万9千枚(8位)からアップ。

3位は三浦大知「FEVER」がランクイン。こちらは3位は自己最高位で、シングルアルバム通じて初のベスト3ヒットとなりました。ただし、初動売上1万8千枚で、こちらは前作「The Entertainer」の2万4千枚(8位)からダウンしてしまいました。

続いてベスト4以下の初登場盤です。5位初登場はロックバンド凛として時雨「es or s」。全5曲入りとなるミニアルバム。新作のアルバムとしては「i'mperfect」以来約2年5ヶ月ぶりとなる新譜です。初動売上は1万1千枚で、その前作「i'mperfect」の1万9千枚(4位)からダウン。直近作でベスト盤の「Best of Tornado」の1万7千枚(6位)からもダウンしています。まあミニアルバムなのでこんなもんでしょう。

6位には日本でも高い人気を誇るイギリスのへヴィーメタルバンドIRON MAIDEN「The Book of Souls(邦題:魂の書~ザ・ブック・オブ・ソウルズ~)がランクインしています。初動売上7千枚は前作「The Final Frontier」の1万3千枚(5位)から大幅にダウン。ただ今回、アルバム売上日が金曜日となった影響で、集計される日数が少なくなったことが大きな影響を与えている模様。ちないに今年7月より、違法ダウンロード対策として世界各国のアルバム発売日が金曜日に統一されており、本作の金曜日発売もそれにあわせたもの。

初登場最後は8位初登場ゴスペラッツ「GOSPE☆RATS ~ぺラッII~」。ラッツ&スターの鈴木雅之、佐藤善雄、桑野信義とゴスペラーズの村上てつや、酒井雄二が参加したユニット。2006年にアルバム1枚をリリースした後に活動を休止。それが今年再始動し、9年ぶりとなるアルバムリリースとなりました。ただし初動売上6千枚は前作「ゴスペラッツ」の4万7千枚(2位)から大幅減。まあ、この9年でCD市場自体が大幅に縮小しているので単純比較はできませんが・・・。

今週のアルバムチャート、初登場は以上なのですが、1枚、返り咲き組があります。それが先週の50位圏外から7位にランクアップした堂本剛「TU」。9月2日に予約生産限定でLP盤がリリースされたそうで、その売上が反映された結果の模様。

また、先週まで1位を獲得していたDreams Come True「DREAMS COME TURE THE BEST! 私のドリカム」は今週4位にランクダウン。売上も2万2千枚から1万8千枚に落としています。ただ今週の日、月のデイリーチャートでは1位に返り咲いており、まだまだロングヒットは続きそうです。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2015年9月 9日 (水)

先週はAKB、で、今週は・・・

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

AKB48の翌週リリースはおそらく狙ってのことだとは思うのですが、今週1位はのニューシングル「愛を叫べ」が獲得しました。「ゼクシィ」CMソング。これといった特徴はないもののわかりやすいメロディーラインでインパクトがある、いかにも「結婚式の余興で歌ってね」と訴えているような曲になっています。初動売上46万2千枚は前作「青空の下、キミのとなり」の50万1千枚(1位)よりダウン。

2位初登場は三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「Unfair World」。映画「アンフェア the end」主題歌。哀愁たっぷりの切ないメロディーが印象に残るベタな2ドラ主題歌風バラード。初動売上17万9千枚は前作「Summer Madness」の19万4千枚(1位)よりダウン。

3位にはこぶしファクトリー「ドスコイ!ケンキョにダイタン」がランクイン。ハロプロ系の新人アイドルグループ。初動売上3万4千枚でベスト3入り。相撲ネタを使いつつ、内容は王道のアイドルポップス。

続いて4位以下の初登場です。4位には米津玄師「アンビリーバーズ」が入ってきました。もともとは「ハチ」名義で初音ミクをつかって動画サイトに楽曲をアップするいわゆるボカロPとして人気を博していたシンガーソングライター。初動売上2万6千枚は前作「Flowerwall」の1万9千枚(3位)よりアップ。10月リリースのニューアルバムからの先行リリースながらも売上を伸ばしてきており、人気の高まりを感じさせます。

6位には人気男性声優蒼井翔太「MURASAKI」が初登場。トランス風のチープな打ち込みにマイナーコードのアップテンポナンバーという、悪い意味での典型的なアニソン風ポップ。初動売上1万3千枚は前作「秘密のクチヅケ」の1万2千枚(11位)より微増。シングルのベスト10入りは昨年1月リリースの「Virginal」以来3作ぶり2作目。

