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2015年9月12日 (土)

AFXとして10年ぶり

Title:orphaned deejay selek 2006-2008
Musician:AFX

昨年、いきなりニューアルバム「Syro」をリリース。それがイギリスのアルバムチャートでは8位、アメリカビルボードチャートでは11位、そしてなんと日本のオリコンチャートでも8位を記録するなど、すっかり「人気ミュージシャン」となってしまったAphex Twin。彼の音楽の「わかりやすさ」からするとこの結果は、かなり驚くべき結果なのですが、別にこの結果に気を良くした訳ではないとは思うのですが、今年に入ってさらに1枚EPをリリース。さらにはなんとAFX名義として10年ぶりとなるニューアルバムをリリースしてきました。

タイトルを直訳すると「孤児のDJによる選曲」。タイトルに2006年~2008年と入っていますが、実際にその時期に作成されたものかは不明だそうです。ただ彼は、2005年までAFX名義として「Analoard」シリーズをリリースしていましたので、タイトルを率直に受け取れば、その直後に制作されていままで取っておいたもの、ということになるのでしょうか。

そんな新作を聴いて感じたのは比較的素直なテクノというイメージ。特に「serge fenix Rendered 2」「dmx acid test」の冒頭2曲はわかりやすいミニマルテイストのリズミカルなサウンドでメロディーラインもしっかりしておりAphex Twinの音に聴きなれていないよな方でも楽しめそう。フロアでも踊れそうなテクノチューンに仕上がっています。

一方で中盤以降は「bonus EMT beats」では複雑なリズムパターンに魅了されたり、「midi pipe1c sds3time cube/klonedrm」では、クラリネットのような音とドラムのリズムパターンがどこかユーモラスだったり、最後を締めくくる「r8m neotek beat」もシンプルながらもタイトなリズムがインパクトがあったりと聴かせどころもたくさん。全8曲わずか27分程度の内容ながらも、AFXの魅力をきちんと聴かせてくれました。

全体的には正直、目新しさという部分は薄いように感じます。ただ一方でわかりやすいサウンドは例えば「Syro」でAphex Twinというミュージシャンを知った方にとっては次の1枚としては最適な作品。またそれなりにAphex Twin好きの壺にはまるようなサウンドも展開されたりするのでファンから初心者まで幅広いリスナー層が楽しめそう。わかりやすいメロディーラインは、リチャード・D・ジェームスってメロディーセンスがあるんじゃん、とあらためて感じたり。ファンとしては立て続けに新譜がリリースされてやはりうれしくなる傑作でした。

評価:★★★★★

Aphex Twin 過去の作品
Syro
Computer Controlled Acoustic Instruments pt2 EP

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