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2015年6月29日 (月)

キャッチーなメロはインパクトがあるが

Title:HOT!
Musicin:KEYTALK

これがメジャー2枚目となる4人組ロックバンドの新作。現在、人気急上昇中なのですが、本作ではオリコンアルバムチャート4位を記録し一気にブレイク。秋には初となる武道館ワンマンも決定しているようです。名前だけは以前から聞いたことがあったのですが、今回、はじめて彼らの音源を聴いてみました。

彼らについてはシングルでも楽曲をきちんと聴いたことはなく、ギターロックバンドというゆる~い括りのイメージで聴き始めたのですが、1曲目「YURAMEKI SUMMER」はいきなりの四つ打ちダンスポップ。和風のテイストがあってキャッチーなメロはむしろアイドルポップという括りで語られそうなポップソング。サビに至っては「K-POP??」とすら思ってしまうような楽曲でした。

その後もこの手の四つ打ちリズムによるダンスポップなアルバムの中で目立っていて先行シングルでもある「MONSTER DANCE」「桜花爛漫」もそんなパターン。メロディーラインはどこか和風なテイストが加えられているのもパターン化しています。また、アイドルポップというイメージが強くなる理由として、サビの部分で妙に「合いの手」という手法を用いていることが多いため。そのシングル曲「桜花爛漫」もそうだったのですが「マスターゴッド」などでもその手法を用いられていました。確かにこのアレンジならライブでは盛り上がるのかもしれませんが・・・。

楽曲的にはこの「四つ打ち」「和風なメロ」「アイドルポップ風なアレンジ」というスタイルと並んでもうひとつ特徴的だったのが「90年代J-POP風」というスタイル。もっとも顕著だったのが「FLAVOR FLAVOR」で、いきなりキャッチーでわかりやすいサビからスタートする構成は思いっきり90年代J-POP風。良くも悪くも耳障りのよいキャッチーな楽曲が並んでいます。

要するに彼らの楽曲はインパクトが十分にあって「売れる」タイプのポップスということ。ただその「売れる」と思う理由がメロディーラインの妙だとか独特の歌詞の世界だとかではなく、いかにも売れそうな要素を集めたポップスといった感じ。もちろんインパクトのあるメロディーを書けるというのは彼らの才能ではあるとは思うのですが、正直ちょっと薄っぺらさも感じてしまいました。

また彼らに関してちょっと気になったのは、背後に見えるのが90年代J-POPだけというルーツレスな点。先日紹介した04 Limited Sazabysでも同じようなことを感じたのですが、一昔前までのオルタナ系ギターロックバンドって、必ずそのルーツとなるような海外のロックバンドの姿が楽曲から見えたりしたのですが、彼らに関してはそれを感じません。もちろん、バンドをやる時、必ず洋楽の影響を受ける必要性はないと思うのですが、ルーツがないバンドというのはどうしても楽曲の足腰の弱さを感じてしまいます。その足腰の弱さを補うだけの個性や圧倒的なメロディーセンスがあればよいのですが・・・残念ながら彼らの楽曲からはそんな部分は感じられませんでした。

いわゆる「今時のギターロックバンド」といった感じなのかなぁ。相変わらずバブル気味のフェスでは盛り上がりそうだけども・・・それプラスアルファがあまり感じられない作品でした。

評価:★★★

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アルバムレビュー(邦楽)2015年」カテゴリの記事

コメント

そこら辺は、最近のロックやる若手共通の問題なんだろうなあと思います(彼等の好きな音楽にゆずが入ってるのが、印象的)
どっちかというと、ロックじゃない(と見なされる)アーティストさんの方が、いろんな音楽聞いてる感じがしてなんかもにょります(;´д`)

投稿: yono | 2015年7月 1日 (水) 01時01分

最近ルーツがないバンド多いですからね
ルーツ志向はWHITE ASH、チェコ、ガリレオぐらいです
意外かもしれませんがキュウソはニルバーナ、パスピエは海外のダンスミュージックを研究しているとのことです

KEYTALKは最近のバンドではまだいい方ですよ
こう見えて引出広いですし(インディーズの頃は、インディー、ポストロック要素がありました)

正直、「FLAVOR~」は最初違和感ありましたし
ビクターがアイドル路線に持っていこうとしている気がします
せっかく全員作詞作曲できるのでその利点をもっと生かしてほしいところです

ちなみに、以前ツタロックというフェスに行きましたが4つ打ちだらけでうんざりしました(シナリオアートやYogee、恋する円盤は全く使わず)

投稿: softman | 2015年7月 1日 (水) 23時35分

こんにちは、前間違えて名無しで投稿してしまった者です。

私も世代的な事かもしれませんが、最近のルーツレスなバンドが多い状況に疑問を感じてしまいます。しかもどれも似たような4つ打ちばっかり・・・でも考えてみたら自分の青春時代は青春パンクブームで似たようなバンドばかりでした(銀杏BOYZやガガガSPは良いバンドだと思いますが)
もしかして自分がおじさんになってしまったのかなと思ってしまいますね(汗)

投稿: ASP | 2015年7月 2日 (木) 23時35分

>yonoさん
>ロックじゃない(と見なされる)アーティストさんの方が、いろんな音楽聞いてる
確かにそんな感じがしますよね。最近デビューする「ロック」のバンドは薄っぺらさを感じてしまうバンドも少なくなくて・・・かなり気になってしまいます。

>softmanさん
キュウソはいいバンドですよね。楽曲のバリエーションがちょっと乏しい感じがしますが・・・。
パスピエも決して底の浅いだけのバンドといった感じはしません。
KEYTALKはメロディーはそれなりにインパクトはあると思うのですが・・・アイドル路線はビクターの戦略だったとしたらちょっと残念です。
ライブでも見たことがあるんですね。四つ打ちだけだとさすがに飽きてきそうですね・・・。

>ASPさん
確かに一昔前も青春パンクで似たようなバンドばかりでしたね。もっともその前も小室ブームやらビーイング系やら、似たようなミュージシャンがチャートを席巻した、ということは数多いのですが。
青春パンクも結局いいバンドだけが残ったような感じがあるので、今のルーツレスなバンドたちもそれなりに淘汰されていくんでしょうね。

投稿: ゆういち | 2015年7月 5日 (日) 22時17分

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