7位初登場はもういっちょアニメ系。月読調「戦姫絶唱シンフォギアGX キャラクターソング6(ジェノサイドソウ・ヘヴン)」。タイトル通りアニメ「戦姫絶唱シンフォギアGX」のキャラクターによるキャラソン。トランス調のアレンジにマイナーコードのアップテンポナンバー・・・って、6位の蒼井翔太と同じパターンの典型的なアニソン風ポップ。初動売上は1万枚。同じ月読調名義の前作「戦姫絶唱シンフォギアG キャラクターソング5(鏖鋸・シュルシャガナ)」の1万1千枚(9位)より微減。「戦姫絶唱シンフォギアGX キャラクターソング」シリーズの前作暁切歌「戦姫絶唱シンフォギアGX キャラクターソング5(オーバーキルサイズ・ヘル)」の1万枚(15位)からは横バイ。

アニメ系はさらにもう1枚。9位にアニメ「Charlotte」の劇中バンドHow-Low-Hello「楽園まで」がランクイン。90年代J-POP風の軽いギターサウンドのアイドル風ポップチューン。ミュージシャン名はNIRVANAの「Smells Like Teens Spirit」が元ネタと思われますが、楽曲的にはNIRVANAにかすりもしていません。初動売上9千枚でこれがデビュー作。

初登場最後10位はBiSH「OTNK」。メロコア風サウンドの最近雨後のたけのこのように出てくる「ロック系アイドル」。先日解散したアイドルグループBiSのマネージャー渡辺淳之介とサウンドプロデューサー松隈ケンタにより産みだしされたグループなのですが、いかにも「私たち新しいことに挑戦していておもしろいでしょ」的狙ったようなスノッブ臭が鼻につきます。初動売上9千枚でこれがデビューシングル。

最後に1枚、ベスト10圏外からの返り咲きが。8位にNMB48「ドリアン少年」が先週の12位からランクアップ。通販での販売分の一括売上計上があった模様。ただし、売上は先週の1万2千枚から9千枚にダウンしています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた来週。

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2015年9月 8日 (火)

イスラエルのバンドとのコラボ

Title:With Boom Pam
Musician:小島麻由美

今年、デビュー20周年を迎えた彼女。え?そんな長いキャリアを持っているの?とビックリしてしまったのですが、確かにはじめて彼女を知ったのは私が大学の頃なので、もうそのくらいたつのか・・・。本作は、デビュー20周年を記念した企画の第一弾だそうです。

「With Boom Pam」というシンプルなタイトルの本作ですが、このアルバム、イスラエルのサーフ・ロック・バンド、BOOM PAMとのコラボアルバム。うーん、イスラエルと小島麻由美って全く思いもよらない組み合わせなのですが・・・(^^;;音楽的にどんな雰囲気に仕上がるんだろうか、期待半分不安半分で聴いてみました。

しかしこれが予想以上に相性抜群。楽曲は過去の小島麻由美の曲のカバーになるのですが、原曲のイメージを残しつつも、新たな味付けが加わったような作風になっていました。

全体的にはカラッとした雰囲気のシンプルなアレンジになったような感じがします。「泡になった恋」なども原曲と同様のサーフロック路線ながらももうちょっとカラッとした雰囲気になっています。いわば地中海の雰囲気ってやつですか?「トルココーヒー」も、ホーンの軽快なリズムが楽しい、原曲よりもカラッとした楽しさが味わえる作品になっていました。

また、「ブルーメロディ」のサーフロック風のギターは、彼らならでは、といった感じでしょうか。「蝶々」のアウトロのエキゾチックな雰囲気も、日本から遠く離れた中東のバンドならではの空気も感じます。基本的には小島麻由美をメインに押し出したアルバムであることは間違いないのですが、その中でもしっかりBOOM PAMの個性も感じることが出来ました。

一方では「アラベスク」の間奏のギターサウンドにはどこか歌謡曲の匂いすら感じられるなど、なにげにBOOM PAMと日本人の耳との相性の良さも感じます。そんな相性の良さがあるからこそ、小島麻由美の曲とも違和感なくピッタリとマッチしたのではないでしょうか。

過去のリメイクとはいえ、BOOM PAMの魅力もしっかりと伝わってきており、小島麻由美のニューアルバムとしても楽しめるアルバムだったと思います。イスラエルの音楽って、いままでほとんどイメージがなかったのですが、BOOM PAMのアルバムも聴きたくなってきました。Amazonでベスト盤も買えるみたいだし、一度聴いてみようかなぁ。

評価:★★★★★

小島麻由美 過去の作品
a musical biography KOJIMA MAYUMI 2001-2007
ブルーロンド
渚にて
路上

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2015年9月 7日 (月)

ベタとカッコよさの両立

Title:ラヴァーマン
Musician:ORIGINAL LOVE

ORIGINAL LOVEのニューアルバムは、まずジャケット写真に「おおっ!」と思ってしまいます。バイクにまたがるORIGINAL LOVE田島貴男は美女(予想)と二人乗り。さらに背景には東京の夜景と、そしてスカイツリー・・・うーん、冷静に考えるとベタベタ(笑)。でも、田島貴男がORIGINAL LOVEとして演じるとカッコよく決まっています。この「カッコいい」という部分と「ベタ」という部分が絶妙にバランスしているジャケット写真。そしてこの「ベタ」と「カッコよさ」の絶妙なバランスが本作の大きな特徴になっているようにも感じました。

