ギターサウンドのみではなく
Title:THE OTHERS
Musician:MIYAVI
MIYAVIの約2年ぶりとなるニューアルバム。今回のアルバムはアメリカのナッシュビルとロサンゼルスで制作。「UNITE」では元The MusicのRob Harveyとの共作に挑戦しているほか、最後にはなんと電気グルーヴの「Shangri-La」をカバーしたことでも話題になっています。
今回のアルバムを聴いて、まず最初に感じたのは、「あれ?思ったよりギターの音が目立たないな」といった印象でした。おそらくそう感じた大きな理由のひとつは、ギターソロといっていかにもなサウンドを奏でるスラップ奏法が今回のアルバムではほとんど出てこなかったという点じゃないでしょうか。いままでのMIYAVIの音のイメージからすると、ちょっと意外な印象もありました。
じゃあこのアルバムの主人公はギターじゃなくなったのか、と言われるともちろん全くそうではなく、間違いなくこのアルバムを称した場合、まず語られるのはギターの音であると思います。「COME ALIVE」や「LET GO」にしてもギターリフを主導とした音楽になっているのは間違いありませんし、Rob Harveyをボーカルに起用した「UNITE」にしてもファンキーで軽快なギターサウンドが耳に残ります(もしThe Musicを期待して聴いたとしたらちょっと期待はずれかもしれませんが)。
もっとも印象的だったのが「Shangri-La」のカバー。元曲からは全くギターサウンドとのからみはイメージできませんし、そもそも曲の中でもっとも印象的な「Spring Rain」のサンプリングはどうなるんだろう?と思っていたら、サンプリングを全部ひっぺがし、そこにギターとドラムスのスリリングなやり取りを放り込むというカバーがカッコいい!ちょっと意外だったのですが、思った以上にピッタリとはまったカバーが非常に好印象でした。
ただ今回のアルバムはギターサウンドだけが突出していただけではなく、楽曲全体がひとつの主張を持った構成になっていたように感じました。もちろん、彼と二人三脚のBOBOのドラムの音はもちろんなのですが、「INTO THE RED」でのシンセの音も印象的でしたし、「COME ALIVE」ではホーンセッションも効果的に用いていました。メロディーラインにもスケール感を感じさせ、一回り大きくなったように感じます。
前作「MIYAVI」ではEDMを導入し、新たな挑戦を試みたのですがどうも中途半端に終わっていたように感じました。今回のアルバムも前作と同様、ギターサウンドに留まらない挑戦を感じさせます。そして今回のアルバムに関しては、それが成功していたのではないでしょうか。
ギタリストのアルバムながらも、必要以上にギターだけを前面に押し出したり、不必要なほどのギターソロを押し出したりすることなく、ギターを含めた様々なサウンドで全体として曲を作り上げている点、今の時代のギターアルバムだな、ということを感じます。MIYAVIの可能性をさらに押し広げたアルバムでした。
評価:★★★★★
MIYAVI 過去の作品
WHAT'S MY NAME?(雅-MIYAVI-)
SAMURAI SESSIONS vol.1(雅-MIYAVI-)
MIYAVI
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2015年」カテゴリの記事
- 再メジャーデビュー作!(2016.05.19)
- もう10年か・・・(2015.12.28)
- なにげにはじめての9枚目(2015.12.29)
- ベスト盤+裏ベスト+ライブ盤(2015.12.26)
- 過去を振り返る(2015.12.21)
コメント