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2015年6月28日 (日)

曲の雰囲気に見事にマッチ

Title:あまざらし 千分の一夜物語 スターライト
Musician:amazarashi

今回紹介するamazarashiのニューアルバムは、いわゆる「アンプラグド」の企画盤。もともとのきっかけは昨年9月に行われたライブイベント「千分の一夜物語 スターライト」。このイベントは、amazarashiの楽曲を、ストリングスをはじめとしたアンプラグドな編成で演奏し、曲の合間に秋田ひろむの書き下ろした物語の朗読が加わるというイベント。良くも悪くもamazarashiらしい中2病っぽい企画なのですが、本作はそこで演奏された楽曲を再レコーディングして収録したアルバムだそうです。

正直、この手の企画盤はあまり期待はしていませんでした。特にアコースティックギター中心のアレンジならともかく、ストリングスを入れたアレンジはどうしても大味になりがち。特にオーケストラを入れたアレンジになると、ほとんど原曲に無理やりオーケストラのアレンジを入れただけの内容になり、個人的におもしろいと思えるアルバムにいままでほとんど出会ったことがありません。

そんな中、これだけおもしろいと感じる「アンプラグド」なアルバムに出会ったのは、ひょっとしたら本作がはじめてかもしれません。この作品、確かにストリングスを効果的に使用しています。ただ一方で不必要なオーケストレーションで盛り上げようとすることはなく、その使われ方は比較的シンプルで抑え気味。また、アコースティックギターやピアノの音色とも効果的に組み合わせており、ストリングスアレンジにありがちな仰々しさはあまり感じられません。

それよりも素晴らしかったのが、このアンプラグドなアレンジが楽曲の雰囲気にこれほどないほどマッチしていたことでした。例えば「隅田川」では前半はアコギ一本で静かに聴かせつつ、後半はピアノやストリングスを入れて静かながらも盛り上げるという構成は歌詞にもピッタリと一致していますし、「無題」で聴かせるピアノとストリングスのアレンジも楽曲の世界観にこれほどないまでに一致していました。

後半も「古いSF映画」ではシンプルなアコギのアレンジで静かに聴かせながらも非常に不気味な歌詞とのアンマッチさが逆に見事。「夏を待ってました」の悲しげなアレンジもまた歌詞の世界にマッチしていました。

もともとamazarashiの描く世界観がストリングスやらピアノやらの音に相性が良い、ということもあるのでしょう。聴いているうちにこれがリアレンジではなく、むしろこちらのアレンジの方がオリジナルでは?という錯覚すら感じてしまうほど。あらためて何曲かについては原曲を聴いてみたのですが・・・むしろこちらのアレンジの方が曲にマッチしているようにすら感じてしまいました。

amazarashiの歌詞は好き嫌いがわかれる部分もあるとは思いますが、それを差し引いても世界観にマッチしたこのアレンジは間違いなく一聴の価値のある作品だと思います。もちろん、amazarashiが好きな方には文句なしにお勧めできる傑作。「企画盤」ということでノーチェックにしておくにはあきらかにもったいない作品でした。

評価:★★★★★

amazarashi 過去の作品
千年幸福論
ラブソング
ねえママ あなたの言うとおり
あんたへ
夕日信仰ヒガシズム

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