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2015年8月

2015年8月31日 (月)

脂ののった絶品の楽曲たち(ただし、DVDは・・・)

Title:オモクリ名曲全集 第一集 堂島孝平篇
Musician:堂島孝平

今回の堂島孝平の新作は、フジテレビ系のバラエティー番組「オモクリ監督 ~O-Creator's TV show~」から産まれた企画盤。この番組は、芸能人が「オモブイ」と呼ばれる「おもしろいVTR作品」を自らが監督となって作成するもの。堂島孝平も、何度かゲスト監督として参加し、作品を発表したそうですが、このアルバムは、そこで使用した楽曲をまとめたもの。また、テレビで放送された、彼が監督をした「オモブイ」もDVDとして収録されています。

さて、そんな「企画モノ」的な要素の強いアルバムなのですが、肝心の楽曲自体については、これがビックリするような名曲揃い。ピアノで聴かせるバラードナンバー「NO GOODBYE」はシンプルながらも胸に染みるようなメロディーですし、「日曜日の恋人-Sunday Lovers-」も同じくシンプルなピアノバラードなのですが、こちらも結婚相手に歌う素敵な歌詞のラブソングになっています。

その後一転、「プレゼント」もホーンセッションが入ってファンキーなナンバーに。「イケメン」はシンプルながらもインパクトあるメロディーラインがメロディーメイカー堂島孝平の本領発揮といった感じですし、最後の「GO」もスケール感を感じるインパクトあるポップチューンに仕上がっています。

どの曲も十分なインパクトがあり、堂島孝平の実力も発揮されていて、全曲シングルカット可能なほどの出来栄え。オリジナルとしての直近作「フィクション」も、メロディーメイカーとしての実力を感じさせてくれる作品でしたが、デビュー20年目を迎えた今が、彼の最盛期なのではないか?と思うほどの充実した内容になっていました。スポーツジムの「ライザップ」とのタイアップとの関係で、歌詞に「ライザップ」の名前が出てくる「イケメン」と「GO」はちょっと残念だったのですが・・・。

ただ・・・この作品、楽曲の方は文句なしの傑作揃いだったのですが・・・DVDに収録されている「オモブイ」とやらが、腹が立つほどおもしろくありません。

まあそもそも「おもしろ」を「オモ」と略していること自体に苦笑してしまうのですが、DVDの内容も、ひとつのネタで引っ張るスタイル。その「ネタ」も笑うネタとしてはありふれていて、正直、クスリともできませんでした。「プレゼント」なんかは曲の歌詞自体に「オチ」があるのですが、これ、映像がない楽曲自体の方がおもしろいないか?

もともとVTRありきの曲なんで、こんなこと言うのは本末転倒なんでしょうが、曲の出来がとてもいいだけに、VTRの内容が変な雑音になってしまって、曲の良さが損なわれてしまっているようにすら感じました。ダウンロード版だと、楽曲のみが安く購入できるようなので、そちらだけで十分なような気がします。

楽曲だけなら文句なしの5つ。DVD部分は2つ程度だなぁ。ただ、楽曲の良さがあまりにも素晴らしいので、下のような評価。正直、次のオリジナルアルバムがかなり楽しみになってくるような内容でした。

評価:★★★★

堂島孝平 過去の作品
UNIRVANA
VIVAP
Best of HARD CORE POP!
A.C.E.
A.C.E.2
シリーガールはふり向かない
フィクション

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2015年8月30日 (日)

ファンの嗜好とメンバーの志向

横浜を拠点に活動を続けるレゲエグループFIRE BALLがベスト盤を2枚同時にリリースしました。

Title:FIRE BALL All Time Best "WHITE~People's Choice~"
Musician:FIRE BALL

まずこちらは、「People's Choice」と名付けられた通り、ファン投票による人気曲を集めたベスト盤。

Title:FIRE BALL All Time Best "BLACK~Fire Ball's Choice~"
Musician:FIRE BALL

で、こちらはタイトル通り、メンバーの選曲によるベスト盤となります。

FIRE BALLといえば、へヴィーなビートのダンスホールレゲエが魅力的・・・と思っていたのですが、ファン投票の結果を得票順に並べた「WHITE」はミディアムテンポのメロウなナンバーがメイン。ここ最近のアルバムはミディアムテンポなナンバーが多いという印象があったのですが・・・うーん、ファンの求めるFIRE BALL像はこちらの姿だったのか・・・。

とはいえ、あらためて人気の高い楽曲を並べて聴くと、確かにこのタイプの楽曲も悪いないかも、とも思いました。特に人気投票1位となった「Wonderful Days」なんかはメロウなナンバーである種のベタさも感じるのですが、歌詞も含めていい曲だな、ということを素直に感じます。

一方、メンバーがセレクトした「BLACK」の方はへヴィーなナンバーが多い印象。SiMと組んだ「Pump Up The Sound~太陽が昇るまで吠えろ~」はへヴィーロック風のナンバーで、ガツンと来るギターサウンドがカッコいいですし、「Zero」もちょっと幻想的なサウンドが曲のカッコよさを引き立てています。

「BLACK」の方も後半はメロウなナンバーが多いのですが、ポップ色の強い「WHITE」に比べるとルーツ志向が強く、普段あまりジャパレゲを聴かない私でも十分楽しめる内容でした。クレイジーケンバンド横山剣をゲストに迎えた「Smile Smile Smile」も、彼の味のあるボーカルとFIRE BALLの奏でるレゲエのリズムがピッタリマッチした名曲になっています。

また、「WHITE」に収録されている「残すべきもの」や「BLACK」収録の「戦車」のような社会派な歌詞も魅力。ここらへんの一本筋の通ったような骨太さにも彼らのカッコよさを感じました。

ただ、ちょっと気になったのは、ファンからの人気投票がミディアムテンポな、いわゆる「いかにもジャパレゲ」な曲に人気があつまったのに対して、メンバーのセレクトしたのがもっとへヴィー、ルーツ寄りだった点。ここらへんのファンの嗜好とメンバーが目指す方向性に重要な齟齬が生じなければよいのですが・・・とちょっと気になりました。てか、なんでこんなわかりやすいポップス系ばかりが人気を集めるの?もっとカッコいい曲あるのに・・・。

評価:
WHITE ★★★★
BLACK ★★★★★

FIRE BALL 過去の作品
DON'T LOOK BACK
ZERO
NEW ERA~Call This Love~
one


ほかに聴いたアルバム

きれいな血/SHERBETS

一時期は大丈夫か?というほどアルバムを乱発していたベンジーですが、ここ最近はようやくリリースペースも落ち着き、本作もSHERBETSとしては久々の3年ぶりとなる新作。ここ最近の傾向としてバンドサウンドは抑えめで、ピアノやストリングスを入れつつ、美しい雰囲気のアルバムに仕上がっています。もう一歩、インパクトに欠ける部分は気になるのですが・・・ようやく今後に期待できそうな新作に仕上がっていました。

評価:★★★★

SHERBETS 過去の作品
MIRACLE
GOD
MAD DISCO
FREE
STRIPE PANTHER

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2015年8月29日 (土)

最近はさほど話題にならなくなってしまいましたが・・・

Title:ベストかまってちゃん
Musician:神聖かまってちゃん

神聖かまってちゃんというバンドは、正直言ってしまうと、ここ最近、若干「終わった」感が否めません。一時期はボーカルの子の奇行がネットでもよく話題になりましたが、最近はほとんど話題に上ることもなくなりました。まあ、もっとも、インパクトのみを重視したようなの子の言動は、早かれ遅かれ飽きられるだろうなぁ・・・という感じはしていたのですが。

楽曲自体に関しても、教室の片隅にひとりでポツンといるような、クラスになじめない孤独な人たちの鬱屈した気持ちをストレートに歌にのせたスタイルが共通しており、あまりバリエーションはありません。2010年にリリースした「友だちを殺してまで。」はその年を代表する傑作・・・どころか、日本ロック史に残るほどの作品だと思っているのですが、ただ一方でこのアルバムを聴いた段階から、「このアルバムの『一発屋』かもしれない・・・」という印象は抱いてしまっていました。

ただ、今回のベスト盤で彼らの代表曲をあらためて聴くと、やはり彼らが魅力的なバンドであることを再認識しました。特に歌詞のインパクトが、いまさらながら強烈。彼らの代表曲、「ロックンロールは鳴り止まないっ」みたいな、比較的ストレートなアンセム的な曲もある一方、「夕方のピアノ」のような、「死ね!」って叫び続けるような曲もあったり、「友達なんていらない死ね」

「えっまじ!?
そんなセリフが言えたとき
お友達ってやつがいるのかな」

(「友達なんていらない死ね」より 作詞 の子)

なんて歌詞は本当に名フレーズだと思います。もっとも歌詞についても、この「死ね」みたいなストレートな感情表現を多用している結果、少々勢いまかせになっている部分は否定できないのですが。

また、の子の書くメロディーラインは、歌詞の方向性と異なり、意外とストレートなポップ、という印象を抱いていました。実際、その印象は今回のベスト盤でも異ならなかったのですが、今回、それ以上にあらためて強いインパクトを感じたのがバンドサウンド。特にキーボードの音の微妙な狂いっぷりが大きなインパクトに感じます。そんな微妙に狂ったバンドサウンドの向こうにポップなメロディーラインが流れる構図ってのは、メロディーだけ取り出せば確かにポップなんですが、実はかなりゆがんだ構図になっている、ということに今回のベスト盤であらためて気が付かされました。

このベスト盤をひとつの区切りに、正直、これからのかまってちゃんがどうなっていくのか、いまひとつ読めない部分もあるのですが・・・ただ今回のベスト盤であらためて神聖かまってちゃんというバンドの魅力を感じることが出来ました。これからの活動はいろいろと厳しい部分も多いとは思うのですが・・・これからの彼らの活躍にも期待です。

評価:★★★★★

神聖かまってちゃん 過去の作品
友だちを殺してまで。
つまんね
みんな死ね

8月32日へ
楽しいね
英雄syndrome


ほかに聴いたアルバム

かなしみ射抜こう/Qomolangma Tomato

Qomolangma Tomato久々となる新作は表題曲を含む5曲入りのミニアルバム。表題曲「かなしみ射抜こう」と続く「マジカルエンジン」はソリッドなバンドサウンドとファンキーなリズムがカッコいい。声もこれはこれで味はあるが、ファンキーなリズムを背景にすると、ちょっと弱いという印象も。全体的には軽快なリズムの楽曲で、比較的ポップで聴きやすい作風になっていました。

評価:★★★★

Qomolangma Tomato 過去の作品
Limelight Blue on the Q.T.
camouflage
カジツ

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2015年8月28日 (金)

キモイ歌詞がさく裂

Title:犬にしてくれ
Musician:忘れらんねえよ

もてない男のイタタタな本音をそのまま歌詞にしてパンクロックにのせて歌い上げるバンド、忘れらんねえよ。いままでも、正直聴いていて野郎でもちょっと引いてしまうような歌詞が大きな特徴だったのですが、今回のアルバムはいままで以上に、おそらく女性ならドン引きしそうなイタタタな歌詞が並んでいました。

そもそもタイトルチューンの「犬にしてくれ」からして、好きだった子が結婚すると聴いて、せめて君の飼い犬になりたい、と歌う、正直ちょっとキモイ歌ですし(笑)、「絶対ないとは言い切れない」に至っては

「深呼吸をしてごらん
いま吸った君のその空気は
二年ほど前に堀北真希が吐いた
息かもしれない」

(「絶対ないとは言い切れない」より 作詞 柴田隆浩)

・・・・・・うん、キモイ(笑)。

もっとも男女関係の話だけではなく、後輩のバンドが売れたことへの嫉妬心を描いた「寝てらんねえよ」や、タイトルそのままな「ありのままで受験したら落ちた」のように、様々なシーンで不器用にしか生きられない男性の、ちょっと痛い姿を見事に描写しています。

ただおもしろいのはそんな中でもグッとくるような歌詞を要所要所に入れていたりする部分で、例えば「バンドやろうぜ」では売れないバンドの現実を描きつつ、バンドに対する愛情を感じる歌詞がグッときますし、最初はキモイ歌詞ではじまる「絶対ないとは言い切れない」もラストは

「そのギターを弾いてごらん
いま弾いた君のそのフレーズは
いつか世界を変えるロックンロールの歌に
なるかもしれない」

(「絶対ないとは言い切れない」より 作詞 柴田隆浩)

なんて歌詞で締めくくられていたりします。

この歌詞に関しては間違いなくいままでのアルバムの中でベストの出来。忘れらんねえよというバンドの持ち味をフルに発揮した内容だったと思います。

ただ一方、そうするとどうしても弱くなってしまうのはそれ以外の部分。バンドサウンドもメロディーも決して悪くはないのですが、正直、彼らならではの個性が薄く、いまひとつ印象に残りません。

バンドサウンドは基本的にオルタナロック、あるいはパンクロック。「ZERO」みたいなメタル風なメロを歌詞と上手くむすびつけてきたり、まんまNIRVANAな「紙がない」みたいな曲もあったりするのですが、全体的には独特な聴かせるアレンジがあるわけでもないし、残念ながら耳を惹きつけるほどの迫力があるわけでもありません。

メロディーも同様で、決して悪くはありません。それなりに歌詞を聴かせるインパクトはあります。ただ、こちらもメロディーだけで勝負できるほどか、と言われると少々微妙。歌詞のインパクトに比べるとどうしても弱くなってしまいます。

歌詞がかなりよくなってきて、バンドとしての個性を十分すぎるほど発揮しているだけに、その分、バンドサウンドとメロディーの部分が見劣りしてしまうのは事実。ここらへん、もう一歩の成長があれば文句なしにおもしろいバンドになると思うんだけどなぁ。そういう意味では非常に惜しさを感じる1枚でした。