まず本作は、非常にポップな作品が多く並んでいました。特に前半、「ラヴァーマン」「ビッグサンキュー」とポップな色合いの濃い作品が続きます。さらにそれに続くはアイドルグループNegiccoに提供した「サンシャイン日本海」のセルフカバー。歌詞も含めてアイドルポップテイストも強い作風で、そういう意味では「ベタ」ともいえるポップ路線の曲が並んでいます。

ただ「ベタ」といってももちろん平凡なJ-POPではありません。絶妙にソウルやジャズの要素を取り込んだポップとして仕上げており、非常に「カッコいい」曲に仕上げています。わかりやすいポップソングという「ベタ」さと、ソウルやジャズの要素を取り込んだサウンドに絶品のメロディーセンスという「カッコよさ」を見事両立させているように感じました。

中盤以降も、エレクトロのアレンジが軽快な「クレイジアバウチュ」にミュージカル的な楽しさを感じるアレンジがほどこされた「99粒の涙」、さらにストリングスを入れて爽快に仕上げた「希望のバネ」など、いい意味で聴きやすくインパクトのある、ポップテイストの強い曲が並んでいます。最後のボーナストラック田島貴男ソロ名義の「ウイスキーが、お好きでしょ」は若干蛇足気味かな、という感じはしないのではないのですが。

そんな訳で、いままでのORIGINAL LOVEの作品の中でも、特にポップテイストが強く、良い意味で聴きやすいアルバムだったと思います。そして同時に、彼の魅力もきちんと伝わってくるカッコいいアルバムでした。相変わらず安定感あるよなぁ。さすがです。

評価:★★★★★

ORIGINAL LOVE 過去の作品
白熱
エレクトリックセクシー


ほかに聴いたアルバム

LIFE PROBE/LAMP IN TERREN

これがメジャー2作目となるスリーピースロックバンド。それなりにインパクトのあるメロディーラインも、現実をシニカルに描いた歌詞も悪くはないのですが、ちょっとファンタジックな雰囲気のある歌詞とメロはまるっきりBUMP OF CHICKENだし、歌詞の方向性はちょっとSyrup16gだし、正直言って、LAMP IN TERRENのみの個性というのが薄いように感じます。良くも悪くも典型的な「ロケノン系」。もうひとつ壁を乗り越えてほしいところですが・・・。

評価:★★★

LAMP IN TERREN 過去の作品
silver lining

OLest/Charisma.com

女性2人組HIP HOPユニットの、これがメジャーデビュー作となるミニアルバム。OLの本音をストレートに描いた歌詞が毒をもちつつかなり強烈。トラックもエレクトロサウンドがポップで聴きやすい内容。基本的には前作「DIStopping」のスタイルそのままなのですが、毒の要素は増したようにも思えます。わずか8曲入りなのがちょっと残念。現役のOLという彼女たちらしい強烈な歌詞を男社会の現在にまだまだ聴かせてほしいところ。

評価:★★★★

Charisma.com 過去の作品
DIStopping

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2015年9月 6日 (日)

様々な文化が交錯

Title:LIVE in TOKYO
Musician:SukiAfrica"Sukiyaki Allstars"

毎年、富山県南砺市で行われる日本最大のワールドミュージックのフェス、「SUKIYAKI MEETS THE WORLD」。そのフェス発のレーベル「スキヤキ・レーベル」のアルバムとして、先日、CUATRO MINIMALのアルバムを紹介しましたが、本作は再始動の第2弾となるアルバムです。

このフェスは毎年、ジャンル関係なくワールドミュージックのミュージシャンたちがユニットを組むのですが、本作のSukiAfrica"Sukiyaki Allstars"もそんなフェス発のミュージシャンの一組。ジンバブエのチウォニーソ・マライレ、トーゴのピーター・ソロ、カメルーンのエリク・アリアーナといったアフリカ勢のミュージシャンに、韓国のチャン・ジェヒョと日本のサカキマンゴー(この2人はCUATRO MINIMALにも参加してますね)といったアジア勢が参加した、まさに国や地域を超えた組み合わせとなっています。

本作は、2010年8月に行った東京公演の模様を収めたライブアルバム。本作で特に意義があるのが、2013年にわずか37歳という若さで亡くなったジンバブエの親指ピアノ、ムビラの演奏家として知られるチウォニーソ・マライレが参加している点。今となっては残念ながら彼女に関する貴重な音源のひとつとなってしまいました。さらに録音とミキシングに、裸のラリーズや夕焼け楽団として活躍し、近年では阿波踊りのグルーヴを記録した「ぞめき」シリーズのプロデュースでも話題となった久保田麻琴が参加しています。そういう意味でも非常に豪華な内容に仕上がっていました。

