遊びの要素も強い傑作
Title:STARLIGHT
Musician:吉井和哉
吉井和哉のニューアルバムはとても心地のよい傑作でした。洋楽からの影響が顕著なストレートなギターロックがアルバム全編に展開。「Hattrick'n」はハードロックテイストなバリバリのギターサウンドがとても心地よいですし、「You Can Believe」もストレートなギターロックと前向きな歌詞が爽快なナンバー。ワウワウギターでファンキーに聴かせる「迷信トゥゲザー」もカッコいい作品に仕上がっています。
また、ちょっと余裕を感じさせるのはそんな楽曲の中に、あまりにそのまんまな洋楽からの影響がチラホラと垣間見れること。例えば「Step Up Rock」はそのまんまラモーンズですし、「STRONGER」などもジョン・レノンの「MOTHER」からの影響をダイレクトに感じさせます(同じ符割りだそうです)。
ここらへんのお遊び的な要素も含めて、全体的にどこかミュージシャン吉井和哉としての余裕を感じます。変な難しい狙い、コンセプトなどなく、ただ単にロックの楽しさを体現したアルバム、今回の作品にはそんな方向性を感じました。
ただ今回のアルバムでおもしろさを感じたのはそんなロックとしての楽しさの部分だけではありません。THE YELLOW MONKEY時代から彼のロックには歌謡曲からの影響が強くあらわれていましたが、今回のアルバムでは、特にそんな歌謡曲からの影響を顕著に感じさせました。
「Hattrick'n」などバンドサウンドはハードロックながらもメロディーには歌謡曲からの強い影響を感じますし、「紅くて咲こうとした恋の」など曲名からして歌謡曲路線なのですが、洋楽風のギターサウンドとその反面、和のテイストの歌詞やメロディーという対比がとてもユニーク。まさに「歌謡ロック」と呼ぶにふさわしい作品になっています。
直近作で彼は日本の歌謡曲を彼なりの解釈でカバーした「ヨシー・ファンクJr.~此レガ原点!!~」というカバーアルバムの傑作をリリースしましたが、そのカバーアルバムで原点を見つめた彼が、本作ではその上で洋楽的なアプローチからも歌謡曲からのアプローチからも原点に立ち返った上で作成したアルバムという印象を受けました。さらなる吉井和哉の成長を感じさせる傑作アルバムだったと思います。
個人的には吉井和哉ソロになってからのオリジナルとしては一番楽しめた最高傑作だったように思います。「ヨシー・ファンクJr.」も文句なしの傑作だったし、ソロデビューから12年目を迎えた彼ですが、まさに今、脂がのっている、そう感じられた作品でした。
評価:★★★★★
吉井和哉 過去の作品
Hummingbird in Forest of Space
Dragon head Miracle
VOLT
The Apples
After The Apples
18
AT THE SWEET BASIL
ヨシー・ファンクJr.~此レガ原点!!~
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