あいかわらずインパクトありまくりのジャケ写
Title:奇麗
Musician:女王蜂
2011年のデビュー後、そのバンドの強烈なルックスとバンドサウンドで一躍、注目を集めたロックバンド女王蜂。3枚のアルバムをリリースし、順調に人気を伸ばしていった・・・かと思った2012年に突然の活動休止を発表。鮮烈な印象だけ与えてあっという間にシーンから消えていった、そんな印象を与えたバンドでした。
しかしその1年後、ライブから活動を再開。さらにはサポートメンバーだったギターのひばりくんがメンバーに加入。そして約2年10ヶ月ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。いつもインパクトありまくりなジャケット写真も強い印象を与えている彼女(?)たちですが、本作も、上の写真の通り、えもいえないインパクトを与える写真をジャケットとして使用しています。
さて、そんな女王蜂の久々となったアルバムを聴いてみたわけですが、聴き終えた後、正直なところどうにも煮え切らないものを感じました。楽曲にはそれなりにインパクトはあります。その中性的で怪しげなミュージシャンイメージと曲もちゃんとマッチしています。でも聴き終わった後に、どうにも物足りなさを覚えてしまいました。
今回のアルバムで特徴的だったのは、いままでのへヴィーなバンドサウンドがあまり表に出てこなかったという点でした。「始発」のようにへヴィーな楽曲もあったものの、裏打ちのリズムが軽快な「一騎討ち」だったり、四つ打ちのダンスナンバーの「ワンダーキス」や「売春」だったり、メロディーは相変わらずちょっと怪しげな歌謡曲風だったのですが、サウンドがグッと軽くなっていたように感じます。
ここらへんの軽くなったサウンドに関してもちょっと中途半端さを感じます。それなりにメロディーや歌詞の雰囲気にもあってはいるのですが、妖艶というには軽すぎ、踊れるダンスナンバーとしては少々暗すぎる、いまひとつバンドとしての方向性をぼやけさせているようにも感じました。
また今回のアルバムで歌詞の面で個人的に印象に残ったのが「折り鶴」という曲。男に弄ばれる女性を描いたエロティシズムな歌詞が非常にインパクトがあるのですが、ここでも中途半端に感じるのが歌詞の中に「DVD」「SNS」なんていう今時(まあ「DVD」が「今時」かはともかくとして)の言葉が登場する点。楽曲全体に流れるアングラ風な世界観の中、悪い意味でのミスマッチを感じてしまいました。
非常にインパクトのあるルックス、ファルセットを用いて男声と女声を自在に行き来する中性的なアヴちゃんのボーカル。間違いなくこれでもかというほど、強いインパクトのあるバンドです。ただ、肝心の楽曲が、強すぎるバンド自体のインパクトに負けてしまっているようにも感じました。その結果、アルバムを聴き終わっても、楽曲自体の印象がちょっと薄くなってしまったように思えます。
楽曲自体はメロにしろサウンドにしろ歌詞にしろ、そんなに悪くはないとは思うのですが・・・。ただ、このバンド自体のインパクトに曲が負けているという傾向は、活動休止前から変わらないんだよなぁ。ブレイクするにはこの点を克服しなくてはいけないようにも思うのですが・・・ちょっと残念に感じる惜しい作品でした。
評価:★★★★
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