SukiAfricaというミュージシャン名通り、作曲は主にアフリカ勢によって行われており、ザックリとした言い方になってしまいますが、一言で言えば「アフリカ音楽」ということになってしまうのでしょう。ただ、アフリカと一言で言ってもジンバブエ、トーゴ、カメルーンと文化も異なる地域のミュージシャンたち。そのため、その3人の作った楽曲でも雰囲気は大きくことなっていました。

具体的に言えば、チウォニーソ・マライレが作曲した楽曲は、メロディーラインのはっきりしたポップス色の強い作品。なによりも彼女のボーカルが包み込むような、とても優しい雰囲気の楽曲になっています。一方、ピーター・ソロは、「Somadja」などアフロビート色が強い作風に。迫力あるリズムの中、CDのライナーツノートにも記載された泥臭さと、同時にどこか洗練されたものも感じました。またエリク・アリアーナの作品は、例えば強烈なポリリズムからスタートする「Moka」などは迫力あるリズムを聴かせたかと思えば、「Tingo」では繊細な雰囲気の歌モノに仕上げており、この音楽性の幅がとてもおもしろくも感じました。

他にも「Sukiafrica」では楽曲の中に日本語が登場。CUATRO MINIMALでも書いたのですが、メンバー全員、レジデンスプロジェクトといって一時期南砺市で一緒に生活を行い、その中で楽曲を作り上げていくそうですが、アフリカ風のリズムの中、日本語が登場してくるあたり、一緒に日本で寝食を共にしたからこそ、生まれてきた楽曲と言えるでしょう。

また一方でアジア勢も参加している影響で、どこか微妙に日本風だったり、アジアな雰囲気があったりと、そういう意味では我々にとっても耳馴染みあるような音も交じっていたりするのもおもしろいところ。ライナーツノートでは「デラックスでカラフルな幕の内弁当」と称していましたが、様々な文化が入り混じって、一種独特の音楽を作り上げていました。

CUATRO MINIMALもそうだったのですが、スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドのレジデンスプロジェクトから生まれるユニットって、彼らに限らず独特でおもしろいバンドばかりなんですよね。そういう意味で、今後も「スキヤキ・レーベル」からどんどん新譜がリリースされるのを期待したいところ!ワールドミュージックが好きなら必聴の傑作です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Csny 1974(エッセンシャル)/Crosby,Stills,Nash&Young

1960年代末から70年代初頭にかけて活躍したアメリカのロックバンド、Crosby,Stills,Nash&Young。本作は、その彼らが74年に行った再結成ツアーの模様をおさめたライブアルバム。基本的には3枚組のアルバム+DVDなのですが、今回聴いたのは、そこから16曲をセレクトし、1枚のCDにおさめた「エッセンシャル」盤。ライブの中からさらにベスト的なセレクトなだけに、その時代の空気、雰囲気がつたわってくるような音源が収録されています。さすがに3枚組は・・・というライトリスナーでも気軽に聴けて、Crosby,Stills,Nash&Youngの魅力を感じられるライブ盤でした。

評価:★★★★★

続きを読む "様々な文化が交錯"

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2015年9月 5日 (土)

前作とは対となる作風

Title:わたくしの二十世紀
Musician:PIZZICATO ONE

ご存じ小西康陽がPIZZICATO FIVEを解散させて約10年後に立ち上げたソロプロジェクトPIZZICATO ONE。2011年に傑作アルバムをリリースした後、約4年を経て、ようやくニューアルバムがリリースされました。

4年というインターバルを経てリリースされた新作なのですが、基本的には前作「11のとても悲しい歌」と対になるようなアルバムになっていました。前作は海外からゲストボーカルを招いて洋楽をカバーするアルバムになっていましたが、本作は、ピチカート・ファイヴをはじめとして彼の作品をセルフカバーした内容。また、ゲストボーカルも西寺郷太や甲田益也子、さらに小泉今日子などといった国内のミュージシャンを招いています。

一方では前作との共通項も多く、まず基本的にシンプルでかつアコースティックなアレンジがほどこされているということ。ジャズやソウルテイストのアレンジが多いという点も前作と似たような雰囲気になっています。もちろんシンプルといっても小西康陽のアレンジによるだけに凝ったアレンジの作品が多いのですが、あくまでも歌をメインとして構成された楽曲で、サウンドは歌に彩りを添える役割に徹しているように感じました。

また共通項としては、前作はタイトルにそのものズバリ「悲しい歌」と明示されていたのですが、本作も楽曲からどこか「悲しさ」が伝わってくる歌詞が多いように感じました。例えばそのものズバリ「私が死んでも」がイントロを挟んでの事実上の1曲目に飛び込んで来たり、

