tofubeatsのさらなる才能が・・・。
Title:STAKEHOLDER
Musician:tofubeats
今、最も話題のトラックメイカーのひとりtofubeats。昨年リリースされた1stアルバムは、その才能をいかんなく発揮した傑作でした。tofubeatsに関してはそれまで聴いていたEP盤で、卒なくこなす優等生的なミュージシャンという印象があったのですが、1stアルバムでは「優等生的」というイメージは残りつつも、その幅広い音楽性に彼の実力を再認識しました。
今回のアルバムは、そんな1stアルバム後にリリースされた全9曲37分のEP盤。さて、1stアルバムの次の一歩は・・・と思いつつ本作を聴いたのですが・・・これがまたtofubeatsのイメージを再び変えるような傑作に仕上がっていました。
最初にも書いた通り、tofubeatsのいままでのイメージとしては優等生的というか、ポップス指向の強いミュージシャンという印象がありました。良くも悪くも広い層にアピールできるような音楽、といった印象でしょうか。しかし、今回のアルバムではその印象がガラッと変わります。まず大きな特徴としては、歌がない曲が目立つ内容、という点。歌がある曲にしてもサウンドの中に溶け込むような構成になっており、あくまでもサウンドの一部、といった扱いになっています。いわゆる「歌モノ」という曲が減り、サウンドがアルバムの中の主人公となっていました。
そしてそのサウンドにしても妙に癖のあるビートと次々と展開される凝った構成が実に魅力的。例えばタイトルチューンの「STAKEHOLDER」にしても「window」にしても、パッと聴いた感じだと彼らしいさわやかなエレクトロチューンかと思いつつも、リズムが複雑で妙に踊れないというのがユニーク。かと思えば、同じ「STAKEHOLDER」を、「STAKEHOLDER -for DJ-」ではダンス風にアレンジしてあり、同じ曲を2パターン、アルバムの中に収録しているという構成も彼ならではの遊びを感じます。
基本的に「First Album」の後に、好きなようにつくって良いと会社から言われて、その通りに作ったアルバムだそうです。それだけに、ポップであるとか、話題性とか、そういう類のもの一切なしに作られています。そんなtofubeatsが好きなように作った、ということはアルバムを聴いていれば嫌というほど伝わってきました。
他にもトライバルなパーカッションの耳に残る「She Talks At Night」や80年代のディスコチューン風な「T.D.M.」、独特なビートが癖になりそうな「(I WANNA)HOLD」などなど1曲1曲が実に個性的なナンバーが並んでいます。
ごめんなさい、いままで「優等生的」なんて思っていた私の認識不足ですね。彼の実力は、まだまだ「First Album」でも十分には発揮されていなかった、ということがこのアルバムではっきりとわかりました。正直、好きに作った、ということでポップという側面ではいままでの作品から後退してしまっており、最初は抵抗感あるリスナーもいるかもしれません。しかしそれでも何度か聴けば確実に彼らしいポピュラリティーはこのアルバムでも健在ということに気が付くはず・・・。個人的には「First Album」よりも気に入った傑作。tofubeatsの才能について、あらためて再認識させられました。
評価:★★★★★
tofubeats 過去の作品
Don't Stop The Music
ディスコの神様
First Album
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コメント
優等生的という評価がずっと?マークでした
lost decadeも聴けば聴くほど味があり繊細に神経張り巡らせた名盤ですよ
投稿: 和宮 | 2015年6月 8日 (月) 10時36分
>和宮さん
tofubeatsはここ最近の作品、良くも悪くもポップだなぁ、という印象がありました。lost decade、まだ未チェックなのですが、是非聴いてみたいです!
投稿: ゆういち | 2015年6月16日 (火) 00時39分