解散後、初のソロ作
Title:the First Night
Musician:Diggy-MO'
昨年、残念ながら解散したラップユニットSOUL'd OUTのメインMCによるソロアルバム。ソロとしてはこれが3枚目のアルバムになるのですが、SOUL'd OUT解散後は初となるソロアルバムとなります。
そんなアルバムなだけに、基本的にはSOUL'd OUTの延長戦上にあるような作品といっても間違いないかと思います。特に先行シングルとなった「Lovin' Junk」なんかは、巻き舌たっぷりのラップといい、ファルセットの抜けるような合いの手といい、完全にSOUL'd OUT節。SOUL'd OUTとしての新曲、といっても間違いなく通用しそうな曲になっていたと思います。
そんな「Lovin' Junk」をはじめ、全体的にSOUL'd OUT自体と同様、フックの効きまくった、ベタともいえるメロディーラインや、特徴ある巻き舌ラップを聴かせてくれたアルバム。SOUL'd OUT解散後のアルバムとして、SOUL'd OUTのファンを満足させてくれる作品になっていたように思います。
ただ一方ではSOUL'd OUTとの違いや、彼の以前のソロアルバムとの違いも目立った作品にもなっていました。まず第一に、サウンドプロダクションが比較的シンプルになっていた点。彼のソロアルバムとしての前作「DiggyismII」ではかなり音を詰め込んでおり、その点がちょっとうんざりもさせられたのですが、今回に関してはもちろんそれなりに過剰気味な音の作り方とはなっていたものの、ソロ前作やSOUL'd OUTの作品に比べると比較的すっきりしたトラックになっていたように感じます。
また、今回の作品、ジャジーな味付けのトラックが多かったように感じます。例えばジャジーでムーディーな雰囲気に仕上がっていた「ノンシャランにゆけば」やジャジーな要素を入れた歌モノの「Christmas Dream」、さらに最後の「Un Deux Trois」は軽快なジャズピアノが非常にカッコいいトラックに仕上がっている曲になっています。
トラックに関しては他にもエレクトロを取り入れた「クビライ・カーン」やファンキーな「Lost Ones」など、いままでのソロ作やSOUL'd OUT時代の作品と比べてもバラエティーあり凝った作品にまとまっているという印象を受けました。解散後のソロ初作品としての彼の意気込みを感じさせる内容だったと思います。
もうひとつの違いは、歌謡曲的なメロディーラインの曲が少なかった点。確かに先行シングル「Lovin' Junk」は、そんなわかりやすいメロディーラインをした曲なのですが、その他の曲に関しては歌謡曲的なわかりやすいサビを持った楽曲が少なかったように感じました。これもいままでのソロ作やSOUL'd OUT時代の作品とは異なる傾向にように感じます。
そんな訳でSOUL'd OUTのファンが楽しめる内容ながらも一方ではSOUL'd OUTとは異なる新たな道を進むという意気込みも感じされたアルバムでした。いままでの彼のソロ作とも異なるだけに、この方向性がどう展開していくのかこれから要注目なのですが・・・とりあえずSOUL'd OUTが好きだった方、間違いなく要チェックの1枚です。
評価:★★★★★
Diggy-MO' 過去の作品
Diggyism
DiggyismII
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