「もしもゆうべ観た夢が
本当になるのなら
ぼくはたぶんもうすぐ
死ぬのかもね」

(「ゴンドラの歌」より 作詞 小西康陽)

なんていう歌詞がいきなりのっけから飛び込んでくる「ゴンドラの歌」もムッシュかまやすの朴訥とした語りにのせて耳に入ってきます。

前作ではそんな「悲しい歌」がポップなメロディーラインに乗ることにより、ピチカート・ファイヴと同様の非日常感が大きな魅力でした。一方本作では、ピチカート・ファイヴの曲では野宮真貴の明るいボーカルとキュートなアレンジにデコレートされ「非日常感」を演出していた楽曲から、そのデコレートを取り去ることにより、楽曲にピチカート・ファイヴの曲では直接には感じられなかった一種のリアリティーを意識させられる曲になっていたように感じます。そういう意味では似たようなタイプのアレンジだったのですが、聴いた後の余韻としては、前作とは全く異なる余韻の残りました。

そんな訳で、パッと聴いた感じだと前作と似たような作風ながらも、前作とはまた異なる小西康陽の魅力を感じることが出来た傑作でした。また本作も、長く愛聴できそうです。でも、次の作品はもうちょっと早く・・・といってもまたマイペースな活動が続くんだろうなぁ。

評価:★★★★★

PIZZICATO ONE 過去の作品
11のとても悲しい歌


ほかに聴いたアルバム

HEN 愛 LET'S GO! 2~ウルトラ怪獣総進撃~/POLYSICS

前作に引き続き、POLYSICSハヤシが好きなものについて思う存分歌った「偏愛」シリーズ。本作の偏愛の対象はウルトラマンに出てくる怪獣たち。円谷プロ全面協力のもとに、怪獣の鳴き声や足音なども曲の中に使われています。

全体的にいつも通り、というかいつも以上にパンキッシュな内容。ウルトラ怪獣への愛情が滔々と語られています。おそらく、ウルトラ怪獣が好きな方ならかなり楽しめる内容・・・だと思うのですが、私みたいに全く思い入れがない人にとっては、ちょっと「うるさい」という印象すら抱いてしまう内容かも(苦笑)。まあ、ハヤシのウルトラ怪獣への愛情は、十分伝わってくるような内容でしたが。

評価:★★★

POLYSICS 過去の作品
We ate the machine
We ate the show!!
Absolute POLYSICS
BESTOISU!!!
eee-P!!!
Oh!No!It's Heavy Polysick!!!
15th P
Weeeeeeeeee!!!
MEGA OVER DRIVE
ACTION!!!
HEN 愛 LET'S GO!

Tint/大貫妙子&小松亮太

大貫妙子と、日本を代表するバンドネオン奏者、小松亮太のコラボアルバム。基本的には、女性シンガーとタンゴのミュージシャンのコラボ・・・と聞いてイメージされるような作風。バンドネオンだけでなく、ピアノやストリングスを効果的に用いた優雅な演奏を哀愁たっぷりに聴かせてくれます。良くも悪くも期待どおりといったアルバム。

評価:★★★★

大貫妙子 過去の作品
UTAU(大貫妙子&坂本龍一)
palette

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2015年9月 4日 (金)

平成生まれの昭和アイドル

Title:ア、町あかり
Musician:町あかり

30年くらい時代をタイムスリップしたかのようなジャケット写真が印象的な本作は、これがメジャーデビュー作となるシンガーソングライター町あかりのニューアルバム。作詞作曲から演奏、衣装まで自らプロデュースsる自作自演歌手の彼女ですが、昭和のアイドルを意識した井出達と、まるっきり昭和歌謡な楽曲が特徴的。氣志團の綾小路翔やヒャダインから大絶賛を受けたほか、電気グルーヴのライブでもオープニングアクトを担当するなど、徐々に知名度が広がりつつあります。

「昭和歌謡」といえば、クレイジーケンバンドが有名になったころ、ちょっとしたブームになりました。ただ、その「昭和歌謡」ブームが昭和30年代あたりの楽曲をイメージした感じだとしたら、彼女の楽曲はむしろ昭和40年代や50年代あたりのアイドルポップをイメージしたような作品が並んでいます。

アレンジはちょっとチープな打ち込みサウンドがメインなのですが、そのサウンドが醸し出すB級感が味になっている感じ。その一方で「No Problem(お安い御用)」はジャジーな雰囲気で洋風なテイストになっていますし、「夢という小鳥」はフォーク歌謡風にまとめていますし、昭和アイドルポップを軸足に、意外と幅広い音楽性に、彼女のシンガーソングライターとしての実力も感じます。

