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2015年8月28日 (金)

キモイ歌詞がさく裂

Title:犬にしてくれ
Musician:忘れらんねえよ

もてない男のイタタタな本音をそのまま歌詞にしてパンクロックにのせて歌い上げるバンド、忘れらんねえよ。いままでも、正直聴いていて野郎でもちょっと引いてしまうような歌詞が大きな特徴だったのですが、今回のアルバムはいままで以上に、おそらく女性ならドン引きしそうなイタタタな歌詞が並んでいました。

そもそもタイトルチューンの「犬にしてくれ」からして、好きだった子が結婚すると聴いて、せめて君の飼い犬になりたい、と歌う、正直ちょっとキモイ歌ですし(笑)、「絶対ないとは言い切れない」に至っては

「深呼吸をしてごらん
いま吸った君のその空気は
二年ほど前に堀北真希が吐いた
息かもしれない」

(「絶対ないとは言い切れない」より 作詞 柴田隆浩)

・・・・・・うん、キモイ(笑)。

もっとも男女関係の話だけではなく、後輩のバンドが売れたことへの嫉妬心を描いた「寝てらんねえよ」や、タイトルそのままな「ありのままで受験したら落ちた」のように、様々なシーンで不器用にしか生きられない男性の、ちょっと痛い姿を見事に描写しています。

ただおもしろいのはそんな中でもグッとくるような歌詞を要所要所に入れていたりする部分で、例えば「バンドやろうぜ」では売れないバンドの現実を描きつつ、バンドに対する愛情を感じる歌詞がグッときますし、最初はキモイ歌詞ではじまる「絶対ないとは言い切れない」もラストは

「そのギターを弾いてごらん
いま弾いた君のそのフレーズは
いつか世界を変えるロックンロールの歌に
なるかもしれない」

(「絶対ないとは言い切れない」より 作詞 柴田隆浩)

なんて歌詞で締めくくられていたりします。

この歌詞に関しては間違いなくいままでのアルバムの中でベストの出来。忘れらんねえよというバンドの持ち味をフルに発揮した内容だったと思います。

ただ一方、そうするとどうしても弱くなってしまうのはそれ以外の部分。バンドサウンドもメロディーも決して悪くはないのですが、正直、彼らならではの個性が薄く、いまひとつ印象に残りません。

バンドサウンドは基本的にオルタナロック、あるいはパンクロック。「ZERO」みたいなメタル風なメロを歌詞と上手くむすびつけてきたり、まんまNIRVANAな「紙がない」みたいな曲もあったりするのですが、全体的には独特な聴かせるアレンジがあるわけでもないし、残念ながら耳を惹きつけるほどの迫力があるわけでもありません。

メロディーも同様で、決して悪くはありません。それなりに歌詞を聴かせるインパクトはあります。ただ、こちらもメロディーだけで勝負できるほどか、と言われると少々微妙。歌詞のインパクトに比べるとどうしても弱くなってしまいます。

歌詞がかなりよくなってきて、バンドとしての個性を十分すぎるほど発揮しているだけに、その分、バンドサウンドとメロディーの部分が見劣りしてしまうのは事実。ここらへん、もう一歩の成長があれば文句なしにおもしろいバンドになると思うんだけどなぁ。そういう意味では非常に惜しさを感じる1枚でした。

評価:★★★★

忘れらんねえよ 過去の作品
忘れらんねえよ
空を見上げても空しかねえよ
あの娘のメルアド予想する


ほかに聴いたアルバム

T.R.E.N.D.Y.-Paradise from 1997-/ムック

ムックの新作は7曲入りのミニアルバム。ハードコア、インダストリアルなサウンドに、時折、いかにもビジュアル系っぽい耽美的なメロディーが混じる感じ。ただ全体的にはへヴィーなサウンドが前に出てきており、ビジュアル系特有の雰囲気が苦手でも十分聴ける内容に。ただ、わずか7曲入りということもあり、全体的には無難な内容で、特に面白味や新鮮味もない作品になっていたのが残念なのですが。

評価:★★★

ムック 過去の作品
志恩
球体
カルマ
シャングリラ
THE END OF THE WORLD

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