評価:★★★★

忘れらんねえよ 過去の作品
忘れらんねえよ
空を見上げても空しかねえよ
あの娘のメルアド予想する


ほかに聴いたアルバム

T.R.E.N.D.Y.-Paradise from 1997-/ムック

ムックの新作は7曲入りのミニアルバム。ハードコア、インダストリアルなサウンドに、時折、いかにもビジュアル系っぽい耽美的なメロディーが混じる感じ。ただ全体的にはへヴィーなサウンドが前に出てきており、ビジュアル系特有の雰囲気が苦手でも十分聴ける内容に。ただ、わずか7曲入りということもあり、全体的には無難な内容で、特に面白味や新鮮味もない作品になっていたのが残念なのですが。

評価:★★★

ムック 過去の作品
志恩
球体
カルマ
シャングリラ
THE END OF THE WORLD

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2015年8月27日 (木)

新譜ラッシュだが低水準

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週はベスト10のうち8枚が初登場という新譜ラッシュとなりました。

そんな中、1位を獲得したのがポルノグラフィティのニューアルバム「RHINOCEROS」が獲得しました。オリジナルとしては約3年5ヶ月ぶりとなる久々の新譜。また、オリジナルアルバムとしては前々作「∠TRIGGER」に続き3作目の1位獲得となります。ただ、初動売上4万1千枚は、そのオリジナルアルバムとしての前作「PANORAMA PORNO」の5万6千枚(2位)からダウン。直近作であるベスト盤「PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary“ALL TIME SINGLES”」の8万5千枚(1位)からもダウンしています。ここ数作、14万枚→8万3千枚→5万6千枚→4万1千枚と右肩下がりが続いているのが気になります。

2位は先週まで1位を獲得していたDreams Come Trueのベストアルバム「DREAMS COME TRUE THE BEST! 私のドリカム」がこの位置。売上こそ3万2千枚から2万9千枚にダウンしているのですが、まだまだ売れ続けています。

3位初登場は、日本でも高い人気を誇るアメリカのハードロックバンド、BON JOVI「Burning Bridges」。ギターのリッチー・サンボラが事実上脱退し、3人組となってはじめてのアルバムとなります。初動売上は1万枚で前作「What About Now」の3万2千枚(2位)から大きくダウン。こちらもここ数作、6万7千枚→3万2千枚→1万枚と急落傾向なのが気になります。

ここで3位初登場盤の売上がわずか1万枚・・・初登場が多いにも関わらず、かなり低水準のチャートとなっています。

続いて4位以下の初登場ですが、まず4位にMONGOL800「PEOPLE PEOPLE」がランクイン。約2年半ぶりとなる新譜。初動売上8千枚で、前作「GOOD MORNING OKINAWA」の1万2千枚(7位)からダウン。

5位は男性シンガーソングライター、永積タカシのソロユニット、ハナレグミのニューアルバム「What are you looking for」が初登場。カバーアルバムやハナレグミ,So many tears名義のアルバムのリリースはあったものの、純粋なオリジナルアルバムとしては3年11ヵ月ぶりと、久々の新作となりました。初動売上は7千枚。直近作はハナレグミ,So many tears名義の「どこまでいくの実況録音145分」の2千枚(34位)から大きくアップ。一方、ハナレグミ単独名義の前作はカバーアルバム「だれそかれそ」の1万1千枚(7位)、オリジナルアルバムの前作「オアシス」の1万3千枚(6位)のいずれからもダウンしています。

6位には学園をテーマとした女性アイドルグループ、放課後プリンセスのデビューミニアルバム「制服シンデレラ」がランクイン。元モーニング娘。の道重さゆみのはとこが在籍することでも話題になっているそうです。初動売上は7千枚。直近のシングル「真夏の夜の夢」が初動1万1千枚(7位)だったので、アイドルグループのアルバムとしては健闘した方か?

7位初登場は「DIABOLIK LOVERS Bloody Songs -SUPER BESTⅡ-」。女性向けの恋愛モノとしてゲームやアニメなどに展開している「DIABOLIK LOVERS」のキャラクターソングやゲームのテーマ曲などを集めたベスト盤だそうです。初動売上は5千枚。

8位には山崎まさよし「ROSE PERIOD ~the BEST 2005-2015~」がランクイン。タイトル通り、ベスト盤としては前作となる「BLUE PERIOD」以降にリリースされた曲をまとめたベスト盤。初動売上は4千枚。直近作はライブアルバム「HARVEST ~LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾 2014~」で、こちらの初動売上1千枚(42位)よりはアップ。ただ、10年前のベスト盤「BLUE PERIOD」の初動13万4千枚(3位)よりは大きくダウン。正直、一時期の人気と比べると、ここ最近、話題にのぼることが少なくなってしまい、ちょっと寂しい印象は否めません・・・。

初登場最後、9位にはイギリスのへヴィーメタルバンドBullet for my Valentine「VENOM」がランクイン。輸入盤が先行で販売していたため、ベスト50圏外からのランクアップによりベスト10入り。売上は4千枚。ベスト10入りは前々作「Fever」以来2作目。ただし、前作「Temper Temper」は初動6千枚(17位)でしたので、こちらよりはダウンしています。

そんな訳で、わずか売上4千枚でベスト10入りという低水準なチャートになってしまいました・・・チャート評はまた水曜日に!

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2015年8月26日 (水)

福山人気は健在

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週は2位まで売上10万枚超えというチャートになりました。

そんな中、見事1位を獲得したのは福山雅治「I am a HERO」でした。日テレ系ドラマ「花咲舞が黙ってない」主題歌でギターサウンドを前に出したロック色の強いナンバー。初動売上15万8千枚は前作「誕生日には真白な百合を」の10万8千枚(1位)よりもアップ。これで2008年の「化身」以来、8作連続の1位。

その福山雅治と最後まで接戦を繰り広げたのが2位初登場モーニング娘。'15「Oh my wish!」。EDM風のアレンジですが、メロディーはベタなアイドルポップ。初動売上14万1千枚は前作「青春小僧が泣いている」の10万1千枚(1位)よりこちらもアップ。

3位初登場はEXILE「24karats GOLD SOUL」。タイトルからして成金趣味満載な新曲。初動売上9万枚は前作「情熱の花」の6万6千枚(2位)よりアップ。

続いて4位以下初登場です。まずは韓流。男性アイドルグループBTOB「夏色 MY GIRL」が4位にランクイン。K-POPらしいリズミカルなエレクトロポップ。初動売上7万6千枚は前作「未来(あした)」の7万5千枚(2位)から若干のアップ。

続くは女性アイドルグループ。5位にSUPER☆GiRLS「イッチャって♪ヤッチャって♪」、9位にベイビーレイズJAPAN「Pretty Little Baby」がそれぞれランクイン。

SUPER☆GiRLSはいかにもアイドルポップらしいサマーチューン。初動売上7万4千枚は前作「ギラギラRevolution」の5万枚(2位)よりアップ。一方ベイビーレイズJAPANは、90年代初頭あたりを思い起こすようなJ-POPナンバー。初動売上1万7千枚で前作「栄光サンライズ」の2万4千枚(5位)からダウン。

今週はまた、女性ソロシンガーソングライターの2人が同時にランクイン。まず、6位には家入レオ「君がくれた夏」がランクイン。初動売上2万枚は前作「miss you」の7千枚(11位)から大幅増で、ベスト10入りは昨年1月にリリースした「チョコレート」以来4作ぶり。フジテレビ系ドラマ「恋仲」の主題歌ですが、タイアップ効果が強く出た模様。楽曲は、以前の若さを売りにしていた彼女とは一風変わった聴かせるミディアムチューン。

そして8位にはmiwa「夜空。feat.ハジ→」。タイトル通り、シンガーソングライターハジ→との共演作。こちらも元気というイメージが強いいつもの彼女とは一風変わった哀愁たっぷりのミディアムチューン。ベタな歌謡曲風で、この方向は正直ちょっとどうなんだろう・・・と思ってしまうのですが・・・。初動売上1万8千枚は前作「360°」の1万9千枚(5位)から微減。これで4作連続初動1万8千枚~9千枚で、完全に固定ファンのみによって支えられている印象が。

最後、7位にはソナーポケット「HERO」がランクイン。アニメ「うしおととら」エンディングテーマ。打ち込みによるアレンジのダンス風ナンバーで、かつての「泣きメロ」が売りだった彼らのイメージとはかなり異なる雰囲気。ただ、歌詞の方は相変わらず陳腐な前向き応援歌だったのですが・・・。初動売上1万8千枚は前作「Song for you ~明日へ架ける光~」の7千枚(17位)から大きくアップ。タイアップ効果が大きかった模様。ベスト10入りは、昨年4月にリリースした「ai」以来5作ぶりで、7位はシングルでは自己最高位。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2015年8月25日 (火)

変態性はさらに薄く

Title:シャンゼリゼ
Musician:モーモールルギャバン

昨年5月にライブ活動を休止。その後の動向もちょっと心配されたのですが、今年に入って無事ライブ活動も再開。約1年ぶりとなる新作もリリース。レコード会社も移籍し、心機一転となるモーモールルギャバンの新譜がリリースされました。

もっとも前作「モーモールル・℃・ギャバーノ」は1曲を除いて過去の曲の再録という内容。そのため、事実上、新譜としては前々作「僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ」以来3年3ヶ月ぶり、久々のフルアルバムとなります。

その前々作「僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ」では、それまでの変態性ある歌詞が薄れ、ストレートなロックソングが多くなった作品でした。そして今回は、その方向性がさらに強まった作品になっています。既に以前の彼らのような、歌詞から変態性を感じる部分はさらに薄まった感があり、また、プログレ的な要素は感じられるものの、サウンドに関しても比較的ストレートなロックが多くなっていました。

そのシンプルなロック路線ゆえか今回のアルバム、「歌」の部分がより強く前に出ているように感じます。そうすると改めて感じるのが彼らの書くメロディーラインの良さ。決して「勢い」や「サウンド」などに頼った形ではない、足腰のしっかりしたメロデイーを書いてきています。「虹のベッド」の切ないメロデイーラインなどなかなか絶品ですし、ユコがボーカルを取る「N」のソフトロック路線もなかなか(ボーカル含めてちょっと空気公団っぽいのがおもしろいのですが)。

また今回のアルバム、特に前半に関して、バンドサウンドにエレクトリックピアノの音色が載るスタイルのサウンドが、どこか70年代あたりのロックの匂いを感じるのがユニーク。ぶっといベースラインやパンキッシュなギターは決して「70年代」的ではないはずなのですが・・・。逆に後半はパンキッシュでアバンギャルドな側面が出ていた曲が並んでいました。

ほかにも、まんま「ハイウェイ・スター」な「ザ・ラストトレインスター」なんてお遊び曲があったりするあたり、バンドとしての余裕を感じさせますし、二股男の修羅場を描きながら「愛がすべてさ」なんてうそぶく本編ラストを飾る「バイララ」なんかは、このアルバムでも数少ない変態性を感じるナンバーで、彼ららしい、といった感じでしょうか。間違いなく様々な聴きどころのあるアルバムだと思います。

ただ、その上で思ってしまうのが、メロディー、歌詞、サウンド、どれをとっても一定水準以上の出来なのは間違いない反面、どうも突き抜けてインパクトのある部分が薄いように感じてしまいました。メロディーはインパクトがあるものの、街角で流れて、ふり向くようなレベルではないし、変態性といったも今回のアルバムに関してはさほど強くないし・・・。長らく「話題のバンド」でありながらも、いまひとつブレイクに至らないのは、そんな理由からなのではないでしょうか。いいアルバムで十分楽しめる内容ながら、そんな部分にちょっとひっかかりを感じた作品でした。

評価:★★★★

モーモールルギャバン 過去の作品
クロなら結構です
BeVeci Calopueno
僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ
モーモールル・℃・ギャバーノ

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2015年8月24日 (月)

「正しさ」を押しつけ合う世の中で

Title:Bitter,Sweet&Beautiful
Musician:RHYMESTER

ここ最近の安保法案に関する動きで少々影をひそめてしまったのですが、賛否両論を巻き起こした話題として「道徳の教科化」という問題がありました。しかし、今の世の中、ひとつの価値観を「道徳」として教えるというのは非常に難しいのではないでしょうか。例えば「親を大切にしましょう」という価値観。これ自体はもちろん間違ってはいません。ただ、教室の中に親から虐待を受けているような子がいたらどうでしょうか。育ってきた家庭環境から、あるいは生まれた国まで異なるような人たちが増えてきた今、ひとつの価値観を「道徳」として教えるのは非常に困難な状況になっているように思います。

ただそんな中、唯一、「道徳」として教えることが出来る価値観があります。それは「多様な価値観を大切にしましょう」という考え方。「道徳」という授業を困難にしているこの考え方こそ、逆説的に現在において子供たちに教える「道徳」と言えるのかもしれません。

今回のRHYMESTERのニューアルバムは、まさにそんな「多様性」が重視される現代社会に対しての強いメッセージ性を感じるアルバムになっています。本作のアルバムタイトルについてMCの宇多丸はインタビューの中でこのように語っています。

「酸いも甘いも美しい」。杓子定規な「正しさ」では割り切れない何かが僕らの人生には必ず含まれているわけで、そういう幅を含めて、世界は「美しい」んじゃないかと。
MUSICSHELFインタビューより抜粋)

このひとつの「正しさ」を押しつけようとする風潮は、考え方の右左問わず、最近目立ってきているように感じます。特に簡単に賛成派反対派にわけ、反対の立場を徹底的にののしるようなやり方がいろいろな場面において少なくありません。そんな風潮に関して今回のアルバムでは、最初から最後まで徹底してノーを突きつけています。特にストレートなのが「The X-Day」

「それは「正しい」人々の「正しい」権利 憎しみのデモンストレーション
それを「正しい」人々が「正そう」と また憎しみのデモンストレーション」

(「The X-Day」より 作詞 Mummy-D,宇多丸)

なんていう歌詞も登場します。RHYMESTERは比較的リベラル寄りなスタンスでの歌詞が多いグループですが、今回の歌詞には明確なリベラル寄りと捉えられるような歌詞はなく、むしろ右にしろ左にしろ安直な「正しさ」の決めつけ、世の中の不寛容に対してアンチの立場を貫くアルバムになっています。