ただ一番おもしろさを感じたのが楽曲の中に入れてくる妙なインパクトのある歌詞や中毒性のあるメロディーライン。もっとも典型的なのが先行シングルにもなっている「もぐらたたきのような人」。この歌詞からして「どんな人だ?」と思ってしまうインパクトがあるのですが、タイトルの言葉が繰り返されるサビはメロディー含めてインパクトありまくりで、知らないうちについつい口ずさんでしまったりしています。

また、「それ分かる!」なんかも、タイトルを繰り返すサビのメロディーラインが、いかにも20代の女の子が言っていそうなフレーズになっており、ここらへん、本人も24歳という彼女らしい、リアリティーある楽曲表現のように感じました。

そんな訳で、平成の世にあらわれた昭和のアイドルということで非常にユニークさを感じる彼女なのですが、その反面、非常に気にかかった部分がありました。それは彼女の書く歌詞。上にも書いた通り、確かにインパクトあるフレーズを書くのはとても上手いという印象があります。実際、J-POPシーンの中で比較すれば、文句なしに「上手い」と言える歌詞の部類かもしれません。

ただ、彼女が目指している昭和歌謡曲といえば、歌詞を書いているのはプロ中のプロ。そんな人たちの書く歌詞と比べてしまうと、彼女の歌詞はかなり物足りなさを感じてしまいました。例えば「さっきも聞いたわその話」は内容的にはタイトルですべて。同じ歌詞内容の繰り返しで、「その話」の話し手と聞き手の関係性も不明瞭。いまひとつ歌詞に深みがありません。

また、「お悩み相談室」も彼女がお悩み相談室の相談員となっている設定なのですが、肝心の「お悩み」が楽曲中に全く出てきません。全体的に確かにインパクトのある言葉を使ってくるのですが、そのインパクトある言葉を最初から最後まで引っ張ってしまい、風景描写や心象描写に乏しく、歌詞として深さに欠けるように感じてしまいます。

そうなってしまうと、プロ中のプロが作詞した昭和歌謡曲の「本物」と比べると、どうしても見劣りしてしまうのは事実。歌詞だけでも他のプロにまかせて・・・ってのもありだと思うんですが、彼女の場合、トータルイメージまでプロデュースしているだけに、そうなると彼女の「売り」が減ってしまう要素になってしまうんでしょうね・・・。

そこらへん、気になるマイナスポイントはありつつも、とてもユニークなミュージシャンだと思います。自称「アイドル」ですが、なにげに下手なアイドルよりよっぽど可愛らしいですし(笑)、これからの活躍に期待です。

評価:★★★★

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2015年9月 3日 (木)

まさかの2度目の返り咲き

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

なんと今週の1位は、最近では珍しい2度目の返り咲き1位です。

Dreams Come Trueのベストアルバム「DREAMS COME TRUE THE BEST! 私のドリカム」が先週の2位から2度目の返り咲きで6週目の1位獲得。アルバムチャートで2度目の返り咲きは2005年のDef Tech「Def Tech」以来だそうです。⇒参考サイト 売上は2万2千枚で先週の2万9千枚よりダウンしていますが、驚異的なロングヒットを記録しています。

2位は人気男性声優神谷浩史のミニアルバム「ハレロク」がランクイン。男性声優がソロでアルバムチャートのベスト3入りするのはこれが初だそうです。⇒参考サイト 初動売上2万1千枚は前作「ハレゴウ」の2万枚(5位)から微増。

3位にはヴィジュアル系バンドthe GazettEのニューアルバム「DOGMA」がランクイン。ベスト3入りは2007年リリースの「STACKED RUBBISH」以来5作ぶり、自己最高位タイとなります。初動売上1万8千枚は前作「BEAUTIFUL DEFORMITY」の1万6千枚(8位)から微増。ここ数作、3万8千枚→2万5千枚→2万3千枚→1万6千枚と右肩下がりの状況が続いていましたが、本作で下げ止まったようです。

続いては4位以下の初登場です。4位には祖堅正慶「BEFORE THE FALL FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack」。おなじみの人気ゲーム「FINAL FANTASY XIV」のサントラ盤。相変わらずFF人気は根強いものがあります。初動1万4千枚。FFXIVのサントラは昨年も「A REALM REBORN:FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack」が初動2万1千枚で10位にランクインしていますが、こちらよりは初動はダウンとなっています。

5位は韓流の女性アイドルグループApink「PINK SEASON」がランクイン。これが日本でのデビューアルバムとなります。初動売上は1万1千枚。直近のシングル「LUV」は初動4万4千枚(2位)だったので、その1/4。まあ、アイドル系の場合、こんなものでしょうか。

6位には女性シンガーMay'nの初となるベスト盤「POWERS OF VOICE」が入ってきました。初動売上は9千枚。直近作はライブ盤「Re:May'n☆Act」の初動2千枚(32位)。直近のオリジナルアルバム「NEW WORLD」は初動1万枚(9位)で、浮動リスナー層はあまり取り込めなかった模様。

