過去のアルバムとリンク
Title:Nein
Musician:Sound Horizon
途中、ベスト盤のリリースや、Linked Horizonとしての活動があったためか、オリジナルアルバムとしては約4年4ヶ月ぶりとなる新作。オリジナルアルバムとしては8作目となるのですが、「9th Story CD」と銘打たれているそうです。
今回のアルバムは過去の楽曲の「if」ストーリーで構成されているそうです。いままでのサンホラの曲も、歌詞の中で様々な情報を詰め込み、凝った構成を作り上げ、ファンはその考察を楽しむという構図がありました。これって非常にネット時代だからこそ、といった印象を受けます。
要するに、様々な情報を容易に入手できるからこそできる楽しみ方。まあ、こういう楽しむためには「考察」を前提としているようなスタイルは広い層が気軽に楽しむげきエンタテイメントとしては若干どうかな、と思う部分もあるのですが、ネット時代らしいエンタメのスタイルであることは間違いないでしょう。
そういう意味では過去の楽曲とリンクしており、過去の曲と聴き比べ考察することを前提とした今回のアルバムはもっともネット時代らしい作品と言えるのかもしれません。またそのため、このアルバムを100%楽しめるのはコアなファンであり初心者やライトリスナーには敷居の高いアルバム、という見方もできるかもしれません。
ただ、ライトリスナーである私にとっても、1曲1曲それぞれがひとつの「物語」としてそれなりに成り立っており、そういう意味ではコアなファンにとっては「本当の意味で楽しんだ」と言えないのかもしれませんが、十分楽しめるアルバムであったと思います。
サウンド面では相変わらず「押し」の側面が強い過剰なアレンジ。確かに演劇という側面では多少過剰なアレンジの方が盛り上がるかもしれまえんが、音楽的にはもうちょっとシンプルにして歌詞を前に持って来たり、音の隙間を聴かせてもいいのでは?とも思うのですが、このスタイルは以前からほとんど変わらないので、こればかりはRevoのスタイルなんでしょう。
いろんな意味で癖も強い作品で、聴き手は選ぶ部分はあるのですが、非常にユニークなアルバムであり、ある意味、現代的な作品であることは間違いないと思います。「ネット時代の」と散々書いてきましたが、一方ではCDでアルバム全体を聴く必要がある、という意味では配信やストリーミングで1曲毎で消費されるような今の時代から逆行している部分ある、というのはおもしろいところ。そういう意味ではなにげに彼の音楽のスタイルはオールドリスナーに共感できる部分もあるのかも?
評価:★★★★
Sound Horizon 過去の作品
Moira
Marchen
Chronology[2005-2010]
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