さて、そんな一貫したメッセージ性のあるアルバムなのですが、一方、トラックについては、非常にメロウな、シティポップあるいはブラックミュージック色の強い作品になっていました。今回のアルバム、プロデューサーに最近話題のトラックメイカー、PUNPEEをメインで起用。さらには「ペインキラー」ではプロデューサーにKREVAを起用しており、こちらは音の使い方など、実にKREVAらしい作風に仕上がっていました。

そんな作品だからなのでしょうが、アルバム全体の出来としては正直、最初地味という印象がありました。ライブでアゲアゲで盛り上がりそう、という曲は残念ながら今回はあまり多くありません。そのため、最初聴いた時には、若干取っつきにくい印象を受けてしまいました。

ただ、歌詞の内容も含めて、何度か聴くとジワリジワリと効いてくるのが今回のアルバムの特徴。最初、少々地味に感じたトラックも、メロウなサウンドがカッコよさを感じます。楽曲全体に流れるメロディーも、実力派の彼ららしい、しっかりインパクトの効いたものに。最初は、ここ数作に比べてちょっといまひとつかも、とも思ったのですが、何度か聴くうちに、さすがRHYMESTERと思えるような傑作と感じるアルバムになっていました。

そんな訳で、歌詞、トラック共に、パッと聴いただけではなくじっくり味わいたいような作品。「美しく生きること」が本作のメインテーマだそうですが、徐々にその美しさを感じることが出来るアルバムでした。

評価:★★★★★

RHYMESTER 過去の作品
マニフェスト
POP LIFE
フラッシュバック、夏。
ダーティーサイエンス
The R~The Best of RHYMESTER 2009-2014~

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2015年8月23日 (日)

降谷建志という人物

Title:Everything Becomes The Music
Musician:降谷建志

Dragon Ashのボーカリストでメインのライターである降谷建志のソロデビューアルバム。「すべてのものが音楽になる」というタイトルのアルバムですが、パソコンのキーボードを打つ音が徐々にリズミカルになり音楽になっていくイントロがアルバムのタイトルにマッチしており、なかなか洒落たオープニングとなっています。

Dragon Ashといえば、HIP HOPあるいはラテンミュージックとロックを融合させたいわゆるミクスチャーロックのバンドです。一方、今回のアルバムは基本的にオルタナ系のギターロックをメインとした作風。また、全12曲中日本語詞によるものは3曲のみ。他はイントロ的な曲はあるものの、基本的に英語詞による作品になっていました。

ただ、オルタナ系のギターロックがメインとはいえ、楽曲としてはメロディーと歌詞、要するに「歌」を前面に押し出した構成となっています。「Colors」のように力強いドラムのリズムを押し出した曲もあったのですが、その曲でもきちんと歌が響いてくる内容になっていました。

そんなニューアルバムは降谷建志という人物像がそのままアルバムに反映させた内容になっていたように感じます。そういう意味で、実にソロアルバムらしいアルバム、と言えるでしょう。

降谷建志の人物像。まずこのアルバム、メロディーラインからは非常な繊細さを感じます。美メロという言葉がふさわしいメロディアスで美しい、そして繊細さを感じるメロディーラインはDragon Ashの作品でも特徴となっていますが、今回のアルバムでももちろん健在。降谷建志といえばご存じの通り、俳優古谷一行の息子で、小学校から高校まで(高校は中退のようですが)青山学院という生粋のお坊ちゃん。そんな育ちの良さがメロディーラインに反映されているように感じます。

一方同時に感じられるのは、音楽に対する自信と力強さ。その力強さは特に歌詞から強く感じます。例えば「Angel Falls」では

「so I sing when an angel falls, and a demon smiles at me」
(訳詞 たとえ天使が堕ち、悪魔が微笑みかけても私は歌う)
(「Angel Falls」より 作詞 降谷建志)

という歌詞からは、自らのミュージシャンとしての強い自信を感じますし、一方で「Wish List」の

「見よう見まねでいいよ 始まりは怖いもんさ
僕らは全て望むんだ 取り留めなく
好きな色で塗りたくれ 恥じらいなく書きなぐれ
それを希望と呼ぶんだ 掲げてごらん」

(「Wish List」より 作詞 降谷建志)

という歌詞からも強い自信と、前向きな力強さを感じます。

この自信と力強さは、今年で19年目となるDragon Ashとしての音楽活動から生まれたものではないでしょうか。ご存じの通りDragon Ashといえば、特に初期においてはラップを音楽に取り入れたことで各所からバッシングを受けました。この歌詞から感じられる自信と力強さはDragon Ashとしてそんなバッシングを乗り越えてきた今だからこそ得ることのできた、今の降谷建志を形作るもののように感じました。

そんな訳でDragon Ashとしても垣間見せていた降谷建志のメロディーメイカーとしての才能を発揮しつつ、彼のパーソナリティーを上手くアルバムに反映させた、ソロアルバムらしい傑作だったと思います。今回のソロアルバムの経験がまた、上手くバンドにも反映されるのではないでしょうか。Dragon Ashとしての次の作品も楽しみになってくるような傑作でした。

評価:★★★★★

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2015年8月22日 (土)

改名後、初のアルバム

Title:ALXD
Musician:[Alexandros]

以前は[Champagne]として活動していたバンドの最新作。Champagneという名前がシャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会から抗議が来て、改名ということに至ったそうです。今回のアルバムは、改名後、初となるオリジナルアルバム。[Champagne]というバンド名が徐々に浸透していた段階での改名というのはバンドにとって大きなマイナスだった・・・と思いつつ、ニューアルバムはなんとオリコンアルバムチャート3位を記録。いままで、チャート最高位10位だっただけに売上は大きくジャンプアップ。改名効果がプラスに働いた結果となりました。

この結果はもちろん「改名」というニュースが一種の宣伝となった要因も少なくないでしょう。ただそれ以上に今、バンドとして脂がのっている時期であるこということが大きいように思います。実際、このアルバムを聴くとバンドとしての勢いを非常に強く感じます。そのため、このアルバムで[Alexandros]というバンドとしての、この上ない良いスタートを切ることが出来ました。

ただ、このアルバムを聴いていて感じるのは、良くも悪くも今時のバンドらしいなぁ、ということでした。良くも悪くも様々な音楽からの影響を無邪気に作品に取り入れ、かつ情報量も多め。基本的にはオルタナ系ギターロックを主軸にしているのですが、メロディーはグッとJ-POP寄りですし、パンキッシュなサウンドがあったり、ハードロック寄りのギターを聴かせたり、バンド志向のガレージっぽい雰囲気かと思いきや、ピアノやストリングスで音を分厚くしてきたり、「Run Away」はトランシーなサウンドですし、最後の「Coming Summer」はストリングスを入れつつ、スケール感ある美しい曲調にまとめあげています。

ここ最近の若手バンドにありがちな「ルーツレス」かと言われると彼らの場合、もともとのバンド名[Champagne]はイギリスのロックバンドoasisの曲からとられているようですし、確かに曲によっては、oasisからの影響っぽいサウンドも見て取れます。ただ、全体的な方向性はJ-POP志向が強く、洋楽志向はさほど強くありません。そこらへんのこだわりのなさは今時のバンドらしいなぁ、と思いつつ、一方ではちょっと物足りなさも感じてしまう部分も否定できませんでした。

ただアルバム全体の出来としては最初にも書いた通り、脂ののった今のバンドを象徴するような勢いのある作品で、大ヒットも納得の内容でした。

評価:★★★★

[Alexandros] 過去の作品
Schwarzenegger([Champagne])


ほかに聴いたアルバム

ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2014

毎年恒例、ASIAN KUNG-FU GENERATION主催のライブイベント、「NANO-MUGEN FES.」。毎回、洋楽邦楽のアジカンがお勧めするミュージシャンたちが参加しており、本作は、その参加ミュージシャンたちの曲をあつめたコンピ盤となります。ユニコーンやくるりのような有名どころから、新進気鋭の若手ミュージシャンまで様々なミュージシャンが参加していますが、基本的にアジカン好きなら気に入りそうなオルタナ系ギターロックがメイン、というのはいつも通り。そんな中でも今回は、クリアボイスに美メロが心に残るドイツのポップデゥオ、It's A Musicalの「The Music Makes Me Sick」が特に印象に残りました。

評価:★★★★★

NANO-MUGEN COMPILATION 過去の作品
ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2008
ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2011
ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2012
ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2013

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2015年8月21日 (金)

アルバム毎に出来不出来の差が・・・

Title:ベストライド
Musician:a flood of circle

昨年9月、新メンバーとしてギターのDuranが加入し4人組となったものの、今年の3月に在籍わずか半年で脱退。再び3ピースバンドとなったa flood of circleの約8ヶ月ぶりのアルバムは、6曲入りのミニアルバムとなりました。

a flood of circleは2008年にリリースした「泥水のメロディー」以降、基本的にすべてのアルバムをチェックしています。まあ、そこでいろいろと書いているのは過去のアルバム評を見ていただければわかると思うのですが、アルバム毎の出来不出来が大きいという印象を持っています。

彼らの奏でるガレージロックサウンドについては文句なしにカッコいいと思っています。ミッシェルなき今、彼らみたいなタイプのパブロックの色合いの濃いガレージロックバンドでコンスタントに活動を続けているのはこのバンドくらいではないでしょうか。それだけに個人的には以前から注目をしているバンドの一組です。

ただ一方ちょっと残念なのは佐々木亮介のボーカルが線が細く、かつ、ガレージロックを歌うにはあまりにも端整という点。それでもハードなロックンロールを奏でていれば気にならないのでしょうが、良くも悪くもJ-POP的なポップス路線の曲を演っていたりして、そうすると一気に「平凡なギターロックバンド」になってしまいます。

そのため、アルバムによってロック寄りになるかポップ寄りになるかで出来の良し悪しが大きく変化してしまうのが彼らの特徴。で、前々作「I'M FREE」はガレージロックバンドとしてのカッコよさが前面に出ていた傑作。一方前作「GOLDEN TIME」はガレージ色も強い反面、ポップな作品も多かった良作でした。

そしてそれに続く今回のアルバムは・・・・・・うーん、残念ながら彼らの作品の中では、おそらく1、2を争うくらいポップな作風(苦笑)。6曲の中で、彼らのガレージロックバンドとしてのカッコよさが出ている作品は残念ながらなく、「平凡なギターロック」という枠組みから出ることはありませんでした。

メロディーラインとか、決して悪いわけではないんですよね。ただ、それだけで売りに出来るだけのインパクトがあるかというと微妙。わずか6曲入りながらも、ミディアムテンポの曲が2曲もあり、全体的に地味という印象も否めません。ここ数作の傾向として、楽曲の安定感はあるのですが、アルバム全体として物足りないという印象を強く抱いてしまいました。

このポップス路線もまたa flood of circleの持ち味だ、と言われればそうなのかもしれませんが・・・彼らのバンドとしてのカッコよさがあまり出ていなかったのが残念な作品。次回作は、もっとロックンロールな作品を期待したいところなのですが・・・。

評価:★★★

a flood of circle 過去の作品
泥水のメロディー
BUFFALO SOUL
PARADOX PARADE
ZOOMANITY
LOVE IS LIKE A ROCK'N'ROLL
FUCK FOREVER
I'M FREE
GOLDEN TIME

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2015年8月20日 (木)

2度目の武道館ワンマンを収録

Title:「Boys!」TOUR 2014-2015 –FINAL- at 日本武道館
Musician:THE BAWDIES

THE BAWDIESが、ライブツアー「『Boys!』TOUR 2014-2015」の最終公演として、今年3月29日に行われた日本武道館ライブの模様を収録したライブアルバム。2枚組全28曲入りの内容は、当日演奏された曲をすべて収録。MCなども収録されており、おそらくほぼフルでの収録と思われます。ちなみにDVD版もリリースされていますが、こちらはCD版でのレビューとなります。

日本武道館といえば、(MCでも語られていますが)1966年にビートルズが唯一の日本公演においてワンマンライブを行った場所。先日もポール・マッカートニーが武道館ワンマンライブを行い話題となりましたが、そのため、いわば「ロックの聖地」とも言うべき場所。今回が2度目の武道館ワンマンということですが、それだけに彼らにとってこの場所でのライブは非常に思い入れが深いものなのでしょう。はじめての武道館ワンマンもDVDとして発売されていますが、2度目の武道館ワンマンも、DVDとCDでリリースされているあたりも、彼らのこのライブに対する思い入れの深さを感じます。

その思い入れの深さは演奏にもあらわれていました。特に序盤、1曲目「NO WAY」はいつも以上にハイテンション。その後の演奏も、ちょっとつんのめるような雰囲気を感じ、正直言うと、気合いが入りすぎてちょっと空回り気味にすら感じてしまいました。

ただその演奏も徐々に落ち着いていき、DISC1の中盤以降は落ち着いて、THE BAWDIESのいつものライブ演奏に戻ったように感じます。特に落ち着きを取り戻してからの彼らの演奏は、ちゃんと安定感があり、なにげに結成12年目の中堅どころらしい実力を感じさせます。

特に今回のライブの本領が発揮されたように感じたのはDISC2から。ゲストボーカルのオリビア・バレールという黒人女性シンガーが参加した「LOVE YOU NEED YOU」「RECORD PLAYER」はそのパワフルな彼女のボーカルが実にソウルフルでカッコイイナンバー。その後もステージから観客を煽って盛り上げたり、さらにゲストとしてOKAMOTO'Sのハマ・オカモトも参加した「SHAKE A TAIL FEATHER」ではホーンセッションも入り、武道館ワンマンという一種独特な祝祭色のある空間にふさわしい、にぎやかなステージングを聴かせてくれたりしました。

フルボリュームで武道館ワンマンをほぼ網羅した今回のライブアルバムは、そのライブの雰囲気をきちんと伝えてくれ、THE BAWDIESのバンドの魅力をしっかり味わうことのできたベスト盤だったと思います。うん、やはり彼らはカッコいいや!そう改めて実感したライブ盤でした。

評価:★★★★★

THE BAWDIES 過去の作品
THIS IS MY STORY
THERE'S NO TURNING BACK
LIVE THE LIFE I LOVE
1-2-3
GOING BACK HOME
Boys!