8位、9位にはロックバンドAqua Timezの2枚同時リリースとなるベスト盤「10th Anniversary Best RED」「10th Anniversary Best BLUE」がそれぞれランクインしています。タイトル通り、インディーデビューから10周年を記念したベストアルバム。初動売上はどちらも7千枚。直近のオリジナルアルバム「エルフの涙」の9千枚(9位)よりダウン。ここ数作、5万9千枚→2万枚→1万4千枚→9千枚と右肩下がりの傾向が続いていましたが、ベスト盤でもその流れは止められなかった模様。前のベスト盤「The BEST of Aqua Timez」の8万3千枚(1位)よりも大きくダウンしています。

最後10位にはろん「ろんかば -J-POP ZOO-」がランクイン。人気動画サイト「ニコニコ動画」で人気の歌い手が、J-POPのカバーに挑んだアルバム。JUDY AND MARY「そばかす」や宇多田ヒカル「First Love」などベタな選曲なのですが、中に1曲、Cymbals「午前8時の脱走計画」なんていうマニアックな選曲がまじっています。初動売上7千枚は前作「EXIT TUNES PRESENTS ろんBEST ~ひっしに歌ってみた編~」の6千枚(10位)から微増。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2015年9月 2日 (水)

AKB48と柳の下のどじょうたち?

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週は例のごとく、AKB48の新譜が1位獲得です。

1位はAKB48「ハロウィン・ナイト」が獲得。初動売上は127万7千枚。「投票券付」だった前作「僕たちは戦わない」の167万3千枚(1位)より大幅減。ダンサナブルなディスコチューンは、あきらかに「恋するフォーチューン・クッキー」の柳の下のどじょうを狙ったパターン。すっかりネタ切れですか。

「柳の下のどじょう」はAKB48の歌だけではありません。AKB人気のおこぼれを狙ったのか、今週は女性アイドルグループが数多くランクインしています。2位に虹のコンキスタドール「THE☆有頂天サマー!!」、9位にpredia「満たしてアモーレ」、10位に9nine「MY ONLY ONE」がそれぞれランクインしています。

虹のコンキスタドールはイラスト投稿のSNS「pixiv」の運営会社によって結成されたアイドルグループ。楽曲はハードコア風なギターに賑やかなアレンジがほどこされており、あきらかにももクロやらでんぱ組.incを良いと言っているような層にアピールしているような感じ。初動売上2万7千枚は前作「やるっきゃない!2015」の7千枚(11位)からアップし、初のベスト10入り。

prediaはPASSPO☆の妹分ユニットで、本作は中森明菜風ラテン歌謡。初動1万5千枚は前作「美しき孤独たち」の1万9千枚(3位)よりダウン。9nineは川島海荷も所属するアイドルグループで、こちらは王道のアイドルポップ。初動1万3千枚は前作「HAPPY 7 DAYS」の1万6千枚(8位)よりダウンです。

ベスト3に戻ります。2位初登場はUVERworld「I LOVE THE WORLD」。流行のEDMを取り入れたナンバー。初動売上3万9千枚は前作「僕の言葉ではない これは僕達の言葉」の4万8千枚(3位)よりダウンしています。

続いて、4位以下の初登場ですが、まず4位にLia/多田葵「Bravely You」がランクイン。アニメ「Charlotte」オープニング・テーマ。表題曲をLiaが歌い、多田葵は両A面曲「灼け落ちない翼」を歌っています。初動売上2万3千枚。Lia/多田葵名義では前作「My Soul,Your Beats!」の8万枚(3位)より大きくダウン(多田葵としての前作も、このシングルとなります)。Lia単独名義では前作「JUSTITIA」の3千枚(29位)より大きくアップ。アニメタイアップによって売上が大きく左右している模様です。

5位はアルスマグナ「ひみつをちょーだい」。人気動画サイト「ニコニコ動画」で活動するコスプレダンスユニットなのですが、事実上の男性アイドルグループみたいな感じ。初動2万枚は前作「夏にキスしていいですか?」の1万9千枚(5位)から微増。

6位にはヴィジュアル系バンドHERO「『僕の作り方』」が入ってきました。楽曲的には良くも悪くも聴きやすい平凡なポップスロック。初動売上1万8千枚は前作「たった一つの花」の5千枚(17位)よりアップし、初のベスト10入り。

7位は韓流男性アイドルグループHISTORY「消えてしまった My Love」。これが日本デビュー作だそうで、初動売上1万7千枚でいきなりのベスト10入りとなりました。

最後8位にはヴィジュアル系バンドアンティック-珈琲店-「千年 DIVE!!!!!」がランクイン。結成12年を迎えるベテランバンドの彼らですが、これがメジャーデビュー作で、さらにこれが初となるベスト10ヒットとなりました。初動売上1万6千枚は前作「モウソウモモウソロソロ」の7千枚(12位)よりアップしています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2015年9月 1日 (火)

間違いなくcorneliusの新作です!

