« 相変わらずのダサジャケ! | トップページ | 女性アイドルグループが目立つ中・・・ »

2015年6月23日 (火)

歌詞は天下一品

Title:あくたもくた
Musician:SAKANAMON

今、期待のギターロックバンド、SAKANAMONメジャー3枚目となるニューアルバム。前作「INSUROCK」はオリコンアルバムチャート17位を記録するなど一気にブレイクに近づきました。本作は、残念ながらチャート最高位19位だそうで、前作から比べるとちょっと足踏み状態。とはいえブレイク間近という状況は本作でも同様です。

本作での彼らの最大の魅力は1にも2にも歌詞。私は前のフルアルバムとの間にリリースされたミニアルバム「ARIKANASHIKA」に続き、彼らのアルバムを聴くのは2作目なのですが、その前作に引き続き、インパクトがあり個性的な歌詞に惹かれるものがありました。

「我が学び舎 門出の時
待ち焦がれた義務の解除
養った姑息な技
何処行った理想とやら」

(「ぱらぱらり」より 作詞 藤森元生)

なんて歌詞からスタートする、楽しい学園生活を送れなかった人に贈る「ぱらぱらり」なんていう卒業ソングがあったり、他にも孤独な人を描いた歌詞としては

「同窓会も誘われない
連日自宅警備オンライン
求愛する女子もいない
妄想満員で御礼」

(「ジリキの迷宮」より 作詞 藤森元生)

という歌詞が登場する「ジリキの迷宮」なんて曲もあったりします。

基本的にどこか社会から疎外されたような人たちの視点で描いた曲が多いのですが、そんな曲にとどまらず時計の針をモチーフにラブソングを描いた「アナログラブ」やら、交通事故を起こした人の開き直りを描いた「ケセラセラ」やら、女の子にもてたくて肉体改造に挑んだ男の結末を描いた「肉体改造ビフォーアフター」やら、どの曲も独特の視点でユーモアたっぷりに描きつつ、どこかリスナーとしては共感する部分のある歌詞が実に見事。この歌詞だけで間違いなく聴く価値のある1枚だと思います。

ただ・・・歌詞に関しては絶対的な個性の持ち主の彼らなのですが、残念ながらメロディーとサウンドの方はとことんいまひとつになってしまっています。

基本的にはオルタナ系のギターロックバンドで、メロディーもポップで聴きやすく、そんなに悪いものではありません。ただ、どの曲もどこかで聴いたことあるような聴き飽きたようなタイプの曲ばかり。打ち込みのダンスナンバーも何曲か収録されているのですが、こちらもくるりを2周遅れくらいで後につけているような今更感のある楽曲。歌詞があれだけおもしろいのに・・・と思ってしまいます。

もちろん、不必要なひねりのないシンプルな楽曲だからこそ歌詞も活きている部分もあるのですが、個人的には中途半端にエレクトロサウンドを入れて色気を見せるよりは、愚直にシンプルなギターロックのみ追及して、SAKANAMONの売りはとことん歌詞、と開き直った方がおもしろい曲が出来るように思うんだけどなぁ。ここらへん、「注目のバンド」だけどもブレイクしきれない大きな理由のようにも思います。前作に続き、非常に惜しさを感じさせるアルバムでした。

評価:★★★★

SAKANAMON 過去の作品
ARIKANASHIKA

|

« 相変わらずのダサジャケ! | トップページ | 女性アイドルグループが目立つ中・・・ »

アルバムレビュー(邦楽)2015年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 歌詞は天下一品:

« 相変わらずのダサジャケ! | トップページ | 女性アイドルグループが目立つ中・・・ »