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2015年8月10日 (月)

自然体のパンクロック

Title:アーリー・メスカリン・ドライヴ
Musician:メスカリン・ドライヴ

ソウル・フラワー・ユニオンの前身バンドのひとつ、メスカリン・ドライヴ。ソウル・フラワー・ユニオンのメンバーもある伊丹英子と、ソウルフラワーの元メンバーであり、現在でもライブなどではゲストとして参加することも多いうつみようこが以前所属していたグループ。本作は、彼女たちがメジャーデビュー以前にリリースしたカセットテープやソノシート、あるいはオムニバスアルバムへの収録曲などを集めた作品。このアルバムで、彼女たちのインディーズ時代の音源は網羅しているそうです。

そんな初期作品集である本作。正直言って、どちらかというとコアなファン向けの企画盤、というイメージがありました。しかし、実際聴いてみると、そのイメージは全くの間違いだとわかりました。もう聴き始めて一発でやられました。めちゃくちゃカッコいい!!

本作は発表作が時系列順に収録されているそうです。ということは1曲目に収録されている曲が彼女たちにとって一番最初に世に出た曲。この1曲目「ライアー・ライアー」からとにかくカッコいいロックを聴かせてくれます。タイプ的にはニューヨークパンク直系のパンクロック。乾いた感触のバンドサウンドにもクールさを感じます。インディーズでのデビュー時からして、既に一種の完成した音楽性を感じます。

時系列順に収録されているからこそ、その後の彼女たちの音楽性の変化もわかりやすいのが特徴的。最初期はサウンドも荒々しい、より乾いた音感の作品が多かったのですが、活動を経るに従い、バンドサウンドの音もより分厚くなり、ガレージロックの色合いが濃いものとなったように思います。

また楽曲のバリエーションもグッと増えてくるのも特徴的。「ASS HOLE」は(タイトルとは裏腹に(笑))キュートでポップな作品になっていますし、「COCAINE BABY」みたいにしんみり聴かせる作品も。勢いで押し切ったような最初期の作品と比べると、ミュージシャンとしての幅もグッと広がってきていることを感じます。

そしてアルバム全体として感じるのですが、女性のパンクバンドとして非常に自然体なものを感じます。女性性を必要以上に全面に出しているわけではなく、逆に女性性を否定して必要以上に男性っぽさを出しているわけでもなく、流行言葉じゃないのですが、ありのままの姿。それもまた、彼女たちの大きな魅力に感じます。

楽曲のタイプとしてはソウルフラワーと異なります。いまでもメスカリン時代の曲はソウルフラワーのライブで演ったりもするのですが、このアルバムを聴くと、メスカリン・ドライヴとして再結成とかしてくれないかなぁ、なんてことも思ってしまいます。それほど魅力的なアルバムだったので・・・。ソウルフラワー好きはもちろん、パンクロック好きなら間違いなく要チェックのアルバムです。

評価:★★★★★

メスカリン・ドライヴ 過去の作品
アーリー・ソウル・フラワー・シングルズ(ニューエスト・モデル&メスカリン・ドライブ)

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