リバイバルがテーマ
Title:_genic
Musician:安室奈美恵
相変わらずトップスピードで走り続けている安室奈美恵2年ぶりとなる新作。本作も非常に攻めの姿勢を感じるのが特徴的で、リバイバルをテーマとしているのですが、そのコンセプトに沿った曲を並べているため、先行のシングル曲などはアルバム未収録。また、過半数が英語詞という内容になっており、媚びない攻めの姿勢を感じます。
楽曲は今時といった感じのEDMチューン。「Stranger」あたりは強いビートでバリバリのEDMになっていますし、さらにボーナストラックには、あのEDMシーンのトップミュージシャンとして日本でも高い人気を誇るDavid Guettaとのコラボ曲「What I Did For Love」が収録されています。
また、彼女の攻めの姿勢をこのアルバムで最も感じられるのが「B Who I Want 2 B」でしょう。この曲、なんとボーカロイドの初音ミクとのコラボ曲。安室奈美恵と初音ミクという組み合わせに驚かされます。正直、初音ミクの使われ方は、単なる「ボーカルの代わり」以上でも以下でもなく、さほど効果的とは思えなかったのですが、音数を絞ったトラックがカッコいい、今風のエレクトロポップに仕上がっていました。
一方で本作のテーマはリバイバル。ということで、80年代から90年代を意識したアレンジになっているそうです。正直、いかにも80年代、という感じの曲は見受けられなかったのですが、90年代テイストの強い曲が多く収録されていました。例えば「Golden Touch」はシンセのサウンドがちょっと懐かしい90年代風を醸し出していますし、「Scream」もトランシーなサウンドがいかにも90年代といった感じがしました。
ただ、ここらへんのいかにも90年代的なトランス風サウンドも含めてカッコいいことは間違いなくカッコよかったのですが、正直言ってちょっとサウンドの面に軽さを感じてしまいました。まあもともとEDMのサウンド自体にも軽い部分があるのですが、90年代風のトランスサウンドは少々軽薄な部分を感じてしまいました。
特に残念なことに、いまだにヒットシーンの中心は90年代のJ-POPを引き継いでいる曲が少なくありません。それだけに今回、「90年代リバイバル」といっても、例えば80年代や70年代のサウンドと違って、そこで奏でられる音はいまのヒットシーンでもありふれた音。それだけに、残念ながらミュージシャン側が意図するのほどの新鮮味を感じられませんでした。
そういう意味でちょっと残念な部分もあったアルバム。とはいえ、その点を差し引いても十分安室奈美恵のカッコよさは感じられるアルバムだったとは思います。まだまだ彼女の勢いは止まらなさそうです。
評価:★★★★
安室奈美恵 過去の作品
BEST FICTION
Past<Future
Checkmate!
Uncontrolled
FEEL
namie amuro FEEL tour 2013
Ballada
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