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2015年8月19日 (水)

お盆中のヒットチャート

今週は発売日がお盆休み期間ということでアルバムの初登場が極端に少ないチャートとなりました。そのため、シングル、アルバム同時更新です。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

とはいえ、シングルチャートは1曲を除いてすべて新譜なのですが・・・

まず1位はSKE48「前のめり」が獲得。爽やかなサマーポップなのですが、曲調は典型的な90年代J-POP風。初動売上37万枚は前作「コケティッシュ渋滞中」の初動売上64万枚(1位)から大幅ダウン。ただ前作は、CDにMUSIC CARDをつけて1枚売るだけでオリコン上、ダブルカウントが行われるという手法での売上枚数だったため、あまり参考にはなりません。ただ前々作「12月のカンガルー」の38万6千枚(1位)からもダウンしています。

2位はEXILE系。GENERATIONS from EXILE TRIBE「Hard Knock Days」。ロック風なイントロとJ-POPなメロというアンバランスさがいかにも売れ線J-POPといった感じ。初動売上7万1千枚は前作「Evergreen」の4万4千枚(2位)からアップ。同時7枚購入でメンバー全員からのサイン色紙プレゼントというドーピング効果も大きい模様。

3位初登場は男性アイドルグループDa-iCE「エビバディ」。前作に続きトランシーなアレンジのEDMナンバー。初動売上3万8千枚は前作「BILLION DREAMS」の2万6千枚(4位)からアップ。今回、5枚同時購入でメンバーとの「個別お話し会」に参加できる特典があり、その影響も大きい模様・・・って、完全にホストクラブ一歩手前になってきているなぁ。

続いて4位以下の初登場ですが、まだまだ初登場が続きます。4位初登場はback number「手紙」。彼ららしいミディアムテンポの暖かいポップチューン。初動売上2万4千枚は前作「SISTER」の2万3千枚(9位)から若干のアップ。本作、「手紙」というタイトルながらもタイアップはなぜか「NTT DoCoMo」のCMソングだったりします。ちなみに彼ら、前作はポカリスウェットCMソング、前々作はJR東日本「SKI SKI」CMソングとCMの好タイアップが続いています。まあ確かに良くも悪くも万人受けしそうな歌詞とメロなので、CMのタイアップにピッタリなのはわからないでもないのですが。

5位にはゆず「終わらない歌」が入ってきました。フジテレビ系「めざましテレビ」テーマソング。ちょっとファンタジックな賑やかなポップス。初動売上2万1千枚は前作「OLA!!」の2万4千枚(6位)からダウン。配信では先行リリースしていた影響か。

続く初登場の7位8位は女性アイドルグループ。7位はNegicco「ねぇバーディア」、8位にはバクステ外神田一丁目「甘い誘惑デインジャラス」がそれぞれランクイン。

Negiccoはレキシこと池田貴史作詞作曲。ただ楽曲的にはレキシ風なファンクナンバーではなく、80年代の王道アイドルポップ風。でももう、こういうサブカル受け狙いのアイドルグループはもうお腹いっぱいです。初動売上1万5千枚は前作「光のシュプール」の2万枚(5位)からダウン。バクステ外神田一丁目は秋葉原のカフェレストランを拠点に活動しているAKB48の二匹目のドジョウ的ユニット。初動売上1万5千枚は前作「青春クロニクル」の1万6千枚(10位)から微減。

最後の初登場9位10位はいずれもアニメ系。まず9位は風鳴翼「戦姫絶唱シンフォギアGX キャラクターソング3(Beyond the BLADE)」。アニメ「戦姫絶唱シンフォギア」の登場キャラクターによるキャラソン。ちなみに担当声優は水樹奈々で、楽曲もいつもの水樹奈々の曲と同じくマイナーコードで掻き立てるようなアップテンポの、いかにも「アニソン」といったナンバー。初動売上1万2千枚。「戦姫絶唱シンフォギア」がらみでは立花響名義の「戦姫絶唱シンフォギアGXキャラクターソング2」の9千枚(13位)よりアップ。ただし風鳴翼名義の前作「戦姫絶唱シンフォギアG キャラクターソング4(月煌ノ剣)」の1万5千枚(11位)よりもダウン。また水樹奈々名義としても前作「Exterminate」の3万8千枚(3位)からダウンしています。

そして10位には梶浦由記プロデュースのボーカルユニット、Kalafina「One Light」がランクイン。TBSテレビ系アニメ「アルスラーン戦記」エンディング・テーマ。今回は幻想的な雰囲気は抑えめ。初動売上1万1千枚は前作「ring your bell」の1万5千枚(8位)からダウンしています。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は初登場がわずか3枚というちょっと寂しいチャートでした。

そんな中、1位を獲得したのがDreams Come Trueのベストアルバム「DREAMS COME TRUE THE BEST! 私のドリカム」が先週に引き続き1位。これで5週目の1位獲得となります。売上枚数も、今週は32,531枚と、先週の32,301枚からわずかですがアップ。お盆休みとなり、いままでCD屋に足を運べなかった社会人層が購入しているのでしょうか。まだまだロングヒットが続きそうです。

そんなドリカムに続く2位3位はいずれも初登場。まず2位はロックバンドBRAHMAN「尽未来際」がランクイン。結成20年目となる彼らですが、これが初のベスト盤となります。初動売上は1万5千枚。2位はシングルアルバム通じて自己最高位。ただし、直近のオリジナルアルバム「超克」は初動2万2千枚(4位)なので、こちらからはダウンしています。

3位はクレイジーケンバンド「もうすっかりあれなんだよね」がランクイン。約1年ぶりのオリジナルアルバムで、こちらもシングルアルバム通じて3位は自己最高位。ただし、初動売上9千枚は前作「Spark Plug」(9位)から横バイ。しかし、売上が1万枚を切って、ベスト3入りですか・・・。

続いて4位以下の初登場ですが、前述の通り、初登場は1枚のみ。それが8位初登場。男女2人組ユニットmoumoon「It's Our Time」でした。ベスト10入りは2012年にリリースした「No Night Land」以来3作ぶり。ただし、初動売上はわずか4千枚。前作「LOVE before we DIE」の7千枚(15位)よりダウンしてしまっています。

今週はこんな低水準のチャートでしたので、一方ではベスト10返り咲き組も。MONOEYES「A Mirage In The Sun」が先週の11位から7位へ、CARLEY RAE JEPSEN「EMOTION」が先週の13位から9位へ、Mr.Children「REFLECTION」が先週の16位から10位へとランクアップしています。このうちミスチルは、売上が4,586枚と先週の4,192枚からアップ。こちらもドリカム同様、お盆休みが影響しているのでしょうか。CARLEY RAE JEPSENも先週の4,881枚から4,650枚と若干の減少にとどめており、健闘しています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2015年8月18日 (火)

アンチEDM?

Title:Born In The Echoes
Musician:The Chemical Brothers

最近、ともすれば「お茶の間レベル」にまでブームになりつつあるEDM。日本だけではなく全世界的にもひとつのブームになっています。The Chemical Brothersといえば、ある意味、その「先駆的」ともとらえられそうなグループ。今年のサマソニへの出演も決定しており今なお絶大な人気を得ている彼ら。この5年ぶりとなるニューアルバムも、本作も本国イギリスのアルバムチャートでは見事1位を獲得しています。

さてそんなケミブラの新作。前作「Further」では幻想的なサウンドをつくりあげており、「ケミブラらしい」といった雰囲気のアルバムではありませんでしたが、今回の作品は一転、ケミブラらしさが出ているアルバムになっていました。

例えば「I'll See You There」で聴かせるドラムスのダイナミックなリズムでロッキンに仕上げている作風はいかにも彼ららしいと感じますし、「Reflection」のように、四つ打ちのリズムに高音のシンセがメロディアスに重なるスタイルもケミブラらしい感じ。先行シングル「Go」もQ-Tipの軽快なラップを重ねつつ、80年代風を思わせるちょっとベタで、メロディアスなメロを流してくるあたりも彼ららしいと言えるのではないでしょうか。

ただ、そんなケミブラらしいアルバムに仕上がった本作なのですが、聴いていてちょっとひっかかった部分があります。それは聴いていてケミブラらしいアルバムなのに、ライブで踊りまくれそう、というイメージが浮かんでこなかった点でした。一言で言えば、今回のアルバム、高揚感が抑えられているように感じました。

特に前半に関しては、比較的淡々としたテンポですすむ曲が目立ちます。冒頭を飾る「Sometimes I Feel So Deserted」も淡々とした雰囲気で、1曲目としては地味に感じる曲調でしたし、「EML Ritual」もそんなイメージでしょうか。

後半は、もうちょっとサイケなサウンドなどが目立ち派手さも加わりましたが、上でケミブラらしいと取り上げた「Reflection」とかについても高揚感は抑えめ。そういうこともあり、アルバム全体としては最初聴いた時、地味にも感じました。

ただ、本作でなぜこういう内容にしたのかなぁ、と考えたとき、ふと、今流行のEDMに対するアンチテーゼなんじゃないか、ということを感じました。上にも書いた通り、ある種EDMの先駆け的存在にも感じられる彼らですが、最近のインタビューではEDMについて「どれも同じ曲にしか聴こえない」という発言をしており、否定的な見解を感じます。

確かに今回のアルバムでは、四つ打ちのダンスチューン一本調子のEDMと違って楽曲のバリエーションも豊富。ロッキンな曲や80年代的な曲、他にもセクシーな女性ボーカルを聴かせる「Under Neon Lights」はそのメロウな雰囲気に90年代的なにおいを感じますし、本編ラストを飾る「Wide Open」も軽快でポップな歌モノ。インタビューでEDMを「どれも同じ曲」と批判するだけあって、自らのアルバムではきちんと音楽性の広さをみせつけています。

そう考えると今回のアルバム、高揚感を抑えたのも、とにかくアゲアゲ一本調子のEDMに対するアンチテーゼとも感じられました。安直に高揚感に頼らなくても、ちゃんとダンスミュージックでリスナーを楽しませることが出来る、そんな彼らからのメッセージだったのかもしれません。

そんな訳で、ちょっと地味目にも感じられるものの、しかしちゃんとThe Chemical Brothersとしての魅力がつまった傑作アルバムに仕上がっていたと思います。今年はデビューアルバムリリースから20年目だそうですが、まだまだ圧倒的な実力を感じさせてくれます。私はいけませんが、今年のサマソニは盛り上がりそうだなぁ。

評価:★★★★★

The Chemical Brothers 過去の作品
Brotherhood
Further(邦題:時空の彼方へ)
HANNA

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2015年8月17日 (月)

今時のHIP HOP

Title:At. Long. Last. A$AP
Musician:A$AP Rocky

デビュー作である前作「Long. Live. A$AP」がいきなりビルボードチャートで1位を獲得。また、その内容にも高い評価を得たアメリカはニューヨーク出身のラッパー、A$AP Rockyの2年4ヶ月ぶりとなる新作。当初6月リリース予定だったのが、急きょ5月リリースになるなど、バタバタな中でのリリースとなりましたが、本作でもビルボードチャートで1位を記録。相変わらずの高い人気のほどを伺わせます。

そんな新作で目につくのはゲストの豪華さ。「FINE WINE」ではM.I.A.、「JUKEBOX JOINTS」ではKANYE WESTが、さらになんと「EVERYDAY」ではROD STEWARTがゲストとして参加しています。

前作もそうだったのですが、彼の作品、もちろん彼のラップも大きな魅力なのですが、そのトラックがとにかく大きな魅力。前半は比較的「メロウ」と感じさせるトラックが多く、一方、後半はダークな雰囲気のトラックが多いのが特徴的。特に後半ではダークな雰囲気の中、タイトなエレクトロのリズムを聴かせる曲が多く、非常に「今風な音」という印象を受けるのは前作と同様でした。

そんな中、今回のアルバムはその豪華なゲストを効果的に生かしつつ、楽曲にバラエティーを持たせているのが特徴的でした。M.I.A.とのコラボ「FINE WINE」では彼女らしいトライバルなリズムをトラックの中に入れてきていますし、KANYE WESTの「JUKEBOX JOINTS」ではソウル風のメロウなトラックを入れてきています。特にインパクトがあったのはROD STEWARTとの異色な組み合わせとなった「EVERYDAY」で、いきなりロッドの絞り出すようなブルージーなボーカルからはじまるのはインパクト十分。特に後半、ちょっとダレて来たかな、というところで飛び込んでくる彼のボーカルが、大きなインパクトになっていました。

他にもブルージーな印象をトラックから受ける「HOLY GHOST」、ラップがどこかコミカルな「ELECTRIC BODY」、幻想的なトラックが心に残る「EXCUSE ME」などバラエティーある作風をアルバムの中で効果的に配置。特に「L$D」はその美しいメロディーラインが流れるトラックが、心に残る作品になっていました。

ボーナストラック込みだと全74分にも及ぶボリューミーな内容は相変わらずだったのですが、このようにバラエティーに富んだトラックをしっかりと聴かせてくれる作品だっただけに最後までダレずに楽しむことが出来ました。今時なサウンドといい、今聴くべきHIP HOPのアルバムといった感じ。高い人気と話題も納得の作品でした。

評価:★★★★★

A$AP Rocky 過去の作品
LONG.LIVE.A$AP

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2015年8月16日 (日)

次回作と連動

Title:BOYS
Musician:フジファブリック

フジファブリックのニューアルバムは全5曲入りのミニアルバム。本作は「BOYS」と名付けられましたが、近日中に「GIRLS」というタイトルのミニアルバムも発売予定。2枚のアルバムが連動するコンセプチュアルな作品で、本作はアップテンポな曲を中心に並べたセレクトになっているそうです。

さて、ここでも何度も書いているのですが、フジファブリックといえばどうしても話に出さざるを得ないのがかつてのメインのソングライター、志村正彦と、彼の逝去後、バンドでメインのソングライターとなった山内総一郎の比較。天才とまで言われた志村正彦の前に、どうしても分が悪かった山内総一郎の楽曲でしたが、ここ最近、ライターとして大きな成長を感じ、志村楽曲に匹敵する名曲すら産みだしてくるようになりました。

