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2015年6月 5日 (金)

ハイライフの王様の貴重なアンソロジー

Title:KING OF HIGHLIFE ANTHOLOGY(邦題 ハイライフの王様)
Musician:E.T.Mensah&The Tempos

今回紹介するアルバムは、ガーナの音楽、ハイライフのジャンルにおいて、50年代から60年代にかけ、絶大な支持を得たE・T・メンサーことエマヌエル・テティ・メンサーのアンソロジー。52年の初録音から、楽団としては最後の録音となった69年の録音のうち、69曲を選んで4枚組のアルバムとしてリリースされた集大成。アフリカ音楽ファンにとっては必聴・・・・・・という売り文句に惹かれて(^^;;ちょっとお値段的には張りましたが思い切って聴いてみました。

ハイライフというのは、ヨーロッパのギターや管楽器がアフリカにもたらされ、西洋やラテン音楽などの影響を受けつつ、ガーナで発展した音楽のジャンルだそうで、もともとはダンス・ホールなど上流社会の音楽であったため、「ハイライフ」という名前が付けられたそうです。

そんなジャンルなだけに一般的なアフリカ音楽でイメージされそうな、ポリリズムを前面に押し出した泥臭さが残る音楽という点からはかなりかけはなれています。スウィングやルンバ、カリプソなどの要素を取り入れた音楽は、かなり洗練しているという印象を強く受けます。例えば「Day by Day」という曲はメロディーも洗練されており、洋楽のスタンダードポップスと言われても違和感ありませんし、女性ボーカルを起用した「Nothing But Man's Slave」なども、60年代のガールズポップといわれても全く遜色ありません。

1950年から60年という時代においてアフリカでこのような音楽が流行していた、ということは私たちのアフリカに対する認識が大きく変わりそうですし、ただ単純に「アフリカ音楽」といってもひとくくりにできないその奥深さを感じることが出来ます。

ただそうとはいってもやはり西洋の音楽には感じられない独特の要素が加わっているのが非常におもしろいところ。例えばこのアンソロジーの冒頭を飾る「Kwame Nkrumah」からしてパーカッションにアフリカ的なリズムを感じますし、「Mee Bei Obada」などもポリリズムが展開される独特なリズムを感じます。

4枚組というフルボリュームですが、1曲あたり3分に満たない程度の長さの曲ばかりですし、CD1枚あたり50分程度の長さ。そういう意味でははじめて聴く人でも意外とさらっと4枚のアルバムを聴けてしまうような内容でした。楽曲も、基本、洗練されたポップスなだけにいい意味での聴きやすさがあります。

お値段的にはちょっと張りましたが、その内容には文句なしの作品。ただ、CDに60ページにも及ぶ解説書がついてくるのですが、残念ながら国内盤でも和訳はされておらず、英語のまま。そういう意味ではちょっとお安い輸入盤でも十分かも・・・。仕方ないのかもしれませんが、その点だけはちょっと残念でした。

評価:★★★★★

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