復帰後第2弾
Title:Kranke
Musician:Syrup16g
昨年、突然の再結成を果たし、約8年ぶりのニューアルバムをリリースしたSyrup16g。久々のニューアルバムは期待半分、不安半分という中で聴いてみたのですが、長いブランクを全く感じさせない傑作になっていました。それから約9ヶ月。復活後第2弾としてリリースされたのは全5曲入り22分の短さのEP盤。5曲のうち1曲は1分強のインターリュードなので、事実上4曲入りの作品となっています。
その4曲のみの今回の作品に関してまず感じられるのは、歌詞からどこか明るさを感じさせること。例えば「冷たい掌」では
「冷たい掌 握り直して
過去へ 連れてって
冷たい掌 握り直して
未来へ 連れていこう」
(「冷たい掌」より 作詞 五十嵐隆)
なんていう前向きの歌詞が歌われていますし、「Thank you」の歌詞でも
「諦めない僕に Thank you を
諦めの悪い 青春を
諦めない僕に Thank you を
諦めの悪い 青春を迷う 毎夜」
(「Thank you」より 作詞 五十嵐隆)
と、どこか前向きなスタンスを感じます。もっともこの「前向きさ」という意味では、いままでのSyrup16gの楽曲でも、厳しい現実の向こうのかすかな希望という意味で前向きなスタンスは感じられたのですが、それが今回のアルバムではより鮮明に感じられました。
サウンドに関しても、例えば「vampire's store」のイントロのうねるようなギターサウンドには、90年代のUKロックからの流れを感じてうれしくなってきますし、基本的にはストレートなオルタナ系サウンドというのはいつも通り。ファンの期待にしっかりと応えたアルバムだったと思います。
ただ・・・楽曲に関しては全体的にインパクトは薄め。もちろん内容は悪くないし、もしこれらの楽曲がフルアルバムの中の1曲として収録されていれば文句なしだったでしょう。ただ、たった4曲入りのEPの中ではどうしてもアルバム全体に薄味に感じてしまいました。
まあもっともその分、お値段もお安くなっている訳で、その見合いということを考えれば妥当な内容なのでしょうが・・・。聴き終わった後、ちょっと物足りなさも残る内容。もっともSyrup16gとしてスランプに陥っている、といった感じではないので、次のオリジナルアルバムに期待したいところです!
評価:★★★★
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