今回のニューアルバムに関しても、わずか5曲という内容ながらも、フジファブリックの新たな可能性を感じさせる曲が並んでいました。例えば「夢みるルーザー」はコミカルな雰囲気のひねくれポップが耳に残る作品。ユニコーンからの影響も垣間見れ、また、若干志村正彦楽曲のフォロワー的な印象も否めないものの、山内総一郎のソングライターとしての実力もきちんと発揮された曲だと思います。

また、今回の作品の中で最も強いインパクトを感じたのが「夏の大三角関係」。エレクトロなダンスチューンなのですが、普通、踊るのに邪魔なため、無機質な歌詞が多いダンスチューンとしては異例の物語性ある歌詞がユニーク。メロディーライン含めインパクト十分なナンバーでこちらも山内総一郎のライターとしての実力を感じます。

アルバム全体としてはエレクトロテイストも強く、どこかコミカルさも感じさせます。ただ、残念ながらインパクト十分な曲もありつつ、「マボロシの街」とかは悪くはないけど正直ちょっと平凡だったかも・・・なんて曲もあったため、傑作といってしまうにはちょっと物足りさなも。ただ、前作「LIFE」に引き続き、フジファブリックのこれからの可能性を感じる作品だったと思います。次の「GIRLS」も非常に楽しみです。

評価:★★★★

フジファブリック 過去の作品
TEENAGER
CHRONICLE
MUSIC
SINGLES 2004-2009

STAR
VOYAGER
LIFE

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2015年8月15日 (土)

リバイバルがテーマ

Title:_genic
Musician:安室奈美恵

相変わらずトップスピードで走り続けている安室奈美恵2年ぶりとなる新作。本作も非常に攻めの姿勢を感じるのが特徴的で、リバイバルをテーマとしているのですが、そのコンセプトに沿った曲を並べているため、先行のシングル曲などはアルバム未収録。また、過半数が英語詞という内容になっており、媚びない攻めの姿勢を感じます。

楽曲は今時といった感じのEDMチューン。「Stranger」あたりは強いビートでバリバリのEDMになっていますし、さらにボーナストラックには、あのEDMシーンのトップミュージシャンとして日本でも高い人気を誇るDavid Guettaとのコラボ曲「What I Did For Love」が収録されています。

また、彼女の攻めの姿勢をこのアルバムで最も感じられるのが「B Who I Want 2 B」でしょう。この曲、なんとボーカロイドの初音ミクとのコラボ曲。安室奈美恵と初音ミクという組み合わせに驚かされます。正直、初音ミクの使われ方は、単なる「ボーカルの代わり」以上でも以下でもなく、さほど効果的とは思えなかったのですが、音数を絞ったトラックがカッコいい、今風のエレクトロポップに仕上がっていました。

一方で本作のテーマはリバイバル。ということで、80年代から90年代を意識したアレンジになっているそうです。正直、いかにも80年代、という感じの曲は見受けられなかったのですが、90年代テイストの強い曲が多く収録されていました。例えば「Golden Touch」はシンセのサウンドがちょっと懐かしい90年代風を醸し出していますし、「Scream」もトランシーなサウンドがいかにも90年代といった感じがしました。

ただ、ここらへんのいかにも90年代的なトランス風サウンドも含めてカッコいいことは間違いなくカッコよかったのですが、正直言ってちょっとサウンドの面に軽さを感じてしまいました。まあもともとEDMのサウンド自体にも軽い部分があるのですが、90年代風のトランスサウンドは少々軽薄な部分を感じてしまいました。

特に残念なことに、いまだにヒットシーンの中心は90年代のJ-POPを引き継いでいる曲が少なくありません。それだけに今回、「90年代リバイバル」といっても、例えば80年代や70年代のサウンドと違って、そこで奏でられる音はいまのヒットシーンでもありふれた音。それだけに、残念ながらミュージシャン側が意図するのほどの新鮮味を感じられませんでした。

そういう意味でちょっと残念な部分もあったアルバム。とはいえ、その点を差し引いても十分安室奈美恵のカッコよさは感じられるアルバムだったとは思います。まだまだ彼女の勢いは止まらなさそうです。

評価:★★★★

安室奈美恵 過去の作品
BEST FICTION
Past<Future
Checkmate!
Uncontrolled
FEEL
namie amuro FEEL tour 2013
Ballada

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2015年8月14日 (金)

フェス発無国籍ユニット

Title:La Cola Del Dragon
Musician:CUATRO MINIMAL

毎年、富山県南砺市で行われる日本最大のワールドミュージックのフェス、「SUKIYAKI MEETS THE WORLD」。私も何度か足を箱でいる大好きなフェスなのですが、そのフェス発のレーベル「スキヤキ・レーベル」が始動(正確には再開らしいですが)しました。その第1弾としてリリースされたのが、このCUATRO MINIMALというミュージシャンのアルバムです。

このフェス、毎年、ジャンル的に関係ないワールドミュージックのミュージシャンが、このフェスのためにユニットを組んでライブを行うのですが、CUATRO MINIMALもそんなフェスのためのユニットの一組。ボイス・パーカッションやホーミーまで駆使するメキシコのシンガー、ファン・パブロ・ヴィヤ、同じくメキシコのギタリスト、フェルナンド・ヴィゲラス、韓国の打楽器奏者チャン・ジェヒョ、さらには日本から、親指ピアノ奏者として活躍しているサカキマンゴーの4人からなるユニットです。まさに中南米に韓国のミュージシャン、さらに日本のミュージシャンながらも演奏する音楽はアフリカという、音楽的背景の異なったミュージシャンが揃ったユニットとなっています。

彼らが組んだのは2011年のスキヤキのステージに合わせて。大抵は1年限りのユニットなのですが、このユニットは特に評判がよかったらしく、昨年はメキシコツアーを実施。さらに今年、再びスキヤキのステージに立つそうで、ついにはアルバムリリースにまで至りました。

そんな音楽的背景の異なるミュージシャン同士のユニット。さて、どんな音楽が産まれたのか、楽しみにしてこのアルバムを聴いたのですが、このアルバムで奏でられるのは様々なタイプの音楽が融合された「無国籍」な音楽。親指ピアノとパーカッションの鳴り響く「Amagiki」はアフリカ音楽風ですし、続く「Meia Da Shonta」はラテン風。「La Cola Del Dragon」はどこか和風な雰囲気が漂っているかと思えば、「Gottan Ken」はギターサウンドがロック風のナンバーに仕上がっています。

ただおもしろいのは「無国籍」といっても、広く浅くいろんなジャンルを取り入れた、という感じではなく、それぞれの曲でそれぞれのミュージシャンが上手く自己主張をしている点。そのため曲によってはアフリカ風になったり、ラテン風になったり、あるいは韓国の伝統音楽の匂いを感じたり、様々なワールドミュージックの要素を感じます。

さらにおもしろいのはそんな様々なジャンルがバラバラにならず、ちゃんとCUATRO MINIMALの音として成り立っている点でした。その大きな要素が「レジデンスプロジェクト」。彼らは事前にフェスが行われる南砺市で共同生活を行い、その中で音楽をつくっていくというスタイルと取っています。そのため、即興のユニットとは思えないような一体感あるサウンドを作り出しています。

また、様々な国の音楽といっても、そこは同じ人間の奏でる音楽。どこか根底では共通するものがあるのでしょう。このCUATRO MINIMALの音楽を聴いていると、世界中の音楽が根っこではどこかつながっているように感じます。アフリカ風かと思えば、ラテン風のサウンドが顔をのぞかせたり、韓国のパーカッションのリズムに、どこか和の雰囲気を感じたり・・・同じ人間である以上、心動かされるリズムやメロディーには共通項がある、そう感じさせるアルバムでした。

「SUKIYAKI MEETS THE WORLD」に興味がある方もない方も、そのフェスから出てきたバンドという要素を抜きにしてお勧めしたいミュージシャン。ワールドミュージックが好きなら文句なしにはまるアルバムです。

評価:★★★★★

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2015年8月13日 (木)

まさかの返り咲き

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

なんと今週1位は再びあのアルバムが!

今週1位はDreams Come Trueのベストアルバム「DREAMS COME TRUE THE BEST! 私のドリカム」が先週の2位からワンランクアップで、まさかの返り咲き!これで4週目の1位獲得となります。正直、予想以上に強い!まだまだドリカムが高い人気を誇っているということなのでしょう。

そんなまさかの返り咲きに敗れてまさかの2位止まりだったのが浜崎あゆみのニューアルバム「sixxxxxx」。6曲入りのミニアルバムと売上的には不利な状況だったとはいえ、特に強力盤もない空白週。それにも関わらず初動売上はわずか3万枚と、ベスト3にも入れなかった前作「A ONE」の3万4千枚(4位)からさらにダウンという結果に。まさかの5週目ドリカムにも負けてしまうという厳しい結果になりました。

3位初登場はソンモfrom超新星「Tiramisu love」がランクイン。ミュージシャン名どおり、韓流の人気男性アイドルグループ超新星のメンバーによるソロデビュー作。初動売上は2万5千枚。超新星としての直近のオリジナルアルバム「SIX」の4万5千枚(2位)よりはさすがにダウンしています。

続いて4位以下の初登場です。まず4位に藤澤慶昌「劇場版 ラブライブ!The School Idol Movie オリジナルサウンドトラック Notes of School Idol Days ~Curtain Call~」がランクイン。タイトル通り、劇場版「ラブライブ!」のサントラ。藤澤慶昌は主にテレビアニメなどの楽曲を手掛ける作曲家で、過去にはハロプロ系のアイドルなどへの楽曲提供も数多く手掛けています。初動売上は2万3千枚。「ラブライブ!」がらみのアルバムでは直近ではμ's「μ's Best Album Best Live! Collection II」がランクインしていますが、そちらの初動8万5千枚(1位)よりはさすがにダウンです。

5位にはサカナクション「懐かしい月は新しい月 ~Coupling & Remix works~」が入ってきました。2枚組となっている本作は、タイトル通りシングルのカップリング曲集と他のミュージシャンによるリミックス集から構成されている企画盤。初動売上2万枚は、直近のオリジナルアルバム「sakanaction」の8万2千枚(1位)に比べるとさすがに大きくダウンしたものの、この手の企画盤が上位にランクインするあたり、根強い人気を感じます。

6位初登場はシュガー・ベイブ「SONGS-40th Anniversary Ultimate Edition-」。シュガー・ベイブは1973年に山下達郎によって結成され、メンバーには大貫妙子もいた、今や伝説ともいえるグループ。1976年には解散しており、「SONGS」はそんな彼らの唯一となるオリジナルアルバムで、日本ポップス史に残る名盤として知られる作品です。本作は、リリースから40周年を記念してリリースされた2枚組の作品で、1枚はリマスター、もう1枚はリミックスアルバム。さらにライブ音源やカラオケなどといったレア音源がついています。このアルバム、名盤ゆえの宿命か、「何度めの再発?」と思われるほど再発売を繰り返しています。単発での再発は直近では10年前に30周年記念盤としてリリースされています。本作も「究極」と名付けていますが、おそらく10年後には50周年記念盤がリリースされるんでしょうね~。初動売上1万9千枚。ちなみに30周年記念盤は最高位42位だったので、売上的には大きく上昇しています。

8位にはロックバンドandropのニューアルバム「androp」がランクインです。ベスト10入りは前作「period」に続いて2作目で、8位は自己最高位。ただし、初動売上8千枚は「period」の1万枚(10位)よりダウンという結果となっています。

最後10位には韓国の人気男性アイドルグループSHINee「Married To The Music」がランクイン。こちらは韓国盤でのランクインで、5月にリリースしたアルバム「Odd」の曲に新曲を加えてタイトル、パッケージを一新したリパッケージアルバム。初動売上7千枚は、その5月にリリースした前作「Odd」韓国盤の8千枚(6位)より若干のダウンです。

アルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2015年8月12日 (水)

ジャニーズ系 vs EXILE系 vs 韓流

今週のシングルチャート

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タイトルは今週のベスト3。まずはいつものごとく(?)ジャニーズ系が1位。1位は関ジャニ∞「前向きスクリーム!」。「オロナミンC」CMソング。タイトル通り、「前向き」であることを強調した、とにかく明るいだけに吹っ切れたナンバー。方向的にはおもしろいけど、「前向き」ばかりを強調する歌詞はちょっとダレたかも。もうひとひねりユーモラスがあればよかったと思うのですが・・・。初動売上28万2千枚は前作「強く 強く 強く」の15万6千枚(1位)から急激にアップ。ここ最近、27万1千枚→20万1千枚→15万6千枚と急激に下降していたのですが、盛り返した感じ。ただ、2種リリースから3種リリースとCDの販売タイプを増やしたことも要因のようですが・・・。

2位はEXILE系。DANCE EARTH PARTY feat. The Skatalites+今市隆二 from 三代目 J Soul Brothers「BEAUTIFUL NAME」がランクイン。DANCE EARTH PARTYはEXILEのメンバーとE-girlsのメンバーによるユニット。本作は、ジャマイカのレゲエバンド、スカタライツが参加したほか、三代目J Soul Brothersの今市隆二も参加しています。楽曲はゴダイゴの1979年のヒット曲、「ビューティフルネーム」のカバー。初動売上4万8千枚は前作「PEACE SUNSHINE」の1万3千枚(4位)から大幅アップ。

で3位は韓流。SUPER JUNIOR-K.R.Y.「JOIN HANDS」が入ってきました。ミュージシャン名どおり、韓流男性アイドルグループSUPER JUNIORのメンバー3人による派生ユニット。メロウなバラードナンバー。初動売上3万4千枚は前作「Promise You」の6万9千枚(2位)から大幅ダウン。

