不遇の名盤
Title:シングル・マン+4
Musician:RCサクセション
RCサクセションが1976年にリリースしたサードアルバムで、RCの代表作のひとつで、日本ロック史においても代表的な名盤のひとつとして取り上げられることの多い作品です。今年でデビュー45周年となるRCですが、忌野清志郎の命日である5月2日にあわせてリリースされたリマスターアルバム。本作の直後にリリースされたシングル「わかってもらえるさ」とそのB面「よごれた顔でこんにちは」、アルバムの直前にリリースされた「スローバラード」とそのB面「やさしさ」のシングルバージョンをボーナストラックとして収録。またSHM-CDという高音質の規格でリリースされています。
今日では名盤の誉れ高い本作ですが、リリースに際しては様々な困難が生じていたことでも有名な作品。当時、彼らのマネージャーを務めていた奥田義行が、RCも所属していたホリプロを独立。本来、RCも彼と行動を共にする予定だったものの、契約の都合でホリプロに居残りとなったのですが、奥田氏の独立劇がホリプロへの造反的なものであったため、あてつけに事実上、干された状態となったRCが、事務所に内緒で作成を進めたのが本作だそうです。ただ、完成後もリリースは出来ず、結局、RCもホリプロから離れた後にようやくリリース。しかし、売上は芳しくなく、わずか1年で廃盤という状況になってしまったそうです。
しかしその後、ライブでの活動から徐々にRCサクセションというバンドが評判となっていきます。そんな中、音楽評論家の吉見佑子を中心に、アルバムの再発を求める活動がスタート。自主制作盤での再発を経て、80年にようやくポリドールから再発が決定するまでに至りました。
そんな紆余曲折を経て今にいたる本作。以前にも日本ロック史を代表する名盤ということで聴いたことはあったのですが、あらためて今回のリマスター盤を聴いてみました。うん、今聴いても全く遜色ない傑作だよね、これ。特にあらためて聴いて感じたのは、この段階でキヨシローのスタイルが既に出来あがりつつあったの驚き。ホーンセッションが入って軽快な「ファンからの贈りもの」はニューオリンズからの影響を感じますし、「冷たくした訳は」でではガッタガッタ言ってますし(笑)、後のキヨシローの個性といえるスタイルが既に本作では見て取ることが出来ます。「ぼくはぼくの為に」のような皮肉たっぷりの歌詞も彼らしいと言えるでしょう。
今回のリマスター、以前私が聴いたCDと比べると、明らかに音圧が増え、音のクリアさが増した印象。今回、このアルバムを聴いて、今でも全く遜色ない傑作と感じた理由のひとつがおそらくこのリマスターにあって、リマスターを経て今の音に生まれ変わった結果、今、リリースされているアルバムと純粋な比較が出来るようになったため、と感じます。正直、ちょっとフォーク色の強い楽曲に関しては時代を感じさせる部分もあるのですが、それを差し引いても、今の時代のリリースされたアルバムといっても全く違和感のない内容になっていました。
そんな訳で、以前のヴァージョンを持っている方も、再度要チェックなアルバム。もちろん、いままでこの作品に触れたことがない方もこれを機に是非。ロック好きなら、とりあえずはチェックしておきたい名盤です。
評価:★★★★★
RCサクセション 過去の作品
悲しいことばっかり
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