彼ららしいSAYONARA
Title:SAYONARA
Musician:SAKEROCK
すっかりソロとして有名人になってしまった星野源が所属するインストバンド、SAKEROCK。星野に限らずハマケンも在日ファンクでの活動やテレビへの出演、伊藤大地も数多くのバンドやレコーディングへの参加と、メンバーそれぞれのソロ活動が目立っています。そんな中、SAKEROCKとしての活動は途切れがちになっていたのですが、残念ながら6月2日の両国国技館でのライブを最後に解散を発表。ある意味、ソロ活動が忙しくなったから、という、これほど解散理由のわかりやすい解散ははじめてなのですが、残念ながらこれが最後のアルバムになってしまいました。
しかしこのラストアルバムでユニークなのはジャケット写真を見てわかるとおり、3人組バンドだった彼らが5人組に増えてしまいました(笑)。これは2011年に脱退した田中馨と2002年に脱退した野村卓史が最後の最後ということで戻ってきてレコーディングにも参加したため。最後の最後に昔のメンバーが戻ってきたバンドなんて、はじめて聞きましたが、それも彼ららしいところなのでしょう。
さて肝心の内容の方なのですが、最後のアルバムということでもこれといって意気込んだ感じはありません。ある意味いつものSAKEROCK。ハマケンのどこかとぼけた感じのホーンがユーモラスな「Emerald Music」、軽快でポップなメロが印象に残る「Orion」、ワルツのリズムでとても暖かみのある音を作り出している「Alcohol Waltz」などなど、ハマケンのどこか笑っているようで、そしてとても暖かいトロンボーンの音色と星野源の爽快なマリンバの掛け合いで楽しませつつ、バンド全体が楽しく盛り上がっている、いつもの彼らのスタイルでした。
最後を締めくくる「SAYONARA」は、他の曲に比べてバンドサウンドがより前面に出ているナンバー。最後ということでバンド全体での盛り上がりを意図したのでしょうか?ただこの曲についても特に終わりを意識したような感じはせず、いつも通りのまま活動に幕を下ろした、という意味では最後の最後までSAKEROCKらしい自然体を感じるアルバムでした。
ただアルバム全体としては正直ちょっと「軽め」に感じました。10曲入り全36分程度の短めの長さなのもそうですし、いままでのSAKEROCKにあったような「毒」の要素も薄目。良くも悪くもポップにまとまっていて聴きやすいアルバムになっていたと思います。忙しい中での録音ということもあって、作り込んだ作品というよりは軽いノリのテンションだったということでしょうか。その方向性はいい意味での聴きやすさというプラスの面にも作用しましたし、一癖ある要素があまりない、というマイナス面にも作用したように感じました。
とはいえ、5人仲良く、よい形でラストを締めくくることのできたアルバムだったと思います。個人的には忙しいからこそ、原点に帰ることのできる「家」のような存在としてSAKEROCKの活動を断続的にでも続けてほしかったなぁ、とも思うのですが・・・。残念。これからはメンバーそれぞれのソロ活動での活躍を期待しましょう。
評価:★★★★★
SAKEROCK 過去の作品
ホニャララ
MUDA
SAKEROCKの季節 BEST2000‐2013
ほかに聴いたアルバム
HARVEST ~LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾 2014~/山崎まさよし
昨年4月に東京・かつしかシンフォニーヒルズ で行ったコースティックライブ「SEED FOLKS Special」を収録したライブアルバム。アコースティックギターと弦楽四重奏のみで彼の代表曲をカバーしています。ただ、基本的にアコギでの演奏を基にした曲が多いだけに、良くも悪くも新たな驚きとかはなく、言い方を変えれば安心して、ベスト盤感覚でも聴けるアルバム。アコースティックサウンドでのライブならではの暖かい雰囲気が伝わってくるようなライブアルバムでした。
評価:★★★★
山崎まさよし 過去の作品
COVER ALL-YO!
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Concert at SUNTORY HALL
The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[STANDARDS]
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