続いて4位以下の初登場ですが、今週はベスト10すべてが新曲となっています。ただジャンルはロック系、アニメ系、アイドル、ヴィジュアル系とバラバラ。まず4位はアニメ系。CINDERELLA PROJECT「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 2nd Season 01 Shine!!」がランクイン。アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」登場キャラによるキャラソン。特に特徴もないJ-POP。初動売上3万2千枚。アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」は先週THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS!!名義で「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER Absolute NIne」がランクインしており、こちらの初動1万5千枚(8位)よりアップ。CINDERELLA PROJECTとしては前作「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 08 GOIN’!!!」の2万5千枚(3位)よりもアップ。

で、5位は女性アイドルグループ。カントリー・ガールズ「わかっているのにごめんね」。メジャーリーガーの田中将大の奥さんである里田まいがかつて所属していたアイドルグループ、カントリー娘。が改名し、再始動したグループ。これが改名後2作目となるシングル。初動売上3万枚は前作「愛おしくってごめんね」の4万5千枚(3位)からダウン。

6位7位はロック系。まず6位に椎名林檎「長く短い祭」がランクイン。コカ・コーラCMソング。タイトルとは裏腹にソウル風のエレピが印象的なミディアムチューン。初動売上2万6千枚は前作「至上の人生」の8千枚(12位)より大幅アップで、前々作「NIPPON」以来、2作ぶりのベスト10ヒット。

7位にはロックバンドflumpool「夏よ止めないで~You're Romantic~」。スカパー!2015 JリーグCMソング。タイトル通り、夏らしいさわやかなサマーポップ。初動売上1万9千枚は前作「FOUR ROOMS」(5位)から横バイ。

8位9位はJ-POP系といったところでしょうか。8位は女性4人組バンドSilent Siren「八月の夜」。一応ギターロックなアレンジですが、メロはキュートなアイドル風ポップ。初動売上1万5千枚は前作「ハピマリ」の1万2千枚(8位)からアップ。

9位初登場はT.M.Revolution「DOUBLE-DEAL」。ゲーム「戦国BASARA4皇」主題歌。いつも通り浅倉大介作詞作曲ですが、楽曲的にはドラマチックな展開でアニソン風な楽曲。初動売上1万2千枚は前作「Phantom Pain」の1万3千枚(12位)より若干ダウン。ベスト10入りは前々作「突キ破レル-Time to SMASH!」以来2作ぶり。

最後。10位はヴィジュアル系。vistlip「OVERTURE」がランクイン。バンドサウンドはへヴィーなロックなのですが、メロディーは90年代J-POP風の端整なメロ。初動売上1万2千枚は前作「夜」の1万枚(55位)より大幅増。前作は既発表曲が、アニメタイアップのためシングルカットされた影響のよう。ベスト10入りは昨年4月リリースの「Period」以来3作ぶり。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2015年8月11日 (火)

ポップスさがより増して

Title:Currents
Musician:Tame Impala

前作「LONERISM」が音楽誌「NME」で年間1位を獲得するなど絶賛され、一躍話題となったオーストラリア出身のサイケロックバンド。本作はそんな傑作「LONERISM」に続く3年ぶりとなる新作。まさに待ちに待ったニューアルバム、といった感じでしょう。

その前作「LONERISM」の大きな特徴は幻想的なサイケサウンドに対して、非常に人なつっこいメロディーラインを奏でてくる、という点でした。70年代いや時としては60年代の雰囲気すら感じられるメロディーラインがとても魅力的な作品となっていました。

この人なつっこいポップなメロディーラインというのは本作も健在。これでもか、というほどキュートなポップソングがアルバムの中に散りばめられています。美メロと称するにふさわしいメロディーラインをしっかりと聴かせてくれる「Yes I'm Changing」、ドリーミーなサウンドに哀愁たっぷりのメロを聴かせる「Past Life」、ちょっと80年代的な軽快なポップソングの「Disciples」などなど、魅力的なポップソングがたくさん並んでいました。

そんな訳でドリーミーでサイケなサウンドとポップなメロ、という構造は前作と同じ。ただ、同じベクトルの中に微妙にそのスタイルを変えているのがユニークなところ。まず今回の作品、前作に比べてあまり60年代、70年代という香りは感じませんでした。どちらかというとキュートなポップソングは80年代的?・・・といってもあくまでも「雰囲気」という程度の問題なのですが。

また、ノイジーなギターサウンドが押し出されていた前作と比べると、ギターサウンドは後ろに下がり、ドリーミーなシンセの音が前面に出てきた作品となりました。シンセを前に押し出したというのもまた、ちょっと80年代的に感じた要因かも?また、ギターノイズが後ろに下がったからでしょうか、前作に比べてよりポップスさが増して、いい意味で聴きやすくなったようにも思いました。

前作は60年代70年代的な空気が強く、その結果、新鮮味にちょっと欠ける部分も感じたのですが、今回の作品に関しては、Tame Impalaとしてのスタイルがより強まったように感じました。今回も確かにいままで聴いたことないような、というタイプのサウンドではないかもしれませんが、Tame Impalaだからこそ出せるようなサウンドをきちんと聴かせてくれたように思います。

前作から変化があったとはいえ、基本的な方向性は一緒。そういう意味では前作で気に入った方は文句なしに本作も気に入りそう。今回も文句なしの傑作でした。

評価:★★★★★

Tame Impala 過去の作品
LONERISM

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2015年8月10日 (月)

自然体のパンクロック

Title:アーリー・メスカリン・ドライヴ
Musician:メスカリン・ドライヴ

ソウル・フラワー・ユニオンの前身バンドのひとつ、メスカリン・ドライヴ。ソウル・フラワー・ユニオンのメンバーもある伊丹英子と、ソウルフラワーの元メンバーであり、現在でもライブなどではゲストとして参加することも多いうつみようこが以前所属していたグループ。本作は、彼女たちがメジャーデビュー以前にリリースしたカセットテープやソノシート、あるいはオムニバスアルバムへの収録曲などを集めた作品。このアルバムで、彼女たちのインディーズ時代の音源は網羅しているそうです。

そんな初期作品集である本作。正直言って、どちらかというとコアなファン向けの企画盤、というイメージがありました。しかし、実際聴いてみると、そのイメージは全くの間違いだとわかりました。もう聴き始めて一発でやられました。めちゃくちゃカッコいい!!

本作は発表作が時系列順に収録されているそうです。ということは1曲目に収録されている曲が彼女たちにとって一番最初に世に出た曲。この1曲目「ライアー・ライアー」からとにかくカッコいいロックを聴かせてくれます。タイプ的にはニューヨークパンク直系のパンクロック。乾いた感触のバンドサウンドにもクールさを感じます。インディーズでのデビュー時からして、既に一種の完成した音楽性を感じます。

時系列順に収録されているからこそ、その後の彼女たちの音楽性の変化もわかりやすいのが特徴的。最初期はサウンドも荒々しい、より乾いた音感の作品が多かったのですが、活動を経るに従い、バンドサウンドの音もより分厚くなり、ガレージロックの色合いが濃いものとなったように思います。

また楽曲のバリエーションもグッと増えてくるのも特徴的。「ASS HOLE」は(タイトルとは裏腹に(笑))キュートでポップな作品になっていますし、「COCAINE BABY」みたいにしんみり聴かせる作品も。勢いで押し切ったような最初期の作品と比べると、ミュージシャンとしての幅もグッと広がってきていることを感じます。

そしてアルバム全体として感じるのですが、女性のパンクバンドとして非常に自然体なものを感じます。女性性を必要以上に全面に出しているわけではなく、逆に女性性を否定して必要以上に男性っぽさを出しているわけでもなく、流行言葉じゃないのですが、ありのままの姿。それもまた、彼女たちの大きな魅力に感じます。

楽曲のタイプとしてはソウルフラワーと異なります。いまでもメスカリン時代の曲はソウルフラワーのライブで演ったりもするのですが、このアルバムを聴くと、メスカリン・ドライヴとして再結成とかしてくれないかなぁ、なんてことも思ってしまいます。それほど魅力的なアルバムだったので・・・。ソウルフラワー好きはもちろん、パンクロック好きなら間違いなく要チェックのアルバムです。

評価:★★★★★

メスカリン・ドライヴ 過去の作品
アーリー・ソウル・フラワー・シングルズ(ニューエスト・モデル&メスカリン・ドライブ)

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2015年8月 9日 (日)

20年目の集大成

Title:20 -TWENTY-
Muician:及川光博

最近はミュージシャンとして以上に俳優としての活躍が目立つミッチー。そんな彼がデビュー20周年を記念してリリースしたのが、このオールタイムベスト。10周年の時はベスト盤を2枚同時発売、15周年の時はライブベストと、区切り毎に「ベスト盤」的なものをリリースしている彼ですが、本格的なベスト盤としては前作から10年のスパンがあいているだけに、彼の活動をあらためて振り返るには、ちょうどよいタイミングということなのでしょう。

今回のベスト盤は3枚組。ファンクラブ会員により厳選されたという45曲が収録されています。3枚のCDはそれぞれ「FUNK☆LOVE」「MITSUHIROCK!!」「LOVERS ONLY」と名付けられています。「FUNK☆LOVE」はタイトルの通り、ファンキーな楽曲がメイン、「MITSUHIROCK!!」はロックな曲、「LOVERS ONLY」は(彼の曲は大半がラブソングだと思うのですが)より甘い雰囲気のラブソングが収録されている・・・といった感じでしょうか?

この3枚のアルバムの中で特に魅力的に感じたのが「FUNK☆LOVE」。ミッチーといえば、プリンスや岡村靖幸からの影響を公言しており、ファンクミュージックの要素を取り入れた楽曲が多いのが特徴的。とはいっても一方でファンクの要素の薄いポップソングも数多く歌っているだけに今回、ファンク色が強い曲を並べて聴く、というのはちょっと新鮮だったように思います。

そして、こうやって並べられた曲を聴いて感じたのが、彼の曲って思った以上にファンキーでカッコイイじゃん!ってこと。いやもちろん私もミッチーのファンだから彼の曲は魅力的に感じていたのは間違いないのですが、「ファンク」といっても岡村ちゃんみたいな本格的にファンキーなリズムを楽しませてくれるのではなく、もうちょっとポップ寄りだよなぁ、という印象を持っていました。

ただ、あらためて彼のファンキーな曲を聴くと・・・確かにJ-POP的な要素も強いのですが・・・思った以上に本格的でファンキーなリズムを楽しませてくれていることに気が付きました。「Lazy」みたいにソウル色の強い曲もあったりして、予想以上に「黒い」リズムを感じさせてくれます。ミュージシャンとしても彼の実力をあらためて実感しました。

「MITSUHIROCK!!」はロック色の強いナンバーが並んでいる・・・のですが、確かに忌野清志郎とのデゥオ「強烈ロマンス」のようなロックナンバーもあるのですが、比較的ロック風かなぁ・・・程度な感じで、どちらかというとアイドルポップといった色合いが強いように感じます。「LOVERS ONLY」と大きな差はなかったかなぁ。ただどちらも軽快で楽しいエンタテイメント色豊かなポップスが並んでおり、これはこれでもちろんミッチーの魅力を体感できるナンバーが並んでいます。

そんな訳で全45曲、きっちり及川光博というミュージシャンの魅力を感じることが出来る選曲だったと思います。ここらへんはファンクラブによる厳選ならでは、といったところでしょうか?ますますミッチーのことが好きになったベスト盤でした。

評価:★★★★★

及川光博 過去の作品
RAINBOW-MAN
美しき僕らの世界
喝采
銀河伝説
ファンタスティック城の怪人
さらば!!青春のファンタスティックス
男心DANCIN'

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2015年8月 8日 (土)

勝負の2枚目だが・・・。

Title:LITTLE VICTORIES
Musician:THE STRYPES

デビュー時に平均年齢16歳という若さながら、ブルースの影響を強く受けた、昔ながらのロックンロールを奏でて大きな話題となったTHE STRYPES。個人的にも、日本でのデビュー盤以降、すっかりはまってしまったバンドだったりします。その1stフルアルバム「SNAPSHOT」リリース後に発売されたミニアルバム「HARD TO SAY NO EP」では、「SNAPSHOT」の方向性を引き継ぎつつ、よりへヴィーなサウンドを聴かせてくれる彼らの姿があり、この2枚目のアルバムの方向性を占うにはもってこいの内容でした。

確かに今回のアルバム、前作に比べるとハード寄りになったようにも思います。例えば「NOW SHE'S GONE」などはかなりハードロック寄りのギターリフを聴かせてくれます。ただ、それよりも前作に比べて、ブルースに影響を受けたロックンロールという枠組みだけではなく、幅広いミュージシャンから影響を感じるような一気にバリエーションの幅が広がったように感じたアルバムになっていました。

例えば軽快なリズムの「GET INTO IT」は軽快なリズムでポップ寄りになっていましたし、「EIGHTY-FOUR」はARCTIC MONKEYSあたりの影響でしょうか?「(I WANNA BE YOUR)EVERYDAY」の哀愁感あふれるメロディーラインにはちょっとoasisっぽさも感じましたし、「Best Man」はよりパンキッシュなものを感じます。

雑誌のインタビューでもYou Tubeなどのネットメディアの影響で、60年代のロックンロールと最近のロックを同列に聴いている、みたいなことを言っており、さすがは今時のバンドだなぁ、とも思ったのですが、今回のアルバムはそんな彼らのロックに対するスタンスが強くあらわれた作品だと言えるのではないでしょうか。

ただ残念ながらその結果、今回のアルバムはデビュー作の時の魅力が半減してしまったように感じてしまいました。

楽曲はどれも真面目に、ある意味丁寧につくられているのですが、様々なタイプのロックを取り込もうとした結果、デビューアルバムの時にあったバンドの勢いに思いっきりブレーキがかかったように思います。彼らのようなタイプのシンプルなロックを奏でるバンドにとって、勢いというのは非常に重要な要素であるだけに、これは大きなマイナス点のように感じました。

また、様々なタイプの作風を取り込んだ結果、アルバム全体として方向性がぼやけてしまい、良くも悪くも「普通の」オルタナ系ギターロックバンドになってしまったように思います。いろいろなタイプのロックを薄く広く取り込むことによって、もともとルーツ志向というのが彼らの持ち味であったのですが、今回のアルバムは逆にルーツレスになってしまい、1stアルバムでの彼らの良さが大きく薄れてしまったように感じます。