Title:攻殻機動隊 新劇場版 O.S.T.music by Cornelius
Musician:cornelius

一般的にサウンドトラック、特にバックグラウンドミュージックが収録されているタイプのサントラ盤というとどうしてもひとつの音楽作品としては、その主体となった映画やテレビなどを見ていないと聴いていて厳しいものがあります。あくまでも映画なりテレビなどの場面に沿ったBGM的な作品であるため、映像なしにそれだけで聴いてもどうしても音楽作品として断片的になってしまい、映画やテレビを見ていない人にとっては楽しめません。もっとも、挿入歌をおさめた形でのサントラ盤は、もちろん映画やテレビ抜きで楽しめる名作も数多いのですが。

本作は、corneliusが音楽を担当した、6月に公開された映画「攻殻機動隊 新劇場版」と、今年4月からスタートしているテレビアニメ「攻殻機動隊ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE」のサウンドトラック。テレビシリーズの主題歌「あなたを保つもの」や映画主題歌「まだうごく」も収録されていますが、基本的に映画やテレビのバックグラウンドミュージックを収録した形のサントラ盤となっています。

そのため、映像がないと、どうしても聴いていていまひとつ厳しい部分がある、というのが一般的。私も「攻殻機動隊」はテレビも映画も見ていないので、あまり期待していない部分が多かったのですが・・・ところがこれが予想外の傑作に仕上がっていました。

確かにバックグラウンドミュージックを収録した部分は、1曲あたり1分、長くて2分程度の楽曲になっています。ただ、このタイプのサントラにありがちな、曲の断片のみがおさめられているので曲として成り立っていない、という楽曲がなく、わずか1分程度の曲も含めて、どの曲もしっかりcorneliusの曲として成立しているものばかりでした。

方向性としては音を絞ったシンプルな作風。空間を聴かせるようなアンビエント風の作品が多く、ここ最近のcorneliusの楽曲の方向と一致しているような作品が並んでいます。ただ一方で前半に関しては「Moments in Love(Piano)」をはじめ、ピアノの音色を用いて美しいフレーズを聴かせつつ、「In Search of Many」のようにピアノとリズムのみでシンプルに構成することにより、どこか幻想的な空気感を産みだしてくるような曲が多かったように思えます。

中盤以降で耳を惹いたのが「Involution No.9」「Highway Friendly Type2」のような四つ打ちのエレクトロダンスチューン。少々ベタさもあるのですが、昨今流行のEDMとも異なる凝った音の使い方がおもしろく、少々のベタさを入れられるのも、より「目新しさ」を求められるような自らのオリジナル盤ではなく、時には視聴者への「わかりやすさ」を求められる映画/テレビのサントラだからこそ可能な試みと言えるのではないでしょうか。

これらの曲も含め、サントラ盤だからこその、オリジナル盤とは少々異なったタイプの曲が聴けるのも魅力的。ただ一方で、そんな曲でもきちんとcorneliusとしての個性を感じられる点にうならされました。

一方、そんなバックグラウンドミュージックの中に入っている「歌モノ」の楽曲たちがまた傑作揃い。特に坂本真綾と組んだ「あなたを保つもの」と「まだうごく」が素晴らしい!corneliusの奏でる、無機質さを感じるエレクトロサウンドと坂本真綾のクリアなボーカルの組み合わせが絶妙。さらにその坂本真綾のボーカルにどこか無機質さが混じっているので、美しさを感じるつつ、単純な「美しいポップソング」とは異なるようなひっかかりを覚えるのが実にユニーク。クリアなボーカルに人間性を感じつつ、どこか非人間的な部分がある、とでも言ったらいいでしょうか。なにげに坂本真綾とcorneliusの組み合わせって相性いいんじゃないの?とも思ってしまいます。

そんなわけでサントラ盤として忌避するのが実にもったいまい、間違いなくcorneliusの新作として聴くことが出来る傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

cornelius 過去の作品
CM3
FANTASMA
「NHKデザインあ」
CM4


ほかに聴いたアルバム

モノクロノ・エントランス/ヒトリエ

ボカロPとして人気を集めるwawoka率いるロックバンド。情報量を詰め込んだハイテンポなオルタナ系ギターロックは、ある意味、ボカロ出身の今時のミュージシャンらしい作品。ただ、全5曲入りなのですが、そのうち4曲までも似たようなパターン。かつ、1曲1曲の情報量が多いだけに、たった5曲入りなのですが、聴いていて疲れてきてしまいました。1曲のみだったらインパクトも十分あると思うのですが・・・やりたいことを詰め込むだけではなく、時には引いてみることも重要だと思うのですが・・・。

評価:★★★

ヒトリエ 過去の作品
イマジナリー・モノフィクション

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