今回、「日本独自デラックス盤」を購入した結果、ボーナストラックが7曲もついていました。その結果、本来40分程度の長さのアルバムのはずが1時間以上の長さになってしまい、彼らみたいなタイプのロックバンドだと正直、「蛇足」的にも感じます。アルバムの流れや勢いを考えれば、CD容量いっぱいに詰めるだけ詰めればよい、という考えはとても賛同できないのですが・・・。

ただ一方で本編よりもむしろボーナストラックの方が、いままでの彼らの良さが生きていた楽曲が入っていたように思ってしまいました。「FILL THE SPAES IN」などはまさに1stの頃の彼ららしい曲ですし、MC5のカバー「KICK OUT THE JAMS」も文句なしにカッコいいガレージロックになっており、アルバム全体でこの曲が一番良かったかも・・・。ここらへんのボーナストラックに収録されているような曲がアルバム本編に入っていないのはとても残念に感じます。

もっともアルバム本編にもカッコいいロックンロールな楽曲は多く収録されており、シンプルなロックサウンドは、1stアルバムを気に入った方には決して聴いて損となるアルバムとは思わないのですが・・・ミニアルバムや企画盤を含め傑作続きだったことを考えると、正直物足りなさは否めないアルバムになってしまいました。ちょっと残念。3枚目はどういう形であれ、再び傑作を期待したいのですが・・・。

評価:★★★★

THE STRYPES 過去の作品
BLUE COLLAR JANE
SNAPSHOT
HARD TO SAY NO EP

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2015年8月 7日 (金)

戦争とジャズ

Title:Militarythm ミリタリズム~軍国ジャズの世界~ 1929-1942

ここのサイトで、ここ最近、何度か取り上げている戦前のSP盤をCDに復刻しているレーベル、ぐらもくらぶ。今年は戦後70年という記念の年ということもあり、戦時歌謡のオムニバス盤が続いているのですが、今回は「軍国ジャズ」と名付けられた、戦時色の強い戦前のジャズソングを収録したアルバムになっています。

最近は、戦前のジャズをテーマとした企画も増え、ここでも以前紹介したこのアルバムの監修者である毛利眞人氏の「ニッポン・スウィング・タイム」など戦前ジャズに関しての書籍も増え、一時期ほど、「ジャズは戦後、進駐軍によってはじめてもたらされた」的なイメージは薄くはなってきているように感じます。それでもやはり「軍国主義」と「ジャズ」という組み合わせは一見ミスマッチのようにも感じられます。

ただ、それだけ時局に沿った作品がリリースされるというのは、戦前においてジャズがアンダーグラウンドにとどまっていたわけではなく、むしろ一般的に広く聴かれていた証拠。実際、よくよく考えれば、勇ましいマーチ形式の軍歌はリズム的にも音階的にも洋楽からの影響が強く、それだけジャズにもマッチしやすかったはず。本作でも解説に「実は、軍歌とジャズは対立項ではない」という記載がありますし、「スウィングする軍歌」と名付けられ、本作のトリを飾る「進め大東亜」では「敵は幾万」「太平洋行進曲」といった軍歌のジャズアレンジも聴くことが出来ます。

正直今回のアルバムに関しては、ぐらもくらぶでこれまでに発売された戦時歌謡モノに比べると、少々焦点がぼやけていたようにも感じました。というのもジャズとひとくくりにするにはサウンド的にバリエーションが多く感じられたからです。例えば日本ビクター・サロン・オーケストラが演奏した「一億の合唱」「海の勇者」は一般的にジャズといわれてイメージさせるようなスウィングの曲になっていましたが、「お洒落禁物」などは今のイメージで言えばムード歌謡という範疇に入りそうですし、「興亜ざくら」などは民謡風なメロで、確かに演奏こそ洋楽風なのかもしれませんが、今の感覚で言うと「ジャズ」というイメージから離れてしまう感じもします。全体的に聴くと、スウィングなどに限らず、「洋楽風」の曲を「ジャズ」と呼んでいた感じ。今で言えばバンドサウンドで奏でられれば、とりあえず「ロック」と括られるようなものでしょうか?それだけジャズという音楽の広がりを感じることが出来ました。

特にユニークだったのが「舶来ジャズソングも軍国仕様に」と題されて集められた、海外のジャズソングを時局に沿った歌詞をつけてカバーした曲たち。その中で1曲、「春来矣」はなんとディズニー映画「白雪姫」でおなじみの「ハイ・ホー」をカバーしたもの。以前、藤山一郎の戦前ジャズモノを紹介した時に、ミッキーマウスに関する曲があって驚いたのですが、「ハイ・ホー」がこれだけ早い時期に日本に入ってきていた、というのも驚くべき事実です。

そんな訳で、「軍事歌謡」というものをひとつのテーマに据えることにより、戦前のジャズの広がりを浮かび上がってきたオムニバス盤。またもや非常に興味深いコンピレーションアルバムでした。最近、この戦前SP盤の世界にはまってきてしまっているのですが・・・これからも、またこのような興味深いコンピ盤を楽しみにしています!

評価:★★★★★

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2015年8月 6日 (木)

絶大な人気を誇るレジェンド

今週のアルバムチャート

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今週、まずベスト10で目立ったのは、いまなお絶大な人気を誇るロック界のレジェンド、Led Zeppelinのリマスターアルバムが2枚同時にベスト10入りしてきたことでした。

8位に彼らの7枚目のアルバム「Presence」、10位に彼らの9枚目のアルバム「最終楽章(Coda)」がそれぞれランクインしています。初動売上はそれぞれ1万枚と8千枚。Led Zeppelinは過去のアルバムのリマスターを順次リリースしており、前作は今年2月にリリースした「Physical Graffiti」で、こちらは初動1万1千枚(13位)を記録しています。

リマスターアルバムながらもチャート上位を記録。さらに今回のアルバム、発売日が7月31日(金)とチャート上、不利な中、この順位というのは大健闘でしょう。ちなみに8枚目のアルバム「In Through the Out Door」も11位にランクインしています。

チャート上位に戻ります。まずは1位。ジャニーズ系、V6「SUPER Very best」がランクイン。3枚組からなる彼ら3枚目となるベストアルバム。初動売上は15万2千枚。オリジナルアルバムとして直近の「Oh!My!Goodness!」の5万3千枚(2位)より大きくアップ。ベスト盤としての前作「Very best II」の10万8千枚(1位)も上回っており、大健闘な結果となっています。

2位はあいかわらず強い。Dreams Come True「DREAMS COME TRUE THE BEST! 私のドリカム」が先週の1位からワンランクダウン。ランクインから4週目にして1位からランクダウンしましたが、まだまだ根強い人気を感じます。

3位にはthe HIATUSで活躍する細美武士のニューバンドMONOEYESのデビューアルバム「A Mirage In The Sun」がランクインです。初動売上3万4千枚。the HIATUSの直近のアルバム「Keeper Of The Flame」が初動2万7千枚(8位)だったので、まずまずの滑り出しです。

続いては4位以下の初登場ですが、アニメがらみなアルバムが並びました。まず4位には「機動戦士ガンダムUC」の主題歌を歌い、一躍ブレイクしたAimerのニューアルバム「DAWN」がランクイン。初動売上は2万3千枚。前作はミニアルバム「誰か、海を。EP」で、初動5千枚(18位)だったので、こちらからは大きくアップ。フルアルバムとしての前作「Midnight Sun」の1万枚(9位)からも大きくアップしました。

5位には人気男性声優、神谷浩史のミニアルバム「ハレゴウ」がランクイン。「ハレ」+「○○」シリーズのミニアルバムで、こちらは「ゴウ」=「5」で5作目。初動売上2万枚は前作「ハレヨン」の1万9千枚(4位)から微増。

そして7位には人気女性声優、飯田里穂「rippi-rippi」が入ってきました。初動売上1万枚。3枚目のアルバムですが、ベスト10入りはこれがはじめて。アニメキャラによるアイドルユニット「ラブライフ」への参加により、人気が伸びたようです。

最後9位にはれをる「極彩色」がランクインです。ニコニコ動画の人気コーナー「歌ってみた」で人気を博した女性シンガーの、これがデビュー作だそうです。初動売上1万枚で、見事ベスト10入りしてきました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2015年8月 5日 (水)

ジャニーズ系 vs セカオワ

今週のシングルチャート

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1位はいつものようにジャニーズ系・・・なのですが、これに今、人気のバンド、セカオワことSEKAI NO OWARIのニューアルバムが肉薄しました。

1位はジャニーズWEST「バリハピ」。初動売上10万枚は前作「ズンドコ パラダイス」の9万7千枚(2位)から若干アップで、2作ぶりの初動10万枚超えとなりました。一方、2位SEKAI NO OWARI「ANTI-HERO」は初動7万7千枚とあと一歩。こちらは前作「Dragon Night」の8万5千枚(4位)からダウンしてしまったものの、根強い人気を感じさせます。映画「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」主題歌。ただ、「君を守るためには『悪』になるよ」という歌詞はあいかわらず陳腐なのですが・・・。

これに続く3位は韓流の男性アイドルグループ。MYNAME「HELLO AGAIN」がランクイン。哀愁たっぷりのバラードナンバー。初動売上4万4千枚で、前作「Shirayuki」の2万5千枚(7位)からアップ。

ちなみに韓流は今週あと1枚。もう1組は女性アイドルグループAOA「胸キュン」が6位ランクイン。こちらはいかにもK-POPな軽快なエレクトロダンスチューン。初動売上2万4千枚は前作「Like a Cat」の1万9千枚(4位)からアップです。

4位以下の初登場曲を続けます。4位には男女混合ダンスグループAAA「LOVER」がランクイン。7ヶ月連続リリースシングルの第7弾で、初動売上4万2千枚は「Flavor of kiss」の3万7千枚(2位)よりアップ。ひねりのない定番のサマーダンスチューン。

5位初登場はDream Ami「ドレスを脱いだシンデレラ」。Dream、E-girlsのメンバー、Amiのソロデビューアルバム。楽曲は西野カナっぽいガールズポップ。初動売上は3万4千枚。Dreamの直近のシングル「こんなにも」は初動1万8千枚(3位)だったので、この数値は大健闘といったところでしょうか。

8位にはTHE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS!!「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER Absolute NIne」がランクイン。ゲーム「アイドルマスターシンデレラガールズ」からのキャラソン。初動売上1万5千枚。「アイドルマスター シンデレラガールズ」関連ではCINDERELLA PROJECT「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 08 GOIN’!!!」以来で、こちらの初動2万5千枚(3位)よりダウン。

9位にはSuperfly「On Your Side」が初登場。テレビ朝日系「熱闘甲子園」主題歌。ベスト10入りは前々作「Live」以来2作ぶりですが、初動売上1万枚は前作「愛をからだに吹きこんで」の初動1万5千枚(12位)よりダウン。ただし、本作はアルバムからのリカットシングル。そう考えると、かなりの健闘といったところでしょうか。

最後10位には人気女性声優、高垣彩陽「Rebirth-day」がランクイン。マイナーコードで歌い上げるナンバーは様式化されたアニソン、といか水樹奈々の二番煎じ。アニメ「戦姫絶唱シンフォギアGX」エンディング・テーマ。初動売上9千枚は前作「愛の陽」の3千枚(16位)よりアップで、これが初のベスト10ヒットとなります。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2015年8月 4日 (火)

人気声優へのトリビュート

Title:REQUEST

今年、デビューから20年目の年を迎える人気声優坂本真綾。声優としての人気もさることながらミュージシャンとしても昔から積極的に取り組み、特に音楽家、菅野よう子とのコラボが話題となり、声優としてと同時にミュージシャンとしても高い評価を受けていました。

そんな彼女のデビュー20周年を記念してリリースされたのが彼女の曲を様々なミュージシャンがカバーしたトリビュートアルバム。この参加したミュージシャンの面子もなかなかおもしろく、the band apartや真心ブラザーズといったロック勢から鈴木祥子、新居昭乃といったポップスシンガー、さらにはAKB48の渡辺麻友、Negiccoといったアイドル勢まで参加しています。まあ、面子的には正直、ある程度予想できた範囲内だったのですが、ちょっと予想外だったのが真心ブラザーズ。彼ら、あまりアニメカルチャー界隈との接点にイメージがわかなかっただけに、彼らの参加はちょっと意外な印象も受けました。

さて、そんなカバーの出来栄えなのですが、元曲の良さを生かした名カバーもあった反面、全体的には出来は悪くないものの無難なカバーが多かったように思います。特に、原曲を大胆に解釈したカバーが少なかったのは残念・・・。そんな中、唯一、原曲のイメージを変えてきたのが、参加したのが意外だった真心ブラザーズの「ポケットを空にして」。原曲の爽やかなポップソングを真心らしいブルースロック調にガラリと変えて、完全に真心の曲として生まれ変わっていました。というか、真心のサウンドとこの曲の相性の良さにビックリ。選曲のうまさにも感心させられました。

他にはKIRINJIのカバーした「うちゅうひこうしのうた」のカバーも見事。ボーカルも曲の雰囲気にピッタリマッチ。基本的に原曲のイメージから大きくはかわらないものの、KIRINJIらしいソフトロックに仕上がっていました。

ユニークだったのはSUGIZO feat. IAの「バイク」。ボーカロイドを使用した作品でスペーシーなアレンジが特徴的。おそらく彼のソロや、彼が参加しているバンドでは出来ないようなことをやったんだな、ということがわかる実験的な作品。ただ、その実験が成功しているか、と言われると、ちょっと微妙な感じはしてしまったのが残念なのですが・・・。

一方、ちょっと残念だったのはthe band apartの「約束はいらない」。いや、バンアパらしいギターロックに仕上がっており決して悪くはないのですが、以前に比べるとやはりバンドサウンドはあまりエッジが効いておらず、勢いもあまりありません。正直言って、10年くらい前だったらもっとおもしろいカバーになっていただろうなぁ、と感じてしまいました。

さて、今回のアルバム、初回版がちょっとおもしろいことになっていて、DISC2として、今回のトリビュートアルバムで選曲された曲の原曲が、トリビュートアルバムと同じ順に収録されたCDがついてきています。いわば原曲と聴き比べてカバーのおもしろさを実感しよう、という趣旨なのでしょうが、こちらのCDが、坂本真綾のアナザーベスト的に、とても楽しめる内容になっていました。

というか、カバーを聴いた後、坂本真綾のオリジナルを聴くと、「え、ここまで良かったっけ?」と彼女の魅力を再認識できる内容に。例えばKIRINJIがカバーした「うちゅうひこうしのうた」など、KIRINJIの出来が良かっただけに、オリジナルが見劣りしてしまうんじゃないか、と思ったのですが、実際聴いてみると、見劣りするどころか、やはりオリジナルの方が良かったか??なんてことすら思うほどの名曲ぶりを再認識してしまいました。

まあ、坂本真綾のアルバムって、中に1、2曲、いかにも「アニソン」的な曲があって、それが悪い意味で「ノイズ」的になっていて、個人的にはいまひとつに感じた部分があったのですが、今回のセレクトにはそんな「いかにもアニソン」な曲が「トライアングラー」くらいだったのがよかったのでしょうか。特にソフトロック系の曲と彼女のボーカルの相性の良さにあらためて実感させられ、ボーカリスト坂本真綾の実力を再認識させられました。

そんな訳で、DISC2は文句なしに★★★★★なのですが、あくまでもおまけ的な内容なので下の評価はトリビュートアルバムのみへの評価ということで。参加ミュージシャンに興味があればお勧め。個人的には、むしろDISC2の方が楽しめました(笑)。

評価:★★★★

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2015年8月 3日 (月)

ジャケットに!

Title:DREAMS COME TRUE THE BEST! 私のドリカム
Musician:Dreams Come True

ジャケット写真にニーヒャがいる!!基本的にドリカムのアルバムはすべてチェックしているため、収録曲にも特に目新しさを感じなかった今回のベストアルバムを購入するきっかけになったひとつがそれ(笑)。ジャケットに並んだドリカムの吉田美和と中村正人の百面相の中に、かつてドリカムのメンバーであったニーヒャこと西川隆宏の姿が!元ドリカムの西川といえば、ドリカム脱退後、暴行事件に覚せい剤所持で2度の逮捕という「転落劇」がありました。そのため、ドリカムがかつて3人だった、ということは今ではすっかり「黒歴史」のような、触れてはいけない過去みたいな形になっていました。

それだけに今回のオールタイムベストのジャケットに彼が登場したことについては、かなり驚いてしまいました。さらに「Special Thanks」の筆頭にも彼の名前が・・・。ドリカムの2人にとって、やはりニーヒャは、いまでも一緒に歩んできた大切な仲間だ、と思っているということなのでしょう。昔からのファンにとっては、やはり3人並んだあの頃のドリカムの雰囲気が好きだっただけに(当時は男性2+女性1の組み合わせを「ドリカム状態」みたいに言われたよなぁ)、それだけでなんかうれしくなってしまいました。

そんな「3人でドリカム」というメンバーの想いは、今回、唯一の再録として「あの夏の花火」を選択したことにもあらわれています。ファンならご存じかと思いますがこの曲、西川隆宏がはじめて作曲に参加した曲。リアルタイムで聴いていても「彼、作曲できるんだ!」とちょっと驚いたのですが(笑)、メンバー3人で作り上げたこの曲を、あらためて再録するあたり、「3人のドリカム」に対する想いを感じます。歌詞も偶然ですが、西川にあてたメッセージのようにも感じてしまいます・・・。

そんな想いを感じつつ聴いてみたドリカムのベスト。私がはじめてリアルタイムでドリカムを聴いたのが1991年の「Eyes To Me」なので、かれこれもう25年も聴き続けている訳ですね。私が中学や高校時代に聴いた曲も多く収録され、懐かしさを感じつつ聴いていたのですが・・・今回のベスト盤で過去の曲を聴いてひとつ気が付いたことがありました。それは、私が中高生時代に聴いた曲が、当時と今で、曲に対する感じ方がほとんど変わっていない、ということでした。

例えば中高生の頃から今でも聴き続けているミュージシャンとして槇原敬之がいるのですが、彼の場合、まだ恋愛経験がゼロに等しかった中高生の頃に聴いた印象と、少ないながらもそれなりに恋愛経験を重ねた今、聴いた印象が変わる曲も少なくありません。当時、なにげなく聴いていた歌詞が、今聴くと「これって、こういう想いを歌っていたんだ」を感じる曲が多くあります。

一方ドリカム吉田美和の歌詞に関しては、中高生の頃の印象と今の印象がほとんど変わりありません。それは決してマッキーに対して、彼女の歌詞が「浅い」という訳ではありません。例えば告白前の心境を描いた「決戦は金曜日」にしろ、今の言葉でいえば「ツンデレ」な女の子を描いた「Ring!Ring!Ring!」にしろ、恋愛に対する普遍的な心境を見事に、かつわかりやすく描写しています。この恋愛に対するわかりやすさがドリカムの魅力であり、また、絶大な支持を得ている大きな要因なのでしょう。

また、彼女のラブソングは、恋愛に対して徹底的に陽性なのも大きな魅力。「SA・YO・NA・RA」「忘れないで」のような失恋の悲しさを描いた曲もあるのですが、別れた彼氏に対する恨みつらみのようなものは感じません。「未来予想図」のような、出会った直後の2人の関係が永続するかのようなラブソングは、さすがに今聴くと、ちょっとお花畑的な部分も感じないではないのですが、まあ、こういう「恋に恋する」ような部分もご愛嬌ということで・・・。

そんな訳で、いろいろな想いを重ねつつ聴いた全50曲。ちょっとボリュームのある内容ですが、彼女たちの魅力がしっかりつまったベスト盤だと思います。いまなお絶大な人気を誇る彼女たち。その活躍はまだまだ続きそうです。

評価:★★★★★

Dreams Come True 過去の作品
AND I LOVE YOU
DO YOU DREAMS COME TRUE?
LOVE CENTRAL
THE SOUL FOR THE PEOPLE~東日本大震災支援ベストアルバム~
ATTACK25

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2015年8月 2日 (日)

2015年上半期 邦楽ベスト5

昨日に引き続き上半期ベストアルバム。今日は邦楽編です。

5位 コーヒーブルース~高田渡を歌う~/高田漣

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マルチ弦楽器プレイヤーとして活躍する高田漣。その父親であるフォークシンガー、高田渡の曲をカバーした作品。もともと高田渡のベスト盤リリースのついでに聴いたのですが、こちらの内容が予想以上に素晴らしくてはまってしまいました。高田渡が幼い頃の漣にギターを教える姿をうつしたジャケット写真も印象的。そのギタープレイもさることながらボーカルにも父親への想いがいっぱいつまっていた、素晴らしいカバーアルバムでした。

4位 THE REGGAE POWER/SPICY CHOCOLATE and SLY & ROBBIE

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グラミー賞ノミネート作品。SPICY CHOCOLATEというと、いかにもな「着うた系ヒット狙い」(最近、すっかりなくなりましたね・・・)なミュージシャンというイメージがあったのですが、グラミー賞ノミネートは伊達じゃありません。バラエティー富んだリズムパターンがとにかくカッコいいアルバム。ジャパレゲにありそうな暑苦しいヤンキーノリは皆無で、純粋にリズムのカッコよさにひたれる傑作でした。

3位 UTUTU/東京カランコロン

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東京カランコロンといえば、ちょっとベタだけどインパクトあるメロデイーラインの、いわばJ-POP的な要素をあえていれたような楽曲が魅力でしたが、その方向性をさらに強調したのが本作。様々なジャンルを薄く広く取り入れつつ、圧倒的なエンターテイメント性あふれる作品に仕上げています。一方、エンタテイメント性あふれるメロディーの反面、意外と骨太でメッセージ性も感じる歌詞も魅力。ひとまわり大きく成長したと感じられる傑作でした。

2位 葡萄/サザンオールスターズ

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途中、活動休止などを挟みつつ、なんと9年半ぶりとなるニューアルバム。一言で言うと格の違いを感じさせるアルバム。サザンらしいコミカルな曲やロック、ポップス、歌謡曲風な曲などなど、様々な曲を入れつつ、どれも高い次元でポップにまとめあげています。一方では、社会的なメッセージ性強い曲もさらりと入れてくるあたりはさすが。凡百のミュージシャンが一生かかってもたどり着けないであろう境地にある傑作です。

1位 REFLECTION/Mr.Children

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1万近い大枚をはたいて{Naked}の方を買いました。正直、これだけ高いのに、凡作だったらどうしよう・・・と心配したのですが、それは杞憂でしたね(笑)。ある意味、今のミスチルの集大成ともいえるミスチルらしさがつまった傑作。小林武史の手から離れてのセルフプロデュース作が増えたことにより、オーバーアレンジの曲が減り、バンドらしさがグッと増したようにも感じます。ここに来て、まだこれだけの傑作をリリースしてくるとは・・・驚きの傑作でした。

今年の上半期、3位までは文句なしだったのですが、あと2枚、選ぶのに迷いました。他の候補作としては・・・

Burning Tree/GRAPEVINE
肉と肉と路線バス/大西ユカリ
こんにちは、はじまり。/空気公団
ヤバ歌謡2 NONSTOP DJ MIX -TVテーマ編- Mixed by DJフクタケ/DJフクタケ
STARLIGHT/吉井和哉
あまざらし 千分の一夜物語 スターライト/amazarashi
WORKSHOP/OGRE YOU ASSHOLE
みんな輪になれ~軍国音頭の世界~
サンボマスターとキミ/サンボマスター
Obscure Ride/cero

・・・とこう並べると上半期、いいアルバムは多かったなぁ、という印象を受けます。ただその反面、突き抜けた傑作は少なかったようにも思えます。上半期の4位5位と、上にあげた候補作はほぼ横一線な感じ。年間ベスト10を選ぶにあたっては、入れ替わっている可能性も多いにありです。

一方、1位2位はミスチルとサザン。人気の面でも日本を代表するミュージシャンが手堅く傑作をリリースしてくれた点、日本のヒットシーンもまだまだ捨てたもんじゃないな、という印象も受けます。やはりいいミュージシャンがちゃんと売れてくれる、というのはうれしいですね。

ベスト5をあらためて振り返ると

1位 REFLECTION/Mr.Children
2位 葡萄/サザンオールスターズ
3位 UTUTU/東京カランコロン
4位 THE REGGAE POWER/SPICY CHOCOLATE and SLY & ROBBIE
5位 コーヒーブルース~高田渡を歌う~/高田漣

下期はもっと、「他を圧倒する」ような名盤の登場を期待したいところです!

2007年 年間1 
2008年 年間1  上半期
2009年 年間1  上半期
2010年 年間1  上半期
2011年 年間1  上半期
2012年 年間1  上半期
2013年 年間1  上半期
2014年 年間1  上半期

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2015年8月 1日 (土)

2015年上半期 洋楽ベスト3

毎年恒例、上半期私的洋楽アルバムベスト3。既に今年も7ヶ月が経過しましたが、遅ればせながら、3枚、選んでみました。

3位 BAMAKO TODAY/BKO Quintet

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マリのミュージシャン、イブラヒマ・サールと、フランス・リヨン出身の白人パーカッショニスト、エメリック・クロールを中心に結成された5人組。アフリカの伝統音楽に軸足を置きながらも、西洋音楽を含め、様々な音楽の要素を加味し、いい意味で聴きやすさ、ポピュラリティーをあわせもったアルバム。アフリカ音楽になじみがなくても、アフリカの音楽の魅力をしっかり伝えられるような傑作です。

2位 Modern Nature/The Charlatans

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デビュー25年目のベテランバンドがリリースした最新作がまさかの大傑作!同じ「ブリットポップ」に括られるミュージシャンで、今年はblurも新作をリリースしましたし、元oasisのノエル・ギャラガーも新作をリリースしましたが、もっとも出来の良かったのは、まさかのシャーラタンズ!決して派手な作品ではないものの、聴けば聴くほどはまっていく中毒性の高いグルーヴ感あるサウンドが実に魅力的な傑作でした。

1位 Sound&Color/Alabama Shakes

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ビルボードチャートで1位を獲得し、世間をあっと驚かせたAlabama Shakesのニューアルバムが今年上半期の私的ベストアルバム。ルーツ志向を装いながらも、ギターロック、ガレージ、さらにはその向こうのポストロック的なアプローチまで垣間見れる幅広い音楽性で、Alabama Shakes独特のサウンドを作り出していた傑作。2枚目にして彼らしかつくれない音の世界を完全に構築していました。

若干小粒感のあった昨年に比べると、今年は上半期だけで3枚選ぶのに苦労させられた名盤揃いの半年となりました。他には・・・

Computer Controlled Acoustic Instruments pt2 EP/Aphex Twin
CHASING YESTERDAY/NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS
Blues Blues Blues/Sherwood Fleming
Vulnicura/bjork
Carrie&Lowell/Sufjan Stevens
To Pimp A Butterfly/Kendrick Lamar
Star Wars/WILCO

あたりが候補でしたが、どの作品も、ベスト3の作品と比べても甲乙つけがたい傑作ばかり。特に、ギターロック、ワールドミュージック、ブルース、HIP HOPと特定のジャンルだけではなく幅広いジャンルから傑作が産みだされたのが特徴的でした。

あらためてベスト3を並べると

1位 Sound&Color/Alabama Shakes
2位 Modern Nature/The Charlatans
3位 BAMAKO TODAY/BKO Quintet

この勢いは下半期も続くでしょうか?まだまだ続々と名盤が飛び出してきそうで楽しみです。

ちなみに過去の洋楽ベストアルバムは・・・

2007年 年間
2008年 年間 上半期
2009年 年間 上半期
2010年 年間 上半期
2011年 年間 上半期
2012年 年間 上半期
2013年 年間 上半期
2014年 年間 上半期

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